北海タイムス物語

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著者 : 増田俊也
制作 : 一丸 
  • 新潮社 (2017年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103300731

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北海タイムス物語の感想・レビュー・書評

  • 清々しい読後感に満たされながら、レビューを書いています。
    うん、いい物語です。
    舞台は北海道に実在した新聞社「北海タイムス」。
    実は著者の増田俊也さん自身が、新卒でこの北海タイムスに入社し、記者としてのキャリアを出発させています。
    そのため、当時の社内や周囲の状況はまさに微に入り細を穿つような詳しさで夢中で読み耽りました。
    主人公は、北海タイムスの記者として社会人生活のスタートを切った野々村巡洋という青年です。
    しかし、野々村は希望した取材記者ではなく、整理部に配属され、内心、不貞腐れて仕事をしています。
    直属の上司である権藤は野々村に殊の外厳しく、指示されるまま原稿に見出しを付けて渡しても、丸めてゴミ箱に捨ててしまいます。
    野々村は悔しいのと自分が情けないのとで何度も人目の付かないところで涙を流し、何故、自分がこんな目に遭わなければならないのかと呪詛を吐きます。
    さらに給与は超が付くほど安く、同僚の中には食い詰めて休日に日雇い仕事に行く者もあるほど。
    まさにワーキングプアという表現がぴったりです。
    にも関わらず休みはほとんどなく、連日、12時間を超す超過勤務が続き、社主催の花火大会やマラソン大会などのイベントにも無償で駆り出されます。
    今だと、間違いなく「ブラック企業」に認定されるでしょう。
    そんなわけなので退職者が続出し、各部署とも欠員状態が慢性化しており、それが社員に一層の負担を強いる悪循環に陥っています。
    野々村自身も酒におぼれ、女にはフラれと、光の見えない鬱屈した日々を送っています。
    ただ、野々村の同僚や先輩の中には、貧乏をものともせず明るく立ち振る舞っている人がたくさんいます。
    何より、野々村の直属の上司である権藤を含め、北海タイムスに勤務するほとんどの人間が北海タイムスを愛し、プロとしての自覚を持って仕事をしています。
    そして、あることがきっかけで、野々村も前向きに仕事に向き合い、「新聞人」としてまさに成長を遂げんとします。
    ここが本作の白眉で、読んでいて胸が熱くなりました。
    これから読む方の興趣を殺ぐことになりかねませんので、詳しくは書きませんが、仕事に前向きになった野々村が新聞の歴史や制作について学ぶ場面は、著者の豊富な経験と膨大な知識が生かされていてまさに圧巻でした。
    最後は感動で目頭が熱くなりましたね。
    実は、自分はかつて業界紙で記者をしており、旭川支社勤務の時に「北海タイムス」のM記者と親しくなりました。
    また、年配のK記者には、報道用の駐車スペースに車を止めていて怒鳴られたことがあります。
    女性のA記者は小柄なのにパワーがあって、タイムスを退職後は道新、そして朝日へと移って活躍している由。
    そんなわけで親近感も手伝って充実した読書となりました。

  • 怒涛のワーキングプア
    ものすごく過酷な職場
    北海タイムス
    実在した会社だそうです
    とても面白かったけど疲れました
    あまりにすさまじくて
    新聞発刊の苦労が身に沁みました

    ≪ 熱血は どこから生まれる 愛情か ≫

  • 請求記号:913.6/Mas
    資料ID:50087361
    配架場所:図書館1階東館 め・く~る

  • 増田さんの作品はリアリティが輝いていておもしろい。

  • あの素晴らしい青春小説の「七帝」の続編であり、北大柔道部を卒業後今はない北海タイムスに入社した著者の自伝的小説である。「木村」「VTJ」も好みであり、著者のファンとして、発売日当日に待ち構えて購入した。しかしながら、読了が今になっていることからわかるように、悪くはないのだけど、どうもいまいち乗り切れない。1980年代の熱い新聞社の一昔前の職業・お仕事小説なのだが、登場人物・展開が類型的だし、「会社ごと丸ごと愛す」という心情もわからなくはない。だが、やはり古い・・・(そのひと昔前の熱さがこの小説の魅力だとわかっていても)、と思ってしまう。むしろ、七帝のその後の柔道部の仲間たちの柔道部での話を読みたいのだが・・。

  • 新聞の存在価値はあるのか疑問に思っているが、地方紙が必死で生き残りをかけていた当時の精神を大切に、横並びではない記事で紙面作りをしてほしい!

