呼んでみただけ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103269212

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  • 「ねえママ」
    特に話すこともないのに呼んでみただけの遊太。
    うちの娘達がこんな風に私のことを呼んでくれたのはいつ頃までだっただろう。
    私の他愛もない話をじっと目を見つめながら熱心に聞いてくれたのは。
    私と手をつないでくれたのは。
    彼女達を抱っこしたのは…。
    当時はそれが当たり前すぎて、貴重な一時だったなんて気が付かなかった。
    あのふわふわした真綿のような軟らかな日々を思い出しながら、遊太のママと共に遊太の成長を見守る。

    クラゲが星に伝えたかった言葉。
    何十億年経っても変わらずに受け継がれたその言葉は言霊となって、長年待ち焦がれた星だけでなく、地球上の全ての生き物に大事に大事に伝えられていく。
    そして最後は読み手の心にも優しく響き渡る。
    「きみがだいすき」という「すごくなかよくなると、いいたくなることば」は子供だけでなく、大人にだって、いや大人にこそ伝えなければならない言葉なんだ。

  • ママが息子に
    お話しを作って語り聞かせる。
    別途サイドストーリー。
    時々パパも登場。

    楽しかったり、ヘンテコだったり、
    でも、どれもとても優しいお話。

    息子の遊太君が「湯冷め」を「ユザメ」というサメと思ったり
    ママの寝言「レジ袋あります、ポイントカード持ってます」
    なんていうのも、かなり親近感を覚える。

    こんな風に子どもと
    意味があるような、ないようなことを話している
    柔らか空気に包まれている感じって素敵。

    でも、私はもっとガミガミしてたなぁ。
    こんなに可愛い時期なんて
    あっという間に終わってしまうって
    わかっていたのにねぇ。

    今回はお気に入りを選べないくらいどれもいいお話でした

  • 幼稚園児の遊太くんとママ、時にパパとのたわいなく移ろう日常のやり取りが静かに静かに胸に沁み入り、夢うつつな体験とママの創作童話に大事なことをハッと気づかされる。何気ない会話の中に大切なメッセージが込められていたように思う。
    遊太くんのママの自分にできることで頑張ろうとする姿勢や「へそまがりの魔女」の章の終わりの息子への祈りには自然と共感。
    遊太くんの成長を感じるラストは、我が子がいつか手を離れていく寂しさに襲われながらも今一緒にいる時間の限りない愛おしさで胸がいっぱいになった。

  • お母さんが自分がつくったお話を子どもに読み聞かせていく。
    挿入される物語も
    物語を聴く子どもも話すお母さんもすごく素敵だ。

  • お母さんの作る物語は、ちょっと切なくて、ちょっと怖くて、そしてとってもあったかい。
    愛に溢れたお話でした。

  • 2012/06/28 読了

  • お母さんの作った物語を聞く子供とのやりとりがほのぼのしていい。

    その中で,お母さんのお母さんとのエピソードや
    最後の子供とのエピソードなど
    日常の何気ない日々が愛おしい。

    大人でも十分に感じるものがあると思う。

  • 好き。すごく。柔らかくて懐かしくて暖かくてほの暗い感じ。

  • 12章からなる連作短編集。

    6歳の遊太に語るママのお話が素敵です。
    甘い女王さまの甘くないお話やら、
    ばかじゃない金魚のお話やら、
    即興の、穴ぼこのお話。

    遊太は遊太でネズミ人間と話したり、
    月食の夜に影ふみをしたり、
    アヒルに乗って凶暴な湯ザメと戦おうとしたり。

    ときには明日がちゃんとくるのか心配になって、パパに尋ねたりする。
    お話の主人公たちだけじゃなく小さい遊太にだって、
    さみしさや不安はいっぱいあるよね。
    でも優しいママやパパは勿論、おじいちゃんやおばあちゃんもいて、
    遊太はしあわせじゃないか。

    やさしく琴線に触れる感じ。
    読みごたえもありました。
    大人のひともぜひ。

  • ほっこりします

著者プロフィール

山梨県甲府市生まれ。1994年に「ふゆのひだまり」で小さな童話大賞大賞、「いただきます」で同選者賞今江祥智賞、2001年に『天のシーソー』で椋鳩十児童文学賞、2018年に『満月の娘たち』で第56回野間児童文芸賞を受賞。主な作品に『頭のうちどころが悪かった熊の話』(新潮文庫)、『星につたえて』『ふゆのはなさいた』(アリス館)、『夜叉神川』(講談社)などがある。

「2021年 『メンドリと赤いてぶくろ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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