ホンダジェット: 開発リーダーが語る30年の全軌跡

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103289227

作品紹介・あらすじ

こんなきれいな飛行機見たことがない! ――新しい伝説が、いま飛翔する。航空ショーに出展されるや一躍、アメリカの航空ファンを虜にした超小型機、ホンダジェット。エンジンから座席シートに至るまで自社設計にこだわった「創業者・本田宗一郎の夢」を乗せた機体が、いま離陸する! 無謀だ、ドン・キホーテだと揶揄されながらも、決して諦めなかった三十年の苦闘に迫るビジネスノンフィクション!

感想・レビュー・書評

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  • 自動車メーカーのホンダがビジネスジェットと呼ばれる小型航空機を独自開発し、間もなく販売に漕ぎつける事はあまり知られていないかもしれません。今後の成長分野として有望視されながら、あまりのリスクの高さから長らく日本から航空機ビジネスに参入するメーカーが現れない中で航空機とは全く縁のなかったホンダが機体だけではなく、エンジンまでも独自に開発し、事業化しました。そのホンダジェットの開発責任者への詳細なインタビューをもとに開発着手から30年にわたるプロジェクトの推移を追います。航空機ビジネスとはどういうものか、なぜ参入障壁が高いのかなどのビジネスの背景や、尾翼の上にエンジンを搭載するという全く新しい機体形状の設計に至る開発秘話など、興味深い内容が満載です。「日本企業に多い調整型のリーダーではなく、全ての技術に精通した一人のリーダーが強力なリーダーシップで進めなければ航空機開は難しい」、「最初からみんなで協力してやりましょうではだめ。『一人でも結構やり遂げられる』ぐらいに思える人が集まって初めて限界を超えて仕事ができる」など、無謀と言われた挑戦をやり遂げた開発責任者の方の言葉は興味深いです。

  • 年始の課題図書その2、やっと読了。文庫化でコンパクトになったけど、航空産業の基礎からホンダの経営哲学、ホンダジェットの特徴解説まで多岐に渡っていてなかなかのボリューム。

    スケールでは遠く及ばないけど、ぼくも異業種から「ひとの命を預かるような」商品の開発に関わっていて、許認可の取得からテクニカルなジャッジ、マーケティングまで関わる分野がやたら広いのも似た境遇に思うところは多い。本書によれば、ホンダジェットの成功の秘訣は

    ・日本でやらず、本場に最初から行ったこと
    ・トップが端から端まで技術を熟知したうえで直接ジャッジして、コンセプトを貫いたこと
    ・ひとりでなんでも抱えるのを単に悪しとせず、ひとりでもそれなりにできる、人を5人集めてやっと仕事になる、という感覚で取り組んだこと

    だそうで、1つ目はさておき、2つ目と3つ目はまさにそうだと思う。
    そういう人材を育成していける企業としての求心力、魅力がホンダにあって、かつ本田宗一郎の夢が飛行機だった、というのが最終的にMRJに比べて差がついたポイントかもしれないけど、器用貧乏と言われて早15年、とことん突き詰めて、いまやっている事業を仕上げようと思った一冊でした。ホンダジェットは30年がかりだから、あと15年はあるな…

  • ビジネスジェット機をつくる。ただの二輪、四輪のメーカーではないモビリティの企業として、空を目指す本田宗一郎の思い。それを実現した藤野。フィクションではない、ドラマがここにある。
    ビジネスマンには勉強にもなるだろうが、唯一残念なのは、専門的な話は図解や仕様の比較など、所謂ビジネスツールで説明される方が遥かに分かりやすいが、文字だけで挑戦した事、更には筆者自身が咀嚼できずに、そのまま論文を引用する部分は、専門外の人間には分かりにくい。翼素、迎え角、翼弦線など。

