ラブレス

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著者 : 桜木紫乃
  • 新潮社 (2011年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103277224

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ラブレスの感想・レビュー・書評

  • 『嫌われ松子の一生』的な。謎の位牌を握りしめ、死の床についた百合江。彼女の波瀾万丈な生涯を追う。

    生まれは標茶の極貧農家、飲んだくれの父は文盲の母に暴力をふるい、生活もままならないのに子沢山。子守りに明け暮れ、高校進学も叶わず、親の借金のカタに奉公に出され。奉公先の主人に凌辱され、「なんだ、あんなもの突っ込みやがってーー」と強がるも惨め。逃げるように旅芸人一座に飛び込むもやがて一座は離散、歌い手をしながら、女形の宗太郎とその日暮らしの末、第一子(綾子)妊娠・出産。宗太郎の失踪により、別の男性と結婚するも姑にいびられ、夫の借金のカタに旅館でタダ働きをさせられ、第二子(理恵)出産は難産で子宮を失い、退院したら第一子の綾子は里子に出されたのか行方不明に。

    そんな姉 百合江を常に気にかける妹の里実は夫が愛人に生ませた娘 小夜子と、実子 絹子を育ててながら理容師として頼もしく働き…

    飲んだくれの父のみならず、弟たちも卑屈で下品で肉親の情は欠片もなく老いた母に暴力をふるうほどで…昭和演歌調に語られるどこまでも幸薄い百合江という女の生涯。

    里実、作家になった理恵、45歳で思わぬ妊娠をした小夜子が見守る病室に現れた1人の老紳士。
    ザ・ピーナッツの『情熱の花』や、『テネシー・ワルツ』が女たちの人生に彩りを添えて、ラストが美しい。

  • タイトルと装丁からライトノベルかなと思って読み始めるととんでもなかった。道東の開拓民の子供として生まれた百合江の放埓かつ過酷な人生を躍動的に描いた作品。
    いや~、面白かった。その日暮らしで生きる百合江とは対照的に将来を見据えて生きる妹の里実。果たしてどちらの人生が幸せだったのか。この二人と取り巻く人々、親、兄弟、娘、恋人・・・、それぞれの人生もまた興味深い。
    個人的には「手前勝手」に生きる人々の中で、唯一のし上がろうと上を見続けた里実に同情してしまう。良く頑張ったよ、うん。
    ラストシーンは何ともドラマティック。よかったね、ゆっこちゃん。
    同じく貧しい北海道開拓民の話を描いた小説、乃南アサの「地の果て」と合わせて読むとより面白いかも。

  • 直木賞を受賞した『ホテルローヤル』よりも先に書かれた作品です。

    装丁と『LOVE LESS』というタイトルから、現代の話かと思ったのだが…

    これは桜木さんの本だ~!と思わされる一冊。
    そして、強烈に印象に残る本になりました。

    桜木さんと同世代で、昭和世代だから、胸をえぐられるように感じることがいっぱい。

    戦後を生き抜いてきた女性って、想像もつかない過酷な運命を背負わされていたんだと、改めて思い知らされた。
    同じ昭和でも、男女平等が当たり前のようになった時代とは全く違う…
    子どものため、夫のため、家のために生きる。
    自分のために生きることは自分勝手なこと、後ろ指を指されること…

    舞台となる北海道、開拓村の生活はどんなに大変だっただろう…
    そんな過酷な生活の中から、旅芸人一座の歌い手となる百合絵。
    表にはみせず、心に秘めた信念のまま生き抜いた百合絵。
    こんなに辛い人生って…と、思てしまうけれど、百合絵は「幸せだった」と答えるだろうなぁ…

    読みながら、何度も胸がつまって、胸が締め付けられて、涙がにじんで、苦しかった…

  • 貧農の家から、高校にも行けず奉公に出され、旅芸人の一座に加わって歌い、出産しては旦那に逃げられ、次の旦那は借金まみれのマザコン。不幸の嵐のような壮絶な人生を、明日は明日の風が吹く、と柳のようにしなやかに生き抜いた百合江の一生を、妹の里美の娘と本人の視点からつむぎだした物語。めちゃめちゃ重いし、つらいですが、百合江の潔い生き方と、愛に溢れた最後が素晴らしかったです。

