ディア・グロリア: 戦争で投函されなかった250通の手紙

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103315919

作品紹介・あらすじ

日米開戦から70年の時を経て、80歳の姉の家から見つかった45冊のノート。それは幼少期を過ごした米国での友人へ向けて書き続けた、手紙仕立ての日記だった。大好きな「敵国」に思いを馳せつつも連日の空襲に苦しむ日々…。戦後は戦争裁判の通訳を務めた姉の人生をジャーナリストの著者が追った。

感想・レビュー・書評

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  • 『本の紹介』
    では、「ディア・グロリア」
     副題が「戦争で投函されなかった250通の手紙」

     幼少期を米国で過ごした姉は、戦時下の日本で過ごす苦悩を親友、グロリアに綴った。
     60年後に発見された手紙を実弟が紡いだ感動の記録

    『司書日記』
    今日は1時間目から6時間目まで、一日中図書室にて授業がありました。
    1・2・3・5・6時間目は音楽、
    4時間目はフードデザインの授業でした。
    一日中授業で使っていただけるというのは、ありがたいことなのですが、
    私ごとで申し訳ないのですが、ワタクシのお昼ごはんが・・・。
    昼休みになるとすぐ生徒がやってきますので、
    食べる時間がない・・、と思っていたところへ
    4時間目、12時前だったでしょうか、3年生女子が一人来たのです。
    3年生は最後の試験も終わり、次の登校日は3月22日なのですが、
    この子は図書室の常連さんだった子で、登校しなくてよくなった今でも時々きて、いろいろとお手伝いをしてくれます。
    「えっ、授業中?違う所へ行った方が良い?」と聞くので
    「ううん。助かった。助けてくれる?」と聞くと
    「うん。いいよ」と言ってくれましたので、
    彼女にカウンターを任せ、コピーがきたらコピーしてね、と伝え、急いでパンを買いに売店へ。(いつもお弁当なのですが、こんな日に限ってお弁当を作ってこなかったので)
    パンさえあれば、4時間目が終わってからサササッと食べられます。
    そして5時間目は、音楽の授業を抜けてきた(図書室にてのグループ)を彼女に任せ、灯油をもらいに行ったり、職員室に行ったり、ができました。とても助かりました。
    この子以外にも、今日は3年生が多く来ました。
    進学する大学等の宿題をしに来た子、
    そして、第一希望の大学に合格したと報告しに来てくれた男子生徒。これはもう、とても嬉しかったです。
    わざわざ、図書室に報告しに来てくれる、その気持ち
    大変大変嬉しくありがたく思います。
    高三男子なのですが、両手で頭をなでてしまいました。
    司書というより、こんな時はもう近所のおばちゃんになります。

  • ディア グロリア

    木村太郎というジャーナリストが、あなたの行方を捜し当てた
    時、既にあなたは天に召されていた。何故、あなたを探したか。
    それはね、彼のお姉さんの日記にあなたの名前があったから
    なの。

    木村利根子。あなたたちが「トニー」と呼んだ日本の女の子
    を覚えているでしょう。トニーはあなたに宛てる手紙という
    形式で日記を綴っていた。

    銀行に勤める父親の仕事の関係で、少女期の7年間を
    バークレーとニューヨークで過ごしたトニーは国籍こそ
    日本だけれど、すっかりアメリカの生活様式が身に
    着いていた。そうして、ニューヨークであなたに出会って
    親友になった。

    でも、時期が悪かった。日本は戦争に突き進み、あなたの
    国・アメリカにも戦争を仕掛けた。だから、トニーはあなたの
    目の前からいなくならざるを得なかった。

    トニーが戻った日本は、これまでのアメリカでの生活からは
    考えられないほどの耐乏生活の真っただ中。甘いドーナツ
    やキャンディもなく、クリスマスを祝うことなく、男の子たち
    とのデートなんてもってのほか。

    生まれた国のはずなのに、トニーはなかなか日本に馴染め
    なかった。だから、自分の本当の気持ちを打ち明ける為に、
    「ディア グロリア」で始まる日記を書き始めた。母国語より
    も自由に使いこなせる英語を使って。

    日本とアメリカの間で揺れる心。日本人として生きなくては
    いけないという決意。そして、自分の将来。誰にも言えない
    本当の想いを、あなただけに向けて書き続けた。

    敵国であるアメリカにいるあなたに宛てては、本当の手紙が
    出せなかったのだもの。でも、それも1945年8月15日で
    終わった。そう、終戦の日をもってトニーの日記からは
    「ディア グロリア」の文字が消えた。

    流暢に英語を話すトニーは、戦時中は軍部にその英語力を
    見込まれで対米謀略放送に出演させられ、終戦後は横浜
    で行われたBC級戦犯裁判の通訳として進駐軍に雇われた。

    ずっとずっと、日本とアメリカの間で揺れ動いたトニーの日記。
    そこには謀略放送の台本や、戦犯裁判の資料も含まれていた。

    だから、彼女の弟は姉の人生を一冊の本にし、その過程で
    あなたの行方を追った。でも、残念ながらあなたはもうこの
    世にはいなかった。

    ディア グロリア

    トニーはずっとあなたのことを忘れなかった。そして、あなたも
    生前「日本人の親友がいた」と語っていたのを知って、なんだか
    嬉しくなった。

    ディア グロリア

    この本が出版された数年後、トニーもまた天に召された。
    グロリア、トニーを探してあげて、きっと、きっと、あなたに
    話したいことがいっぱいあるはずだから。そう、勿論、
    英語でね。

    ディア グロリア

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著者プロフィール

大阪芸術大学芸術学部講師/イタリア美術史

「2021年 『天空のアルストピア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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