「普天間」交渉秘録

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著者 : 守屋武昌
  • 新潮社 (2010年7月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103266310

「普天間」交渉秘録の感想・レビュー・書評

  • 2010年刊。元防衛事務次官の手による普天間米軍基地移設問題の交渉記録。◆交渉とはいえ、沖縄県だけが相手でなく、政治家(自民党が軸だが自民党だけでなく、自民党も一枚岩でない)、米国、米軍、防衛庁、外務省、沖縄県民や移設先辺野古の地元等、多様な利害関係者が存在。そんな中、防衛庁側を定点とした交渉経緯を記したのが本書である。◇弱者の戦略を強かに展開する沖縄側の交渉の上手さ(狡いというより、上手く強かに振る舞っている印象)が目につく。また、一方からの本書だけで真相が見えてくるとは愚の骨頂、を肝に銘ずべき。

  • 官、政、財、そして地方がどう絡み合っての沖縄の基地問題かってのが見えてくる。ただ非常に政治色の濃い話が淡々とされてて、あんま面白くはないな。巻末の防衛論も白書を要約したかのような。

  • 元防衛次官による普天間飛行場移設問題の内幕を描いたノンフィクションです。普天間飛行場移設問題が、民主党政権の迷走の象徴としてクローズアップされていたころに読みました。

    普天間飛行場移設に関して、長いあいだ不思議に思っていたことが次々に氷解していきます。例えばたかだか市長選挙でしかない名護市長選がなぜ全国から注目を浴びるのか、この問題がなぜこれだけ長期間にわたって報道されるのか、というようなことです。実際に沖縄やアメリカとの交渉のテーブルについていた著者氏による、きわめて密度の高い一次情報を得ることができます。

    また、官僚のトップである事務次官の仕事の進め方、交渉に対する考え方など、普通のサラリーマンにも大いに参考になる場面が多々あります。例えばメア総領事とのインフォーマルな会談における仲井真知事の要望と、それに反対する守屋氏のやりとりの場面。これだけ解決が難しい問題となると、要望に対してただ反対するだけでは、なにも変えることができません。守屋氏は、まず反対であることを表明し、受け入れた場合どうなるか(漏らされる上に沖縄にいいように使われる)という判断の根拠を述べ、さらに代案を提示しています(いまではなくて、アセス後に説明すればよい)。

    おどろくべきはこれが会談の場で行われたやりとりである、ということです。唐突に提出された主張にこれだけの整然とした対応をするにはどうすればよいか。現状を詳細かつ的確に把握し、事前に多様なケースを想定して考えをめぐらせていなければできないことです。大変勉強になりました。

  • 面白かった。沖縄の基地問題というのもすごく複雑でなかなか通り一遍の理解ではわからないことが多いのだと思った。沖縄側が一方的な被害者なのかというとそれだけでない面もわかった。政治家の本当の姿も見られた。

  • 守屋さんからの視点ではあるが、普天間基地移設交渉の詳細なやり取りが実名で記載されており、非常に面白かった。

    率直な感想としては、ここまで事態が進展しないのは、政府と沖縄県及び名護市の双方に責任があると思った。
    沖縄県としては誰も責任をとりたくないのだなと感じた。

    これだけの国家巨大プロジェクトなので、この本だけではわからない動きや思いがあるのかもしれない。

    沖縄に住んからこそ、このような本を興味を持って読むことができた。

  • 事務方として普天間問題に対峙した筆者のリアルな交渉秘録。
    「普天間の謎」(森本敏著)との並行読み、対比が面白い。
    「利権絡みで暴走した防衛庁、守屋」と外務省は謳い、それに対し守屋次官は「利権の絡んだ沖縄の思惑」と言う。
    どっちも真実であって、どっちも真実ではないんだろう。
    沖縄の首長のリアルな本音、スタンス、交渉術も面白かったし、知事の本音と建て前も衝撃的。その辺はリアリティある。
    読めば読むほどこの問題は出口が見えない気も。いずれにしても考え続けなければならないし、全体の問題として捉える目が必要。
    それにしても、「防衛庁の悲願」の章はまったくもって意味不明。なんのための章だったのか…。

