ランドラッシュ―激化する世界農地争奪戦

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  • 新潮社 (2010年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103280712

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ランドラッシュ―激化する世界農地争奪戦の感想・レビュー・書評

  • 日本の食料自給率が低い事に感心を持つ方必読。
    海外における農地確保による食料危機への対策は是なのか。考えられる一冊。

  • ○この本を一言で表すと?
     各国の農地争奪戦と取り残された日本について書かれた本


    ○この本を読んで考えたこと。
    ・各国の取り組みとともに、海外でがんばろうとする木村愼一氏の努力が何度も取り上げられていました。日本人でこれだけ農業に情熱を持って海外での生産に取り組めるというのはすごい人物だと思いました。

    ・肥沃な黒土を持つウクライナへの各国の進出状況が取り上げられていました。欧米を中心に既に20ヶ国ほどが進出しているそうです。ウクライナはソ連時代終了後の私有化で混乱し、自国では農業の立て直しができず、農場が捨て置かれていたそうです。インドから千人移住計画が進められたり、カダフィ時代のリビアが投資を進めたりという進捗もあったようです。日本の木村愼一氏もウクライナで大豆を生産して日本に輸出しようと考えていたようです。(第1章 ウクライナ、争奪される肥沃な土地)

    ・日本の食料確保のために、日本で外務省官僚が主導で商社を集めて「海外農業投資促進会議」を開催するものの反応が悪く、外務省と農水省が2トップで立ち上げた「食糧戦略本部」も動かず頓挫してしまったそうです。木村愼一氏主導で進めていたウクライナでの大豆生産も現地人が刈り取りで注意したことを守らずに頓挫してしまったそうです。(ウクライナでは大豆は飼料扱い、日本で納豆等の食料として使うと伝えていたが土を巻き込んで刈り入れたため使えず。)(第2章 食料輸入大国、日本の蹉跌)

    ・ロシアの中で開発されていない極東地区で、ニュージーランド人が農地を買収し、それを日本の商社に買収しようと商談が進んでいたところ、韓国の現代重工業がさらっていったそうです。地域的に高麗人が住んでいる地域で韓国と親和性があるのだとか。韓国は自国では農業で失敗しているので進出せざるを得ない状況で、国家戦略として実施しているそうです。(第3章 国家ぐるみでランドラッシュに突き進む韓国)

    ・アフリカでは在住の民族の法的な権利が曖昧で、政府と外国企業の契約で土地の買収が決定し、追い出されるケースが多発しているそうです。元々住んでいた民族は追い出され、追い出した企業に薄給でこき使われているそうです。この本ではエチオピアとタンザニア(2050年には日本の人口を越える国)の事例が紹介されていました。(第4章 狙われるアフリカ)

    ・国際機関は概ねアメリカの出先機関になっていますが、世界銀行で「開発のための農業に関する知識・科学・技術についての国際的検証(IAASTD)」というプロジェクトチームが「岐路に立つ農業」という先進国の偏った農業貿易政策を指摘するレポートが提出され、アメリカ・カナダ・オーストラリアという穀物メジャーを利用して世界中に輸出している国だけが否認するという事件があったそうです。(第5章 ランドラッシュの深層に横たわる「病巣」)

    ・木村愼一氏が再起して今度はウクライナでコメを作り、日本食文化を現地で広める土台にするという計画を立てて出発するシーンで締められていました。(エピローグ)

  • Amazonの商品説明の意味が分からない。NHKで放映したのが2011年、新しい情報を追記した本書の出版日が2010年?

  • グローバル化の中で地域の幸福を得るためにはどうすべきか考えさせられる。今のグローバル化は必ずしも、地域のくらしを尊重していないのではないか。

  • USや穀物メジャーの作った仕組みが歪んできているということ? それにしても韓国とわが日本のスピード感の違いがこんなにあるとは

  • ・中国・韓国と日本の、勢い・危機感の差に愕然
    ・他国の土地・作物を搾取する、ということをモラルが低いと捉えるのか、ビジネス・国家戦略と捉えるべきなのか悩む
    ・熱いハートとスキルを持つ官僚の方。見習いたい。
    ・そういえば社会の授業でウクライナは土地が肥沃、と習ったなー。もう忘れてたわ。

