乙女の家

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 203
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103323426

感想・レビュー・書評

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  • 主人公女子高生のその世代独特の心情を丁寧に描いた作品だというのは分かる。
    曾祖母、祖母、母、主人公と女性4代を描くことで、子育て環境がいかに大事か、そこは遺伝より大きく人格形成に影響していることも分かる。
    読みこめばきっと面白くなるに違いないだろうし、こういう小説がオモロいのも分かる。

    けど、いかんせん寄り道がひどい。少女の心のなかってこういう寄り道ばかりなんだろうし、そこをリアルに描いたっていうことなんだろう。
    でも、こうも頻繁に変調・変調が続くと、読み手としてリズムに乗れないのだ。
    合う人には合うんだろう、タイミングもあるのかも知れない、けどちょっと俺は苦戦したな

  • 主人公の女子高校生は、自分を模索しているが、後半では、魅力的な脇役を模索しているのが面白い(主人公なのに)…とにかく主人公の頭の中がだだ漏れでグルグルしていて一場面一場面が長く、ゆるい表現に真摯な部分がチラホラあり、作者の持ち味だなぁと感じる。昭和感ネタが満載なのも。

  • 女三世代が暮らす~若竹若菜は高校2年生,中の上の高校で,中の上のグループに属している。今日も「あの人」がやってくる。一人になりたいと言う父の希望を入れ,母・あゆみは私と二つ下の誉を連れて祖母・洋子の家に戻ってきたが,普通の家庭と同じようにするため,銀行勤めの父(がきっちょおやじ・功)が平日の夕食を家族で摂るという要求を受け入れたのだ。今晩,12時に図書室で知り合った図書委員の文学少女・高橋さんと家出を決行する。家の目の前のコンビニに行く振りをして,待ち合わせの駅に行くが,電車もバスもなく,始発までファミレスで待つことにした。行き当たりばったりで,女の武器を使えば過ごせると話していると,黄土色・赤茶色・黒のヤンキー3人組が馴れ馴れしく迫ってくる。初代R総長である祖父安藤の名を出すと恐れだした。行き場所がなくなった二人は,曾祖母が暮らすマンションのエントランスで夜明けを待ってそれぞれの家に帰らざるを得なかった。仲良しグループの手帳を見ると予定がびっしりで,若菜も予定を書き込みたく,高橋さんと一緒にバイトをしようと,純喫茶ウィーンで話を切り出すと,高橋さんは既に定食屋をバイト先と狙いを定めていた。募集1名だというので,若菜はスーパーに狙いを切り替えたが,レジは埋まってしまい鮮魚部で刺身をトレイに盛る役を振られた。定食屋のバイトに不採用となった高橋さんは,純喫茶でバイトを開始した。年末は忙しく,クリスマスは若菜の家で高橋さんと過ごすが,誉は高橋さんを見て上気しているようだし,祖母・洋子さんはスナック・ルイジアンナに行く前にわざわざ若菜の部屋にやってきた。洋子さんが若い男と腕を組んで歩いている様子を高橋さんは見たと言い,男性とつきあい始めるかもと言い出す。高橋さんは幼稚園の頃,好き嫌いのある友達に替わって何でも食べてやり,猿の物真似が得意な活発な子だったが,病弱キャラに憧れて挫折し,文学少女キャラに収まったのだという。若菜はどんな集団にいても主人公にはならず,キャラのない脇役だ。高橋さんの恋を成就させたいし,祖母と安藤との仲も回復させたいし,父母も元鞘に収めたい。高橋さんの好きになった相手というのは,あのファミレスで絡んできた黒・五木元重で,インテリア安藤でクロス屋の修行をしている20歳で,夕食はバイト先に定めた定食屋で摂っているのだ。洋子さんと腕を組んで歩いていたのも五木,通称ひろしだ。スナック内の様子はマンションへ帰る父に偵察を依頼し,若菜は確実にあのファミレスに来るように念を押すようにインテリア安藤に赴き,曾祖父・祖父と初対面を果たす。父の報告で,通称ひろしは病弱で,病院で准看護婦として働く洋子に色々相談し,就職先も斡旋して貰っていたのだ。報告を聞くついでに,父母は只の別居ではなく2年前に離婚している告白を聞かされる。翌夕,スナック・ルイジアンナに赴き,祖母洋子さんと篩知り合いのマスターとママに事情を聞き,後から来た祖父は,思い切って復縁を切り出すと約束した。家に帰ると,カレーを食べながら,誉にすでに離婚していること,こうした生活はもうやめるべきだと両親から切り出される。父の暮らすマンションで鍋パーティーをやると計画して,両親が話し合いの機会を持つという作戦も通じそうにない。祖母と曾祖母から,洋子が結婚するという報告がもたらされる~「乙女の家」というのは,シングルマザーばかりが暮らす家ってことで,高橋さんの命名。その高橋さんって若菜から見ると少々風変わりであるが,誉から見ると美少女ってこと,がやっぱり女の子の視点だ。科白と科白の間で頭が激しく回転しているのが描かれているが,確かに頭の良い人ってグルグル高速回転するのだろうけど,それを文字にされて読まされるのは疲れるのです。朝倉さんは書く(キーボードを打つor口述)のも速いのだろうけど,読むのはそうも行かないので,疲れます

