ぼくの住まい論

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著者 : 内田樹
  • 新潮社 (2012年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103300120

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有効な左矢印 無効な左矢印
内田 樹
内田 樹
内田樹
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ぼくの住まい論の感想・レビュー・書評

  • 凱風館では朝6時半から朝稽古が始まるらしい。
    ただ文章を読んでいるだけなのに、道場の空気の清々しさが伝わってくる。
    なんて気持ちのいい空間なんだろう。

    この本では凱風館建設に関わった人達と凱風館で過ごす人達のことがたくさんの写真とともに語られる。
    最初から最後まで全てのページから深い愛情を感じる。
    日本の林業、漆喰や瓦といった伝統技術の危機にも話が及び、「伝統的な技芸を次世代に伝えるのは国民的義務」という言葉にはただただ肯くのみ。

    そしていつしか話は教育論に‥。
    凱風館はまさに理想の学舎だ。

  •  内田センセイが「凱風館」を建てられた。「ぼくの住まい」とあるが、実は、「みんなの住まい」のようだ。1階は道場(能舞台付き)で、2階はリビング(宴会場+書斎)。道場はみんなの稽古場で、リビングは宴会場という開かれた発想がいい。さらに驚くべきことは、この道場を次世代に継承すべく、将来的には法人化まで見据えておられる。空間を開き、時間も開くという理論が「住まい」という形で具現化されているのは感動的というほかない。
     土地購入の経緯、建築家・画家・職人との出会い、木と土へのこだわり、林業への思いなど、この書物には「住まい」にまつわる哲学が凝縮されている。その哲学の極めつけは「住まい=アジール(避難所)」という考え方だ。確かに、人は弱い。困ったり、行き詰まったりした時には「帰ることのできる場所」「母港」が必要だ。そうした帰ることのできる場所としての「住まい」の重要性に気付かされる。内田センセイはレヴィナスの薫陶を受けた懐の深い思想家であることは今さらいうまでもないが、その思想を自然体であっさりと実践されている。
     だから、読み終わると『ぼくの住まい論』が、『ぼくのスマイル(smile)論』に思えて、思わず微笑んでしまった。

  • 文章も写真も大いに楽しみました。ハブとしての凱風館と教育論は何度も聞かされた言葉ですがロールモデルとして参考になります。もうすぐ実見するぞ。

  • 道場(能舞台つき)。。。凄い

    新潮社のPR
    「内田樹自邸兼道場(能舞台つき)「凱風館」。執筆、稽古、宴会、寺小屋、安眠――やりたいことをかなえる「居場所」のつくり方とは?
    家を建てて考えた──やりたいことをかなえる「居場所」とは? ──ぼくにとっての「日本の未来」の先駆的形態です。その不具合も、できの悪さも全部込みで──。神戸、80坪の敷地に建った自邸兼道場(付能舞台)「凱風館」。執筆、合気道稽古、宴会、寺子屋、安眠……。住まうことは生きること。「教育の奇跡」を信じ、次世代への贈り物とすべく考え抜かれた、ウチダ流住まいの思想的背景に迫る一冊。」

  • 元は2011年から2012年にかけての『芸術新潮』の連載ということで、語り口や想定読者のせいなのか、読みやすく楽しい。
    前半は、自宅兼道場の凱風館を建てたときの話し。後半は、住みはじめてからの「住むこと」に関連したブログ記事の再録。
    特に後半は「いつもの、例の話」なので、繰り返し読んでいる内容だけど、「住まい論」という軸で読むとまた面白い。私有財産について。アジールについて。教育について。母校=母港について。本棚【紙の本)について。能について。
    (ここ1-2年の本や記事には納得がいかないことが増えてきたけど、この3-4年前はキレキレの魅力がある)

