- Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103317531
作品紹介・あらすじ
何でもします。あの絵を、《画家の夫人》を守るためなら。ゴッホにセザンヌ、ルノワール。綺羅星のようなコレクションを誇った美術館は、二〇一三年、市の財政難から存続の危機にさらされる。市民の暮らしと前時代の遺物、どちらを選ぶべきなのか? 全米を巻き込んだ論争は、ある老人の切なる思いによって変わっていく――。実話をもとに描かれる、ささやかで偉大な奇跡の物語。
感想・レビュー・書評
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セザンヌの《マダム・セザンヌ》をめぐる100ページほどの短い作品。
それでも、読後の爽快感は 長編を一作 読み終えた時のものに劣りません。
時間をかけられないけれど感動を求めたい。
そんなときに、お勧めです。
2013年7月、デトロイト市が不景気による「破産宣告」をしました。
年金債務の解消など、市の財政立て直しが迫られます。
そんな中、財政を救うためにデトロイト美術館の美術品が売りに出される
というニュースが流れます。
一方で、なんとしてもデトロイトからの美術品 散逸を防ぎたい
という市民からの強い要望もありました。
二者択一が迫られる中、貧しいアフリカン・アメリカンの初老男性の
純粋な心が世の中を大きく動かします。
「助けたいのです、友を」
そう言ってジーンズのポケットから取り出したしわくちゃの紙片一枚。
次の行は、思わずあふれ出た涙で 霞んでしまいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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ありがとうございます!
新刊もちょうど今、順番がきています!
『フーテンのマハ』も予約してみます(^^♪ありがとうございます!
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『フーテンのマハ』も予約してみます(^^♪2019/06/19
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ポール・セザンヌの『画家の婦人』という1枚の絵にまつわるお話。
ウィキペディアによれば、デトロイト美術館の存続が危機に陥ったことがあるのは事実みたい。無事に存続できたのはこんな物語があったからなんだねぇ。いや、もちろんフィクションだろうけど。でも実話だって言われても何ら違和感がないくらいスッと入ってくるお話です。この辺の構成力、表現力がやっぱりさすがマハさんとしか言いようがないです。 -
自動車産業の翳りとともに、財政破綻に追い込まれたデトロイト市。
市民生活を維持するために、市の財産でもっとも金銭的な価値のあるもの…デトロイト美術館収蔵のコレクションを売却しなければならないのか。
『マダム・セザンヌ』を愛した人々が、やがて奇跡を起こす。
実話に基づく短編集。
モダン・アートの黎明期に多くの傑作を収集し、その死後愛したコレクションを美術館に寄贈したコレクター。
デトロイトの典型的な労働者階級に生まれ育ち、亡き妻に誘われてアートを愛するようになった年金生活者。
財政破綻の現実と、コレクションの散逸の危機との間で悩むキュレーター。
知識も何もなくても、アートの持つ力はこれほどまでに強く人の心を動かすんだということ。
作品に込められた思い、作品から受け取る思い、作品に捧げる思い、どれも目に見えない美しい力で、さらに作品を輝かせるのかもしれない。
美術館は大好きだけれど、残念ながらここまで深く感じることはできていない鈍感な凡人である私。
美術館の入場料が決して安くなく、大規模に宣伝されるような企画展では人波にもまれてしまい、作品との対話なんて出来やしない…という現状。
ちょっと待ち合わせまで時間がある、にわか雨をやり過ごしたい、散歩の途中ですこし休みたい、そんな時にちょっと喫茶店に入るくらいの気軽さで展示を楽しめるような場所だといいのに…
お酒でも色々な味の銘柄を繰り返し飲むうちに美味しさも違いもわかってくるように、もっとアートに日常的にふれる習慣を持つことで、もっと目と心が磨かれるような気がする。 -
この作品は、私が読書アドバイザーとして崇めている友人が最近読まれていたので、読んでみようと思った。
原田マハさんの小説は、読み始めにタイトルの意味がよくわからず、途中で「なるほど」と、理解できることが多いが、米デトロイト市の財政破綻したことに因む作品かなぁと、想像ができた。
治安が悪いので、行ったことはないが(これから劇的な好転が、ない限り渡航する勇気はないかと思う)、ここには、リベラの壁画、ゴッホの自画像、ロダンの考える人、ゴーギャンの自画像、ピカソのアルルカンの頭部、マティスの窓などがある。加えてこの本のカバーであるセザンヌが愛妻を描いたマダム セザンヌと、誰しもが知る作品を所蔵していることは、美術に関心がある方はご存知のこと。
