何様

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著者 : 朝井リョウ
  • 新潮社 (2016年8月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103330622

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何様の感想・レビュー・書評

  • 「羊と鋼の森」以来、約10か月ぶりに小説のレビューを書きました・・・・・・。

    朝井リョウは確かに成長しているのだろう。
    でもその成長の仕方は辻村深月と似ているように思える。

    小説を読む意味はどこにあるのだろう。
    心が折れそうになったとき、どうしていいかわからない時、僕は小説を読む。

    どこかに答えはないか? 
    胸が打ち震えるような感動を与えてくれるものはないか? 
    どこかでカタルシスを感じさせてくれないか? 
    ある意味、現実から逃避するように僕は小説を読む。この年になっても、いやこの年だからこそ悩むことがたくさんがある。
    仕事であれ、プライベートであれ、多くの問題が今でも存在する。

    直木賞受賞作「何者」のスピンオフ短編集とも言えるこの本は、初出を調べると一作目から最後の作品までかなりの時間が経っている。そこには彼の変遷が読み取れる。

    「桐島部活やめるってよ」から始まる、類稀で光り輝くような表現が駆使されていた初期の時代。
    そこには人の心を動かす言葉がたくさんあった。
    心を揺さぶられる感動の場面がいくつもあった。
    でもこの作品集の中で僕が本当に感動したのは2作目だけである。

    もちろん他の作品も、人間の心理の奥底を鋭く突いている言葉で表現されているものがほとんどで、なるほどと唸るような場面がたくさんがあるのだが、最後に感動するという思いには至らなかった。

    どちらかと言えば、心が重たくなり沈みがちな作品の方が多かった。

    文学的な完成度で言えば、おそらく後半部分の最近書かれた短編の方が高いのだろう。
    ただ小説の読み手の1人として考えたとき、読み終えた後の満足感、充実感、カタルシスは若い頃の作品のほうがより多くあったように思う。

    そこでいつも考えるのだ。

    小説は何のために書かれるのかと。
    小説は誰のために書かれるのかと。
    世に出た小説は誰のものかと。

    「桐島、部活やめるってよ」「もういちど生まれる」「少女は卒業しない」「星やどりの声」。
    彼の初期の作品で迸るばかりにあふれていたキラキラと輝く比喩や文章が最近の作品では少なくなってきたと感じるのは僕だけだろうか?
    今までの作品ほど感動しなくなってきたと思うのは僕だけだろうか?
    文学の完成度とはいったい何なのだろう?

    この短編集を読み終えたとき、ふとそんなことを思った。

  • 短編。6編。「何者」(直木賞受賞作品)のアナザーストーリー集。
    バンドにハマるばかりで大学受験勉強がおろそかになってしまうタイプの神谷。夢を追い続ける彼を見つめていた女性。(水曜日の南階段はきれい)
    「何者」では面接をされる側だったが、本作で面接をする側に回り、自分に採用面接をする資格などあるのかを自問自答する克弘。(何様)
    さらっとした感じで描かれているのだが、鋭い人間観察眼はさすが朝井節といった感じ。「いったい何様なんだよ」とうなずくことも。
    一番面白かったのは、最初の「水曜日の南階段はきれい」だった。

  • 「何者」のアナザーストーリー6篇、一気読みしてしまいました。どれも「何者」絡みの登場人物のストーリーだが、それぞれ微妙に手触りの違いを感じた。
    一番気になっていたのは一話目『水曜日の南階段はきれい』、光太郎が何故就職先に出版社を希望していたのかの理由が明らかになる。高校時代のキラキラした日々が眩しくて、甘酸っぱさがパ~っと心に広がっていく描写が印象的。この短編は発表が「何者」より先だったのか。
    理香と隆良の出会いを描いた『それでは二人組を作ってください』、本作のみ「何者」を読む前に別アンソロジーで既読。そのときから印象的な作品だったけど、「何者」読了後、そして映画を観た後に改めて再読すると、その痛さがハンパない。心の内側を引っ掻かれるようだ。見栄やプライドの高さで動いてしまう大学生女子の心情、何でこんなによくわかるかな朝井さん。
    『逆算』(サワ先輩)『きみだけの絶対』(ギンジ)『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』(瑞月の父)、「何者」絡みの登場人物は脇役のため「何者」感は薄いけど、それぞれに心がざわざわする短編ばかりだった。いや~苦い苦い。
    そして最終話『何様』。人事部が舞台、人を選ぶことに逡巡する新入社員の克弘。どこか煮え切らない、やたら「当事者」に拘る彼の理由が後半明らかになり、もう一度読み返して色々と腑に落ちる。朝井さんの視点の鋭さと構成の巧さに唸らされた。
    朝井さんの作品を読むと、自分が無意識のうちに蓋をしていたネガティブな感情がちょっとずつ漏れていくような気持ちになる。その都度軽い自己嫌悪に陥るけど、それでもページを捲る手を止められないのだよな。

