ゴールデンラッキービートルの伝説

著者 :
  • 新潮社
3.83
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本棚登録 : 69
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103317715

作品紹介・あらすじ

フツーの小学六年生だった俺。"未来に夢を抱く"ことなんて諦めていた。あいつらと出会うまでは-ジュンペイとヨータの秘密基地には、「ゴールデンラッキービートルの伝説」と名付けた廃車のワーゲンがある。ある日ヨータは、ジュンペイがウサギ殺しの犯人と疑うクラスメートの女子・ヒナが、そのビートルから何かを持ち出すのを目撃する。河原に向かったヒナが手にしていたのは、挙銃だった…。少年少女の一瞬の友情を描く、希望にみちた青春小説。第7回新潮エンターテインメント大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 青春?

  • 小学校6年生になったばかりの子供達から物語は始まります。たまに大人になったクラスメートたちのエピソードが挿入されて、過去を振り返っているのだなとわかります。
    子供の時は大変な話が大人になると懐かしい記憶や忘れてしまった出来事に変わるところがうまく描けていると思います。
    うまく最後に話がまとまって出来すぎですが、読み終わってなんかいいなという想いをいだく本でした。
    小学生時代を忘れてしまった大人に是非おすすめです。

  • 小学生のヨータとジュンペイとヒナ。強盗事件に巻き込まれたのをきっかけに仲良くなった三人が、「ゴールデンラッキービートル」と呼ぶ廃車を溜まり場にして、日々の生活の中で成長していく姿を描いた一冊。登場人物全員(強盗も含めて)に「未来の物語」が用意されているのも魅力です。

  • この本にでてくる先生がすごく良かったっ!!
    好みは分かれると思うけど、私は好きやな~


    ウサギが殺される事件の犯人を見つけるべく
    ジュンペイとヨータは動きだし、そこで犯人と思っていた
    女の子、ヒナと仲良くなっていく


    大人になってからと、子供時代の話が絡み合い
    なるほどな~と思う性格もあれば、
    おとなになってかわったと思う人もいて


    どんな先生が担任になるかでも、大きくかわるし、
    人生どうなるかワカランなぁと思った(笑)


    自分を少しでも認めてもらえて、理解してもらえる友達
    それだけで、強くなれるんよね

    自分が居心地良い場所を探して、そこにいていいんよね


    普通のことのように思うけど、
    逃げと言われたり、ひどいことを言われたり
    そーゆー中で自分の生きる道をしっかりと持てればいい


    人と自分の違いを認め、尊重しあえる
    そんなことを学べた小学校時代、うらやましくも思った


    最後に3人が間接的に出会うところは
    うるっときましたなーありえん感じやけど(笑)

  • 著者とのご縁があって、手にした本、第7回新潮エンターテイメント大賞受賞作だそうだ。小学6年生の男の子2人と女の子1人の淡い友情の物語。小学生時代のクラスメイトなんてもう覚えていないことが多い。しかし本書は読みながら当時を自分を急速に振り返りながら、物語とオーバーラップさせていく。なぜか随所に成長して大人になったらクラスメイトの近況が挟まれているのも妙にリアリティーがあり、単なる子供小説ではないことがわかる。そして再び大人になった彼らの成長ぶりは、多くを語っていないが、選考委員の「感じのいい読後感」という書評どおり。

  • 少年少女のわくわく感がとても鮮やかだった。
    再会したのちの彼らの様子を少しだけのぞきたかったなぁ。。。

  • 2011年第7回「新潮エンターテインメント大賞」受賞作。
    大人になってしばらく経つと、子供の日の輝かしい思い出も恥ずかしい記憶も、いつのまにか薄れていってしまうものだ。

    苦い記憶と甘美な記憶の二重奏。かつての子供の今の姿を描くことで得られるタイムマシン効果。この種の小説に不可欠な冒険と成長の物語が盛りだくさんに詰め込まれているようだ。

    20年以上前のとある小学校の6年3組の生徒たちの、わずか数ヶ月の交流の記憶が、さまざまな手法で描き出されていく。

  • こりゃいい。すごくいい。
    ありがちっちゃありがちやけど、ええもんはええ。
    キャナメ先生…粋すぎまっせ。
    この3人で続編のロードノベル書いて欲しいなあ。
    勿論、黄色いフォルクスワーゲン・ビートルで。

