「本屋」は死なない

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103313519

作品紹介・あらすじ

東京の商店街でわずか五坪の本屋「ひぐらし文庫」をはじめた原田真弓。「電子書籍元年」を迎えて「紙の本」の優位性を述べる論客、ジュンク堂書店の福嶋聡。和歌山の「人口百人の村」でイハラ・ハートショップを営む井原万見子。岩手・さわや書店の元「カリスマ」伊藤清彦と、その"弟子"田口幹人、松本大介。"普通の本屋"を追求し実践する鳥取・定有堂書店の奈良敏行。名古屋の「大きな壁」、ちくさ正文館の古田一晴…。街から書店が次々と消え、本を売るという役割が小さくなりつつあるなかで、彼らのような「本屋」が「本屋」でありつづけるべき意味とは-?"あきらめの悪い"「本屋」たちを追う。

感想・レビュー・書評

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  • 「あの人にどうしても届けたい本がある」。そう思った時点で実は誰もが「本屋」なのだ。たとえこの世から書店が消えようとも、人の手に本を手渡す。その想いが潰えない限り本屋は死なない。
    では、“本”じたいが消えてしまったら?そんな心配は必要ないだろう。人間が人間であり続ける以上、絶対に本はなくならない。断言してもいい。書くことは生きることだから。

  • ふむ

  • 日本での出版物の売上高の推移のデータを調べてみた。
    2006年に2.5兆円だった売上高が、2018年には、約1.5兆円になっている。10年強で、1兆円、40%の売り上げ減、完全な斜陽産業だ。
    本書「”本屋”は死なない」は、書店員や書店主たちの姿を描いた、ノンフィクション。全部で8人の書店員、書店主が取り上げられている。
    最初に、ここ10年間程度の出版物の売上高の状況について、数字を挙げたが、実際の「本屋」を取り巻く環境は、もっと厳しい。例えば、私自身を取り上げても、書籍名の分かっているものは、たいてい、Amazonで取り寄せるか、電子書籍で読む。書店には、よく行く方だけれども、それでも月に2回か3回程度。私自身の本の購入額のうち、本屋でのものは、多分、半分もない。だから、上の数字の1.5兆円のうち、実際に本屋での売上は、更に相当少ないはずだ。
    となると、本屋の付加価値って何?っていうことになってしまう。
    私が本屋に行く理由は、「知らないけれども、面白そうな本」を見つけるため。読書が好きな方だったら経験あると思いますが、本屋、あるいは、図書館でも同じですが、何故か、これは絶対に面白いという勘がはたらく本があると思います。それを探す場所が、書店であり、図書館だというのが、私の考えです。勘は当たらないこともありますけど、それも含めての本屋体験です。

  • 本の本
    書店

  • 最終的に答えが出ているようなそうでもないような、注目の本屋さんをめぐる旅?「全国に千店」…本当はそれぞれに商いが成り立つようなものだといいのだけれど。小売りの危機はとくに地方では本屋さんに限らないのかも。

  • 本を売ることに大なり小なり、いろいろな苦労があることを感じさせれつつも、個性的な書店員、魅力的な書店の存在に驚かされた一冊。

    自分にとって本屋は目的の本を買うところでしかなかったから、棚の在り方やPOPの作りとか意識したことなかったけど、今度はそういったことを気にして本屋に行ってみよう。

  • う〜ん。紙の本と電子書籍。。。これからの書店のあり方について考えさせられるなあ。。。

  • 『明けても暮れても本屋のホンネ』の版元で働いていた頃、駆け出しの営業マンで右も左も分からず、随分と書店さんに迷惑をかけた。そして随分と勉強させてもらった。未だヨチヨチ歩きだが、多少なりとも恩返し出来ているのだろうか?それさえもおこがましい考えなのかな?読了し、背筋が伸びた。

  • いまや世の中からどんどん淘汰されなくなりつつある”本屋”と個性ある棚作りによって店舗に来る事に意味を作ろうとする”書店員”のルポタージュ『本屋は死なない』を読了。