  • 少し前に「何者」を読み返しておいて良かった。
    まったく別物の本を読む気分になってたと思うから。
    「何者」のアナザーストーリーなんだよね、これ。
    最後の「何様」だけ、どこに誰が???だったけど今いろいろ検索して納得しました(笑)

    最初の「水曜日の南階段はきれい」が好き。

  • 図書館にて。
    最近子育て中のためたまにしか読めていない小説だったが、久々に堪能。
    ほかの方のレビューを読むと1話目の「水曜日の階段はきれい」が高評価のようだったが、わたしは「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」が好きだった。
    ただ残念ながら元の「何者」を読んでから時間が経ちすぎていた上、申し訳ないが「何者」はあまり印象に残っておらず、なおかつ後日談を求めるほど多分当時も登場人物に愛着を感じていなかったため、逆にこの本が何かの続きって言うんじゃなかった方が良かったなという気が今はしている。
    もう一度「何者」を読んでみたら違うんだろうか。
    それには今の自分が就活の頃から変わりすぎていて、あのテンションや環境を描いた小説を読みたいと思うほど余裕がない気がする。
    この本のせいではないけれど、ちょっと残念。

  • 『何者』を読んでからこの本を読んだ方が良かったかな。読んでないものは仕方なく。続きものでなかったので救いかしら。私にとっては、普通の短編集となっていまいました。
    作中あるよう、「大きい物語として」ではなく「生きづらさ」に「寄り添う」、「自分一人じゃない」と思えるような内容で書いていているのかなあと。若者の心の中をうまく書いてはいますが、嫌な面でもうまく書いてますね。ドロドロしすぎていないのがいいとこです。ただ、<むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった>は30代女性が主人公で、これは浅い。朝井さんが描くのは少々無理があったのでは。

  • 自意識にとらわれて悩む6人の男女の姿を描いた短編集。

    『何者』のサイドストーリーとのことだが、個別の登場人物についての記憶がないため、独立した作品として読んだ。
    立場はそれぞれだが、他人の目、評価を異様に気にするという点ではみな共通する。自意識の塊のようなタイプが足掻く様を、じくじくと追い詰めていく息苦しい展開は、相変わらず健在。ただ、短編のためオチがあってさらりと次にいくので、読み手の気分としてはラクだ。
    こういう青臭い悩みは、年齢を重ねるとともに消えていくものだが、作者のような感覚の人にはずっとついて回るのかも。

    表題作の本気の一秒がスタートになるというポジティブな捉え方は、何をするにも励みになっていいな。

  • 『何者』のアナザーストーリー。短編集・全6編。
    ●水曜日の南階段はきれい ●それでは二人組を作ってください ●逆算 ●きみだけの絶対 ●むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった ●何様

    何者を読んでからだいぶ経ってしまったので、主要メンバー以外のことはもう忘れかけており…。最初の2話以降は特に覚えてなくても差し支えなさそうでした。

    朝井さんの描く若者たちはみんな自我が強くて人間の負の感情が多く、読んでいてずーんとします。なにかしらの圧力を感じます。
    それでも最後はからっとした爽やかさがあるのだけど、今作はもやっとした部分も結構ありました。