  • 普天間問題に関して大変勉強になった。テレビや新聞じゃわからないことだらけ。著者と対峙していた沖縄側の視点からの意見も知りたい。

  • 普天間の移設交渉や防衛省昇格に携わった元防衛事務次官の記録。沖縄や米軍、防衛大臣等とのやりとりが赤裸々に綴られている。沖縄の「引き延ばし」「二枚舌」を非難。このあたり、沖縄の問題と、それが必要で有効な地位に沖縄を置いた本土の問題があるだろう。最後の「将来に向けての日本の防衛」という1章は、やや蛇足か。

  • 普天間問題の根深さがよく分かる本。沖縄問題の根深さを感じさせられた。

  • 普天間基地返還交渉において、
    沖縄側がいかにしたたかなのか、よくわかる。

    もちろん、沖縄県民全体がそういう気質ではなく、
    一部の為政者が、である。

    それに対して、小泉純一郎元総理が、
    いかにぶれないで突き進んだか、それによって、
    なんとか、交渉がまとまり始めることも如実に記されている。

    やはり、ぶれてしまう政治家は何もできない。

  • 今も問題になっている普天間基地移設問題について、自民党政権時代に最前線で交渉にあたったいた防衛省事務次官による、貴重な一冊。
    政府と沖縄との交渉で、政府が沖縄に対していかに配慮して交渉してきたか、また、沖縄側はそれについて長年、どう対応してきたかが書かれている。
    この本にあるとおり、普天間基地問題が解決しない原因は、決して国のせいだけではない。
    また、今の国に、守屋さんのようなタフな人物が果たしているのだろうか、そんなことも考えられる1冊です。
    巻末の守屋さんからの今後の日本が歩むべき防衛についての提言も必読。

  •  とても興味深い。ここまで実名で書くということは,もう二度と公の世界に戻ってくるつもりはないという強い覚悟を感じる。

  • 普天間の問題が何故こじれて長い間解決しないのかがよくわかる。

    関係者の思惑が完全にずれており、落ち着き先がないからだ。
    ・防衛省(守屋元次官)・・・実行可能な案の中で、沖縄の負担が最も軽くなる案を望んでいる。
    ・政府その他・・・とにかく沖縄やアメリカともめず。交渉がまとまれば何でもいい。移転作業の段階で実際に問題が生じたらその時考える。
    ・沖縄(首長等)・・・基地を沖縄県外に持っていきたい。したがって政府が沖縄県内のどのような案を持ってこようが、解決を先延ばしするような策をとる。
    ・沖縄(建設関係者)・・・建設会社が最も潤いさえすればよい。移転先の辺野古の負担などどうでもよい。

    純戦略に均衡解がない問題を純戦略で解こうとしているから、時間だけかかって何も解決しないのは当然だ。

    あとこの本を読むと、守屋元次官が何故逮捕されなければならなかったかがよくわかる。守屋さんは優秀だったのかもしれないが、正しさを真面目に追求しすぎた結果、独裁的な面が強くなりすぎて、敵を多く生み出している。そういった人間は日本では生き残れない(少なくとも小泉元首相並みのカリスマ性がなければ)。

    役人として優秀となるとはどういうことを意味するのかについて、考えさせられる一冊だった。

  • 普天間移転問題の過程を守屋次官の視点で綴ったもの。政治家や他省の言い分はあるだろうが、苦労してまとめ上げた移転案をいともたやすくぶちこわしたLoopy氏に献げたい。

    あと、結構読みやすくて、意外。内局の裏話をもっとぶちまけて欲しいとも思ったり。

  • 日・米・沖―不実なのは誰か《赤松正雄の読書録ブログ》

     日本人は合意重視の和の文化を「ゆすりの手段に使う」「沖縄の人は怠惰」―といった意味のことを前駐沖縄総領事のメア氏が米大学生らに国務省内で語っていた、とのニュースに接した(事態はその後急展開し、米国政府は謝罪。メア氏はその職を罷免された)。

