- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103317715
作品紹介・あらすじ
フツーの小学六年生だった俺。"未来に夢を抱く"ことなんて諦めていた。あいつらと出会うまでは-ジュンペイとヨータの秘密基地には、「ゴールデンラッキービートルの伝説」と名付けた廃車のワーゲンがある。ある日ヨータは、ジュンペイがウサギ殺しの犯人と疑うクラスメートの女子・ヒナが、そのビートルから何かを持ち出すのを目撃する。河原に向かったヒナが手にしていたのは、挙銃だった…。少年少女の一瞬の友情を描く、希望にみちた青春小説。第7回新潮エンターテインメント大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
-
青春?
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学校6年生になったばかりの子供達から物語は始まります。たまに大人になったクラスメートたちのエピソードが挿入されて、過去を振り返っているのだなとわかります。
子供の時は大変な話が大人になると懐かしい記憶や忘れてしまった出来事に変わるところがうまく描けていると思います。
うまく最後に話がまとまって出来すぎですが、読み終わってなんかいいなという想いをいだく本でした。
小学生時代を忘れてしまった大人に是非おすすめです。 -
小学生のヨータとジュンペイとヒナ。強盗事件に巻き込まれたのをきっかけに仲良くなった三人が、「ゴールデンラッキービートル」と呼ぶ廃車を溜まり場にして、日々の生活の中で成長していく姿を描いた一冊。登場人物全員(強盗も含めて)に「未来の物語」が用意されているのも魅力です。
-
著者とのご縁があって、手にした本、第7回新潮エンターテイメント大賞受賞作だそうだ。小学6年生の男の子2人と女の子1人の淡い友情の物語。小学生時代のクラスメイトなんてもう覚えていないことが多い。しかし本書は読みながら当時を自分を急速に振り返りながら、物語とオーバーラップさせていく。なぜか随所に成長して大人になったらクラスメイトの近況が挟まれているのも妙にリアリティーがあり、単なる子供小説ではないことがわかる。そして再び大人になった彼らの成長ぶりは、多くを語っていないが、選考委員の「感じのいい読後感」という書評どおり。
-
こりゃいい。すごくいい。
ありがちっちゃありがちやけど、ええもんはええ。
キャナメ先生…粋すぎまっせ。
この3人で続編のロードノベル書いて欲しいなあ。
勿論、黄色いフォルクスワーゲン・ビートルで。 -
おもしろかった!!
小学6年の3人組(男2女1)が秘密の隠れ家(車だけど)で遊ぶ感じ、すごくいい。いろいろ抱えつつもね。
途中途中差し挟まれる大人になったクラスメイトの有り様もリアルで良い。最後の終わり方(3人のその後)は、ある意味ファンタジーだけど、それで良かったと思えるラスト。 -
第7回新潮エンターテインメント大賞受賞作品。現在と過去の二つの時系列が語り手を変えて交互に進んでいく友情の物語。結末では確かに心温まりはするのですが、拾いきれていない伏線や不必要と思われるエピソードが見受けられて、もうひとつこなれていない感じを受けました。
-
読んで良かった。これほど面白いと期待せずに読み始める。冒頭、あぁ、
読みにくい構成で展開して行くのですね、ふぅ。という感じで読める。
それはそれで、ノイズでしかなかったのだけど、そういうのが薄くなって
きてからが、とても良かった。もうね、毎日、読書で泣いてますよ。 -
完成度は決して高くないと思うのだけど、なんか雰囲気が好きで甘めに採点してしまいました。小学校時代と後日譚を織り交ぜる、横道世之介方式。後日譚パートが、あまり意味はないけど微妙にリンクしている。意味はないけどニヤリとしてしまう。そして主人公3人の、切れたようで切れていないつながりが、ほのかに温かい。
-
ジュンペイ、ヨータ、ヒナの3人で過ごした日々。それは「ゴールデンラッキービートル」の言葉に象徴されるように、キラキラと輝く一瞬だったことでしょう。
その輝きが純粋であればあるほど、どこか切なさを感じてしまうのは、この作品が子供向けの単なる青春物語ではなく、大人のための青春想い出物語になっているからなのだと思います。
ストーリーがなんとなくありがちだったことと、3人の後日譚にもう少し余韻が欲しかったことを考えて、★3つにしましたが、そこここに胸をうつ言葉があり、心にしみる作品であったことは間違いありません。 -
最初のページに、「六年三組 クラスのなかまたち」と題して、「担任:要重吾朗」と生徒42人全員の氏名が列挙されてるのを見た時は、あー、ついていけない内容かも、と思ったが、読み進むにつれて、いい感じに引き込まれていった。ジュンペイ、ヨータ、ヒナ、の3人を中心に、35歳になった彼等の現状を3人称の記述で、小学6年生の時代の出来事を1人称の記述で、交互に書き進める、読んだことのあるようなないようなストーリー展開。因果応報的な結末が若干垣間見えるのは、それは出来過ぎじゃ?と思ったけど、まぁ、面白かった。
-
読んだ事が有るようなストーリーだけど好きな展開。三人のキャラもいいし担任もかっこいいな~ラストのその後だけ短編で読めたいな。
2012.2.10 -
子供の頃の約束は、たいていいつの間にか忘れ去られてる。
「いつまでも友達でいようね」「絶対忘れないよ」純粋な思いでかわされた約束も、いつしか膨大な時の流れの中に埋没していく。
私も転校生だったから、水沢日菜の気持ちが自分のことのように思える(彼女はもっとしんどい人生の重荷を背負っているけど)。
誰かと積極的に関わることから遠ざかっていた彼女が、ジュンペイとヨウタに出会って友達の楽しさを思い出す。3人の別れのシーンはとても切なかった。きれいごとを言わないヒナが、その年で人生の真実を知ってしまっているヒナが悲しかった。
小説の構成としてはありきたりなのかもしれないけど、私はこういう「後日譚」の構成が好きだ。あの子がこんなふうになったのか、と時間の流れを俯瞰しているような感覚になれるから。
ラストの、3人の再会の予感を感じさせる終わりがよかった。すうっと爽やかな風が吹いたような気がした。なんだか涙が溢れて止まらなかった。