盲目的な恋と友情

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著者 : 辻村深月
  • 新潮社 (2014年5月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103283225

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盲目的な恋と友情の感想・レビュー・書評

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  • スラスラと読みやすく、ありがちな恋愛に溺れる女性の話。
    読み応えあるし面白いがこれが辻村深月である必要はあるのか?他の名のしれた恋愛作家でも誰でもいいのではないか、そんな感想がよぎった前半の「恋」。
    ところが、後半の「友情」。ここからが本領発揮だったのだと今ならわかる。
    辻村深月得意の、目には見えない環境に根ざすカースト制度によりコンプレックスを抱いた女性のドロドロとした内心を文字に書き起こし、それは読む人の心を抉るのではないだろうか。
    その女性のことを、考え過ぎだよ、と私自身一笑してしまいたくも思いつつ、流すことは出来ずどんどんその女性の目をそらしたくなるような痛い様を綴った文字を必死に追いかけていた。

    そして、最後の最後のどんでん返し。
    まさか、とまた騙されてしまった。『冷たい校舎の時は止まる』の時から辻村深月には騙されて、最後にあっと言わされている。
    そこで、本当にこの2人は救いようがないことがわかり、タイトルがいかに本編とマッチしているか腑に落ち、やられたと思う。
    『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』の読後感と似たようなタイトルと本編の一致であった。

    よくここまで書いたなぁ、と感心してしまいます。
    今作の出版社は新潮社。
    以前の作品だと『ツナグ』が新潮社では刊行されている。
    今作の読後感は前述したゼロハチ〜に似た感じ。
    文藝春秋だともっと読後感悪かった予感がするので新潮社で良かったかも。
    また辻村深月で明るいお話読みたいのでツナグ2は大歓迎です。
    それにしても、本当、久しぶりに楽しめた辻村深月でした。

  •  タイトルにあるが如し。2人の女性を通して描いた恋情と友情。「盲目的な」とあるように、両者をそれぞれ極限的なかたちで描いている。
     大学生のオケを舞台にしているところも、どろどろとした世界に拍車をかけている。少なくとも小説の中では、演奏楽器によってどのパートはどのパートを口説いてよい、等といった恋愛ヒエラルキーが度々描かれているからだ。
     レビューでは、人物に共感できないということで低評価も受けている本作品。とりわけ、男には共感も何もないと思う。男が人間関係の中で気づいていても見て見ないふりをするような関係性・心情を、女性たちを通してこれでもかというくらいに描いている作品だからだ。が、わたしは読み手が「共感」できる楽しみというよりも、読み手が「心にずんとくる」作品こそいい本だと思っている。本作は良くも悪くも"そういう作品"だと思う。
     救いもなにもないようなかたちで結末まで読み終えた時、恋と友情というそれぞれ剥き出しの「情」に圧迫され、そうしてなぜ本タイトルに「愛」の文字が含まれなかったかを実感することになる。

  • 女の美醜は女が決める。まさにそういう話だと読み終えて納得。蘭花の物語に過去の若かりし自分を投影して痛いほど共感するも、留利絵視点からの物語は蘭花がおざなりにしていた側面を深くえぐり出していて、そこに顔を出す美波という女の存在が鍵となる。美波のような、いわゆる一般的な、高尚な世界とは縁のなさそうな女を蔑み嫌う留利絵の感情もよくわかる一方で、美波のように恋愛話に花を咲かせる部分も自分の中にはある。その葛藤に無意識に目をそむけていたが、この小説ではそれをきちんと描き出してくれていて、恋愛の価値なんてものは結局、相手との関係性ではなく女同士の嫉妬や羨望を基準として図っているのでは、という気にさせられる、特に女子の恋愛トークにおいては。それは私だけでなく他の女性の中にも共通してあり得る葛藤なのかもしれないと思いました。その上でのラストのどんでん返しに深いやり切れなさが残る。この読後感、好きです。

  • 登場人物の世代とだいぶ離れているので入り込めるか心配だったが取り越し苦労でした。自己顕示、自意識、独占欲、嫉妬、コンプレックス・・「恋」にも「友情」にも共感出来る部分が多く一気に読了。

  • 前半が盲目的な恋で、後半が盲目的な友情。
    タイトルどおりのお話で、読んでみて、ゆっくり考えて、タイトルの意味を噛みしめた。
    恐ろしいけど本当にありそうな、すごい話でした。

  • まず、装丁がヒグチユウコさんで、美しく物悲しい世界観を鷲掴みにされます。
    以前何かのインタビューで、著者がズルズル引きずるタイプと答えていたのが本作品で生きているんだなぁと、勝手にほくそ笑んでました。
    今迄になかったえげつなさが、デビュー当時からは想像出来ないし、今年はデビュー10周年であと2冊出版されるので、楽しみにしている。

  • 美しく、人気者で、聡明なあの子。
    自分に無いものをたくさんもっていて、キラキラした世界に住むあの子。

    そんなあの子の1番になることで、わたしは自分の人生を豊かにできる。

    だから
    私の側から離れるなんて、そんなことさせない…

    男女の愛憎をエサにして、女友達の愛憎を描き切った傑作。

    愛と狂気は表裏一体。

  • 怖いなぁというのが第一声。恋編と友情それぞれの立場での人間模様が交錯してくるが
    るりえの卑屈さとストイックな感情に恐怖すら覚えた。
    同じフレーズが2度出てくるのも
    全然違った意味合いで響いてきて効果的。救いがないお話だったけどぞくぞくするような寒々しさも時には良い刺激なのかも。

  • 恋も友情も傍から見るとひどいことになってますが、本人達は真剣。私たちも似たようなものかもと思えてしまった。不細工な子特有のマイナス思考が痛々しくて、読んでいて辛くなりました。ラストの衝撃は、「彼女がその名を知らない鳥たち」に似てたなー。辻村さん初読ですが、他も読んでみようと思います。

  • ぞくぞくするほどに拗れた人間関係に、行く末を見届けたい一心で、一気に読み進めました。
    早く結末を追いたい、そう思ってページをめくる手が止まらなかったのは久々のことでした。
    個人的に、共感したのは「盲目的な友情」の方です。
    同性の友達に対して、この人の1番でありたいと願ったことは誰しもあるんじゃないでしょうか。
    親友という言葉によって友人関係のヒエラルキーを見せつけられるあの痛み、嫉妬、疎外感がリアルに迫ってきて、ぞっとしました。
    二転三転し、大きく動く物語に、ハラハラさせられながら、エネルギーの凝縮された濃い時間を味わえました!

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