ツナグ

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著者 : 辻村深月
  • 新潮社 (2010年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103283218

ツナグの感想・レビュー・書評

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  • 私なら、誰に会わせてと依頼するだろう?と思いながら読み始めたのだけれど
    この世を去った後に、もし会いたいとお呼びがかかったら
    呼んでくれた誰かの心の重荷を少しでも軽くして
    やわらかい気持ちでそれからの日々を過ごせるような言葉をかけてあげられる
    そんな存在でありたい、と思いながら頁を閉じた。

    生きて残された人と死者との、ただ一度の再会の仲立ちをする使者(ツナグ)。
    「死者」と読みが同じ「使者」をツナグと読ませるところが、辻村さんらしい。

    お試し期間の初仕事では、祖母特製のノートを棒読みするかのような
    ぎこちなさと戸惑いを見せ、心情的には完全に生者寄りだった歩美が
    経験を積むにつれ、生者と死者両方の気持ちに寄り添って
    「ツナグ」らしく、生と死のあわいから人の世を静かに見つめ始めるのが、とてもいい。

    映画ではカットされた『アイドルの心得』の、過呼吸で苦しむ見ず知らずの酔っ払いを
    荷物を放り出して躊躇なく助けたことなど、当たり前のこととしてすっぱり忘れる一方で
    気に掛かるファンレターの内容はしっかり覚えていて、一ファンのために
    たった一度の「ツナグ」の機会を使ってしまう水城サヲリに惚れ惚れし

    演劇部の主役を巡っての諍いで、親友の心に芽生えた嫉妬と出来心は許せても
    自分の言葉を騙って、好きだった少年と会話することは許せないという
    思春期の少女独特の論理と復讐を冷え冷えと描く筆づかいに戦慄し

    死者が抱えた物語は、生きて残された者のためであって欲しいと
    息子夫婦の死への後悔に震える祖母を、信頼に満ちた言葉で温める歩美に安堵して

    この世に残る、かつて「私だった」欠片や記憶が
    少しでもやさしく温かいものになるよう生きなくては、と思う1冊だった。

  • 一生で一人だけ、それもたったの一度、
    満月の夜の数時間、亡くなってしまった人に会える。
    その橋渡しをしてくれる使者(ツナグ)。

    選ぶ権利が死者側にもあるとはいえ、
    それは生きている者のエゴでしかないのでは…。
    対面できたことで救われる者、そうでない者もいる…。
    そう悩みながら”ツナグ”を引き継ぐ覚悟をする歩美が愛おしい。
    そして最後に明かされる、両親の死の真実と歩美の選択も。

    「俺、いつか会うんだったら、ばあちゃんがいいよ。」
    そう言う歩美に、照れてそっけない返事をするおばあちゃん。
    二人の会話のひとつひとつがすごく良かった。

    ツナグを探す気持ちは、恋しさというより後悔の方が強いのかもしれない。
    老いるまで探さないですむ人生、それはきっと幸運なことなんですよね…。

    この本を読んだ方、みなさんそうだと思うんですが、
    自分だったら…と真剣に考えてしまいました。

    会いたい”命”を、ひとつだけなんて難しい。
    再び別れるのもつらいから、たぶん頼むことはできないと思う…。

    でも、もしも、もしもって、つい思いめぐらしてしまうんですよね。
    聞いてみたかったことや、謝りたいこと、言えなかった言葉…。

    もともとゆるい涙腺が、
    またしばらく開きっぱなしになりそうです。

    そういえば、歩美の遠足の卵焼きおにぎり、
    『図書室で暮らしたい』に書かれていた、辻村さんの思い出の味でしたね。
    今度作ってみたいな。

  •  生きているうちに、一人だけ死者と会うことができる、その窓口「使者(ツナグ)」。
     生きているものは、使者を介して、たった一人、たった一晩、会いたい死者に会うことができる。憧れていたアイドルに、母親に、親友に、婚約者に、生者は会いたいと願う。

     会いたいと願う人がいて、会うことが実現する。そこにドラマが生まれるのは、いわば当たり前。この作品のすごいところは、「使者(ツナグ)」自身にも焦点を当てたところだと思う。死者とつながれる人なんて、この世の人じゃないんだろうと思っていたら、使者である彼は、普通の男子校生徒。
     生者が死者を呼び出すなんて、傲慢なことではないのかと考えあぐねる歩美くん。ただ、憧れのアイドル、サヲリに会った後の平瀬愛美が、まるでサヲリのように生き生きとしているのを見た彼は、自分の考えを改める。

     「死者を、自分の生に活かす。その生者のわがままは、肯定されてしかるべき感情だ」、と。

     死んだ人の時間はそこで止まってしまう。けれど、生者である私たちの時間は流れ続ける。私たちは、傲慢に、図太く、生きていくしかない。

     そして、私は死んだ後、誰かに呼ばれるような、そんな生き方ができているのかな。

  • 使者と書いて「ツナグ」と読む。
    いちどだけ、死者を呼び出して会うことを叶えてくれる。
    この世のものにとっても、あの世のものにとっても、その機会は一度きり。
    会いたい人を自分で決められるのはこの世のものだけ。