    「むしゃくしゃ~」は、まあ主人公の言いたいことはわかるけど・・・親に可愛がられたいってばっかりで親の誕生日すら忘れてて妹に嫉妬して自分しか見えてない、結局自分一番かわいいって人なんだなと。
    自分から知ろうともしなかったくせに、そんなの言ってくれなかった、知らない聞いてないとひねくれる。
    それで表題のようなこと言われてもあまり同情できません。
    終わり方もなんだかすっきりしませんでした。こういう毒はあんまり好きではありません。
    「それでは二人組~」は心の中で嗚咽あげてしまいました。こういう毒は好きです(ぇ
    理香に幸あれ・・・。

  • 人間関係の悩みの答えがすべて詰まっていた。

  • 何者を読まなくちゃ

  • 図書館で借りた本。
    「何者」のアナザーストーリーということで借りてみた。どんな話だったか覚えていなかったけど、読めば思い出すと思っていたら甘かった。話によってはぼんやりと覚えていて、なんとなく知ってる話だなぁっていうところまでは思い出せたけど、詳細はさっぱりでした。自分の記憶力の悪さにがっかりしました。機会があればどちらももう一度読み返してみたい。

  • スルスルと読み進めてしまう。おもしろかった。
    材料となる一つ一つのシーンは平凡でつまらない日常なのに読み進めたくなる。朝井さんは何気ない日常を「今風」エンターテイメントに変えてしまう。そう感じる。言葉の表現、粒、リズムが何気ないけど実はかなり意図的で絶妙。初めて朝井さん作品を読んだときから、文章のセンスがすごいなと思ったけど、本作品は更にパワーアップしてる感じがした。わざとらしさが少なくなってる=共感できることが多くなってる。
    特に一番最後の章「何様」はすごく共感した。「あーそれな!あるある!」て感じで。メッセージ性がすごい。まさに「今風」を見事に表現してた。

  • モヤモヤした読後感。自分のことを何者だ?と問うこと自体が何様のつもりだというような…そんな感覚。

  • ”何者”の続編かと思いきや、サイドスートリー的なもので、私はこっちのほうが面白く読む。
    でも、読んだそばから内容を忘れてしまうのはなぜ。

    湊かなえも朝井リョウも面白くさくさく読めるんだけど、
    なぜか心に残らないんだよね。
    最初の”水曜日の南階段はいつもきれい”、光太郎の出版社に就職した気持ちは翻訳者になってるだろう夕子さんと再会したい一心でのことでちょっとひいてしまうくらい静かな情熱で光太郎を想っていた夕子さんに合い通じるものを感じた。

    ラストの”何様”これだけが”何者”の登場人物がひとりもでてこなかったような…。拓人を落とした面接官の話しだったの?
    これが就職試験の現実なの?ほんと今、大学生じゃなくてほんと良かった。絶対選ばれる気しないもの。
    海千山千の面接官の前でとうとうと自己アピールをして質問にも完璧に答え… ムリムリ。
    まっ、だからこそ面接官の難しさ、やるせなさを描いてるんだけど。

  • 何者のスピンオフ?
    1つ目の物語がかなり泣ける展開で、
    おいおい「何者」と全然ちゃうやんと思いながら読み進めましたが、2つ目から最後までは幸か不幸か「何者」と同じテイストで構成されておりました。

    読むのが辛くなるぐらい、
    人間の腹の底にあるなんとなく黒いものを浮き上がらせてくる朝井リョウ。
    だから「いい!」とはなんとなく言い切れなくても悪いとも言い切れなくて、どちらかと言われたらいい作家に分類してしまう。というかいい作家だと思う。というか好きだわ。
    このノリで映画も観てしまうんだろうな。

    キツイところをいつも突いてくるのに、着地するところは救いがあるのがまたいいんだ。

  • タイトルがすべて言い切っているなあ、と思った。他人への悪口のようでいて、ほとんどの大人が自分に対して心のどこかで思っている皮肉。何様なんだ、こんな資格が自分にあるのか、という不安。