  • おもしろかった!!
    小学6年の3人組(男2女1)が秘密の隠れ家(車だけど)で遊ぶ感じ、すごくいい。いろいろ抱えつつもね。
    途中途中差し挟まれる大人になったクラスメイトの有り様もリアルで良い。最後の終わり方(3人のその後)は、ある意味ファンタジーだけど、それで良かったと思えるラスト。

  • 第7回新潮エンターテインメント大賞受賞作品。現在と過去の二つの時系列が語り手を変えて交互に進んでいく友情の物語。結末では確かに心温まりはするのですが、拾いきれていない伏線や不必要と思われるエピソードが見受けられて、もうひとつこなれていない感じを受けました。

  •  読んで良かった。これほど面白いと期待せずに読み始める。冒頭、あぁ、
     読みにくい構成で展開して行くのですね、ふぅ。という感じで読める。
     それはそれで、ノイズでしかなかったのだけど、そういうのが薄くなって
     きてからが、とても良かった。もうね、毎日、読書で泣いてますよ。

  • 完成度は決して高くないと思うのだけど、なんか雰囲気が好きで甘めに採点してしまいました。小学校時代と後日譚を織り交ぜる、横道世之介方式。後日譚パートが、あまり意味はないけど微妙にリンクしている。意味はないけどニヤリとしてしまう。そして主人公3人の、切れたようで切れていないつながりが、ほのかに温かい。

  • ジュンペイ、ヨータ、ヒナの3人で過ごした日々。それは「ゴールデンラッキービートル」の言葉に象徴されるように、キラキラと輝く一瞬だったことでしょう。

    その輝きが純粋であればあるほど、どこか切なさを感じてしまうのは、この作品が子供向けの単なる青春物語ではなく、大人のための青春想い出物語になっているからなのだと思います。

    ストーリーがなんとなくありがちだったことと、3人の後日譚にもう少し余韻が欲しかったことを考えて、★3つにしましたが、そこここに胸をうつ言葉があり、心にしみる作品であったことは間違いありません。

  • 最初のページに、「六年三組 クラスのなかまたち」と題して、「担任:要重吾朗」と生徒42人全員の氏名が列挙されてるのを見た時は、あー、ついていけない内容かも、と思ったが、読み進むにつれて、いい感じに引き込まれていった。ジュンペイ、ヨータ、ヒナ、の3人を中心に、35歳になった彼等の現状を3人称の記述で、小学6年生の時代の出来事を1人称の記述で、交互に書き進める、読んだことのあるようなないようなストーリー展開。因果応報的な結末が若干垣間見えるのは、それは出来過ぎじゃ?と思ったけど、まぁ、面白かった。

  • 読んだ事が有るようなストーリーだけど好きな展開。三人のキャラもいいし担任もかっこいいな~ラストのその後だけ短編で読めたいな。
    2012.2.10

  • 子供の頃の約束は、たいていいつの間にか忘れ去られてる。
    「いつまでも友達でいようね」「絶対忘れないよ」純粋な思いでかわされた約束も、いつしか膨大な時の流れの中に埋没していく。
    私も転校生だったから、水沢日菜の気持ちが自分のことのように思える(彼女はもっとしんどい人生の重荷を背負っているけど)。
    誰かと積極的に関わることから遠ざかっていた彼女が、ジュンペイとヨウタに出会って友達の楽しさを思い出す。3人の別れのシーンはとても切なかった。きれいごとを言わないヒナが、その年で人生の真実を知ってしまっているヒナが悲しかった。

    小説の構成としてはありきたりなのかもしれないけど、私はこういう「後日譚」の構成が好きだ。あの子がこんなふうになったのか、と時間の流れを俯瞰しているような感覚になれるから。
    ラストの、3人の再会の予感を感じさせる終わりがよかった。すうっと爽やかな風が吹いたような気がした。なんだか涙が溢れて止まらなかった。

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著者プロフィール

著者:水沢秋生(みずさわ あきお) 1974年、兵庫県神戸市生まれ。
出版社勤務などを経てフリーライターに。
2012年、第7回新潮エンターテインメント大賞を受賞した『ゴールデンラッキービートルの伝説』でデビュー。
青春の残酷さと美しさを描いた傑作『プラットホームの彼女』が話題となる。
主な著作は『運び屋』『わたしたちの、小さな家』『俺たちはそれを奇跡と呼ぶのかもしれない』など。

「2018年 『あの日、あの時、あの場所から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

水沢秋生の作品

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