呪いの時代

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著者 : 内田樹
  • 新潮社 (2011年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103300113

呪いの時代の感想・レビュー・書評

  • レヴィ・ストロースものかとタイトルから連想したのだが、ほぼ関係ない。人生教訓系ビジネス書に近い。とはいえ筆が達者なので、興味をそらさない。震災以降ヒステリックになり、知識人に見られた累計独断がみられる。いわく「やらないよりいいリスク回避のために疎開しなさい」

  • 階層社会では階層下位に行くほど「この世の仕組みを私は熟知している」と過剰な自己評価をする確率が高まる。現代は呪いの事態であり、ネットなどで「死ね」と中傷を受けて自殺する人は後を絶たない。反証可能性の重要性。ダメだという切り捨て方が出現したのは80年代から。マスコミも同じ風潮の論じ方をする。日本は英語を使わなくても社会的上昇が可能なまれな国。就職情報、結婚あっせん業者は同じ構造。贈与論。霊的な備えが大切。リスクとデインジャー。

  • 「呪い」の言葉に満ちたこの世界を、もっと幸福な世界に変えていくためのポイントは、「祝福を与えること」と「贈与を活性化すること」の二つだという。
    「私たちの意識を批判することから提言することへ、壊すことから創り出すことへ、排除することから受け容れることへ、傷つけることから癒すことへ、社会全体で、力を合わせて、ゆっくりと、しかし後戻りすることなくシフトして行くべき時期が来たと私は思っている。」(p285、あとがきより) という内田先生の主張は、シンプルで力強く、しかも温かい。それはとても難しいことだけど、単なる理想論や観念論ではなく、そうすることが一人一人を、そして世界をもっと幸福なものに変えていくためのベターな道筋だと、この本を読んで深く共感した。

  • 思考の厚さ、を感じた。
    得難いヒントが多くあったが、閉じれば忘れてしまうだろう自分。本も映画も、いいものは繰り返し味わうべし。

  • 共同体を弱くするような言動は慎み、贈与(金銭だけの話しではない)に励むのがよろしいのではないかと思いました。

  • 中盤までは、様々な社会的問題を取り上げ著者なりの切り口で解説しており非常に面白い。
    後半、思想本になってしまい残念。

  • ■書名

    書名:呪いの時代
    著者:内田 樹

    ■概要

    巷に溢れる、嫉妬や妬み、焦り―すべては自らにかけた「呪い」か
    ら始まった。他者へ祝福の言葉を贈ることこそが、自分を愛するこ
    とになる―呪いを解く智恵は、ウチダ的“贈与論”にあり。まっと
    うな知性の使い方と時代を読む方程式を考える一冊。
    (From amazon)

    ■感想

    相変わらず、独特の切り口で物事を見ている方です。
    本書は「言霊」というものを切り口にして、言葉の呪いはやめよう!
    他社と共存して、幸せになろう!みたいなことを軸にしています。
    (その他にも色々な事を言っています。)

    言っていることは素晴らしい事ですし、楽しめます。

    でも、しかし、この人の言葉には、罠があるように感じます。
    この人が使っている言葉は抽象的で難しいです。
    いかような解釈が出来る言葉を多数使っています。
    最たる例が、「記号化」という言葉でしょう。
    これ、恐らく読者はなんとなくイメージは分かる、けど、この
    言葉を具体的に説明できる!という人はそうそういないのでは?
    と思います。
    で、内田さんは「記号化」を危険と言っているように思いますが、
    自身の評論も、かなり「記号化」されています。
    そもそも、抽象化と記号化って同じ意味だと思うので。

    人間って面白いです。
    言葉ではいかようにも言えますが、真実は行動にしか無いです。
    で、この内田さんの言っていることを内田さん自身が実践して
    いるか?という観点で、誰か本を書けば面白いと思います。
    (実際、どういう結果が出るかは私は知りません。)