  • MRJ・MSJの開発が頓挫する一方で大きく成功したホンダジェット。ホンダの航空機開発へのモチベーションの歴史とホンダジェット開発の大まかな流れを学ぶことができる本著。ただ、「有能な開発担当」「他業種からの航空機開発へのチャレンジを許したホンダの度量」「GEとのアライアンスの成功」など、そのまま真似して二番煎じができるものではないし、またどこか歯車が一つでもかけていたら大きな失敗に終わったように感じた。成功例のモデルとすることはできないが、成功するためにチャレンジすべきことを学ぶことはできるように思った。IHI/MHI/KHIでも成しえなかった民間航空機のフィールドで、画期的な成功を収めたホンダジェット。今後の活躍を切に願います。

  • HONDAジェットの開発ストーリー。
    あの独特なフォルムは、力学的な根拠に裏打ちされたスケッチから生み出されたことなど、本当にすごいと感じた。

    印象に残ったフレーズは以下のとおり。

    ・一番の目的は、今あるビジネスジェット機のマーケットシェアを奪うことではない。これまでのマーケットをより広げて、小型ビジネスジェット機をより広く普及させていくこと。

    ・美しき良きデザインは、機能性に沿ったもの

    ・我々のゴールは常に、お客様に新しい価値を提供することで、ホンダジェットはこの目的に沿った新しいチャレンジの一つ

    ・商品として一番大切なことは、最初からできるだけ良いものを出して、ちゃんとお客様の信頼を得ることが極めて重要

    ・一番重要なことは、リーダーが全体を一つの概念(基準)でコントロールして、リーズナブルな(理にかなった)方向に全員をリードしていくこと

    ・ホンダはパーソナルモビリティのカンパニー
    自動車というより、モビリティを追求する会社

  • こんな良い会社は珍しいのか、会社を動かすだけの力があったマネージャーなのか。

    最近のホンダ、頑張れ!

  • ホンダジェット開発の 30年を、開発リーダー藤野道格へのインタビューを中心に構成したノンフィクション。ご存じの通りホンダジェットの開発、事業化は、今どきの日本では珍しい Project-X 風の成功譚で、これが一冊の本の形で読めるのは素晴しい。

    著者は自身もジェットエンジン設計の経験があり、航空関係で多くの著書がある前田孝則。2008年には「なぜ日本は50年間も旅客機をつくれなかったのか」という本も上梓しているくらいなので、ホンダジェットが FAA の型式認定を受け、量産機として空を飛ぶ姿は著者にとっても感無量であったろう。

  • ライモンド・ローウィの言葉:「口紅から機関車まで」に記された次の言葉。無駄な装飾を排除して物の持つ実用的構成に美を見出す、いわば力学的均整に美があり、物そのものの生きるべき姿の中に直接に美の本質を発見する。そのために無駄なものは思い切って排除する

  • ホンダジェット開発に関する軌跡。
    エンジンだけでなく全部作ろうとしたのは、やはりHONDAのDNAなのだろうか。
    成功してほしい。

  • ATP アドバンストターボプロップファンエンジン

    福井威夫 父 福井静夫 海軍技術少佐 大和の設計 収集していた膨大んあ資料 海事歴史科学館に寄贈

    ワシントン スミソニアン博物館 赤い初代civicがある
    藤野道格(みちまさ)氏よく見に行った

    YS-11 開発リーダ 東條輝雄 東条英機元首相の次男

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著者プロフィール

前間 孝則(まえま・たかのり)
ノンフィクション作家。1946年生まれ。石川島播磨重工の航空宇宙事業本部技術開発事業部でジェットエンジンの設計に20余年従事。退職後、日本の近現代の産業・技術・文化史の執筆に取り組む。主な著書に『技術者たちの敗戦』『悲劇の発動機「誉」』『戦艦大和誕生』『日本のピアノ100年』(岩野裕一との共著)『満州航空の全貌』(いずれも草思社)、『YS-11』『マン・マシンの昭和伝説』(いずれも講談社)、『弾丸列車』(実業之日本社)、『新幹線を航空機に変えた男たち』『日本の名機をつくったサムライたち』(いずれもさくら舎)、『飛翔への挑戦』『ホンダジェット』(いずれも新潮社)など。

「2020年 『文庫 富嶽 下 幻の超大型米本土爆撃機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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