救命―東日本大震災、医師たちの奮闘

  • 242人登録
  • 3.97評価
    • (19)
    • (29)
    • (14)
    • (2)
    • (1)
  • 41レビュー
制作 : 海堂 尊 
  • 新潮社 (2011年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103309215

救命―東日本大震災、医師たちの奮闘の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 語り部は、東日本大震災の現場にいた医師9人。

    目の前で命を失っていく様子を目撃した人もいた、
    家族と離れ離れのまま、互いの生死も不明のままの人もいた。

    そんな、現場にいたからこその内容となっています、
    わずかな判断の差が生死の境目となる、冷徹なまでの現実。

     “修羅場では物事の本質が露わになる。社会の本質はまず医療ありき、なのだ。”

    あくまでも、いのちを救い、死を悼むのが、医者の本分とされていますが、
    これはもしかしたら、医者に限った話ではないのかもしれません。

    “いのちに寄り添う”ことは、誰にでもできる事ですから。

    今は震災後の世界ですが、まだ終わっていない、、
    そんな事をあらためて考えさせられた、一冊でした。

  • 「海堂尊」で検索をした時に出てきた本。
    彼が編纂者として名乗ることで、この本を手にした人も多いかもしれない。
    それが彼の功績でしょう。

    私もまさにその通りで、タイトルと作者名から「速水先生だ!」「ジェネラルがこの非常事態に黙って自分の職場だけに留まるはずがない!」と、
    現実と物語を混同し、速水先生の物語を読むつもりで借りた。

    中身は被災地で活躍した医師9名のインタビューをまとめたものだ。

    当時のお医者さんたちの奮闘が生々しく伝わってきて、涙なくしては読めない。

    特に歯医者さんの検視は初めて知り、大変気持ちが熱くなった。

    本当に多くの人々があの大震災に向かいあい、支えあったのだなと改めて思う。

    後書きに案の定、海堂先生のAi話題がある。これまで物語の中でこれほど画期的なAiが様々な障壁により導入されないくだりを読んできたが、あれはフィクションではなくノンフィクションであることが記されていた。

    なんでそんなにイイモノが未曾有の災害でも使われないのか?本当に利権や欲だけの問題なのか?とても不思議だ。

  • メモ
    P98 我慢強いとか、辛いことがあってもあまり心を表に出さないことをある程度美徳としているようなところが日本人には昔はありました。東北地方は特にその傾向が強く、今もお年寄りには、黙って我慢しながら我慢しきれなくなったら自殺するというようなところが残っています。我慢強い分、それが破綻した時には、極端に反応してしまう。

    - - - - -

    P128 医療を維持する人たちって、ほとんどがお金儲けをしようなんて思っていない。

    - - - - -

    P151 山形県の歯科医の方々は訓練を繰り返してきたのだと思う。警察医としての意識が高い。何も説明しなくても、速やかに行動をとってくれた。

    てんてこ舞いしている中、服装、天気など自分で調べられることまで聞いてくるのはだいたい首都圏に住む方たち。

    関西圏の先生方は、決してそんなことは言わない。阪神淡路大震災を経験しているだけに、目に見えない心遣いを感じた。

    - - - - -

    P173 災害時には被災地における医療を統制る事が大事。問題なのは、医者自身が統制されるのを嫌うこと。自分の意思で動いてしまう。これをまとめる機能が、医療の世界にはない。

    - - - - -

    P178 阪神大震災では外相が多かったのに対し、今回避難所などでは内科的疾患がほとんどだった。災害はそれぞれ被害の形態が異なる。すべてひとつの「災害マニュアル」という形で対応できるのかを再考する必要があるのではないか。

    - - - - -

    P237 精神科医が心のケアを始めるという。「何かニーズはありませんか?」と聞かれ「自分も被災者なのに支援や救助活動にまわらなければならない人たちをフォローしてほしい」と話した。すぐにでも始めてほしかった。5月半ばには100人以上の対象者全員が終了した。

    P238 「柳に枝折れなし」風が吹けばなびけばいいし、大事なことは幹からもげないこと。

    やはり被災者は被災者どうしのなかで癒される

    - - - - -

    P248 震災から4カ月。被災地復興は次のステップに入っている。これからは、長くうんざりする不毛の戦いのフェーズに入る。ちょっとした言質をとがめ、誰かを悪者にしたり、功績を独り占めしようとする連中が跋扈(ばっこ)したりもするだろう。