     その瞬間、年明けに読んだ守屋武昌『「普天間」交渉秘録』を思い起こした。メア氏らと懸命に交渉をまとめる作業をしていた守屋氏の恨みともうめきとも思われる声が随所から聞こえてくる。「不実なのは誰なのか」という章があり、何回も煮え湯を飲まされた沖縄(県知事や市長ら)への恨みが読み取れる。その意味ではメア氏と守屋氏は表裏一体ではないかとの思いがする。

     守屋氏はご存知のとおり、収賄などの罪で拘置所内に収攬されている。この書では、多くの政治家や関係者のことをけなしたり、持ち上げたりしており、なかなか面白い。つまり、意趣返しだとか、引かれものの小唄とは言い切れない真実も含まれていると思われ、私には興味深かった。ある意味で交渉における沖縄県人の手練手管の巧みさが描かれているというように私は読んだ。

     日米をむこうにまわし、いかに米軍基地の弊害を取り除くかに腐心してきた沖縄。日本も米国も真に沖縄の心を理解していない。日米は共に敵なのだ―この観点に立てば、沖縄がのらりくらりしつつ、あの手この手を使って引きのばす戦術だというのはごく自然なことのようにもみえる。

     メア氏の発言が報道通りなら、沖縄県の人が怒るのは当然なことは言うまでもない。思い通りにならなかったアングロサクソン(民族)が、琉球(民族)と大和(民族)をまとめて日本ととらえ、憤懣やるかたなさをぶちまけたわけだ。メア氏に今少しの知恵と工夫があれば、琉球をあしざまにいわず、むしろ大和に批判の矢をむけていれば…と思う。沖縄の交渉上手、日本の交渉下手がみえてくるというと、いいすぎだろうか。

  • 普天間返還の交渉がスムーズに進まなかった原因はどこにあるのか!?

    沖縄の埋め立てに関する利権や、それに関わる様々な地域の財界人や国会議員、地方の首長など実名で語られる色々な事実。

    沖縄は時間をかければかけるほど国からの補助や予算が落ちるから、すぐに決めたくなかったのか!?

    元防衛事務次官守屋武昌氏に寄るドキュメント回顧録。

  • 守屋元事務次官の回想録。2004年の小泉政権時から、次官退任の2007年までについて、「省」昇格や、不祥事、人事など、普天間に限らず回想している。
    普天間基地移設問題がまったく進展していないのは周知の事実だが、その裏側には沖縄のタフネゴシエーターぶりがあった、というのは驚きの事実だった。タフネゴシエーター、というか、何考えてるのかわからない、というのが守屋前次官の印象のような感じだが。
    要約すると、普天間基地移設については、沖縄県や名護市と合意したように見えても、沖縄側の反故や反対運動でまったく進まなかった一方、沖縄県振興については本来基地とリンクしてしかるべき予算もあったのだが、沖縄側の思惑どおり、基地とはリンクせずというようになり、長期にわたって多額の予算がついているということ。
    最近の、基地と振興はリンクするのか、という話題にもつながる話であり非常に興味深かった。目からウロコだった。

    一方、交渉相手の沖縄側の視点も読んでみなければ全体像は見えないかなとも思った。

  • 鳩山政権を吹っ飛ばした普天間基地移設問題。
    長年にわたってアメリカ側と交渉していた官僚が、その舞台裏について語る。

    この本を読むと、移設を困難にしているのは沖縄の代表者の側で、特にゼネコンによる利権もよく見えてくる。
    これは地域振興策が大きな原因となっている。

    しかし沖縄の問題を語る際に、あらゆる議論の場でこの著作が取り上げられないのはなぜなのか?
    タイトルさえ聞くことがない。

    つまり本著は官僚の理論であって、だから辺野古に移設が妥当というわけではないのだろう。

    今後歴史がどう動いていくかは分からないが、重要な文献として評価されるのか、見向きもされないのか、その判断はつかない。

  • いまだに揺れている沖縄の普天間基地移設問題。これを防衛省の役人時代から推し進めていた、元次官による書。

    実名入りで、様々な裏話が書かれており、とても興味深く読めた。

    小泉政権時に解決しかかったのが、頓挫し今に至る過程がよくわかった。政治家の罪は重いと感じぜざるを得なかった。

    ところで、警察と自衛隊の仲が悪いのは、226事件の時以来というのは驚いた。

    著者自身の事件に関する記述がほとんど無かったのは残念だ。

  • 普天間基地の辺野古移転について、簡単に合意を覆す沖縄に、政府が翻弄される。また、アメリカは150年前から沖縄に拠点を置くことを計画して、手に入れた沖縄を手離すはずがない。ポッポ総理もこの本を読んでたら、移設について、あんな与太話は出来なかっただろう。