  • 農地争奪戦-ランドラッシュ。

    農地を獲得する側と提供する側。
    それは経済格差を孕んだ力関係をも明確に浮かび上がらせる。
    食糧危機を経験した先進諸国が食糧確保のため、途上国の土地を買上げるor借上げる、その構図が「新植民地主義」との批判をも生む。

    先進国側から投資を呼び込むための新たな「資源」として農地を差し出す途上国側、国をあげて法整備を行い、それはしばしば弱者の生存さえも脅かす。

    狙われる土地としては東欧、ロシア、アフリカなど。「広大な」土地を一度に獲得でき、現地人の農業形態が「肥沃な」土壌を現代に至るまで残してきた、この2点が外国企業としてはおいしい。

    現地に利益を還元する仕組みを確立しない限り(利益追求型のクソ資本主義の奴隷である企業が取り仕切る限り)ランドラッシュは否定的なニュアンスでもって語られる以外にない。しかしこれもある一部の人たちの間での話であり、私達、消費者は商社が買上げた穀物の値段のウラにランドラッシュという問題があることなんて気付きもせず、その上下する値段にばかり気を取られ一喜一憂するのである。
    そうやって構造的な暴力の中に投げ入れられている私たちには何ができるのだろうか。

    穀物メジャーあたりについても調べなければ。

  • 食糧危機と金融危機に端を発する、
    グローバルな農地収奪合戦。
    それを「ランド・ラッシュ」(農地の)と呼ぶ。

    なぜそれが拡大しているか、
    実態はどうなのか。
    現地へのルポを軸に生々しく描く。

    ウクライナで大豆栽培に挑む日本農家、木村愼一と
    外務省職員、井上隼一の姿も象徴的に描かれる。

    ランド・ラッシュの背景には、
    農作物の不足というよりは、
    「行き所を求めるマネー」のほうが本質的なことと
    して横たわっていると感じる。

    農作物にも相場があり、乱高下が見込まれれば当然、
    投機的マネーが流れてくる。
    そして、農作物を作り出すための土地そのものも、
    マネー・ゲームの材料となる
    (これが本書で学んだ一番大きなことかもしれない)。

    穀物で利益を上げたい者、それは純粋に生産者や流通者たち
    だけではない。
    最もグローバルな市場経済のファクターとして、そこに
    群がるものは世界にたくさんいる。

    そして、安全保障的な捉え方をされる産品であることが、
    さらに問題を複雑化させている。

    マネー・ゲームはやめなさい、などと叫んでも無駄である。
    市場経済とは、それを認めているのだから。

    生産者に最大限に利益と安心をもたらす方法はないのだろうか?
    ひとつの私の考えは「市場に乗せない」ことである。
    プレミアム価値をつけ、あるいは消費者などチェーンの川下の
    プレイヤーたちと直接取引をすることによって、
    グローバルなマネーゲームの影響をなるべく避ける。

    上場会社を非上場にするのに似ているかもしれない。

    日本の農家、農地はランド・ラッシュとどうかかわるだろうか。
    もっともっと現実を見つめて、考える必要があると思った。

  • ・ランドラッシュに狂奔する国家と企業
    ・土地への資本投下を誘致する国家
    ・土地を売却、もしくは奪われる農民
    ・食料安全保障に向けて動き出す外務省
    ・利益第一で動く商社
    ・国内農業の保護に汲々としている農水省
    ・そもそもの食料システムの変革を求めるIAASTD

     ランドラッシュ自体は悪いことではないのは確か。食糧増産は必要なことだし、資源の有効活用にもなる。雇用も生まれるし経済も活性化する。もちろんその影に土地・資源の酷使、農民からの収奪という側面があるのも分かる。だからそれに対するルールをつくろうという外務省のスタンスが一番自分の考え方には近かった。
     国連の専門家はこれに対してそもそもの問題は貧困と不平等にあると言う。大規模生産者に小規模生産者が駆逐され、輸入依存となり穀物価格に翻弄されるようになってしまうと。対等な貿易関係を作ることが大切と。
     この本では2つの意見が対立軸として描写されるけど、両方推し進めればいいんじゃないのと私は考える。貧しくて資本のない土地に金のある企業が国際ルールを守った上で進出する。先進国は関税・農業への過剰保護を取りやめて途上国の農産物と対等な土俵で勝負する。こーするのが全体最適じゃねぇかなぁ。先進国だって消費者の利益>生産者の不利益になるはず。国の政策としてはやりづらいのはわかるが。