  • 殺人も無い。事件も無い。警察も出てこない。それでもこのおもしろさはなんなんだ!最近ミステリーやサスペンスばかり読んでいる自分にガツンとストレートをくらった気分だった。市井の人々の普通の暮らしの中にエンターティメントが埋もれている。舞台は北海道。貧乏な家に生まれた女性が苦労を重ねる一生。簡単にいえばそういうこと。舞台は北海道だし、女性の一生を描いているしで、かつてむさぼり読んだ三浦綾子さんを思い出す。しかし、この作品は女性の艱難辛苦を不幸とは結論づけない。どんな苦労をしても生きていればこそ、それは幸せなのだと教えている。ミステリーはなかなか人に勧められないが、これならいける。今年の誰にでも読んで欲しい本ナンバーワンだ。涙腺の弱い人はタオル必須。

  • 「どこへ向かうも風のなすまま。からりと明るく次の場所へ向かい、あっさりと昨日を捨てる。捨てた昨日を惜しんだりしない。」

    TwitterでやたらとRTされていたので(出版社の思惑)、
    それに乗って図書館で借りました…。

    いやぁーー、骨太な作品!!
    タイトルや拍子からは想像もつかないような、
    強い女の一代記。

    もっと軽い明るい恋愛ものを想像していたので、
    いい意味で裏切られたかな!?

    現代にいる小夜子と理恵。
    そして、物語の根幹を担う百合江、里実。
    実は最初は、名前がストンと入ってこずに混乱しながら読んでしまったのだけれど、物語が進むうちに、キャラたちがしっかり歩き出すからその心配もなくなった。

    この女たちの生き様は、私とは程遠いところにあると思う。
    どの登場人物とっても、同じように生きたり、この人一緒だ!というものは全くなかった。
    それでも、なぜかしてしまう感情移入。

    物語が終わった後も、しばらくはこの世界に引きづられてしまっていたように思う。
    それだけ著者の筆圧が高いのかな。
    力がある。

    ちなみに、ゼクシィの「突然愛を伝えたくなる本大賞」だったようだ。
    いやーーー、こんなに強い女がいたら、愛を伝えたくなるかなぁ?
    なんて思ってしまいました。
    すごいお話でした。

    【11/11読了・初読・市立図書館】

  • 本棚に読みたい本として登録し、半年が過ぎようやくいつもの図書館にリクエストしすぐに借りることができる。著者は10年前「雪虫」でオール読物新人賞を受賞し、その後「氷平線」で単行本デビュー。この「ラブレス」は今年度直木賞の候補作となって、たぶん新聞書評かなにかで気にとめていた。この題と中味の違和感、そして表紙絵の明るさに反して内容の暗さかも変に気にかかる本は珍しいと思う。

    作者のプロフィールが謎であるがこれだけの力作が書ける小説家をこの本によってみつけられたことはよかった。また何冊か読んでみたい。

    北海道開拓民の祖母とその娘(主人公百合江)、その娘の理恵の三世代に渡る話。それぞれの女の一生を描き、生き方を問いてるような感じがした。夫や子どもに家畜のように虐げられて自分自身というものが皆無のような祖母ハギ。その娘の百合江は高校卒業と同時に自分の夢がかなえられず奉公に出されて流転。歳の違う妹里実は幼い時に親戚にもらわれお嬢様育ちだが、姉の奉公と同時に幼い弟の面倒をみるかたちで連れ戻され、苦労して手に職を付け今でいう実業家となる。里実の娘の小夜子は里実の実娘ではなく45歳にして妊娠している。幼馴染の百合江の娘の理恵は小説家であるが、母の生き方に馴染むことが出来ず確執する。

    どの人物を取り上げても主人公になれるような女たちの生き方と幸福論が展開出来ると思った。話の展開は寡黙な百合江の一生の謎を解いていく物語で、百合江の関わる人物たち(家族、薬屋夫婦、旅の一座、娘の綾子、夫の高樹、添乗員の石黒、など)がどのように百合江と接していくかが百合江という女の生き方を浮かび上がらせていく。その辺りがすごく読み応えがある。

    百合江が主人公と成り得た要因は自分の心の趣くまま自然に生きたということ。そしていつどんなときであっても「幸せだった」と思うこと。でしょうか。
    共感とかとはまた違う「こんな生き方もいい。こんなに力を抜いてもいい」と思わせてくれた。

