とうへんぼくで、ばかったれ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 333
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103323419

感想・レビュー・書評

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  • 20代前半の女性《吉田》が、
    男性《エノマタさん》に一目惚れして
    その男性を追っかけて北海道から東京に上京してくるというお話。

    エノマタさんの職場の近くの喫茶店でアルバイトをし、住んでるマンションの近くに【お勤め】と称してたたずみ、遠くからエノマタさんをみるという、ストーカー行為をおこなう吉田。

    ストーカー行為だし、何ひとつとっても怖いのに。なんともおかしくて笑える。行動にうつすかは別にして、好きな人のことを知りたい会いたいと思う気持ちはわからなくはない。笑

    吉田の短大時代の親友、前田。
    前田のキャラもいい!
    バイト先で知りあったりえぽん。


    とにかく、出てくるキャラが濃いw


    思わず笑ってしまうシーンたくさんあります。
    オススメです。

  • おもしろかった。42歳独身男性のエノマタさんにひとめ惚れし、エノマタさんが上京すると聞き付け自分もいっしょに上京してしまう、とか、エノマタさんの生活情報を洗い出すためにエノマタさんの周辺をうろつく、とか。普通に考えたらストーカーだし怖いもの以外のなにものでないのだけど、この作者の文章だとなんとなくゆるーっとした感じになる。
    吉田が追いつづけていたエノマタさんと、吉田が感じることのできるようになった生身のエノマタさんのギャップの生々しさがすさまじい。だれしも自分の知らないひとに対して、そのひとというイメージを勝手に作り上げてしまうことはよくあるけども。生身に触れてしまうと、気持ちがいい方向にも悪い方向にも向かってしまうよね。
    吉田が自分のことを客観視しているのもおもしろい。よくよく考えたら、自分はおかしいのだということがわかっていながらとまらない欲求。人間だれしもそんなのありますよね。
    吉田と前田の関係性もよかったし、吉田とりえぽんの関係性もあるなあと思ってしまう。身につまされることがたくさんあったけども、普通はなんかいやな感じがするのにこの作品ではなんだかさわやかな気分になった。

    (220P)

  • 何で、こういう題名なんかが、読み終わってから、わかった。
    そらぞらしくない小説だ。

  • 朝倉さんの本でいちばん好きだなって思った、わたしは、この作品。
    言っちゃえばたった一度同じ場に出くわした名前しか知らない男の素性を突き止め、週に二度ほどその男の会社付近を張り、毎日何を食べるか、どこに出没するのか把握し、そして風の噂で男の会社が倒産すること、北海道から上京することを耳にし、同時に会社を辞め、その男の新しい会社までも調べ、東京に行き、男の新しい会社の近くにある喫茶室ルノアールでバイトし、その後も影からひっそりとつきまといようやく交際へと発展した吉田という女のストーカー噺、と言ったらそれまでなのだが。
    深いんだよ。例えばその男、エノマタの心理だとか、エノマタのいとこで同じく独身なみっちゃんだとか、吉田のバイト先の女の子、りえぽんの誰かに依存していないと駄目なところとか、吉田の友人前田のいうことの正しさだとか、すごいうまく描かれてて、すごい、すごい楽しく読んだ。終わり方も好き。
    でもこの小説を読めないひとも嫌いなひともいるだろうな、っていうこと。

著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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