  • インドは現時点では食糧をほぼ自給している。インドはこれから、水が問題になる。
    中国のアフリカ進出。アフリカはランドラッシュの最前線。
    進出側は相手国のために生産しているわけではない。
    ランドラッシュの標的となったスーダンやカンボジアはいずれも飢餓に苦しむ国である。お構いなしに外国勢が食料を確保しようとする。
    日本と韓国は穀物自給率において似たもの同志。いずれも約8割を輸入に頼っている。

  • テーマとしては非常に面白い本。
    今後の人口増加を見越して世界各地で繰り広げられる農地獲得競争、についてまとめた番組の書き下ろし本。
    本では、欧州企業によるウクライナ農地(肥沃な土地が広がっているらしい)の確保や、韓国企業によるロシア農地の確保、などを取材しながらこういった動きが生み出す矛盾について疑問を投げかけています。
    ここでいう矛盾とは、
    ・農地を提供する側の国(あるいは地方)の多くは貧しいのに、先進国が獲得した農作物は先進国向けに輸出される(そういう契約になっている)
    ・結果として、農地を提供する側は食い扶持を多くはないお金との引き換えに失うにも関わらず、自分たちは食べ物を輸入に頼らざるを得ない
    というもの。
    この本の残念なところは、個々の取材内容は興味深いものの、その内容をまとめて解決策なりを提示する、というプロセスが抜けているところです。

  • 読みやすい NHKスペシャルが元なので、全体像を体系的に理解することはこれ一冊では難しいが、この分野についての興味を大いに持たせてくれる

  • ランドラッシュ=世界農地争奪戦。食糧危機を危惧した国や企業が、途上国に進出し、土地を買収して、単一的な農作物の栽培をおこなっている。それは自国への供給という観点や、それ以上に、「儲かる」ビジネスとみなされている。そして何より、現地の人々の労働力であったり、権利などが搾取されているという現状も見逃せない。
    問題提起という面では、「ランドラッシュ」はさまざまな問題に関連していて、とても興味深い内容になっているが、「海外に追い付け追い越せ!」というメッセージ性が強いように感じました。

  • 激化する世界各国の農地争奪戦のレポート。
    昨年、NHKで放映された同名の番組制作の裏側をレポートしている。農地を奪われる側の国は、東欧ウクライナ、極東ロシア、アフリカで、奪う側としては北欧、韓国、中国、インドが取り上げられている。
    将来的に人口の増加による食料不足を見越して、中国・インドは食料確保のための農地囲い込みを目論んでいる。いずれも好調な経済を背景に、貧しいアフリカ各国にインフラと資本提供を申し出て、その見返りとして農地確保に励む。政府間レベルでは双方にメリットがある契約だが、現場の農民にとっては農地の収奪は死活問題である。しかし、そういう事情は無視される事が多く、当事者同士では軋轢となって問題となりつつある。
    超大国のこの2カ国とは違って、韓国の場合は自国の農業壊滅によるアウトソーシングが目的のようである。極東の農地は日本、中国などもアプローチする地域だが、韓国企業は政府の力も借りて、即断即決で農地確保に走っている。マダカスカルで国土の農地の半分を無償で獲得した時は、世界からの非難を浴びた。
    そういう状況の中、日本も将来的な食糧不足は韓国同様に問題となりうるが、日本政府は海外での農地獲得よりも自国内の農業保護を優先する政策をとっており、遅々として対策は進まない。商社は農地で作物を育てることには興味が無く、製品としての食料取引までしか考えていない。そんな中、青森の大規模農家がウクライナでの農業育成支援を続ける様子を追いかけている。彼のアプローチが今後の日本の農業に役立つ時期が来るかもしれないと結んでいる。
    食料の確保は切実な問題ですが、大都市の消費者はお金を出せば手に入るものと思っているようです。
    しかし、将来はお金がいくらあっても食料が手に入らない時代が来るかもしれない。備えは政府や企業に任せるのではなく、個人レベルでやるしかなさそうな気がする。