  • 売れっ子思想家の住宅論。
    この人、ほんとうになんでも本出すよなと思うけども、読ませる筆力がある不思議。

    道場を内包した自宅なのだが、今風の木材に和洋折衷的な外観。ちゃんとした瓦葺きにしたらけっこう値が張るんだろう。

    家は弱者のために、がんばれなかった人が戻る場所であるべき、という主張にはうなづく。が、林業の衰退はいくら生き残っている職人を褒めようがどうしようもない。昔のように国家事業で寺社仏閣、武家屋敷をどんどん建てていけば別だろうが。

    写真が美しい。
    が、道場に飾ってあるあの絵は評価がわかれそう。

  • 稽古場が欲しくなる。
    なんてゆうか、安心して、心穏やかに稽古するために。
    去ったまま、変わる事なく次の稽古に挑める場所。

    学校や稽古場は母港。
    自分を丸ごと受け止めてくれる。
    そゆうとこが必要。
    変わらない、自分を外から観測できるものとして。

    お参りした後のせいか、神棚も欲しい。

    それから、この効率化、分業化、専門家の世にあって。
    いまどこかが破綻したら、それこそ原始以前にいっちゃうね。
    世の中は円で繋がる、とは別の意味でね。
    ありものでうまく回すスキルが欲しい。

  • 「凱風南より彼の棘心を吹く」(詩経)凱風とは南から吹く柔らかな風。転じて頑なな心を開くと解く。哲学と武道の学び舎「凱風館」の土地購入に始まり、間取りの設計、材木を入手し、職人と出会い、つくりあげて住むまでが綴られている。時折挿まれる写真が美しい。左官の現状、瓦の今、など、トピック的な閑話も非常に良かった。とりわけ惹きつけられたのは貨幣は退蔵を嫌うの項。貨幣が好きなのは激しく流れ動いているところ。故に流れを止め溜池にひきこんだその瞬間から流れは死に腐ってしまう。著者はとにかく入ってきたら次にパスしてしまうとのこと。人間には限界がある。どんなに美食をしようが1日3食。美服にしても一度に着られるのは一着。豪邸であっても一夜に寝ることができるのは一軒。むべなるかな。貨幣を貨幣に流す愚は厳に慎みたい。

  • 内田樹さんの凱風館の建設に携わったたくさんの人と、どんな考えのもと家造りを行ったのかが紹介されています。

    とても居心地が良さそうで、本を読んでいる側も伸びやかな気持ちになりました。

  • 『みんなの家』の施主からの視点。カラーの写真が多くてよかった。みんなの家のような場が、そばにあったらいいなと思った。

    著者の他の本も読みたくなった。

  • 外部の脅威からプロテクトされるべき場を意図し、その空間は私的ではなく公的で公共的であって多くの人間を入れ込むことが出来る。こういった空間を内田氏は「アジール(逃げ込み場)」と呼び、内田氏の家であり道場でもある「凱風館」はそれを目標として作られた。とても羨ましいことだと思う。
    余談ではあるが、アジールというキーワードは最近読んだ中沢新一氏の「アースダイバー」にも出てきており、凱風館落成のパーティーには中沢氏も招待されていたことからも、両者は研究者としても私人としても近しい関係にあることが伺える。この偶然は本を読む者としては嬉しい。

  • 共感できることがたくさん書いてあった。
    まず、土地を所有することに関して。
    とか、家を建てるっていうのは自分の実家しか見てきてないから肩にはまって考えてたんだなぁ。と。

    自分で生きれる術を持つ、
    でもそれは孤立することともちがくて、相手に依存しきることとも違う

    あと、教育は出力過剰だって書いてあって、それでいいんだと、自分がしてることはそれでいいんだと思えた。

  • 後半までは凱風館のできる過程や、作ってくれた人の紹介が多かったので、内田樹ファンには楽しいと思う。
    後半からのアジール、公共の家、母港、教育の目的はいつもの内田節で切れ味鋭いですね。

