月のさなぎ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 331
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103286219

感想・レビュー・書評

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  • 森に囲まれた学校、外界から隔離された世界で、十八歳前後になるまで性別の表れない子供達が寄り添い合い、信じ、悩み、憧れ、揺れ動いていく物語。

    なんとなく、全寮制の厳しく閉鎖されたカトリックの女子校の物語のようなイメージを抱いた。
    自分の心と体とは、必ずしも一致するとは限らない。自分という内側の存在と身体という外側の容れ物の性の関係性について考えさせられた物語だった。

    登場人物たちのそれぞれの関係性が切なくて美しかった。

  • 隔離された学園。
    未分化の子供たち。
    宗教的な儀式。
    寮生活。憧れの先輩。

    平和な学園生活におこる、事件。
    子供たち(月童子)が隔離されている本当の目的。

    性別はないけど、みんな少女っぽい。
    成長して、自分の想像したり望んだりしていた性別と異なってしまうって
    ショックだろうなぁ。
    全体の雰囲気が、とても好き。

  • 幼い頃から隔離されて育つ「月童子」たちには性別がなく、18で性別を得ると「成人」したとしてこの学園を去っていく。月童子たちの憧れの対象である空と薄荷は、それぞれに恋を知り、「大人」になっていくのか……。感情がないかのようだが人形のように美しい空、ルームメイトとして空の面倒を見る薄荷は、美少年のようでその凛々しさに誰もが憧れている。
    とにかく流れるイメージが・情景が綺麗で、紺野キタさんにぜひともマンガ化してほしい!前半は性別のない月童子たちがわらわらしている学園の魅力にやられたけど、後半は恋に落ちて変わっていく薄荷と、薄荷とのつながりからあるものを得た空の物語にひきこまれました。こういう雰囲気が好きな人にはおすすめです。ミステリ的にはいまいちかもしれませんが……これ日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞だし。作者は別名義で前に作品を出したことがあるそうなので、読んでみようと思います。おすすめ!

  • 美しさ、残酷さ、清らかさ…

    一つ一つの言葉や描写が繊細に感じられて、とても好きな世界観。

  •  久しぶりに美しい物語を読んだと思った。
     月童児が最終的にどこに落ち着くのか、彼らの世界は壊れるのか・・・など考える暇なく世界に引き込まれ一気に読んでしまった。
     歌の描写が美しく、昔歌っていた讃美歌や礼拝堂のことが思い出され、より鮮明に世界がうかんだ。
     面白かった。

  • 数千人に一人の割合で生まれてくる月童子を集めた学園内で起こる…。設定こそファンタジーですが、かなりきちんとしたミステリに仕上がってるし、青春&ラブロマンスとしてもとてもよくできた作品だと思います。日本ファンタジーノベル大賞はハズレが少ないなぁ。

著者プロフィール

1978年生まれ。岩手県立伊保内高校を卒業後、2007年『パークチルドレン』(筆名:石野文香)で小学館文庫小説賞受賞。10年『月のさなぎ』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。他の著書に『生者の行進』がある。岩手県在住。

「2014年 『水光舎四季』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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