  • 労基の方がお読みになった時の対応は想像に難しくありませんが、こんな世界もあるのも現実なのかも。

    例えば新たにビジネスを立ち上げようとされている若者は、今でもこんな生活をしているかもしれませんね。
    他人に強制する気は毛頭ありませんが、ここまで仕事に若いうちに打ち込めたら、この先何があっても超えていけそうです。

    私にとっては前向きな気持ちになる本でした。

  • 2017.10 理不尽すぎる会社生活にリアリティが感じられないし、途中で描かれていることが散らかったままな感じで、中途半端に感じてしまいました。七帝柔道記は理不尽ながら印象に残る小説だったのに。

  • 年号が昭和から平成に変わる頃の地方新聞社が舞台。著者が実際、元新聞社の記者だから当時の過激な働き方を表現した作品のようです。

  • 全国紙の採用試験に落ち、やむなく北海道新聞社北海タイムスに入社した野々村巡洋。
    同業他社の6分の1の給料に4倍の就労時間。
    もはや無くなってしまった実在の新聞社を舞台に、主人公の成長と青春が描かれます。
    似たような業界にいたので、共感するところ満載です。
    仕事ってこうだったったなぁと、とにかく熱く読ませます。
    全く違った仕事をしていても、主人公や周りの人々に共感すること間違いなしです。
    超お勧めです!

  • 「七帝柔道記」の続編的小説。今は無き新聞社・北海タイムスを舞台にしているものの、新入部員が新入社員に置き換わっただけで、出てくる人々もノリもほとんど「七帝柔道記」のような体育会系青春小説です。新聞社がどのように毎日新聞を作っているのか、その組織の動いている様を垣間見ることができるのも興味深いところです。現在の地方紙がどうなのか分からないが、登場人物達は今風に言えばあからさまにブラック企業な働かされぶりです。ですが、クラブ活動のように会社を愛して仲間と留まる様がまさに「七帝柔道記」と言えなくも無い。本作の主人公は著者の増田さんではなくなっているけど、北大柔道部中退の新入社員「松田」として登場します。

  • この作者らしくとにかく熱い小説。1960年代くらいの話かと思うくらい。整理記者の話は新聞社の内部が知れて面白いが、仕事に情熱を注いでいる人たちが、こんな過酷な状況でなぜ北海タイムズという会社に執着するのかいまいち理解できない。同じ仕事が他社でもっと良い条件でできるのに移らないのを格好良いとしているが、それには違和感を感じた。

  • 増田俊也はいつも理不尽の先にある真実を描きます。バーリトゥード、高専柔道、そして今回はジャーナリズム。相変わらずど真ん中じゃなくて、地方紙の、そして地方のNo.1紙じゃなくて、それも取材記者ではなくて整理部員という隅の隅の物語。そこも最果てではなくてその先に印刷、販売という新聞にとっては欠かせない役割を背負った新聞人たちが存在するのです。物語の舞台が北海道という最北のエリアであることや白系ロシアやアイヌの血を受け継ぐ登場人物によって差別というテーマへの向き合いも強く押し出されていました。社会をつくっている今まで会っていなかった人間との出会いによって、その無言のプロフェショナリズムの影響によって、少年が大人になっていく、という成長譚は「七帝柔道記」でおなじみの著者の最も得意とするところ、わかっていてもラスト不覚にも目が潤んでしまいました。またラストスパートでの新聞学講義はそれだけスピンオフでまとめて欲しいです。ただ高専柔道と同じようにジャーナリズムに対しても滅びゆくものの挽歌になっていないか?と心配になってしまいました。とにかく「働き方改革」という言葉の徹底的な逆。もはや神話?

  • 面白かった。先輩の言葉が熱いし泣ける。海難事故の話も実話なんだろうか。
    北海タイムス事件の法廷も熱かったんだろうなぁ,と読み返したくなる。

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北海タイムス物語の作品紹介

会社の愛し方、教えます――ダメ社員の奮闘を描く、共感度120%の熱血青春小説! 全国紙の採用試験に落ち、北海道の地方紙に入社した記者志望の野々村。破格の低賃金、驚異の長時間労働、超個性的な同僚たち……しかし、新たな世界での出会いが彼を変えていく。『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』『七帝柔道記』の著者が、休刊した伝説の新聞社を舞台に仕事人たちの魂のぶつかり合いを描く、お仕事小説の新たなる金字塔。

北海タイムス物語のKindle版

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