盲目的な恋と友情

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著者 : 辻村深月
  • 新潮社 (2014年5月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103283225

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盲目的な恋と友情の感想・レビュー・書評

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  • 辻村氏の作品に登場する「ダメ彼氏」は、ほんと病的なまでにダメ人間ばかり。こーいう弱い人っているよねー、と客観的に読んでいられるが、
    留利絵のような他者に依存する女性の描写は、自分の中にもその狂気の一片が潜んでいるような気がして、他人事には感じられず読んでいて怖かった。
    「恋」より「友情」の方が怖い。
    2017/04

  • ヒグチユウコさんの装画がとにかく可愛くて装丁買い。初めて読む辻村深月がこれなのはあまり正しくない気はするけどまあいいや。中身は恋パートと友情パートで語り手がチェンジする二部構成になっていて、どちらもタイトル通り「盲目的」。

    大学のオーケストラに所属する蘭花が、イケメン指揮者の茂実星近という男と恋に落ちるも、実はこいつがとんだダメンズでさんざんな目に合わされ、しかしうまいこと死んでくれたおかげで別の人と結婚するまでが蘭花視点の「恋」。「友情」のほうでは、蘭花と同じ第一バイオリンの友人・留利絵視点で、基本的には同じストーリーが繰り返されるのだけれど、茂実の死の真相がこちらで明かされるサスペンス仕立て。

    蘭花は大変な美人なのだけれど、本人はその点に自覚が薄いのか無頓着なのか「恋」ではあまりその点について語られていない。ただただ、うっかりダメンズに引っかかってしまった大学生の女の子の、それでもそのダメ男を諦めきれないダメな恋愛のお話でしかない。

    怖いのは、圧倒的に留利絵の「友情」のほう。容姿に劣等感を持ち、美しい姉と比べられ、しかしその姉が美貌ゆえにある不幸を引き当ててしまうことすら内心羨んでしまうほど劣等感が複雑骨折した留利絵のキャラは大変つらい。恋愛ではなく友情に依存してゆく彼女の心理をこれでもかというエピソードの積み重ねで描写されていて、嫌なんだけど上手いんだなあこれが。

    そこそこ可愛くて軽くて合コンばかりしていて最終的にかなり良い男をゲットする美波というもう一人の蘭花の「親友」がいるのだけれど、彼女のキャラ設定も配置も絶妙。留利絵は美波をライバル視し大変憎悪するけれど、本当に友人にすべきは美波のように偏見もなくバランス感覚の良い子のほうだろう。留利絵は悪意にしか受け止めないけれど、読者には美波が留利絵を思いやる行動をとっていることが伝わるし、花火のとこで出てきた男の子も、留利絵はバカにされた、と被害妄想に陥ったようだけど、もしかしてあの男子は留利絵に好意を抱いているから照れ隠しでとった行動だったのでは?と私は思ったので、つまり結局、留利絵自身の被害妄想体質が、いつまでも彼女を劣等感から抜け出せない元凶だろう。自分を変えるという発想が彼女にはない。

    そして友情の名のもとに留利絵は蘭花に依存したわけだけれど、留利絵がいなくても、茂実というクズ男に恋した時点で蘭花の結末は同じだっただろうし、「感謝」という「見返り」を求めた時点で留利絵の蘭花に対する友情も底が見えていた。読後の後味は大変悪いのだけど、エピソードの構成やキャラ配置が絶妙で非常に巧いので感心してしまい、それほど不快と思わなかったのは救い。

  • *これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編*
    こ、怖いーーー!!その一言に尽きます!「恋」と「友情」の二部仕立てで、微妙な女心、独占欲、嫉妬、盲目的な愛の軌跡、などがじわじわと襲ってきます。二部の途中までは、さすが表現力が巧みだなあと思いつつも、まあよくある展開だなとのんびり読み進めていましたが、ラスト30ページからは鳥肌を立てながら一気に読破、で冒頭の感想であります。救いようのない、後味の最高に悪い作品ですが、同時に、蜘蛛の糸のごとく絡み合う女性特有の愛憎を見事に表現し切った作品でもあるかと。特に、留利絵と美波の関係性の描写が秀逸。表紙と題名も絶妙。レビューが低いのは、共感できる登場人物が少ないせいかな?