    私は、別にこの人が言っている事を批判するつもりは全くあり
    ません。その通り!と思うことも多々あるし、なるほどな~と
    思うことも多々あります。
    文章や評論の切り口も独特で面白いです。
    この人の本を読むと、自分が知っている知識で、別の物事を解釈
    し説明する力をこれほど持っている人もいないだろうな~と思い
    ます。
    内田さんの本を何冊か読むと余計そう感じます。
    というのも、基本的には同じ知識、別のことを物語っている事
    が多いです。
    けれど、そういう人があまりいないから、この方の本は読んでいて
    楽めます。

    話がとっちらかりました。


    自分で思考して議論したい人向けの本かな?と思います。

    ■自分がこの作品のPOPを作るとしたら?(最大5行)

    内田さん好きには堪らない一冊!
    自分も呪いから解き放たれたくはないですか?
    世の中に祝福を!!!

    ■気になった点

    ・「君は「こんなこと」もしらんのか?」と気色ばむ学者は、
     「こんなこと」が議論の始点にならなければならない理由について
     ほとんど説明責任を感じていないようでした。

    ・学者というのは「知識を持つ人間」ではなく「自分の持つ知識に
     ついての知識を持っている人間」だと思います。

    ・「現実を変えよう」と叫んでいる時に、自分がものを壊しているのか
     創り出しているのかを吟味する習慣を持たない人はほとんどの場合
     「壊す」ことしかしない、という事です。

    ・破壊は創り出すよりはるかに簡単です。

    ・想像するというのは個人的であり、具体的な事です。
     だから、難しいのです。

    ・創造する者は匿名性にも忘却にも逃げられない。自分で創ってし
     まった物がそこにあるのですから逃げも隠れも出来ない。
     創造の怖さというのは、そのことです。

    ・全能感を求める人はものを創る事を嫌います。
     想像すると自分がどの程度の人間かあからさまに暴露されてしまう
     からです。

    ・「自分は十分な権威を受けていない」と思えば、どれほ... 続きを読む

  • ネットで人をdisることについて。ガダラの豚読んで呪いのあり方に興味を持ったので。いつもながらわかりやすくて共感できる内容だけどタイトル通りの内容は1章と2章だけなので1章と2章だけ切り出して300円ぐらいで売ってほしい。

  • なかなか読んでいて難しい論述である。
    それでも、難しすぎるわけでもなく、興味深く読みました。身の周りで起きていることをもっと注意深く、感じ、分析し、考えていくことが大事だよなと改めて思いました。

    ・ネット社会での誹謗、中傷、言葉の暴力がいわば呪いと化して人を蝕んでいる社会構造
    ・お金を回すことで経済が潤う。回すためには贈与の精神を強化する
    ・お祭りや宗教儀式は、単なる習慣でなく、それゆえに「恐れ」を身近に感じ、忘れないためのシステムとしての役割を果たしている

