どうすれば「人」を創れるか―アンドロイドになった私

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著者 : 石黒浩
  • 新潮社 (2011年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103294214

どうすれば「人」を創れるか―アンドロイドになった私の感想・レビュー・書評

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  • 完全なるアンドロイド、すなわち「人」を創るとはどういうことか、実際に「人創り」に取り組む石黒氏ならではの示唆に富む一冊。

    技術的・学術的な難しい話はあまりなく、「人間らしさとは?」という哲学書に近い。発展途上の研究だからこそ、研究過程の気づきが追体験でき、自分の実体験に置き換えて考えると非常に説得力がある。人はどこに人間らしさを感じるのか、「自分」を演じるのは自分よりむしろ他人のほうが上手など、実際に「人」を創ろうとした彼だからこそ気づき得た本質が描かれている。

    完璧に近づくほど微妙な差異が違和感を生み出す「不気味の谷」や、完璧すぎると「人間らしさが失われる」など、差別の根源や不完全を補完する想像力という人間の本質にあっさり触れている点は天才的な洞察力だ。

    とはいえ堅苦しい本ではなく、(筆者は至って真剣なのだが)全体的にユーモアが溢れていて、特に理想的な自分であるアンドロイドを時間が経って逆に意識する話は面白い。勢い余って整形までしている(笑)。

    石黒氏はCNN「世界を変える8人の天才」の一人に選ばれているが、なぜ選ばれたかがよく分かる。是非石黒氏とお会いしてみたいと思わせる一冊だ。(本当は石黒氏よりジェミノイドFのほうと会ってみたい・・・)

  • もし自分と全く同じ姿形の人間がいたら‥‥。
    そう考えたことは、一度ならずみんな必ずあるはず!?
    それをアンドロイドで挑戦しようとしたのがこの一冊。それを通して人間の本質に迫ろうとした全く新しい試み。

  • 今年の2月に所属する研究室で、私たち修士1年生は「2017年のホンモノ/ニセモノ」というテーマで公開講座を開催しました。ヴァーチャルリアリティ等技術の発達により、私たちはホンモノから得る際と同じような感覚を、テクノロジーによって再現されたモノから得ることが可能になりました。例えば、専用のゴーグルをかければ、あたかも古代遺跡の中にいるように感じられる、などです。その際、遺跡にいるように思っている感覚はホンモノと言えるのか、それともニセモノでしかないのか、その疑問が今回の公開講座の出発点でした。
    公開講座の開催準備をするにあたり、私がテクノロジーと、ホンモノ/ニセモノの関係について勉強しようと思って手に取ったのがこの本です。
    著者である、大阪大学の石黒浩教授をご存知でしょうか。自身とそっくりのアンドロイド、「ジェミノイド」を開発した方です。本書では、石黒教授がジェミノイドを開発し、実際に使用する過程で得られた体験がたくさん書かれています。読んでいて、テクノロジーによって「ホンモノの人間」と定義できる範囲は今後さらに広がるのではないかと思いました。
    本書の内容で特に興味深かったのが、ジェミノイドを遠隔操作しているうちに、ジェミノイドがあたかも自身の本当の身体であるかのように錯覚してしまったという経験です。自身のホンモノの身体は触れられていないにもかかわらず、遠隔地にいるジェミノイドに触れられると、実際に触れられたような感覚がするというのです。まさにテクノロジーによって、生身の身体以外も、「ホンモノ」の自分の身体のように感じているということですよね。
    また、その他にも、ジェミノイドの方が現在の自身よりも若くてスマートに見えるために、ダイエットや整形によってホンモノの自分の方がジェミノイドに合わせてしまった体験も書かれており、ジェミノイドがアイデンティティにも影響を与えるような存在であることがわかります。
    現在、石黒教授は、「ホンモノの人間」のような複雑さや多様性を表現することができるアンドロイドを生み出そうとしています。それは一体どのような要素を必要とするのでしょうか。今後の石黒教授の研究も楽しみです。

    文責:アオイ(人文社会研究科 文化資源学研究専攻所属)

    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=2002977289

  • 「アンドロイド」(人間類似型ロボット)、「サロゲート」(外部の機器を脳に直接つなぎ操作する)。アンドロイドの可能性はロボット工学にとどまらず、認知科学や脳科学や哲学とも深く結び付き、「人間とは何か?」さらには「自分とは何か?」という深い問いにつながっていくはずである。
    さらに最終的には皮膚の触感も大切な要素である。とあるがそこまで必要かなぁ?○○産業がよだれを垂らして喜びそうな研究である