  •  タイトルにあるが如し。2人の女性を通して描いた恋情と友情。「盲目的な」とあるように、両者をそれぞれ極限的なかたちで描いている。
     大学生のオケを舞台にしているところも、どろどろとした世界に拍車をかけている。少なくとも小説の中では、演奏楽器によってどのパートはどのパートを口説いてよい、等といった恋愛ヒエラルキーが度々描かれているからだ。
     レビューでは、人物に共感できないということで低評価も受けている本作品。とりわけ、男には共感も何もないと思う。男が人間関係の中で気づいていても見て見ないふりをするような関係性・心情を、女性たちを通してこれでもかというくらいに描いている作品だからだ。が、わたしは読み手が「共感」できる楽しみというよりも、読み手が「心にずんとくる」作品こそいい本だと思っている。本作は良くも悪くも"そういう作品"だと思う。
     救いもなにもないようなかたちで結末まで読み終えた時、恋と友情というそれぞれ剥き出しの「情」に圧迫され、そうしてなぜ本タイトルに「愛」の文字が含まれなかったかを実感することになる。

  • まさにタイトルの通りなお話。
    美しかろうと、醜かろうと女は女。
    で、女の敵は女。
    男は馬鹿すぎ。
    登場人物皆自分の事しか考えていなくて、それが原因だろうなと思う。

  • 恋と友情の二部構成。
    そこまで恋に溺れる状況は若いとはいえ、ちょっと引いた。
    しかし後半の友情の物語で、前半の恋の話は伏線だったのだと知る。
    女性の心理を描くうまさに☆☆☆☆

  • こういうの、嫌いじゃ無いですよ?
    読後感は決して良く無いけれども。。。

    前半の「恋」については、久々に音読したいと思いました。
    女々しくて、女子校っぽいどろどろしたところ。(実際の女子校はもっとサバサバしてますが)

    結論が見えてても最後の数ページはゾクゾクする。

  • う~~~ん、なんと表現して良いのか…
    不思議な世界に引き込まれて一気読みしたが…
    茂美との恋に盲目的になってしまった蘭花。
    蘭花への執着を盲目的な友情と思い込む留利絵。
    盲目的になっている自分に溺れ、正しい判断ができなくなる二人。
    ちょっと恐ろしい。

  • 女の美醜は女が決める。まさにそういう話だと読み終えて納得。蘭花の物語に過去の若かりし自分を投影して痛いほど共感するも、留利絵視点からの物語は蘭花がおざなりにしていた側面を深くえぐり出していて、そこに顔を出す美波という女の存在が鍵となる。美波のような、いわゆる一般的な、高尚な世界とは縁のなさそうな女を蔑み嫌う留利絵の感情もよくわかる一方で、美波のように恋愛話に花を咲かせる部分も自分の中にはある。その葛藤に無意識に目をそむけていたが、この小説ではそれをきちんと描き出してくれていて、恋愛の価値なんてものは結局、相手との関係性ではなく女同士の嫉妬や羨望を基準として図っているのでは、という気にさせられる、特に女子の恋愛トークにおいては。それは私だけでなく他の女性の中にも共通してあり得る葛藤なのかもしれないと思いました。その上でのラストのどんでん返しに深いやり切れなさが残る。この読後感、好きです。

  • 蘭花になり得ない私にとって、留利絵は過去の私を彷彿とさせる。
    盲目的に恋愛を信奉し、友情よりも恋を優先させる人々を疎ましく思った。
    結局、私も今の彼に出会い、友情よりも恋が勝った。それは結果、愛に変わることでこの物語とは違う結末を迎えた。
    歪んだ恋も友情も、幸せには結びつかないと思った。

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