手のひらの京

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著者 : 綿矢りさ
  • 新潮社 (2016年9月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103326236

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手のひらの京の感想・レビュー・書評

  • 綾香・羽衣・凛。
    京都を舞台に繰り広げられる三姉妹の物語。

    三姉妹それぞれに共感できる部分があって、応援しながら読みました。

    「京都」というと、よその人はそう容易く受けいれてもらえないような、
    柔らかく押し戻されるイメージがあります。

    生まれた場所で育ち、生き続けるということ。
    その閉塞感のようなものが、転勤族の自分にはよくわからないんですが…
    故郷って、
    たとえ離れて暮らしていても、変わらずそこにあって、
    自分のすべてを包み込んでくれる場所。
    そういう故郷があることが、羨ましかったりもして…。
    ないものねだりですね。

    京都に住んでいらした著者ならではの、
    古都の街並みや、四季おりおりの景色の描写がとても素敵で、
    京都に行きたくなりました。

  • 三兄弟の話ってなんとなく
    物語にならない気がするけど、
    三姉妹の話って不思議な魅力がある。

    京都の話なのか、家族の話なのか。
    京都弁が心地よくてふわふわ読んだ。

  • 結婚に焦る長女、派手で恋愛体質な次女、大学で研究に没頭する三女、京都という小さくも歴史がある街に絡め取られている三姉妹だった。手のひらで包み込まれるような盆地、そこで高見から踊らされるような都人、四季の移ろいとともに揺れ動く三姉妹だった。

  • 低い山々に囲まれた盆地を俯瞰すると、日本の歴史の中心を担ってきた京の都が意外と小さい。思い出も愛も憎しみも手のひらでそっと掬い上げられてしまう。小さな街の3人姉妹の小さな決意。どこにでもありそうな光景だが、それぞれの決意には壁を乗り越えた自信と力が漲っており、激しく勇気付けられる。秀逸な出だしにのっけから酔わされストーリーの面白さも相俟って一気読み。最後まで勢いは削がれることなく楽しませてくれた。生まれてくるパワーを存分に満喫できた。

  • 京都で暮らすある一家。

    ここで生まれ育った両親。

    長女の綾香。
    図書館司書で、しっかり者、おっとり、真面目。

    次女の羽衣。
    OL。奔放な性格だけど、芯はしっかりしている。気が強い。派手なせいか女性に嫌われやすい。

    三女、凛。
    男性と付き合ったことはなく、院で研究に没頭してきた。京都が好きだからこそ、就職を機に一度外に出たいと思っている。


    3姉妹の物語というと、そのうち誰かがダメ男に恋なんかしちゃって、家族もぐちゃぐちゃに〜なんていうお話が多かったのですが、この3姉妹は(ちょっと危うい場面はあったものの、)違ってて、まずとても仲がいい。そして、それぞれの悩みに苦しくなったり、切なくなったりしながら読んでました。



    作者の綿矢さん自身、京都の方ということで、それならではの表現も楽しかったです。

    京都の伝統芸能「いけず」の説明がとても面白かったです。
    京都人が皆、「いけず」の使い手ではなく、学校のクラスでいうと2、3人の割合ということは覚えておこうと思いました。

  • 京都を舞台にした三姉妹と家族の物語。
    三姉妹それぞれが、結婚とか仕事の人間関係とか、生まれ育った街を離れることとかで、悩みながら、前向きに生きていくお話です。
    登場人物の性格とか関係性とか、とてもリアルにかけていて、興味深く読めました。

  • 「こら、お客さんに安いお肉を出すなんて失礼でしょう」
    「安いは言いすぎた、普通のお肉を科学の力ですごく柔らかくしました。どうぞ召し上がれ」

    『私を嫌いな人もいれば、好きな人もいる。みんなに好かれるなんて無理。当たり前のことなのに、ときどき憔悴するほど傷ついてしまうのは、自惚れがあるせいだろうか。』

    『宮尾とのデートなどんなものだったか測りかねていた綾香だったが、楽しい時間だったと書いてあるのを見た途端にうれしい気持ちが湧いて、そうだ、私も確かに楽しかった、滅多にないほど幸せな一日だった、私もまたご一緒してみたいです。と、メッセージに向かって何度も頷いた。』

    「待たれへん。待ったら、私のなかの大切ななにかが死ぬ気がする」

    「どういうのがいい男なの?」
    「ちゃんと働けるとか周りの人と仲良くできるとかの人生の基礎がしっかりしてる上で、正確に致命的なひねくれや歪みがない奴や。この基本を満たしてるのを一番の条件にして、そのあと自分の好みを加味してから男を選び。間違っても自分の好みだけで選んだらあかんで。」

