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- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103329817
感想・レビュー・書評
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中国はすでに、理解はしにくいかもしれないが、すでに「謎の国」ではなくなっている。
さすがに「崩壊近し」とする見解は少なくなっているが、「いずれ経済力でアメリカを抜いて世界一となる」から「中進国のわなから停滞する」まで見方が分かれているのは相変わらずである。
本書は、もとサンケイ新聞特派員であるからというわけではないだろうが、中国に対して否定的な視線が目に付く。
実際の体験談として、共産党幹部との濃厚な接触の具体的エピソードを繰り返し強調しつつ、中国統治体制の否定的ニュアンスを強調するようなかき方には、違和感を感じた。
これが著者の実際の体験なのか、それとも著者の意図からのバイアスがかかっているのかは読者には判断できないし、検証もできない。
たしかに、本書で強調するような「中国取材の虚々実々」や「サイドビジネスで富む官僚」は、実態としてある程度存在することは間違いがないのだろうが、それが本書で強調するようにすべての実態なのか、それとも一部のことなのだろうか。
本書は徹底してグロテスクな実態を強調するのだが・・・。
「調査報道」とは「情熱的な突進力」とともに、「冷静かつ冷徹な視線」をも必要とすると思うが、本書は後者が欠けているのではないかとの懸念をもった。
本書は、残念な書であると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示