  • 食糧危機の懸念から、先進国を中心に途上国の農地を買い上げ囲い込む、いわゆる「ランドラッシュ」が進んでいる。本書は、なぜランドラッシュが起きるか、ランドラッシュが引き起こす諸問題(環境・人権問題)を取材し、現在の食料システムの問題点や、日本が果たすべき役割に言及している。

    二束三文で途上国の土地を巻き上げ現地の農民をこき使うランドラッシュは本書で述べているように「新植民地主義」と呼ばれても仕方ないと思う。韓国の大宇ロジスティクスの土地囲い込みが引き金となり、マダガスカルでクーデターが起きた事件を大きく取り上げていた点は評価できる。当時、日経新聞ですら小さくしか扱っていなかった事件だから。


    この本を読めば、食料問題や南北問題について考える契機になると思う。

  • これ1冊で全体を把握するのは難しいが、事例が多くあげられているので読みやすく、「ランドラッシュ」を知るのに良い1冊だと思う。

  • 木村慎一。61歳。青森県つがる市の農民である。
    パリの農機具展示会を見てウクライナにまわり、その土地の豊かさに心を奪われた。殆ど耕されずに放置されていた。あのドンコサックの大地である。
    2007年、彼は農地を借りて大豆の生産を始めた。日本の大豆は全部俺が作ると夢を見た。
    1000ヘクタールの土地の話があった。1億円必要であった。大手商社などに相談したが結論が出ず、話は流れた。
    2008年、2009年と世界的に物凄いランドラッシュが始まった。

    2010年、1800ヘクタールの田んぼの話が来た。5億円必要である。これにも日本の国は結論を出せない。
    彼はここで作る米を日本に送ろうと思うことをやめた。ヨーロッパ各地に売るつもりである。日本人の作る良質な米は必ず売れる。多くの日本人農民をウクライナに呼びたいと思う。

    ~~~~~~~~~~

    取り上げられたエピソードの1つである。

    TPP反対は攘夷派であるな。水戸天狗党であるな。
    経団連に井伊直助は居ないのか。

     

  • 今のグローバル化する農業、農地争奪に関して具体的に詳しく書かれている本。

    米国が税を投入して支援費としている途上国に対する食料支援のような費用は、実は自国余剰生産物のはけ口として利用されている。

    途上国の安い農地や人件費で生産された生産物は、その国で消費されることなく、海外へ輸出される。

    なので、途上国は貧しいままである。

    生産方法や生産物から新しい大量生産方法、農法を導入して途上国の今までのやり方をつぶす。輸入体質にすることで米国生産品を輸出できる。農薬生産会社も農家も儲かる。

    これからの食料事情に関して非常に重要な問題である。

    食料支援費→国内余剰分調整費
    途上国生産物→国外へ輸出

    下記となるような必要があるのか?
    食表支援費→企業へ
    途上国生産物→自国での十分な消費分を提供

  • 一行のツボ:「それは、異様な光景だった」

  • @hideoharada氏のtweetで見かけて読む。番組は見てないのだが。なんだか大きな流れの中で個人が働き蟻のように見えてしまった。。。自分には何が出来るんだろう。。

  • メードインジャパニーズ という不思議な言葉がこの本のキーワードです。平成開国だと管首相が宣言した事で、少しは期待が出来るのでしょうか。日本がその門戸を閉ざしている限り、日本の資本家は海外での農産物生産事業には腰が引けるのでしょうね。そうこう言っているうちに、日本人が食べる食料が手に入らなくなってしまう。日本人が食べる食料を国外で日本人が生産する。メードインジャパニーズです。私も出来れば出資したいと思いましたが、5億円ときくと。サッカーくじが当たらないかなぁ。

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ランドラッシュ―激化する世界農地争奪戦の作品紹介

ウクライナでは欧州・中東諸国、インドが農地争奪戦を展開。極東ロシアでは韓国が国ぐるみで巨大農場を建設。アフリカでは中国が密かに農地を囲い込む。将来の食料不足に備え農地を獲得すべく各国が入り乱れて「ランドラッシュ」を繰り広げる中で、日本はこの現実にどう向かい合おうとしているのか-。「食料問題」という観点から人類の未来を検証する。

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