母性

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103329114

感想・レビュー・書評

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  • ネタバレします。
    最初に女子高生が県営住宅の4階の自宅から転落する自殺(あるいは事故)が起こる記事から始まる。
    母親の手記、娘の独白が平行するように続き、間によくわからない高校教師の話が入る。
    この母娘(ルミ子と清佳)が最初の転落事故の当事者と思いきや、読み進めると全然違っていて、娘(清佳)も自殺未遂を起こすが庭の桜の木で首をつるというものであり、記事とは合っていない。
    ということは冒頭の記事の事故(事件)に関わっている高校教師は全く関係ないはずなんだけど、同僚の国語教師と食事をするたこ焼き屋でたこ焼きを焼いているのは「りっちゃん」という。

    ここのところが分かりにくかった。要は、高校教師=結婚した娘(清佳)で、りっちゃんは母ルミ子の旦那の妹の律子で、バイトしているヒデはもう一人妹の憲子の息子の英紀(ルミ子を突き飛ばして流産させた子)。

    文中で教職を目指す等、話してはいるけども、高校教師を最初は男と思っていたのでなかなか結びつかず。後半の妊娠しているというところと、母性についてというエピローグのようなところでやっとボンヤリと結びついた感じで読後感が半端なくすっきりしないです。謎解き感もなく、それで?といった感じ。

    転落事故の娘の母が「愛能限り(アイ・アタウ・カギリ)、大切に育てた娘」と語り、母(ルミ子)も同じことを言っていますが、こんな難しい言葉をそうそう使う人はいないと思う。なのに、全く関係のない出来事だったなんてひどい。
    リルケの詩の引用も意味がわからず、読み解けず。リルケでなく湊かなえさんを読みたいのに。

    歪んだ母性というか、母性を持てない人もいるのだというか、まあ、いろいろでしょうけど、「これが書けたら作家を辞めてもいい」という湊かなえさんの帯は言い過ぎというか、辞めなくてよいと思う。

  • 「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」
    だってさ。
    つまらなすぎてどうしようかと思ったんですけど。湊さんの作品はデビュー作の告白からすべて読んでますが、まず告白を超える、衝撃ある作品はもう無理なのかな。
    というか、作家を辞めてもいい、と言ってしまえるほどの作品ではないでしょ、これ。
    話としてはいいかもしれないけど、その作家を辞めてもいい、という帯やコピーで売り出して、さらにそれにそぐわない作品すぎて…
    なんかもう残念です。

  • 不幸な登場人物ばかり。
    読んでいて不愉快な気分にも、いたたまれない気持ちにもなった。

    冒頭にある事件の新聞記事を持ってきて、その後母親と娘の独白を交互に、途中第三者の視点も挟みながら物語が展開していくのだが、なんとなくすっきりしない。結末はこれでよかったのか?母親像、娘像はこれでよかったのか?もっと思い切った方向に舵を切ったほうが、作品としては面白いものに仕上がったのでは、という気がして仕方ないのだが。

    これはこれである意味救いがあってよかったのかもしれないが、作品の面白さという点では、ちょっと肩すかしだったかなあ。
    読後感は悪くなっただろうけれど、もっと湊作品ならではの暗すぎ重すぎ不快作品にしてもよかったんじゃないかな…。
    そういう点での中途半端さが残念。

  • 取り敢えず最後までは引っ張られるし、考えさせられることも多い。子供の為でなく誰かにほめられるために良き母であろうとすることの悲劇というのか。ただ娘が母親に反発しないものだろうか。自分の体験上、娘は女親にはシビアで、欺瞞を見抜いたりするものだが。
    時折入ってくる教師の会話も、店の店員も思わせぶりなのに何もない。
    個人的には祖母の完璧さを裏読みして、なんかあるんじゃないかと思いつつ読んでいたら、完璧のまま終わった。この完璧さが一番こわいかも。

  • きっと、湊かなえさんの作品は、私には向いてないんじゃないかと
    思う。
    …っと言うか、前作を読んだときもそんな風に思った気がする。

    読み始めてしまったので、とりあえず、最後まで読んでみたけど、
    なかなかストーリーに入り込めなかった。

  • 母の手記、娘の手記からなる湊かなえさんの小説。
    冒頭からイヤ〜なかんじに包まれます。
    あぁそうだったこの独特の感じ、やっぱ読むんじゃなかった。
    普段であれば読むのをあきらめてしまうところ、母・娘と変わる語り手の話に引っ張られてしまい、楽しくないのについつい最後まで読んでしまいました。やはり売れっ子作家さんなのだと感心します。

    嫌だなぁ、不快だなぁと感じる事柄が次々あふれ出してきます(トホホ)
    心から望んだわけではない結婚に始まり、夫の実家での嫁いびり、義父母の言い争い、ずぼらな小姑、我関せずの夫。あー醜悪。
    何より主人公である母親がなんだかもぅ…受け入れがたい人です。
    幼少時から自分の母親に褒めてもらえることを価値観にして育ってきた人で、自立できていないのかと思えます。
    自分の考えを持ってしっかりして!と言いたくなる私。
    またさらにこの人、我が子のそのままを受け入れてあげないのが、とても残念です。
    自分が望んでいる部分しか見ようとしないので娘が哀れに感じます。
    また理想に反することや、思い通りにいかないことは、自分勝手な解釈をするので、相手の気持ちに思いが至らない。すれ違いが悲しくてやるせない。娘に関しては同情の気持ちがわきました。
    母親が、娘にきれいごとを求めているところがまた愚かしい。

    母性がテーマのこの小説。作中、「子どもを産んだ女が全員、母親になれるわけではありません。母性なんて、女なら誰にでも備わっているものじゃないし、備わってなくても、子どもは産めるんです。子どもが生まれてからしばらくして、母性が芽生える人もいるはずです。逆に、母性を持ち合わせているにもかかわらず。誰かの娘でいたい、庇護される立場でありたい、と強く願うことにより、無意識のうちに内なる母性を排除してしまう女性もいるんです」
    という台詞が出てくる。
    この小説において、私は、母性という以前に人としてのあり方どうなんでしょう?
    という身もふたもないことを感じてしまったので、テーマである母性について全体にあまりピンとこなかったです。

  • 2022/06/29

  • 読んでいて辛かった。辛いけど途中でやめられない。娘であり、母である私には必要な本でした。

  • なんか女子高生自殺未遂エピソード辺、いる⁇
    あまり中身なかったし、出てくる人がうざくて
    読むのが大変だった。

  • これは・・・
    今まで読んだ湊かなえさんの本の中で一番内容が捉えにくかったです。

    でも自分も娘であり母でもあるので、そういったところからは共感できる部分もありました。

    愛はエゴとエゴのぶつかり合い という部分も妙に納得できます。自分は愛だと思っていても、相手はそう捉えていないなんてことありますもんね。

    ストーリーがどうではなく、「母性」について考えてみるキッカケに読んでみるのもいいかなぁと思います。

著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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