  • シングルマザーばかりの家に住む女子高生の若菜が主人公の家族小説。
    曾祖母(78)、祖母(58)、母(42)、若菜(17)そして弟の誉(14)の5人家族。
    別居中の父が毎日ご飯を食べに来るちょっと変わった家族構成です。
    4世代の乙女たちはそれぞれがその時代の持ちネタギャグを披露し、好きなジャニーズもいろいろで面白かったです。
    若菜の友人の高橋さんは妙に昭和でいいキャラでした。

  •  文学の中で人生を思い悩むのは、男子の専売特許だと私は思っていた。
     それにしても、この本に出てくる彼女たちは、どれだけ豊かにユーモアたっぷりに思い悩むのだろう。そして高橋さんのキャラクターがとてつも なく脇が甘い! とてもキュートである。彼女が美少女である意味がさっぱり分からない位、中身だけで面白い。そして若菜もいいなぁ……。
     これは絶対に再読しようと思った。
     そして男性が読んで面白いものかどうか分からないけど、オススメである。

  • 若菜と母、祖母、曾祖母
    それぞれのキャラが強烈で
    設定だけで楽しそう、と期待して
    読み始めたのだけど
    結局ほとんどが若菜と高橋さんの
    ぐちゃぐちゃした心理描写で
    正直しんどかった。

    せっかくの設定がもったいない。

  • 女子高生若菜のピカレスク小説。若菜と家出を試みた高橋さんの容姿が、涼宮ハルヒの長門有希とかぶってるなと思いました。若葉がどんどん崩していく過程が面白かったです。
    しかしながら一見単純明快に思える作品だが、意外と難しい問題が幾重にも折り重なっている。こういうところをさらりと読ませる朝倉さんはすごいな、と思った。
    そして、デビュー作から比べると、すごく達者になったと感心した。

  • 2015.6.3.未婚の母の祖祖母、16で母を生んだ祖母、そんな中、普通の家庭を築きたいと思い、主人公若菜と誉の一男一女をもうけながら夫と別居することになった母。そんな女系家族で育ち、肥大化した自意識を持つ友人高橋との会話を楽しむ若菜の成長。やりとりは面白かったものの、全体として何が言いたいのかわからなかった。

  • 物語に入ってゆけるまでに時間が掛かった。まず、主人公たる女子高生。今の女子高生ってこんな?(いや違うのでは)という疑念。そしてこの女子高生とその母、祖母、曾祖母までを含めての『乙女の家』ではあるものの、特に祖母のキャラクター「長い茶髪の元ツッパリ(還暦間近)」への強烈な違和感。恐らく計算としてはギリギリ合わせてるんだろうし、もしかすると若菜(主人公)の母親と同年代の自分として、なんとなく認めたくないだけかもしれないけど(笑)
    青春真っ只中の若菜が様々な事柄を思い考え自分というものを知って行く、切り拓いて行く過程は描けていたと思うけど、全体的にいささか現実味がない。新聞小説だったようなので、諸々の制約?があって冗長気味だったのかなとも思った。

  • 曾祖母、祖母、母、娘。
    これだけいれば、あとは時々男がいる程度でいいのかな。(とは言っても、存在感の薄い男たちが存在感を出していますが)

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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