    P183
    「親だの子だのと言ってはみても、人はみんな手前勝手なもんだから。小夜子ちゃんんも、自分の幸せでのためなら、手前勝手に生きていいんだよ」

  • 標茶、弟子屈、釧路と道東満載。その点、桜木紫乃は地域の作家と言えるのだろうか。こういう小説があると、この土地が文学から見放されていないんだな、と思う。
    どんな不幸に見舞われても、決して絶望することのない姉妹の物語。百合江は、男や娘など家族に寄りかかりながら、里実は自分自身を絶対的なものにしようとしながら、不幸に向かっていく。百合江は一人では進めないが、アクシデントに対して諦念を持って受け入れることができる。里実は、人を利用しながらというところもあるが自分自身だけで生きて行けるが、突発的な出来事に対し柔軟性を持たない。
    個人的には、百合江の生き方に共感できる。が、さすがに子供一人いなくなっては、なかなか生きてはいけない気がする。

    今まで女性作家の作品をおもしろいと思えることがなかったけど、これはなかなか面白かった。
    ただ、作中の登場人物の名前をなかなか覚えられなくて困った。個性が無いからなのか、自分の記憶力に欠陥があるからなのか。

  • タイトルや本の装丁の奇抜さからは想像もできないほど
    やさしく、せつなく、誠実な女の一生が描かれています。
    東日本大震災後の、暗雲立ち込めるこの国の現実のなかで
    自分は、こういう小説を望んでいたような気がします。

    「不幸も幸福も長くは続かない」と、
    いくたの荒波を甘んじて受け入れ、
    風のなすまま次の場所へ流れていく百合江。

    人は風のように生きていく人と
    岩のように生きていく人とがいます。
    岩のように堅実な人生を送ろうとする妹、里実は
    姉、百合江をなじりますが、どちらの人生が幸福なのかではなく
    自分自身の生きやすい生き方を貫くことが、
    人生の逆境を支えるのだと、この作品を読んで痛感します。

    生きていれば悲しいこと、つらいこと、いっぱいあるけれど
    「それでも生きていく」という、作者のゆるぎないメッセージが、
    読者へのエールとなって胸に響きます。深く静かに‥。
    直木賞候補作。

  • 重たく過酷な人生を軽やかに生きたオンナ、百合江の一生を描いた、2011年下期の直木賞候補となった作品。
    はっきり言ってその2年後に直木賞を受賞した「ホテルローヤル」より、小説としての読み応えがある作品だ。
    (この作品が候補になっていなかったら、2013年の受賞もなかっただろう)
    惜しむらくはラストが、メロドラマ的なハッピーエンドになってしまったところ。
    百合江の「救い」として、このようなラストが用意されたのだろうが、もう一人の男の方が自然だし相応しいような気がする.......のは、男としての同性に対する身贔屓だろうか。

  • 壮大な女性たちの物語だった。
    百合江の生き方、自分はしたいとは思わないけれども、いさぎよくて好き。
    でも、自分は里実タイプ。
    特に心に残ったのは、理恵と祖母との交流。

  • 最後、涙が出てしまった。
    ユッコちゃん、だいすきよー
    だいすきが、平仮名で書かれているのも、納得できる。
    重い
    重い
    話ではあるけれど、読み甲斐あり!
    ラブレスではない…

  • 一気に(といっても2日で)読み終えた。そして装丁とのつながりに首を傾げる。もっともっと意味のある力強い物語なのに!
    最初は登場人物の名前が覚えにくくて、それでも読み進めたいという気にさせられた。
    「愛」と「縁」の違いが分かるっていうことは逆に不幸せなことなのかもしれない。
    ハギが大福を食べるシーン、好き。女は逞しいなぁ。
    北海道の開拓地の厳しい寒風を想像しながら一人の女の人生が終わる、と思い込んでのラスト。茫然とした。
    どなたかも書いていたけれど、いい映画を観て映画館から出たときのような感じ。席を立って歩いても、現実に戻れない。思い出すと涙が溢れてしまう。物語に取り込まれたまま。
    いい小説ってすごい。

  • 女性が書いた女のための小説。描かれている喜び、つらさ、あきらめがすんなりと共感できます。
    タイトル、表紙からはうかがい知れない世界がページの中に広がっていました。
    不幸な生い立ちが人をどのようにするのかは人それぞれ。それぞれのやり方で頑張るしかなかった来し方が詰まっていました。
    卯一やハギの使う北海道弁が亡くなった父を思い出させて、また一度訪れた釧路のさみしい風景がよみがえって胸が詰まりました。