    著者は出版業界紙”新文化”の元編集長で業界に精通しているフリーランスライター石橋毅史がカリスマ書店員といわれながらも店を離れ自分で自らの店を始めたり、店をリードする店長でありながらも経営上の理由からリストラされたメディアにも取り上げられていた書店員、また過疎地で地元の人たちが買い物をする食料品・生活用品店と本屋を合体させたユニークな小型本屋を経営しながら地元で本の魅力を伝えるべくほんの読み聞かせを様々な場所で行っている書店ーナー、新刊本の流通にまどわされないで自分の好きなジャンルの本を売る事が出きるとして古本屋を始めた書店員など本を売るという事の魅力にはまった人たちを訪ねて日本各地を取材して書き上げたルポタージュである。

    電子書籍が出現し、アマゾンなどのネット販売がどんどん幅をきかせてきている今の時代で、大手出版社は売り上げデータをもとに書店に売らんがための本をどんどん送り込んで来る時代に、自分の感覚・考えで売れる棚作りを独自にすすめ自分が売りたい本を売りたい書店員のかかえるジレンマとそのユニークな戦いぶりを知る事が出来る。

    本の流通のデータに自分の想いに反してでも売るべき本を指示されて棚作りが勧められている「顔の見えない書店」だる大手チェーンがいま世の中を席巻している。そういったチェーンにに勤めている書店員の中にも自分が伝えたい本というものがありジレンマを抱えながらもささやかな抵抗をしている人が居るだろう。だがジュンク堂のような書店員の才能を生かす経営をしている大手書店チェーンはまれで、データのみにたより売れ行きの本を集める店舗の台頭でいま多くの独立系書店の経営が難しくなっている。

    だが本の魅力を伝えたい、知らない本を手に取ってほしいからお客様がそれらの本に気付くような棚作りをする書店員ぼくら本を愛している人たち、知らないほんとの出会いを楽しんでいる人たちにとっては貴重な存在だ。だがいまの効率が求められる時代の流れの中ではそんな方達は独立系書店の生き残りが難しいいま彼ら彼女らは絶滅危惧種のようにも思える。

    でもこのルポタージュで紹介されている人たちの奮闘ぶりと意識の高さを考えると真の書店員の将来は明るくはないが光明が全くな訳でもないようだ。それは図書館においてその才能をいかすことだったり、すぐ絶版になってしまういまの出版のありかたのなか古書と新書を組み合わせた店舗作りでの才能を生かすことだったり、生き残りをかけ絶滅危惧種である意識の高い初手員の連携による独立系書店同士のサポートだったりする。

    たとえばいまBOOK OFFの経営難が伝えられているが、本を愛している書店員たちの力を活用する事によって店舗の活性化ははかられるのでは、また地方自治体が例の蔦屋書店を運営するカルチャーコンビニエンスクラブに図書館運営をいらいすることで起こっているトラブルも外注してしまう前に近くに自治体にある顔のある書店の書店員の力を結集して予算を多く掛けなくとも図書館の再生ははかれるのではないか
    などなどとつまらない考えも本を読みながら浮かんできた。

    そんな真の愛すべき「本屋」を支える書店員へのサバイバルへの応援歌であるルポタージュを読むBGMに選んだのがGeorge Bensonの"Beyond the Blue Horison"。初期の作品だがかなり格好いい。
    https://www.youtube.com/watch?v=hvE1kbCC_88

  • いくつか本の本を読んできたけれど、この本が一番ガツンと来た。

    出版業界紙である新文化の元編集長が本を伝える「本屋」とはどうあるべきで、どうあろうとしているのかを各地の本屋を訪ねインタビューを行っていく。

    本書の中で「本屋」として登場する人物たちは本には何かしらの力があると信じており、本というカテゴリーではなく、一冊一冊の「本」を売る仕事をしている。

    目の前にこの本を置いて本屋のこれからについて考えることができるのも本の持つ魅力の一つだと思える。

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著者プロフィール

解説:石橋 毅史
1970年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。
出版社勤務を経て、出版業界専門紙「新文化」の記者、編集長を務める。2010年フリーランスの出版ジャーナリストとなる。
著書に『「本屋」は死なない』(新潮社)、『口笛を吹きながら本を売る』(晶文社)、『まっ直ぐに本を売る』(苦楽堂)、『本屋な日々 青春篇』(トランスビュー)、『本屋がアジアをつなぐ』(ころから)など。

「2022年 『韓国の「街の本屋」の生存探究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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