    戦いをさらに熾烈なものにするのが、被災しなかった人々の無関心と鈍感さなのだ。

    - - - - -

    P249 現地の行政人は「総務省の対応は早い、厚生労働省がサイアク」だという。「それよりもさらにひどいのは財務省だ」と公言する。そうした声は社会に届かない。メディアが官僚批判を報道しないからだ。【批判のない世界は腐ってしまう】

    - - - - -

    P250 被災地の状況は刻一刻と変わり、要望もまた時々刻々と変化する。スピードは愛である。

    - - - - -

    P252 人は天災で殺される。だが、生き残った人の心を殺すのは、他の人たちの鈍感さである。その鈍感さは、現状維持、という安寧を好む。

  • 3.11の時の記憶が呼び起されるので、まだ傷が癒えていない方にはオススメしません。
    あの時、どんなことがあったかこんなにも覚えているものなんですね。
    医療に携わる様々な立場の医師9人のお話です。

    1番最初の、南三陸町の菅野武先生のお話が涙なしには読めませんでした。
    医師である前にこの人たちも一人の人間で、逃げ出したい気持ちだってあるのに、
    あんな状況で一人でも救おうとしてる姿に心打たれました。

    中には、ただの自慢話を書いてる人もいました。
    自分がどれだけ頑張ったかってことばかり。
    その章は読まなくていいと思います(笑)

  • ところどころ、あまりにも主観的過ぎると思いながら、思わずそうならざるを得ないほど深い悲しみや絶望やそういったものをひしひしと感じた

  • 東日本大震災で自らも被災者でありながら医師として活動した医師たち、応援に駆け付けた医師たち、それぞれの聞き語り。
    診察する患者とつらい体験を共有することで自らも癒されたという医師。
    検視・身元確認のためにデンタルチャートを黙々と作成する歯科医師。
    これらの記録、読んでよかった。

  • 東日本大震災で奮闘した医師たちへのインタビュー集。それぞれの立場で目の前にいる被災者たちと向合った姿が、医師たちへの淡々としたインタビューにより語られる。こういう風に、1人1人の声をちゃんと聞けることってすごく少ないし、また、収められているインタビューに特に演出がないので、すごく読んでいて腑に落ちる。気持ち良い。やっぱり、マスコミでの取り上げられ方とは随分受ける印象が違う。
    日本ではこういうインタビュー集の本って結構すくないけれど(「アンダーグラウンド」くらいしか思いつかない)、この本のインタビューのまとめ方のクオリティは相当高い。

    でも、海堂氏の「いのちを救い、死を悼む」は不要。余計な主張が入ってしまったことで、その前にある医師たちの声が完全に台無し。不必要に劇的な文体だし、医師を礼賛する一方でそれ以外の組織を敵としてたたく文章は真摯さに欠け、読んでいて気持ちいものではない。

  • あの震災からもうすぐ1年が経つ。暫く積読だったが「いま読まねば!」と奮起して読了。医師たちの奮闘は、タイトルの「救命」ではなく、被災者と共に生きる「共生」と「追悼」であった。中でも、精神科医師の心のケアと、歯科医師の検死がとても重要だったことを知った。乳歯・混合歯列の検死の切なさに涙。そして、本書に登場するどの医師も、医療と真摯に向き合っている。救急指定病院でありながら、救急搬送患者を選り好みするような実態を側聞することがあるが……そんな病院・医師はごく一部なのだと思いたい。

  • うーん……結局海堂さんの政治批判とAi推進のための本、という印象になってしまったのが残念。自らも被災した医師などへのインタビューが纏められた良書なのだけど。

全41件中 1 - 10件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

救命―東日本大震災、医師たちの奮闘に関連する談話室の質問

救命―東日本大震災、医師たちの奮闘に関連するまとめ

救命―東日本大震災、医師たちの奮闘を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

救命―東日本大震災、医師たちの奮闘を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

救命―東日本大震災、医師たちの奮闘を本棚に「積読」で登録しているひと

救命―東日本大震災、医師たちの奮闘の作品紹介

彼らが、最後のライフラインだった-津波が全てを奪っても、命の可能性を信じ続けた九人の医師たち。生と死を分けた凄絶な現場を初めて語る、感動のドキュメント。

救命―東日本大震災、医師たちの奮闘のKindle版

ツイートする