- Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103284628
感想・レビュー・書評
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言葉選び、練られたストーリー、現実とちょっと離れる不思議な感覚があり大変面白かった。さすがの芥川賞。
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読み進めると、いつの間にか時制が変わり、どこで話が飛んだのかと少し前から読み戻してしまう。しかしその内に、いつの間にか読み戻しが少なくなってくる。相変わらず時制はふらふらと移り変わるが、時間間隔が無い状態が不思議と自然になってくるからだ。
この時間が融けるような不思議な感覚は、二人の過去の思い出し方にも合わさって関係してくると思った。永遠子は夢で過去をとりだし、貴子は記憶で過去をとりだす。これらがかわるがわる描写されることによって、葉山の別荘を舞台にした四半世紀のタイムラインが、ばらばらだが、うまくつながっている。
たぶん私たちの過ごした場所、建物の記憶も、このようなばらばらの状態で頭の中にあって、かすかにつながっているのかもしれない。本書はそれを絶妙に描写していると思った。 -
新潮にて。
文章がとても綺麗。
純文学にふさわしいのかもしれないが好みの観点から言うとあまり好きではなかった。 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/752443 -
▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/151778 -
「ーーひかりなどがのろいものにおもえる。過ぎ去った一日も百年もおなじように思えていたーー音から音へとおもいがけなくつづき、どんどん背景がおしやられてゆく。」
言葉の端々が美しく静かな流れのなかで研ぎ澄まされていた。 -
美しくも少し寂しい雰囲気のある言葉で書かれていました。25年ぶりに再開する2人。25年もあればお互い色々あるだろうなと思います。当時はわからなかったこと、確かだった記憶の相違。時間の流れがおこす不思議さを感じられました。
タイトルの「きことわ」とは、どういう意味かと思いましたが、「きこちゃん」と「とわちゃん」ということかと、読み終わってしばらくして気づきました。作品の雰囲気の割には幼いというか可愛らしいタイトルだなと思いました。 -
第144回芥川賞受賞作。
綺麗な言葉で書かれていますが、読むのに集中力を求められました。
現代語ではない言葉遣いも少なくなく、不思議な印象が残りました。
とりあえず最後まで読み終えましたが、読み手の私に雑念があると、文章が頭に入ってきません。
心を無にできるときに、もう一度読みたいと思いました。