    泉屋のスパカツ。NHKBSのこころ旅で火野正平さんが立ち寄ろうとしたら定休日だったお店かしら。モスのご当地バーガーでも登場して、けっこうメジャーなんだなと知りました。

  • 開拓民の貧しさとそこから抜け出していけなかった哀しさ、そういったことを恨まないで自由に生きたかった百合江の愛にあふれたそして愛されることの少なかった人生が最後の最後に『ユッコちゃん、だいすきよ」という言葉で救われる。とても良かった。

  • ヤバイくらいに一気読み。すっごく重いはずなのに、嫌な感じがしない。人生って、幸せって、、、
    小説だからこそ、受け止められるのかもしれないけどね…

  • ぐったりするくらい、女。

  • 「BOOK」データベースより
    馬鹿にしたければ笑えばいい。あたしは、とっても「しあわせ」だった。(中略)昭和26年。百合江は、奉公先から逃げ出して旅の一座に飛び込む。「歌」が自分の人生を変えてくれると信じて。それが儚い夢であることを知りながら―。他人の価値観では決して計れない、ひとりの女の「幸福な生」。(後略)

    飛び出した先での幸福を信じて進んだ道。しかし、その道が正しかろうが間違っていようが、平穏な日々は続かない。むしろ捨てられ、騙され、肩代わりする羽目になる。
    しかし、百合江は生きる。絶望しても、「それがあたしの人生だ」とでも言うように。

    (引用)「まるで双六だ。サイコロを振って升目を進んでは、振り出しに戻ってまた歩き始める。」

    そう言って、百合江は今日・明日を生きる。
    他人になんと言われても、自分の信じた道。その道が、他人から見れば誤った道であろうとも、その道で生きていくという決意。思い人のことを「柳のような人」と言う百合江自身もまた柳のように、世間に吹かれながらも折れずに生きていた。
    その人生が幸か不幸かは、その人生を生きる本人が決める。

    気が強い妹・里実、その里実に愛されなかった小夜子、百合江を愛せなかった子・理恵、飲んだくれの父・卯一、まるで自分の意思がないような母・ハギ、その3人息子、そして百合江の周りを通り過ぎていった男性たち。
    百合江の周りの人物もまた、身勝手なようで、そのときそのときを一生懸命に生きた結果の行動なのかもしれない。時には優しさを見せ、時には保身に走り、時には、世話をしているという「優越感」で。


    話の構成としては、とある嫌われ女の一生を書いたものと同じ風。家族の愛に恵まれず、家を飛び出した女性が、様々な男性、女性、家族らと会い、波乱の一生を送っていく。そしてその周りの、懸命に、それぞれの価値観で生きる人々の様子。
    登場人物の性格がハッキリしていて、その中心に、何があっても受け入れる百合江がいるので、物語に入りやすい。
    悪人が悪人らしく描かれている様子とか。

    個人的には、百合江の母ハギの後半がとても胸を締め付けられる感覚になった。
    読んでいると、昭和の時代が、自分が生まれていない、覚えているはずもない昭和の風景がなぜか懐かしく浮かんでくる。

    話のテーマでもある「テネシーワルツ」そしてザ・ピーナッツの「情熱の花」を聴きながら読むとより一層情景が増しそうです。

  • こんなに古い昔のことだったろうか。。。
    確かに平成も23年ともなれば、「昭和」は昔のことには違いない。メールや携帯電話などの機器の発達以前は、もう現代と言うには色褪せて見えるほど遠い昔なのかもしれない。
    なんだかとても古くさい。

    でも、親子関係や貧困や、地方の閉鎖的な環境から出て行こうとする気持ちなども、平成23年の今から振り返ってみた時、そんなに昔のことになっているのだろうか?今はもうないものなのだろうか?
    なんだか、とても遠い別世界の話のように感じる。

    最初のほうは、「嫌われ松子の一生」を思い出されるような展開で、ジェットコースターノベルでいくのかな、と思ったけれど(そして事実一気読みさせられることになったけれど)、それだけではなかったようだ。

