流転の海 第1部

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 159
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103325079

作品紹介・あらすじ

大阪の焼跡闇市から実業家としての再起をはかる松坂熊吾。豪胆にして理不尽、強さと弱さを併せもつ明治生まれの男が、50歳で初めて子を授かった。事業の再建に奮闘する一方、わが子が成人するまでは死なぬと心に決め、人生における使命とまで自覚する…。混沌の時代を裸一貫で生きる個性豊かな男たちと、寄り添う女たちの、人生の有為転変を雄勁な筆で描く。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の面倒見が良く人情味溢れる側面と、
    プライドを傷つけられた時に見せる傲慢な側面。
    人間くささや二面性が、読んでいて面白かった。

    妻・房江が子どもを忘れようとする場面、冷たく突き放す場面は読んでいて涙が出ました。
    「自分は冷たい人間だ」「忘れてみせる」
    自分になんとか言い聞かせるけれど、身体はショックで動かない。
    自分が悪いと言い聞かせるしかない出来事や心の持って行き方。
    窮地に立たされた時の房江にとても共感しました。

  • おもしろくて、つい毎日夜更かししてしまった。熊吾が人生をどう切り開いていくか、興味がつきず第1部をいつもより早いペースで読みきった。長編大作だが、最後までわくわくしながら読めそうなきがする。

  • や〜これ面白い。素直に面白いなあって言葉が出てきてどんどん読み進められる。ところどころリアリティがないというかいわゆる『小説っぽい』ストーリーもまた良い。星5じゃないのは男たちの人間くささや暴力的な部分、性的な描写などがねちっこくて少し嫌だったから(笑)。それも作者の描写力だなあと思います。

  • ついにこの長いシリーズに手をつけた。

    第一部ということもあってか、
    物語自体は、父として男として事業化としての熊吾が
    どういう人物なのかが丁寧に描かれていた印象。
    長いシリーズならではの構成で、
    この先への期待が募るような
    物語の序章にふさわしい重厚感だと思った。

  • 生きることの執着、死への恐怖、嫉妬などの情念を精緻溢れる描写で書かれている。初めて読んだ宮本輝の天才的な
    筆運びに畏怖すら覚える。

  • 40歳の時に読んで、二度目。この年になるとなぜこんなものを面白いと思ったものやら ということになりはしないかと心配したがとんでもない。読み終わって唸ってしまいました。父親をモデルとしているということで実話に近い部分もあるのかもしれませんが、赤ん坊の時の記憶が鮮明なはずもなく、ディテイルが実話のような手応えでしかもスケールがある。主人公熊吾が魅力的だが、脇役のエピソードも深みがあり読み応え十分だ。

    「大きい小さいが男の値打ちなあらへんで。大きい男っちゅうのは、気味悪いくらい小さいものを持ってるんや。」

    「熊吾は日本人でありながら、日本人が嫌いだった。不思議な民族のような気がするのであった。姑息で貧弱で残虐だ。そして思想というものを持っていない。武士道だとか軍国主義などは思想ではない。哲学でもない。」

  • 第二次大戦前には、大きな会社を運営していた豪快な男が、戦争後の荒廃期、混乱期に再出発して行く話の序章らしい。
    が既に7巻も出版されているうちの第一巻を読み終えただけなので、これからどうなるのか楽しみだ。

  • あまりの長編ゆえに手が出なかったんですが、読んでみました。面白い。主人公の強さ・脆さ・理不尽さ。人間臭い。2部以降を読むのが楽しみです。

  • いい

  • あくの強い人物、熊吾。現代に居たら煙たがられるであろう性格も、戦後のゼロからスタートという状況であれば、この位の勢いがなければ、と思わせる。
    あっという間に読めた。2部以降も読んでみようと思う。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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