    『二人で裸になって至近距離で見つめ合っていると、邪魔なものなど何も入ってこない。ベッドの上だけが内の世界、あとはすべて外の世界だ。』

    『最後にもう一回、と彼の顔が遠慮がちに近づいてきたとき、綾香は自分のすべてを預ける心地で安心しきって目を閉じた。』

    『「自分で選んだ道や」
    声に出して呟いてみると、思ったほど厳しい言葉ではなく、どんな言葉よりも自分を励ます言葉に聞こえた。そうや、自分で選んだ道や。』

    『とはいえ、できれば人生の楽しい、優雅な面だけ見て生きてゆきたい。難しいときこそ、楽観的に。そう思うことは弱虫じゃない。生きるためにひらひら舞いながら踊り続けたい。』

  • 久しぶりの綿矢さん、すごく良かった。
    やっぱり好きだわ.鴨川べりの表現の仕方なんて好みです。
    京都独特の因習など、住み慣れた家から飛び出して行く末っ子のたくましさ。
    子供時代の自分と重ねたり、家から出て行った子どもと重ねたり、しみじみ読みました

  • 神戸の人にとって京都は近いのに遠い。
    私にとって京都はずっとそういう場所だ。

    やや東に住むようになって
    以前より時間をかけずに行けるというのに
    やっぱり遠い場所だ。

    自分の子ども達は毎日通っているというのに、
    そういう場所だ。

    その京都に住む3姉妹のお話。

    同じ親から生まれて、
    同じように育てられたのに三者三様。
    姉妹って面白いなぁ。

    京都に住むって感じがちょっとだけ味わえるかな。
    まぁ、でも、
    いつまでもお客さんなんやろねぇ。

    私の元上司で京女なのに京都嫌いの人がいますが、
    あれはあれで、屈折した地元愛だよなぁ。
    そんな彼女が私は嫌い。オイオイ。

    感想になってないな、素敵な作品でした、ホントだよ。

  • 今年はまったく小説が読めていません。
    そんななかで綿矢先生はとても好きであり。タイミング的にも車整備の待ち時間に読めてしまいました。

    3姉妹の話。
    ウチの娘達と10歳くらい年齢が違う設定ですね。そんなこと思いながら読んでいました。
    内側でなく外側から、お年頃の娘達のあれやこれやを覗いている感覚でした。
    おもしろかったです。

  • 読みやすく、うまく纏まってた。さすが綿矢さん、という感じ。

  • 小説としてはよく出来ているんだと思う。
    でも、因習のきつさが匂い立って、現代版
    細雪も、あんまり面白くなかった。

    手の中にいるうちは愛想が良いけれど
    枠からはみ出たら、とたんに居場所がなくなる。
    そういう関西の佇まい。

    夫はほしくないけど子供は欲しい、という
    感覚も、私にはわからないし。

    思えば帰郷しないで東京で定住してしまったのは
    そこらへんが嫌だったからだと思い至る。

    なんとなく湿り気のある感じの人間関係を
    書いてるのが嫌で、長女の綾香が宮尾さんという
    男性とファーストデートするところで、ため息を
    ついて本を閉じ、返却することにしてしまった。

    蹴りたい背中の時も、上手なのに合わなくて
    読了を逃し、中断してしまった。

    京都を舞台の三姉妹のお話で
    評判もいいから、最後のページまで読んだら
    面白いのかもしれない。

    でも、何かがダメという。息苦しい。
    読むのをすごく楽しみにしていたから残念だった。


    そして…やはりこんなに評価が良いのに
    自分だけ嫌いなのはなぁぜ?って
    思ったので…お風呂入ってさっぱりしてから
    読了してみました。

    うん。ヒロインたちが鬱屈してる辺りだったので
    生々しくって嫌だったんですね。

    お正月のお重や着物の着付けや
    渡月橋の辺りの寒さ。

    おばんざい屋さんの様子。

    私達が、ああ、京都らしいと落ち着く
    風物が上手に散りばめられ、

    結婚出産がゴールの女も、
    本音はそうだけど、痛い目にあって
    しばらく頑張らなきゃならないOLさんも、
    仕事を機に東京に出る院生さんも、姉妹。

    家族という枠と、積み重ねた愛情に結ばれて
    いずれ手のひらで遊んでいたお猿さんのように
    ふっくりと家と京都に帰っていくんだろうな。

    そして、今度はそこからもう出ないんだろうな。

    仲いいのね、この家族は…と、まずは幸福感の
    ある結末になっていました。

    まずますは上手な小説で、私は京都が舞台なら
    いっそ瀬戸内晴美氏の『京まんだら』や
    山村美紗氏のミステリを採りますが、
    確かにオーソドックスな上手なお話なので
    彼女たちに共感できるならお勧めします。