    姉妹関係が3組と、従姉妹という擬姉妹が1組、かつ母娘が3組、かつ異母姉妹、異父姉妹…と複雑な家族関係で、関係を把握し続けるのがしんどかった。何度も立ち止まり、ええっと彼女と彼女の関係は…と、思い出し確認しないとならなかった。
    多重構造による効果を狙ったのだろうけれど、もう少し整理して絞ってもよかったような気もする。名前がまた輪をかけて覚えづらく難儀した。
    時系列も、複雑にしている一因ではあり、こうする必要があったのかな?と疑問。
    また小夜子の妊娠という設定もあまり生かされておらず、不要だったのでは?と思う。

    舞台のシーン、歌のシーンはエキサイティングで、筆も活き活き滑るように書いていたのではないかと感じた。”けれん”がよく出ていると思う。

    しかし登場人物に作家としての心情を語らせるのは、あまり必要性を感じなかった。むしろ興ざめる。
    少々の不合理と(最後に現れるあの人は、なぜ居場所を知っていたの?)、少々の文章上のひっかかり(これはひらかないで漢字のままでいいのでは?)。

    まあ確かに力強く、後味は決してわるいものではないけれど、演歌的な感じが残る。
    いずれにせよ、”女の人生”の1パターンでしかなく、これだけじゃないよと言いたい。
    普遍性までは掘り下がってはいない、と思います。

  • 北海道に生まれた女の壮絶な一生の物語。

    タイトル、装丁からは想像出来ないストーリーでした。
    素晴らしかった。

    百合江という女性の生き方は、自分には到底まねのできないもの。
    その強さはどこから来るものなのか。
    愛の溢れる人だからこそなのではと思います。

    百合江から受け継がれた血は、理恵の中にもしっかり宿り、きっと彼女のフィルターを通して、この物語が完成されるのだと思います。

    現代の部分が、理恵ではなく、血のつながりがない小夜子の目線で書かれていることに、今更ながらやるなと思わされました。

    ラストシーンには暖かな涙を流しました。

    私にとっては、最近読んだ中では一番の作品です。

  •  親子3代に亘る、ねじれにねじれた人間関係のドラマです。親子や夫婦の関係がもうどうにもならないほど破綻してしまっていて、最初のうちは読んでいて嫌になります。ところが杉山百合江の人生を軸に物語は次第にスピード感を増し、波瀾万丈の展開となって目が離せなくなっていきます。

     人は人生において、自分自身を苦しめたり身近な人たちを傷つけたりするような選択を時として繰り返してしまうようです。人の行いは理屈ではなくどうにも抑えようのない感情によって左右されるのですから。そうした選択の結果は、周りからはどうしようもない不幸のようにも見えるかもしれません。しかし、結果がどうであれ自分の気持ちに正直になって自ら選んだ人生が、振り返れば幸せな人生だったということになるのかもしれません。あるいは、そのようにしか人は生きられないのかな……

     はっきりいえば好きになれる種類の小説ではありませんが、人間の業(ごう)ということについて強く考えさせられたのでレヴューさせて頂きました。

     百合江の晩年に初めて気持ちを明らかにする高樹老人の姿、そして明かされる綾子の消息は、この物語の中で数少ない「救い」でした。

     あと、百合江の最期の病室に現れる人は、この人じゃあないもう一人の方にして欲しかったなあ……

  • 二人の姉妹の人生を通して、姉妹の切っても切れない絆と主人公百合江の過酷な人生で失われた
    愛と再生の物語。

  • 百合江と里実の壮絶な人生に驚いた。
    死ぬ前になると許しを得たくなるというのはなんか理解出来るかも。
    宗ちゃんが会いに来たことが嬉しかった。

  • 2016.4.3
    優しくて強い主人公の女性が、あるがままを受け入れて生きていく物語
    側で付かず離れず支えていく男性
    ここで、この男性になだれ込むのではなく、あえて一人で生きていくことを選択する。潔い
    !現代にこんな女性はいるのでしょうか?
    近寄り難いかもしれないけど

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馬鹿にしたければ笑えばいい。あたしは、とっても「しあわせ」だった。風呂は週に一度だけ。電気も、ない。酒に溺れる父の暴力による支配。北海道、極貧の、愛のない家。昭和26年。百合江は、奉公先から逃げ出して旅の一座に飛び込む。「歌」が自分の人生を変えてくれると信じて。それが儚い夢であることを知りながら-。他人の価値観では決して計れない、ひとりの女の「幸福な生」。「愛」に裏切られ続けた百合江を支えたものは、何だったのか?今年の小説界、最高の収穫。書き下ろし長編。

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