  • やっぱり、自分の家を建てたい!自分の家を建てたら楽しくて仕方ないだろうなぁ。内田樹先生の素敵な言葉も散りばめられていて、癒しの一冊♫

  • 内田樹さんの本は、こちらが言いたいと思っているけど上手く言葉にできないことを、さらりと書いてくれるので、とても参考になる。
    この本も、「住まい論」となっているが、それにかこつけて社会の在り方にまでやさしく踏み込んでくる。
    内田さんの本を読んで安心できるのは、決して他人を罵倒しないところ。
    意見の合わない相手に対しても敬意を払い、論を尽くす。笠に着て上から目線で相手を恫喝するよなことは決して言わない。
    その上品さがいいなあ、と思う。
    どっかの下品な政治家とは人間の器が違うのだ、と思う。

  • 美山の杉、木造建築専門の中島工務店、左官屋さんや瓦職人などなど、おうちの材料を提供した方から、おうちを作った人、おうちに出入りする書生さんまで登場します。モデルルームのような無機質な紹介ではなく、人の顔が見える紹介の仕方でした。

  • 神戸女学院を定年退職した内田樹さんが、神戸に合気道の道場と能の舞台がついて自宅を建てる顛末。1階に道場と舞台、2階が住まい。自宅のための木材を捜しに山へ出向き、瓦や左官の職人さんと出会い、能の舞台の背景を描く画家と出会い、そんな家づくりと内田さんの家について、合気道や能についてのポリシーを語る。

  • オープンハウスのときのことを思い出しました。
    また凱風館に行きたいです。
    まだ一度も麻雀してないし!
    いい写真がたくさん載せられていましたが、いちばん感動した写真は、山本画伯が老松を描いている写真でした。

  • 神戸女学院を定年退職したウチダ教授が、念願の道場兼自宅を建てる経緯を綴ったもの。当然の事ながら、その住まいそのものや建築に至るプロセスは、教授のものの考え方を形にしていくことになるわけで、とびきり面白い読み物になっている。写真もたっぷりで楽しめる。

    こういう「オジサンが楽しげにしている図」を気持ちよく読めるものは珍しいなあと思う。ずっと武道家のイメージといえば「家父長的・権威的・男尊女卑・右翼的…(以下同様のフレーズがまだまだ続く)」であったが、そういう匂いが全くない。

    道場の名前「凱風館」は「詩経」の一節「凱風南より彼の棘心を吹く」から採られたそうだ。
    -初夏のそよかぜは南から吹いて、あの硬い棘(いばら)の若芽を育む-
    うーん、いいですねえ。冷え冷えとした風ばっかり吹きつのる昨今のこと、じーんと来ます。

  • いやはや、よく色々な人たちがあつまるよね。さすが、内田一家。

  • 例によっての「内田節」。
    凱風館設立の経緯を軸に、氏ならではの住まい論を展開。

  • 内田さんの道場件家の出来上がるまでの記録。話題は建築や道場への想いや理想はもちろんのこと、林業、消費者のモラル、エネルギー問題、教育者など、なるほどと言うことも多く、家を建てるとは人間性も露にするものだと納得。

  • グローバル化して国単位で専門の職能を果たすという夢の危険さは、3・11でみんなが分かって来ていると思うのですが、この本の中にある、ありもので何とかする力への信望は、刮目して見るべきだと思います。
    左官や瓦職人の技を生かし、家付き道場兼能舞台を作る話は読んでいてわくわくするし、設計者をどうやって選んだかのくだりなんて、小説みたいです。道場作りのドキュメント映画を撮れば良かったのにと惜しまれます。

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ぼくの住まい論の作品紹介

執筆、稽古、宴会、寺子屋、安眠-やりたいことをかなえる「居場所」のつくり方とは?神戸の一隅、80坪の敷地に建った「凱風館」。「教育の奇跡」を信じ、次世代へ贈り物をするために、ウチダが考え抜いた住まいの思想的背景に迫る一冊。

ぼくの住まい論の文庫

ぼくの住まい論のKindle版

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