- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103286219
感想・レビュー・書評
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幼い頃から隔離されて育つ「月童子」たちには性別がなく、18で性別を得ると「成人」したとしてこの学園を去っていく。月童子たちの憧れの対象である空と薄荷は、それぞれに恋を知り、「大人」になっていくのか……。感情がないかのようだが人形のように美しい空、ルームメイトとして空の面倒を見る薄荷は、美少年のようでその凛々しさに誰もが憧れている。
とにかく流れるイメージが・情景が綺麗で、紺野キタさんにぜひともマンガ化してほしい!前半は性別のない月童子たちがわらわらしている学園の魅力にやられたけど、後半は恋に落ちて変わっていく薄荷と、薄荷とのつながりからあるものを得た空の物語にひきこまれました。こういう雰囲気が好きな人にはおすすめです。ミステリ的にはいまいちかもしれませんが……これ日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞だし。作者は別名義で前に作品を出したことがあるそうなので、読んでみようと思います。おすすめ! -
美しさ、残酷さ、清らかさ…
一つ一つの言葉や描写が繊細に感じられて、とても好きな世界観。 -
男女の違いというものを漠然と意識し始めるのは小学生くらい?かなぁと思うけど、更に進んで、恋愛とかそういう感情が芽生えるのって、自分の場合中学生くらい?いや、本気で意識し始めたのって大学くらい?って感じ。まぁ高校は男子校でそういうのなかったからなー。薔薇族が教室に置いてあったりしたけど。でもそういう意味では男女の違いが明確になるのは、15とか18くらいなのかも、なんて思う。今時は皆進んでるから違うのかもだけど、でもそんなお子ちゃまの恋愛は違うんやで!という意味じゃもっとどろどろしたのは30過ぎてからじゃねーか、なんても思う。
そんな小童どもの恋愛模様を読んでいて、何故かイメージされるのは腐女子?ていうかそういう言葉のイメージだけ?かもだけども、そういうふんわりとしたイメージと、歌ったりするときの臨場感がなかなかに良かったのに、最後ドロドロしてきて、ああ、こんなんじゃなかったのに、腐女子だったのに、という騙された感。 -
これは面白いかも!
・・と思って読み始めたけど、ラストまできて、思ったほど盛り上がらず終わってしまった感が。何でだろ。
作中劇とトンネルエピソードといきなり青酸カリ事件は、しっくりこなかったなー。
設定は素敵な感じだったのにな。
ファンタジーノベル大賞優秀賞作品だとか。納得。
私、ファンタジーノベル大賞と波長が合うもんなw
作者の他の作品も読んでみたい。 -
久しぶりに美しい物語を読んだと思った。
月童児が最終的にどこに落ち着くのか、彼らの世界は壊れるのか・・・など考える暇なく世界に引き込まれ一気に読んでしまった。
歌の描写が美しく、昔歌っていた讃美歌や礼拝堂のことが思い出され、より鮮明に世界がうかんだ。
面白かった。 -
「月のさなぎ」石野晶◆成長するまで性別の決まらぬ月童子たち。訳あって隔離されている彼らの学園に、不穏な影が忍び寄る。終盤唐突に雰囲気が変わった感がありますが、性別が分からないために抱える葛藤や自由への憧れなど、特殊な設定が活かされており普通の耽美的な学園ミステリとは一味違った。
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ファンタジー。設定もキャラクターも面白かった。劇の部分は必要だったのかな?
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性別が決まってないなんて不安定でたまらないだろうな……
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美しく花開く蝶へと夢見るさなぎ。カリッとその殻を破いて外の世界へ飛び立つそれは期待に胸膨らませているのか、それとも未知の不安に包まれているか。月童子と呼ばれ特殊な体質故に隔離される子供たち。成人するまで性の定まらない不安定さ、思春期の淡い恋の揺らめき、やがてその身体に宿す匂い立つような色香の美しさが繊細に丁寧に描かれており、幻想的でかつミステリ仕立てのとても好みの世界観。芽生える仄かな恋心から、色濃く湿度を帯びた愛を知った時の刹那さが痛々しく限りなく切ない。読み終えてなお離れがたい魅力に溢れた作品でした。(2010年12月読了)