楽園のカンヴァス

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著者 : 原田マハ
  • 新潮社 (2012年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103317517

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楽園のカンヴァスの感想・レビュー・書評

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  • アンリ・ルソーって、けっして好きな画家じゃなかったのに
    頁をめくる手が止まりません。

    倉敷、ニューヨーク、バーゼル、パリ。
    2000年、1983年、1906年。
    時間も場所も飛び越えて交錯する、壮大な謎と運命の物語。

    ブクログ仲間さんたちが絶賛されていたこの本。
    すぐ図書館に予約したのだけれど半年たっても届かず、
    それでも気になる原田マハさんの本を、『キネマの神様』、『旅屋おかえり』など
    周りからじわじわと迫るように読み進めてきました。
    キュレーターという経歴から、理知的で冷静な物語世界を予想していたら
    思いがけずぽろぽろ泣いてしまうような温かい作品ばかりで、すっかり虜になって。

    そして、ついに届いた『楽園のカンヴァス』。
    こうに違いない!と思っていた、「キュレーターだった原田マハさん」がいました。
    しかも、絵画への深い洞察と知識の上に、溢れるような情熱と愛を纏って。

    食事に事欠いても、絵を描き続けずにはいられないルソーと
    貧しい暮らしの中でカンヴァスや絵具を買って届ける、ジョゼフとヤドヴィガ。
    内なる情熱を作品として生み出さずにはいられない芸術家と
    その美しさを崇拝し、守り、永遠に遺さねばと思う人々。

    生み出す人と、守り伝える人、という図式は
    いつしか新しい命を宿し、力強く育てていくヤドヴィガや織絵の物語にも重なって
    この世に生まれ落ちるすべてのものは、等しく尊いのだと訴えかけているようで
    胸が熱くなります。

    もし本当に『夢をみた』という作品が存在していたとしたら
    その絵の中のヤドヴィガは、すっと伸ばした左手に
    秘密だけではなく、情熱だけでもなく
    未来への希望を握りしめているのです。きっと。

  • 予約してから届くのが長かった(^^ゞ 届いて果たして・・・

    芸術や美術品には詳しくないから、他の方のように
    楽しめるのか、とっても不安でした。
    私に理解が出来るのかな?格式&敷居が高いのでは?
    とも思いました。そして初の原田マハ作品。


    でも心配ご無用で、中盤からぐいぐい引きつけられて
    後半は感動して泣けて、胸は熱い想いでいっぱいになるし
    読書スランプもぶっ飛んでいきました。

    アートの力ってすごいね。
    今年読んだ中で一番かも。


    『芸術家のミューズ(女神)になり、永遠に生きる』

    なんて、素敵な物語なんだろう。
    ひと言で言い表すなら・・・もう感無量。
    読了後、感動してブルブルして感想書けませんでした。
    落ち着いて一呼吸置いてからじゃないと無理、で
    今落ち着いてから書いてます。
    書ききれない想いが胸にいっぱいで、どうしましょ。

    スピンオフみたいなの書いてくれないかな~。

    本当に最高の【楽園】でした。ありがとう!原田さんって神だ。
    直木賞あげたい。

  • ──なんとスケールの大きな小説だろう。言葉が出ないほど幸せな気持ち。心が震えた。
    こんな素晴らしい作品に出会えたことを誇りに思う。ブクログの皆様に感謝。

    アンリ・ルソー。
    不思議な色彩と変わった構図の絵を描く画家だという認識しかなかったが、この本を読み終えたとき、この表紙にもなっている彼の「夢」の絵をみると愛おしさを覚えるほど好きになった。
    文章を追いながらも、絵画のタイトルが出ると、すかさずパソコンで検索しその絵を実際に画面で見ながら小説の続きを読んだ。
    ルソー展が開催されたら、絶対見に行きたい。
    そんな読後感を抱かせてくれた稀に見る秀逸な作品。
    読み初めからページを捲る手のスピードは一向に衰えず、期待に胸を高ぶらせながら、最後まで読み終えた。
    そして訪れたなんとも言いようのない満足感と、感動。
    自分という人間が、一回り大きくなれたような感さえ覚えた。