    会いたい人も会いたい理由も目的も人それぞれ。
    アイドル、母親、親友、婚約者…
    当然ながら、感動の再会だけにはならない。
    後悔や未練がすべてなくなるものでもない。
    ある意味ではとても残酷なことなのかもしれない。
    でも会うべき人たちはちゃんと「ツナグ」のもとへ辿りつく。

    そして「ツナグ」という仕事と、その後継者に選ばれた歩美の心得。
    特別じゃない普通の男の子が、戸惑いながらも大切な人たちの死や遺されたもののエゴに直接触れることで、自分の迷いに気づき流れを止めない日常を生きていく。

    映画は見ていないけど、「ツナグ」は松坂桃李くんだったなー。
    ダッフルコート似合いそうだし。
    映画も見てみたくなりました。いや、むしろ見ないほうがいいのかな。


    実は、ブクログにレビューを書き始めたのが、昨年の11月1日でした。
    はじめは書きたい本だけでも忘備録代わりのメモ程度にというものでしたが、結構楽しく続けられました。
    ちょうど丸一年になる日に読み終えた本が「ツナグ」。
    記念すべき初レビューの本が同じ辻村深月の「ふちなしのかがみ」でした。
    わお、なんかキレイにまとまった偶然に運命感じるなぁ。
    これからも続けていけるといいな。

  • 映画になって話題になっていたことも知っていたけど
    読んでみて、想像していた以上によかった。

    最初からぐっと引き込まれた。
    寝る前に1つずつ読んでいったので
    泣きながら寝ていった。
    「長男の心得」では、思いっきり泣いた。
    こんな人、絶対いる。
    実際に、見てきたんじゃないかと思うぐらいリアルだった。
    「親友の心得」は、最後を何度も読み返してうなされそうになった。

    そして、「使者の心得」で余計に深みが増した。
    前の4つの話の側面が見えることで、
    死者からの気持もわかってきた。

    辻村さん、やっぱり好きだ。

  • ”使者”で”ツナグ”。生きている人と死んだ人を会わせる人。
    どう”使者”になったのか、
    生きているどういう人がどんな死者に会いたいと思い、
    会ってどんな時間を過ごすのか。
    すべてにおいてすばらしかった。

  • 「ツナグ」に依頼すると、一生に一度だけ死者に会うことができる。
    会いたい人に会えたからといって 必ずしも癒されたり、救われたりするわけでもない。会うことによって後悔が残るだけのこともある。

    癒されたりするとよかったな~と単純に思えるけど、後悔が残るのは切ないし、怖いな・・とも思う。

    5つのお話からなっているけど どれもが最後に繋がっていて 辻村作品!!と思わせてくれる。

    私だったら誰に会いたいだろう・・会いたい人は何人かいて選べないな・・
    また私が死んだとき 会いたいって思ってくれる人がいたらいいな~

  • 死んだ人間に一度だけ会える、死者と生者を繫ぐ使者(ツナグ)の話。連作短編になっています。

    実際にはありえない設定なんだけど、それぞれにきちんと人間ドラマがあって、さすがだな〜と思わせてくれました。わたし、完全に辻村深月信者になってるかも…(笑)

    死んだ人間に会いたい、会って聞きたい事が沢山ある。思い残すのは死んだ人間だけじゃない、残された人間の方がその呪縛に囚われてしまう。
    特に自分に近い近親者ならなおさら、後悔や疑問を持たないなんて人はほぼいないでしょうから。

    死者に会う事で前向きに気持ちを切り替えられる人もいれば、逆に重い十字架を背負ってしまう、
    単なるファンタジーで終わらないところが良かったです。

    なんと、『ツナグ2』が今連載中との事。楽しみですね。映画も観なければ!

  • 読み始めはそんなでもなかったが、
    読み進むほどに、深く感じられた。
    視点が依頼者側、亡くなった人、使者といろいろあって、
    グッと深くなっていると思う。

    もしも本当にこんなことができるなら、
    私は誰に会いたいかな・・・会う決断はできるかな。

  • 生者と死者を会わせることができる存在、ツナグ。そのシステムにはいくつかルールがある。

    ①依頼人が死者に会えるのは一生に一回だけ。
    ②死者も生者に会えるのは一回だけ。ただし、死者のほうからオファーすることはできない。
    ③会えるのは月の出る夜、夜明けまでの限られた時間まで。

    読んでいてとても魅力的なシステムだなあと思った。もし、現実にツナグのような案内人がいたら、僕は依頼するだろうか。でも、一人に一回しか会えないなら、ちょっと選べないな。会いたい人がたくさんいすぎるから。後悔のないように生きよう――。読み終わって一番最初に思った。普段変わらずあなたの傍にいる家族、友人、恋人...いつ離れ離れになるかわかりません。言いたいこと言っていますか。両親とはもう何年も会ってないなあ、なんてことになってませんか。当たり前が当たり前でなくなるその前に、当たり前のことに日々感謝しながら生きなければと思います。映画化も決定しているので、映画を観る前にぜひご一読を。

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ツナグの作品紹介

突然死したアイドルに。癌で逝った母に。喧嘩したまま亡くなった親友に。失踪した婚約者に。死者との再会を望むなんて、生者の傲慢かもしれない。間違いかもしれない。でも-喪ったものを取り戻し、生きるために会いにいく。-4つの再会が繋いだ、ある真実。新たな一歩を踏み出す連作長編小説。

ツナグのKindle版

ツナグの文庫

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