  • ロボットだけれども
    会話は人が担当する
    そんなロボットの未来が語られた本

    大きな携帯としてロボットを用いるアイデア
    不気味の谷の話
    ロボットと恋愛できるかという話

    新しいアイデアに満ち溢れた本
    いずれ著者のイメージする未来が来ると予感させる

  • 見た目が人にそっくりなアンドロイド:ジェミノイドを作った石黒先生の本です。
    技術的なことはあまり書かれていないのが残念ですが、研究を進めるなかで「人間とはなにか?」「自分とはなにか?」について、著者の発見、考察が述べられていて、とても興味深い内容でした。

  • 石黒先生のアンドロイド自体は前からよく見かけるなと思っていたのですが、実際どんな研究をなさっているのか知らなかったので手に取りました。
    外見上精巧に見えることばかりを追及していくのではなく、人間らしさを追求する。それによってアンドロイドと相対する人間またアンドロイドを操作する人間がどういった感情を抱くのか。近未来にはこういった経験が増えていくのだろうか、とわくわくと不思議な思いで読みました。
    ヒトのミニマルデザイン、テレノイドの話も面白かったです。人間を人間たらしめているものは何なのか、これからも面白い発見がたくさん生まれそうで楽しみです。

  • 面白い。人は人に興味があるものだ。
    物を作って考える。作る物に哲学がある物は素晴らしい。

  • ジェミノイドの凄さは、youtubeの動画を見て是非とも確認してほしいところですが、技術的な内容はほとんどなく、他者としての認知、人間とのコミュニケーションの差異など、哲学的な、ラカンを思い出させるような、それでいて分かりやすい文体で書かれています
    研究成果をこれからもフォローしていきたいと思わせる内容でした

  • 人間そっくりのアンドロイドを創った研究者による研究記録。といっても専門的な話ではなく、研究の動機や、どんなことが起こったか、何をしたか、今後何をしたいか、を中心にかかれているので読みやすく、面白い。そして、ちょいちょい間にはさまれる著者のこだわりが人となりを表していて、なるほど研究者になる人というのはやっぱりこだわりの人なんだなあ、と変なところで納得した。自分でカバンをつくれるという話や、美容整形の話。色んなことを徹底的にやってみるんですね、この著者は。
    著者の究極の興味は「自分とは何か?」「人間とは何か?」ということなので、哲学的な問いも出てきます。それを頭で考えるのではなく、実際にそれを実験(?)できるようなものをつくってそこに何が起こるかによって追及していく。
    アンドロイドが人間になれるか、というところ、著者はかなり実現可能だという方向で書いているけど、私は、アンドロイドが自分を自分だと自覚することはできないかぎり、無理だと思うのだけど、どうだろう。今の技術では、人間の意思を忠実に再現し、なおかつある程度はプログラミングで自動的に動くことが出来るようになる。つまり、人間的に反応できるようになる。でもそれはあくまでも「反応」であって、自発的な動きではない。動きたいかどうかをプログラミングで制御できるかもしれないけど、それは自分の意思ではない。ま、どこを目指すかというところなんでしょうけど。果たしてアンドロイドは自分の意思を持つことができるようになるのか。この著者の次作があるので、それも読んでみようと思う。
    アンドロイド演劇についても少し。人間があやつるアンドロイドに演劇をさせるくだりがあって、人間を越える演技が出来た、とあった。なるほど、と思いつつ読んでいて「ん?」と思った。これって、文楽と同じじゃない?つまり、生身じゃない人形(ひとがた)には自分の心情を反映させやすいために、より真に迫ってくるっていう。能面とか。そっち方面は本題ではないけど、展開させると面白い話になりそうな気がしました。
    そうだ、余談だけど、この本の割と最初に出てくる「不気味の谷」、この本を読む前に読んだ「屍者の帝国」に出てきてたのでびっくり!学術的な言葉だったんだ。変なところでまた「本のしりとり」が起こりました。

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どうすれば「人」を創れるか―アンドロイドになった私の作品紹介

産業用でも、人工知能を持つ自立型でもない。異能のロボット学者が目指したのは、限りなく人間に近い「ジェミノイド」。そして、人間のミニマルデザインから生まれた最新型「テレノイド」、「エルフォイド」まで-。人型ロボット=アンドロイドを通して人間の本質に迫る全く新しい試み。

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