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この作品からのみんなの引用
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みんなが同じ方向を向いて進む先に断崖があれば、全員ぱたぱたと墜落死する。そのとき、さしたる理由もなく、「オレはそっちに行きたくないね」と別行動をとる個体が一定数いれば、集団は全滅を回避できる。生物学的多様性とはそういうことである。システムの適所に「付和雷同しないもの」をつねに一定数確保しておくこと。それは「システムクラッシュの回避」という点において必須の配慮なのである。
― 249ページ -
教育行政が国策的に育成してきたのは「上位者の命令に従い、マニュアル通りにてきぱきと仕事をする人間」である。それだけである。もちろんそういう人間たちがいなければ社会は成りたたない。けれども、少数ではあれ、システムの要所に「上位者の命令がなくても、マニュアルに書いていないことが起きても、それでも共同体全体の利益のために最適な選択ができる人間」がいなければならないということがあまりに軽視されてはいなかったか。
― 243ページ -
私たちの意識を批判することから提言することへ、壊すことから創り出すことへ、排除することから受け容れることへ、傷つけることから癒やすことへ、社会全体で、力を合わせて、ゆっくりと、しかし後戻りすることなくシフトしてゆくべき時期が来たと私は思っている。
― 285ページ
みんなの感想・レビュー・書評
日本社会の病巣を呪いという観点から分析?したエッセイと学術文書の間のような本。
印象に残ったのは、政治家の万死に値するという言葉。
本当はそう思っていないのに言葉を使う、そうするとその言葉は呪いとなってその人に跳ね返る。
もうひとつ印象に残ったのは、原発。
原発は神の火であり、恐ろしいものであるがゆえに杜撰な管理でまるで恐るべきものではないかのように扱った。
その結果、取り返しの起きない事故が起きた。
非常に観念的な話で、彼の話は根拠がないと怒る人がいるのはわかる。
だが、彼は学者と言うだけでなく、武道家でもある。
多分、彼の主張の中の根拠のない部分は、彼の武道家的な部分から来ているのではないかと思う。
14歳の子を持つ親たちへのような対談のほうが読みやすいが、同時に彼の単著は日本語が美しくて読んでいて非常に気持ちがいい。
自分ももっと日本語の語彙を増やしたいと思う。
言霊。
言葉には魂が宿り、それはどこまでも伝わっていく。
私はそう考えています。
だから、気の知れた古い友人は別にして、思ったことをそのまま口にだすということはしないようにしています。
もしも「呪い」の言葉を発してしまったとしたら、きっとそれは届くでしょうから。
本書は内田さんの妄想本といえば一番適しているでしょうか。
私にはどうしても馴染めない点ばかりであったけれど、大事なことは自分の頭で考えること。
内田さんの考えもあるし、私の考えもある。
正しい答えなんてこの世にはないのですから。
そう本書は教えてくれています。
ちなみに最終章は必読です。
現代が、「呪いの時代」であるという前半60頁が特に胸にしみた。 現代に蔓延する「呪い」。壊すことは創造することよりも簡単だ。 今の「ディベート」は、お互いの意見を聞き、妥結点を探りあっていく のではなく、相手の意見を徹底的につぶし、自分の意見を押し通すもの でしかない・・。 結婚観、就職観も独特。 “結婚というのは普通の人達が、別に「赤い糸」で結ばれていなくても、 卓越した人... 続きを読む »
(以下引用) 僕はもともと「ディベート」というものが嫌いですけど、それはそこでは「ディベートの勝者」の主張のレベルを超えるような知見が決して生み出されないからです。複数の人間が集まって、何時間か喧々諤々の議論をして、その結論が「ディベートの勝者一人以外はいなくてもよかった」というものであったら、あまりに悲しい。(P.82) 英語が使えないと知的職業に就けない、公務員にもなれないというシステ... 続きを読む »
ゆっくりゆっくり読みました。
とても大切なことがきちんと書いてあって
読んでいて本当に心が満たされる感じでした。
時代のスピードや人の考え方がどんどん変わって
なんだかぼんやりとした違和感を抱えて
いたんだけれどそれを丁寧にほぐしてもらった感じ。
ツイッターなどのSNS、掲示板をよく利用する人は是非見てほしい 議論のようなことをよくやる人なら既に分かっていることかもしれないけど、大事なことが書かれています。
他にも婚活のことから経済、原発まで幅広い内容です。文章もそこまで難しくないためスイスイ読めると思います。(内容理解で詰まることはきっとある)
また、目からうろこてきなとこがいっぱいにあったのだけれど、 そうか。と印象に残ったのは、 ネットという匿名性の環境で、顔を合わせたこともない人間に、平気で「氏ね」だとか人を傷つける言葉を浴びせかける。 それが複数集まって、それを受けた人が、深い傷を負ったり、自殺に追い込まれていくような状況が実際存在する。 それは、当の本人にそんなつもりなくても、言葉が命を持って人を呪い殺し... 続きを読む »
贈与経済こそが最も人間的、すなわち「おはよう」と誰が一番に言うかを競い合うべきと唱える論は面白く、後半は一気に読める。福島の事故は人災と切り捨て、呪いは破壊こそすれ創造を生み出さない安易な風潮に警鐘を鳴らす。知的刺激に満ちた一冊
内田樹さん流の人間観察論だ。
正論ではあるけれども、世間の人が全て内田さんのように
良く考える人ばかりじゃないので、
強烈な個性のリーダーというのも必要な時代もあるのではないだろうか?