    表紙にもなっているルソーの絵画「夢」をモチーフに繰り広げられる、キュレーター(学芸員)の世界。
    今では一介の監視員に身を落としてしまった織江とMOMAのアシスタントキュレータであるティムとの真贋対決。
    だがそれは本来、彼女と彼の二人の対決になるはずではなかった。
    まさに偶然と奇跡が起こした、でも必然であった運命のめぐりあい。

    数十年前、ピカソ、ルソー、アポリネール。パリはまさに芸術の炎で燃えていた。
    この絵は本物なのか? 
    その謎を解く鍵は、絵の所有者によって提示された七章からなる古書を読み解くこと。
    それを毎日一章ずつ読んでいく。
    ああ、なんと1日の長いことか。時の流れのもどかしいことか。
    この古書は誰が書いたのか。
    章の最後に書かれた謎めいたキャピタル(大文字)は何を意味するのか。
    最後まで読み終えたとき、どんな綴りになるのか。
    もう、考えただけで胸が躍り、とまらなかった。

    「古書」から伝わってくる数十年前の古きパリの日常、あるいは熱情。
    私は完全に感情移入して物語に入り込んだ。織江になりきって。ティムになりきって。
    一週間後、最後まで「古書」を読み終えた二人の出した答えは。
    驚くべきティムの解釈。それは織江を思いやる優しさゆえだった。
    これを愛と呼ばずしてなんと言おう。
    対して織江の出した答えは──。
    この場面、胸が熱くなるほどの二人の絵画に対する愛情が伝わってくる。
    感動で心が打ち震え、唇が乾いた。
    そして二人のルソーへの愛情は十数年後の再会への糸口へとつながっていく。
    それはこの絵画に向き合った1週間、ともに「古書」のなかの同じ空気を吸い、夜会を共にし、ピカソに出会い、ルソーを心から尊敬し愛したティムと織江だけに共有できる思い、信頼が芽生えたからこそだ。
    ルソーに愛されたヤドヴィガのように絵画の形としては永遠に残らなかったけれど、織江とティムの二人は永遠を生きたのだ。

    うーむ。自分でもまどろっこしい。
    この感動をどう他人に伝えたいのか上手く表現できない。
    もっと書きたいことはやまほどあるが、それを書いたら優に一週間はかかる。
    それほど素晴らしい小説です。
    是非是非みなさまご一読ください。手元に置いておきたい珠玉の名作です。

    読み終えた今は、しゃかりきになってルソーの絵画をパソコンで検索して眺めています。
    もはや私は完璧にアンリ・ルソーという画家のファンになってしまいました──。

    註:直木賞選考時、この作品のなかで瑕疵と評されたのはインターポールのジュリエットの部分だと推測するが、私はさほど重要な瑕疵だとは思わない。
    そんな瑣末なものを凌駕する壮大さをこの作品は持っている。
    重箱の隅を突くだけが選考委員の役目ではあるまい。良いものは良いと評価すべきではないか。
    素直に二作同時受賞でよかったのじゃないか?
    作家ではなく、一読者としてこの小説を評価してほしいものだと切に願う。

  • ようやく読めた。原田さんの最高傑作。

    MoMAのアシスタント・キュレーター ティムと、ソルボンヌで美術史を学び、コース最短の26歳で博士号を取得し、論壇を賑わせるオリエ・ハヤカワ。
    怪物バイラーは二人に、ルソーの「夢をみた」という作品の真贋を問い、勝者にはその取り扱い権利を譲渡すると告げる。

    現在、倉敷の大原美術館で監視員をしている早川織絵の回想から始まるスイス・バーゼルでの忘れがたい7日間の思い出。

    ミステリとしての完成度よりもこの世界観、ルソーやピカソへの優しいまなざしが心地よく、あっという間に引き込まれてしまった。

    文庫版は買おうと決めました。(お母さん、本増やしてごめんなさい)

  • アンリ・ルソーの幻の名画を前に、2人のキュレーターがその真贋について判断を下す。
    どちらの評価が正しいのか?
    真実はどこにあるのか?

    1983年、スイスのバーゼルのコレクター、バイラーに招待され
    ティムはニューヨークから、織江はパリからバイラーの屋敷に向かう。
    そこには、アンリ・ルソーの「夢」によく似た構図の作品が飾られていた。
    1日1章ずつ物語を読み、7日間かけて判断をせよと、バイラーは言う。
    果たして、その絵は真作なのか贋作なのか?
    物語は誰によって書かれたのか?内容はフィクションなのか?