市の経済破綻後、企業の資金援助や寄付で作品が売却されなかったことは知っていたが、事態の詳細、美術館関係者や市民の心情は知る由もない。その奇跡をこの作品で知ることができ、奇跡と称したかった作者の真意が理解できた。
また、債務返済のため美術館所蔵品売却の決定に凍えきっていたジェフリー・マクノイドは、一市民であるフレッド・ウィルの想いにより心動かされ奇跡と呼ぶにことになる。
フレッドとジェフリーの唐突な繋げ方が印象的でこのマハ手法にいつもはまってしまう。
日本で数年前「デトロイト美術館展」が開催された。確か50点ほどだったが、それでも全てが胸迫るものがあった。
渡航する勇気はないので、私にはこの作品は、私が読書アドバイザーとして崇めている友人が最近読まれていたので、読んでみようと思った。
原田マハさんの小説は、タイトルの意味がよくわからず、途中で「なるほど」と、理解できることが多いが、米デトロイト市の財政破綻したことに因む作品かなぁと、想像ができた。
治安が悪いので、行ったことはないが(これから劇的な好転が、ない限り渡航する勇気はないかと思う)、ここには、リベラの壁画、ゴッホの自画像、ロダンの考える人、ゴーギャンの自画像、ピカソのアルルカンの頭部、マティスの窓などがある。加えてこの本のカバーであるセザンヌが愛妻を描いたマダム セザンヌと、誰しもが知る作品を所蔵していることは、美術に関心がある方はご存知のこと。
市の経済破綻後、企業の資金援助や寄付で作品が売却されなかったことは知っていたが、事態の詳細、美術館関係者や市民の心情は知る由もない。その奇跡をこの作品で知ることができ、奇跡と称したかった作者の真意が理解できた。
また、債務返済のため美術館所蔵品売却の決定に凍えきっていたジェフリー・マクノイドは、一市民であるフレッド・ウィルの想いにより心動かされ奇跡と呼ぶにことになる。
フレッドとジェフリーの唐突な繋げ方が印象的でこのマハ手法にいつもはまってしまう。
日本で数年前「デトロイト美術館展」が開催された。確か50点ほどだったが、それでも全てが胸迫るものがあった。
渡航する勇気はないので、私には日本で開催されるデトロイト美術展で、今後もその数展を鑑賞させていただくに留まりそうだ。で開催されるデトロイト美術展で、今後もその数展を鑑賞させていただくに留まりそうだ。-
コメントありがとうございます。2012年から読んだ作品に感想を書いていたら、いつのまにか3,000冊を超えてました。文庫の新刊を中心に読んで...コメントありがとうございます。2012年から読んだ作品に感想を書いていたら、いつのまにか3,000冊を超えてました。文庫の新刊を中心に読んでいます。2020/05/26
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とても良い物語!しかも、実話だなんて。アメリカの良心、大人のファンタジー。本の表紙の絵が、このストーリーの「マダム・セザンヌ」なのだと何度も見直しながら本文も読み進めた。原田マハの絵画にまつわる物語はどれも期待を裏切らないです。
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デトロイト市の財政破綻(2013.7月)が招いた<デトロイト美術館(DIA)>存続の危機を、アートを愛してやまぬ市民の熱い情念の結集によって守りぬかれた奇跡の物語です。ポ-ル・セザンヌの『画家の夫人 (本編では〝マダム・セザンヌ〟)』を〝いちばん気の合う友だち〟として亡き妻の想いを託す一市民(フレッド・ウィル)と、DIAコレクション担当のチーフ・ディレクター(ジェフリ-・マクノイド)との邂逅が、コレクション売却から保存の道へと繋がっていくのでした。最後は熱い感動の涙がこぼれ落ちました。
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ポール・セザンヌ《マダム・セザンヌ》1886
本の表紙になっている絵画
デトロイト市、デトロイト美術館のこと、史実に基づくフィクション
リンゴとサント・ヴィクトワール山と同様に、セザンヌがたくさん描いたモチーフなんですね。妻のオルタンスの肖像画。
オルタンスの絵をセザンヌは肖像画というより静物画として考えていたとしていた気がして、史実なのか作者の力量なのか気になります。
パブロ・ピカソ《アルルカンの頭部》が作中で登場しました。
2012年10月にオランダの美術館から盗難、犯人の母親が燃やした?とされていてたぶん行方不明な状況だったと思うのですが
この著書が出版されたのが2016年
そして2018年に見つかった!!みたいなニュースを見ました
詳しくは勉強不足なのですが、この件に関して原田マハさんは当然ご存知のはずで、その上で新たな事実とともに新たな物語が生まれることを期待してしまいます。
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さすが原田マハさん、素敵な作品ですね♪わずか105ページの小品ですけど爽やかで豊かな気持ちいい本でした。出だしの小市民の章がデトロイト美術館の奇跡の存続に結びつくなんて!そして私もマダムセザンヌの絵がかけがえの無い友達のように思えてきました。やっぱり絵画に纏わる話は原田マハさんが抜きん出ていると この作品でも改めて感じます♪