    ですので、好みは分かれますが☆2から☆3へ
    変更しておきます。

    読み手の私の方が、ぐったりしていて
    あまり良い評価を付けられなかっただけかなと
    推察しますので。

  • 綿矢さんの作品は何冊か読んでいますが、この作品が一番しっくり来て面白かったです。直前に三浦しをんさんの作品を読んでいて、同じような雰囲気ですが、綿矢さんらしさが出ています。

  • 「色白でちょっと四角い大福顏」がきれいなのか
    想像できない

  • 2017/07/03
    三姉妹それぞれの物語

  • 京都に暮らす長女綾香、次女羽依、三女凜の恋や葛藤を描いた物語。
    主に綾香と羽依の恋愛を描いているが、根底は純粋な家族小説であった。
    少し影のある終わり方だったが、最後の一行を読み終えた瞬間爽やかな気分になった。
    これは筆者の力量だと言えよう。
    文章リズム然り、こうした気分を味わえる作家は綿矢さんだけだろう。

  • 京都感満載の一冊。三姉妹のお話で、なかなか楽しめました。少々読みづらいところがあったけれど(京都の言葉ではなく、文章として)、まあ、うまくまとめたな、と言ったところ。
    関東に住む私としては、読んでいると、京都が外国に見えてきたよ。そして、三姉妹に憧れた。三浦しおんさん『あの家に暮らす四人の女』の時も感じたけれど、姉妹っていいなあと。

  • 京都に住む3姉妹家族の物語

    なんか京都のしばられ感
    というか
    他を寄せつけない感
    とか
    内にこもっちゃう感じ
    とか
    分かる気がする

  • 読了。

    大好きな京都と着物が端々に出てくるステキな物語だった。

    行ったことある場所がたくさん出てきて嬉しい。

    女ばかりの家族って想像できないし大変そうだわと思うけど、それぞれが悩んでいて、それをそれぞれが思いあって生活していてほっこりする。

    長女の綾香が一番歳が近いせいもあってうんうん頷きながら読んでしまった。

    なんか全体的に私の思う大きなハプニングもなく好みの本だった。
    (170601)



  • 図書館で借りたもの。

    10年ぶりくらいに綿矢さんの本を読んだけど、やっぱり読みやすいなー。ぐんぐん読む感じではないんだけど。
    京都に住む三姉妹のお話。

    京都のおばんざいが美味しい居酒屋いいなぁ。
    京都の伝統芸能「いけず」が恐すぎ…。

    京都の呪縛は、京都の地形や歴史が関係してるのかな。実際にすんでる人にしか分からないものなんだね。
    (みんなが感じてるわけではないと思うけど)
    山奥の田舎とは、また違う呪縛。
    『私は山に囲まれた景色のきれいなこのまちが大好きやけど、同時に内へ内へとパワーが向かっていって、盆地に住んでる人たちをやさしいバリアで覆って離さない気がしてるねん』

    奥沢家のような、恋愛のことまで話せる家族っていいな。

  • 京都の人っていけずと言うのは本当なのかな?

  •  石橋を匂って渡るように慎重で思慮深い、常識にとらわれがちな長女。相手も自分に気があることは側から見て明らかなのに、ネガティブで慎重になってしまう。
     見た目が派手で負けん気が強く、観察眼に長ける次女。人気者ゆえに敵を作りやすく、人の好意にも敵意にも冷めた視線を向けている。
     コツコツと地道な努力を厭わない、芯のしっかりした三女。京都独特の力に敏感で、外から京都に触れたいと、反対する両親と対立する。

     考え方も行動も、あと料理の特徴も三者三様だけれど、いずれにも共通して流れる京都人の血。大阪と京都は地理的には近いけれど、随分と気質が違うようだ。街の空気感も、流れる時間のスピードも、大阪とは違う。盆地という地形のせいだろうか。歴史が京都を作ったんだろうか。

     何よりも、「京都の伝統芸能「いけず」は先人のたゆまぬ努力、まだ若い後継者の日々の鍛錬が功を奏し、途絶えることなく現代に受け継がれている。」とか、(靴の先っぽが尖ってたら)「なんでとがらせておくんやろう? 先端には何が詰まってるんやろう? 男のロマンのつもりかな」とか書いちゃう著者が誰よりも京都人っぽい。笑 やっぱり綿矢りさの比喩は見事!!

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手のひらの京の作品紹介

なんて小さな都だろう。私はここが好きだけど、いつか旅立つときが来る――。おっとりした長女・綾香は31歳、次第に結婚への焦りを募らせる一方、恋愛体質の次女・羽衣は職場で人気の上司と恋仲になり、大学院で研究に没頭する三女・凜はいずれ京都を出ようとひとり心に決めていた。生まれ育った土地、家族への尽きせぬ思い。奥沢家三姉妹の日常に彩られた、京都の春夏秋冬があざやかに息づく、綿矢版『細雪』。

手のひらの京のKindle版

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