    ティムに、なんとしても勝利をし、作品に関わる権利を手に入れよと、
    複数の人間がコンタクトしてくる。
    彼らは敵か、味方か?
    目的は何なのか?
    織江はどういう立場の人間なのか?
    ティムの目線で語られるシーンが多いが、誰もが怪しく、
    追い詰められるようで、ミステリーの要素もたっぷり。


    キュレーターとして、活躍していたマハさん。
    お気に入りの画家はルソーらしい。
    そのせいか、読んでいると
    ルソーに、芸術に、キュレーターという仕事に対する情熱が行間から窺える。
    実に「濃い」作品になっていて、読む側にも気合が満ちてくるような気がした。

    歴史とドラマ、事実と創作の境目がさっぱりわからず、混ぜこぜになって信じてしまい、
    後々違う解釈を見て驚いたり、がっかりしたりの私。
    今も「八重の桜」で松平容保@綾野剛クンに入れ込んで、苦しさの真っただ中にいる。

    それでも、このお話のようなルソーに愛情を傾ける人たちによって、
    芸術が受け継がれていくのなら、幸せだと思う。
    その周りの人も愛情を注いだ分だけ、神様からご褒美を頂けるような
    少しばかりの美しい真実に出会えたら、なおいいな。

    史実にしても、身の回りの出来事にしても、
    結局はある方向からの目線により語られるものであって、
    たくさんの線を引いてなぞっても、完璧に再現できるかというと難しい。
    真実とか、本当の思いとかって、どこにあるのでしょうね。
    世間を騒がす歴史ネタも、昨日のケンカの理由も
    すべてを明らかにしたいような、したくないような・・・。
    だからこそ、小説になる余地があるわけで
    まぁ、それを存分に楽しむのがよさそうです。

  • キュレーター(学芸員)だった経歴のある著者が、満を持して発表した作品。
    ルソーの名画に魅せられた人々が交錯する、凝った構成。
    絵画への愛が熱っぽく、引き込まれます。
    美術館の内幕物としても面白く、美術史の知識は余裕をもって描かれているのが、さすが。

    2000年、倉敷の大原美術館で、監視員をつとめる早川織絵は、思いがけない申し出を受ける。
    大規模な展覧会のため、アンリ・ルソーの絵を借り受ける窓口として、MoMA側から指名されたのだ。
    17年前に帰国、シングルマザーとして実家でひっそりと子育てをしていた織絵だったが‥

    1983年、スイスのバーゼルに、二人の若きキュレーターが呼び出された。
    MoMAつまりニューヨーク近代美術館のティム・ブラウン30歳。
    もう一人は新進気鋭のオリエハヤカワ26歳だった。
    大富豪で伝説的な絵画コレクター、コンラート・バイラーが秘蔵するルソーの知られざる作品「夢をみた」を見せられる二人。
    MoMAの所蔵作「夢」とそっくりな題材で、同じタッチの大作だ。
    これが真作か贋作か1週間後に講評し、バイラーが気に入ったほうにこの絵の処理権を与えるという。
    7日の間に与えられるヒントとして、毎日少しずつ古書を読まされることに。
    その内容とは‥

    ルソーの晩年、家族を失った孤独な暮らしだが、特異な作品に注目する人も出始めていた。
    近所に住む美しい洗濯女ヤドヴィガに惹かれ、何かとささやかなプレゼントや作品をあげている。ヤドヴィガは妙な絵を描く変人を最初は相手にしないが、しだいにその妙な絵にふしぎな魅力を感じ始める。
    若き日のピカソがルソーと関わりがあった様子も、いきいきと描かれていて、夢がありますね。

    世界的なオークションハウスや国際刑事警察機構まで登場、怪しげな要素が絡み合いつつ、真贋の判定やいかに?
    織絵がヒロインとするならやや説明不足で、何があったか推測は出来るけど、読者には不親切ですが~
    真のヒロインはヤドヴィガというか、彼女が入り込んだ世界、彼女の描かれた絵なのでしょう。

    芸術には人の運命を狂わせるほどの力がある。
    けれども、狂わされた運命が悪いとは限らない。ということでしょうか。
    第二の人生のスタートへ、希望の感じられる結末。