原子力の話では、ハード部分よりも、ソフト部分の安全性を上げることを考えないと、いつまでたっても想定外と言ってそうな気がする。
内田樹さんの論考は「素直に考えれば確かにそうだ」と呼べるものばかりで、いつも感服します。「交換経済」から「贈与経済」への転換を―との主張は、国民的議論に発展してもいいのではないかと思います。
p12 学者というのは「知識を持つ人間」ではなく、「自分の持つ知識についての知識を持っている人間」のことだと僕は思います。ですから、自分の知っていることは「知るに値すること」であり、自分が知らないことは「知るに値しないこと」だと無反省的に信じ込める学者のことを僕は端的に「学者の腐ったようなやつ」と呼んでいました。 しかし、かつては学会だけの固有種であったこのタイプの人々が今ネット上では異常... 続きを読む »
贈り物とはそれ自体に価値があることが自明であるようなものではない。
贈り物は受け取った側が自力で意味を補填しないと贈り物にならない。
例)挨拶を返さない人は、「あたしが発した空気の振動は何の価値もない」という判断下した。。。。
才能の絶対量は評価に値しない
その才能を賦与されたことにどれほど深い返礼義務を感じているか、それが人間的な意味での才能の評価基準です。
嬰児でも空気の波動が「ほかならぬ自分にまっすぐ触れている」ということだけは感知できる。
「源氏物語」で六条御息所は葵上を呪い殺した。しかし、現代ほど「呪い」が蔓延している時代はない、と著者は言う。ネット上で人びとは、言葉でいかに深く他人を傷つけられるかを競っているかのようだ。
「本当の自分はこんなものではない」。もっと愛され、敬意を払われていいはずだという自己呪縛にとらわれた人間は決して幸せにはならない。
頼りなく、かっこわるく、ぱっとしない自分のありのままの姿を受け入れる、そこから始まるものがたくさんある。
読み進めると話がどんどん進んでいき、最終的には「呪い」からは外れていくのだが、やはり最初の章がインパクトが強かった。
妬み。嫉妬。焦り…。巷に溢れる自分への『呪い』が社会全体を不幸にしている。筆者の主張にはもろ手を挙げて賛成できない箇所がままあるものの、『草食系男子』をめぐる話や、原発事故の考察は面白かったです。 この本は雑誌か新聞で話題になっていたはずなので手にとって読んでみることにしました。内容はというと巷にあふれる妬みや嫉妬。焦りなど、自分自身への『呪い』をかける事が以下に社会にとって不幸であるか、... 続きを読む »
全能感を求めて作品を作らず批評する、実力がないほど攻撃的に呪いの言葉を吐く、と。ドッキリ。
呪いは記号化の過剰、祝福はその反対。交換に対しての贈与もしかり。ついつい呪いがちですが、出来るだけ呪わないよう、精進します。祝福と贈与の時代が来てるよ。
ブログで見かけた話も多々あり、以前から著者が主張している内容を再度わかりやすくまとめた、という内容の本。
言われるまで気付かなかったというのも鈍感な話だが、呪詛が飛び交い前時代的にも思える「呪い」という存在が世界を締め付けているのは事実のように思える。人を叩いたり貶めたりすることによって自分の存在が確保されるような社会は間違いなくどこか病んでる。
著者が予言する贈与経済はいつやってくるのか。
話題は多岐に渡ります。「草食系男子」が「弱くかわいい」男を演じたことで、本来男性の自己造型に際して忌避されてきた「弱さ」、「かわいさ」が人格要素に登録されたことは評価に値する…男のありように幅が出た…いくつもの人格を持って、一人の人間であることの意味が良くわかる説明でした。
2012.3.10 図書館
就活、婚活のところ、イデオロギー植え付けられて、ビジネスに利用されてるだけなんですね。健康、ジョギングなんかもそうなんだろうな。
贈与ですね、やはり時代の転換期に来てると思う。東日本大震災と原発事故がその流れにさらに拍車をかけるでしょう。
「呪いの時代」思わず目を引くタイトルに興味深く読み始めました。難解なところもありますが、昨今の社会感情からこれからの日本の向かう先について、やや左と感じるものの、とても共感するところが多い洞察です。 満たされない自尊感情が他者へ不寛容となる。他者を許容することができないと共生への道が閉ざされ孤立するので、相互扶助が得られなく弱者となった場合それが固定化され、企業の食い物にされる。 自... 続きを読む »
日本における翻訳文化についての記述は面白かった。
原子力発電を神殿に例えて語ったところも、なかなかわかりやすい。
「ビジネスマインド」の功罪。ある物事に対する信仰心がどうたらこうたら。言論の自由の意味とかそんなんだったのかと思ったり。
はう
そこが一番書きたかった、訴えたかったことなのかも知れませんが、震災や原発に関する章が面白くないし、全体の中で異質なものを感じました。

原発の話。政治の話が主な内容だった。最近の政治やテレビの議論では汚い言葉で相手を再起不能に陥らせて自分の主張を通すことが優先され、昔にあった意見を出し合って理論を形成していくものがなくなってしまったと...