  • まぁ、ある一方向からの見方なんだろうけど、でも沖縄にはこういう傾向はあるだろうね。沖縄に対する好感度が下がったのは事実です。

  • 本当に沖縄県民の為に頑張っているのは誰なのか良くわからなくなった。

  • 実名を晒した個人記録。沖縄は弱者、被害者という考えが揺らぐ。真実はどこにあるのか、この本を読んでもわからないが。
    国のこと、国民のことを真剣に考え、行動できる政治家、官僚はどれだけいるのだろうかと思った。

  • 普天間交渉 沖縄の市長、知事などが、建設会社が潤うような飛行場にしたいがために、環境問題をかえりみず、国との約束を反故にすることを繰り返した結果、ほとんど前進なし

  • 何事でもそうだが一方の主張がどんなに正しそうに見えても、
    正反対の主張にも耳を傾け、それから自分の頭で判断するに限る。
    守屋武昌『「普天間」交渉秘録』(2010)を読む。

    著者は元防衛事務次官。
    2007年11月28日、
    軍需専門商社・山田洋行から便宜供与を受けたとして
    収賄の容疑で東京地検特捜部に逮捕。
    地裁で懲役2年6ヶ月、追徴金1,250万円の量刑。
    高裁も地裁の判決を支持。現在、最高裁の判決を待つ。
    (本書p.3「はじめに」より)

    おりしも、「普天間」問題が端緒となり、
    政権交代して8ヶ月の鳩山総理が辞職。
    世間の報道を読む限りでは、
    「普天間」問題の本質はなかなかつかめない。

    そもそも、米軍/政府与党(自民党)=強者(悪)、
    沖縄=弱者(善)の公式に
    僕たちの考えがしばられているのが前提になっている。
    そこに民主党への政権交代があり混乱があったから、
    「弱者・沖縄を守りきれなかった鳩山内閣」との見方だけが
    正当化された。その見方に本書はノーを突きつける。

    本書は在職中の守屋の日記をもとに
    在日米軍再編から普天間をめぐる混乱まで
    実名入りで詳細に記述している。
    読み進むうちに弱者であるはずの沖縄の交渉上手が浮かび上がる。
    政治家・官僚の間で巧みに情報をコントロールし、
    交渉を優位に運び利権を守る姿が見えてくる。

    佐藤優『国家の罠』は外務省を主たる舞台にし、
    検察が必ずしも正義の味方ではないことを
    僕たちにも分かりやすく伝えてくれた。
    本書は防衛省(防衛庁から防衛省への昇格をめぐる物語も詳述)
    を軸に「普天間」をめぐる虚々実々の駆け引きについて
    責任ある立場にいた人間の「ひとつの視点」を提供する。

    それにしても、
    これだけ生々しいドキュメントを
    よくこの時期に出版できたものだと感心する。
    出版界の低迷が叫ばれる中、
    新潮社(出版部/土屋眞哉)はいい仕事をした。
    この本を書き発表するには守屋の覚悟も尋常ではなかったろう。
    自民党から民主党へ政権交代したことも、
    本書が日の目を見た理由のひとつなのだろうか。

    報道量だけ多く、思考の材料が不足する在日米軍基地問題。
    とりわけいま注目されている
    「普天間」の過去・現在・未来について、
    本書は洞察の機会を与えてくれた。
    最高裁が守屋をどう裁くかについても注目していきたい。

    (文中敬称略)

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「普天間」交渉秘録の作品紹介

膨大な量の日記には、自身と相手の発言内容、そして行動の詳細が記されていた。それはまさに「普天間問題」の真相を繙く第一級資料だった-。防衛事務次官として、アメリカ、沖縄、永田町と対峙してきた著者が、日記をもとに今まで語られることのなかった全経緯を綴る。

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