    どっかの雑誌の連載エッセイがベースになっており、テーマは散漫な印象、言い換えればバラエティに富んだ話題で楽しいとも言えますが。

  • 内田樹さんの名前は最近ネットでよく見かけるのだが、著書を読むのは初めだ。しかも、初めての電子書籍。
    内田さんは学術論文も書かれているようだが、このようなごく分かりやすい一般向けの書物を、徹底的にわかりやすく書いている。そのへんのタコ兄ちゃんにでもわかるような文章なので、普段学術書を読んでいる私にしてはちょっと「あまりにも簡単すぎる」という感じを否めない。
    しかも、全体の構成もちょっと甘いようだ。「呪いの時代」というタイトルどおりの内容なのは最初の方だけで、あとはまったく違う方向に話が展開していく。書かれた言葉=エクリチュールというよりパロール。博識なおじさんが若者に、多少酔っ払いながらうんちくをたれているような話しっぷりである。
    最初の方の、ネットにはびこる憎しみの応酬について指摘している部分が最も共感できた。
    「ネット上では相手を傷つける能力、相手を沈黙に追い込む能力が、ほとんどそれだけが競われています。もっとも少ない言葉で、もっとも効果的に相手を傷つけることのできる人間がネット論壇では英雄視される。」
    このへんは2ちゃんねるの類の掲示板や、Twitterでのやりとりをそのまま表していると思う。
    そして『ほんとうの私』という幻想のイメージが「肥大した自尊感情」として現代人の心に巣くっている、という第1章の指摘は優れている。
    しかしその後、話は散漫に広がっていく。福島原発事故に関する話もなかなか面白かった(賛同できる部分が多かった)けれども、全体としては、少し賛同できるが他の多くの部分は首肯できない、という感想だった。
    たとえば「これからは間違いなく贈与経済の時代になる」という確信は何に根拠があるのか。人類学の知のひとつの結晶として「贈与経済」という主題があることは私も理解しているが、「これから、近い将来」そんな経済体制の時代になるなどということは全く考えられない。中沢新一氏でさえ、理想として贈与経済を語ったものの、それが現代社会に復活するとまでは、明確には断言できなかったと思う。
    私としては、資本主義経済を経て贈与経済に移行するなどということは絶対に起こりえないし、夢想しても意味はないという気がしている。
    ともあれ、意見は部分的にしか一致しないとはいえ、わかりやすく書かれ、かつ、読者にいろいろと考えさせる本だし、総合評価としては良質な本だと思った。

  • 私は悪魔と契約せず、著書を見つけた。

  • アカデミズムの浸透か、政治家の欺瞞か、批評屋が跋扈し、体制をあっさり覆すことに賛成の手があがる時代。
    滋味深い提言が並ぶ。

  • 自分が漠然と感じていることを、簡潔かつ分かりやすい言葉で表現している。この人の思考に触れららることに感謝^o^

  • やはり本書は、内田樹さんの本でいちばん好き。
    テーマも比較的バランスよく、読みやすくまとまっているように思います。
    呪い、婚活、贈与、知性の使い方など、共感できる話が多い。
    内田さんの本がなんでおもしろいかって、ほかの方たちが突き詰めないようなところまで「自分の頭で」考えているからなのでは、と思いました。
    本書は、何度も何度も読み返して、内田さんの感覚をつかんでいきたいところです。

  • なんかすごい怒ってんなーってぼんやりしつつ読んだけど、結婚ってシステムとか大人になるって感覚とかの一考察は現実的で冷静な面白さがあった。

  •  一番印象に残ったのは、9章の『神の言葉に聴き従うもの』です。ユダヤ教に関して、私がずっと疑問だったことの回答がありました。
     厳しい戒律を2千年以上守って暮らしてきたのに、神の助けなく600万もの人が虐殺される。民族存亡の危機に、いま救世主が現れずにいつ現れるの?大戦後にイスラエルが建国されたことをプラス加点したとしても、周辺国からは攻められっぱなしで、落ち着く暇もありません。そんな神さん、私だったら、とっくに見限ってるわ、とずっと思っていました。
     それをレヴィナスという哲学者は、「ホロコーストは人間が人間に対して犯した罪である。人間が人間に対sて犯した罪は人間によってしか購うことはできない。それは神の仕事ではなく、人間の果たすべき仕事である。」と言って説得したそうです。さすがフランス人、大学のセンター試験に哲学の科目があるだけのことはある、と頭の良さに感心しました。

  • 難しい本だが面白い。

  • 呪いっていうとなんだかオカルトな話のようだけど、呪う心が自分の肉体を離れて葵の上を殺す生霊となった源氏物語の六条の御息所。それと同じことがデジタル・情報化時代の今も、呪詛は記号化されて「ある」。という比喩がわかり易かったです。

  • いま、ここ、の自分をカッコにくくること。等身大の、たいしたことのない自分を愛すること。生きる上で学ぶことが多い本。

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