    著者は1962年生まれ。中学高校を岡山県で暮らす。
    森ビル在籍中に、ニューヨーク近代美術館にも勤務。
    2002年フリーのキュレーター、カルチャーライターに。
    2005年作家デビュー。
    この作品は第25回山本周五郎賞受賞。
    第147回2012年上期直木賞候補作。
    第10回2013年本屋大賞第3位。

  • 読み終えると雫がこぼれおちジーンとしている自分がいました。

    お話は…
    ルソーを愛するMoMAの学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅で、MoMAが所蔵するアンリ・ルソーの大作『夢』とほぼ同じ構図、同じタッチの作を目にする。そこには日本人研究者の早川織絵もいた。持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書を手渡した。リミットは七日間。

    私は美術館が好きです。絵のことは詳しくないけど美術館の空間が好きです。

    物語を読む中で名画が登場します。
    iPad片手に作品を確認しつつ読み進めるのがまた楽しかった。
    Kindle本版は画像リンクとかしてあればいいのにね。

    物語のミステリー要素も愉しい。謎の絵画をめぐる駆け引きも面白い。
    さらにルソーに対する心を感じ取れたこと、美術に浸りながら素敵な読書の時間を過ごしたことが気持ちいい。
    7日間のリミットが終わり、どちらに作品の命運を渡すのかの章でグッときた。
    最終章 織絵の娘 真絵の言葉に連なる心に涙が溢れた。


    美術の世界がさらに好きになりました。
    ルソー、ピカソをじっくりと眺めたくなりました。
    MoMAをまだ訪ねていない。
    いつか行こう。
    楽しみが増えました。

  •  美術のことも、ルソーのことも、ピカソのことも、これっぽっちも知らなかった私でしたが、この作品を通して、美術に触れ合うことができました。

     ルソーって、こんなに素直で子どもっぽくて、自信家だったんだ。絵が売れずに、コンクールにも落ち続けて、周りからは「変な絵だなあ。下手な日曜画家の絵だ」なんて笑われているのに前向きで。親子ほどに年の離れたヤドヴィカに恋をして。

     ルソーやピカソなんて、私とはおよそかけ離れた人間なんだと思っていました。けれど、彼らは私たちと同じように、笑って、泣いて、悩んで、恋をして、そして何よりも絵を愛した。そんな人間だったんですね。なんだか、私とそう変わらないかもなあ、なんて思ってしまいました。

     絵を描くことも、文章を書くことも、誰かに何かを伝えたい、思いを永遠に残したいといった、人間の願いの固まりであるということを、この作品から切に感じることができました。

     

  • カフーにそれほどついよい印象を持たなかったので、原田マハの作品をそれ以降手に取ることはなかった。友人に勧められて読んでみたが、これがびっくり。同じ作家とは思えないほどの成熟ぶり。どうやら作者の専門分野だそうで。
    産業革命当時のパリの生活が生き生きと描かれ、まるで映画を見てるよう。美術に興味がなくても十分楽しめる作品に仕上がっている。
    文句なしに面白かった。

  • この本はアンリ・ルソーの絵画をめぐるアートミステリーです。
    もちろん私はアンリ・ルソーのことをほとんど知りませんでしたし、この本に登場するピカソやその他の画家の絵画についてもほぼ知識がなかったのですが・・・
    この本を読みながらインターネットで絵画を鑑賞していると、不思議なことに絵画にも興味が・・・

    私のような方がいらっしゃるのかもしれません。
    ググってみると『【楽園のカンヴァス】に登場する絵画のまとめ』 なるものがありました。
    おかげで本を読みながら絵画を鑑賞しつつ、普段以上に楽しい読書タイムになりました。

    ルソーの絵の謎をめぐる緊迫した駆け引きと、その謎を解き明かす過程の緊張、その結末の感動。
    【楽園のカンヴァス】、ほんとに面白かったです!!

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楽園のカンヴァスの作品紹介

ニューヨーク近代美術館の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。MoMAが所蔵する、素朴派の巨匠アンリ・ルソーの大作『夢』。その名作とほぼ同じ構図、同じタッチの作が目の前にある。持ち主の大富豪は、真贋を正しく判定した者に作品を譲ると宣言、ヒントとして謎の古書を手渡した。好敵手は日本人研究者の早川織絵。リミットは七日間-。ピカソとルソー。二人の天才画家が生涯抱えた秘密が、いま、明かされる。

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楽園のカンヴァスのKindle版

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