    人事という仕事は特にそれが他人からも分かりやすいかもしれないけれど、すべての職業がそうだよね。仕事として扱う内容に対して自信満々で詳しい人なんて社会人の一握りじゃないのかな。自分はこの仕事をやる資格があるのか、時に自分が嫌になりながら、不安を覚えながら、それでもまるで自信があるかのように振る舞う。だってそれが仕事だから。怖くったってそれがお金をもらっている大人だから。怯えながら、自信が持てないときなんてしょっちゅうありながら、目の前のお客さんや生徒や取引先に言い切る。自分の中の1パーセントでもある本当を、必死で差し出す。

    すごく解る。本当はだって自信がないほうが傷つかないで済むし怖くない。でも必死で立ち向かっていくかっこわるい大人、嫌いじゃないです。社会人になって数年経って、転職もして、必死で足掻いてるのは偉い人も案外変わらないんだなと知って。これからも足掻いていきたいなって、素直に思えたから、わたしはあながち就活も捨てたもんじゃないなと。

  • 『何者』も読んだけれど、内容のつながりを思い出せないくらい前のことなので、純粋に『何様』だけを読んだレビュー。

    痛い所を沢山暴かれたような短編集だった。
    「それでは二人組を作ってください」では、ルームシェアの相手を求める女の子のじとっとした焦りが描かれている。
    いつも一緒にいる子が、そっぽを向いてしまう瞬間の切ない痛み。ああ、分かるなーって。
    一人でも苦しくないのに、一人にされることは苦しい。そういうことは恋愛でもあるのだけど、恋愛とはまた違う、同性の時間感覚のようなものがある。
    だから、彼女の選んだ結末は、とてもしっくり来るものだった。

    同じように「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」も結末が好き。
    既視感のある話で、優しいオジサンの弱みにくらっときちゃうキャリアウーマン。
    真面目であることより、真面目でない生活から立ち直ったことに価値を感じる人々の理不尽。
    こういうテーマ設定が、本当に上手い。

    表題作「何様」はラストに。
    今度は面接官として、人を判断する力が自分にはあるのかどうか、という葛藤。
    武田さんと君島という、対照的な先輩。
    でも、二人はどちらが善でどちらが悪ではないところが、人間だなぁと思う。
    それぞれの、真摯な価値観。
    私はどちらかというと武田さん側だけど、きっと君島に共感するビジネスマンは多いと思う。

    小説らしい小説で、それぞれがテーマにしている感情がなんだかとてもよく、伝わってきた。

  • 水曜日の南階段はきれい
    光太郎の出版社を目指した理由に迫る高校3年生の話。
    荻島夕子さんに対して素直に「好きだな」って思いました。
    内に熱いものをもってるのは私も同じで、クラスに光太郎みたいな人がいたら同じように羨ましいと思うタイプです。
    そんな彼女に頑張ってではなくて頑張ろうって言わせた光太郎の存在の大きさ。
    彼は偽物の夢だと言うけれど、それで勇気をもらっている人は確かにいることをわかってほしい。
    最後の文集の文字も文章もとてもきれいで後味良い物語でした。

    それでは二人組を作ってください
    理香と隆良の出会いからルームシェアまでの話。
    何者では拓人は人を笑ってるって言ってたけど理香も人をバカにしてるやん。
    にしても朋美のバカそうな感じから一転する構成はドキッとした。朝井さんの得意技やね。
    理香みたいなどうしようもない人の描写力に関しては他の作家にないものを感じる。そして自分は理香ではないか、隆良ではないかと不安になる。
    なんとなく、身の丈って言葉が浮かぶ物語でした。

    逆算
    主人公の松本さんに激しく共感を覚えた。
    逆算して生きる感覚を持っている人ってやっぱいるんや。
    僕はやりたいことがないから、せめて大人になって後悔がないように今しかできないことを逆算してこなすようにしてる。それでも残るのは虚しさだけやけど。
    そしてリオ五輪とか高校野球見て彼らの一生をかいまみて自分と比較して劣等感に苛まれたり。
    それに対して救いの手を差し伸べるのがサワさん。
    教習所の例えはほんまに分かりやすい笑 僕自身、合宿免許で遠征して初日から運転させられてびっくりしたのを思い出した。
    でもこの例えがはまるのは、まずやってみてから理由が後付けになってる人が一定数以上いるからやね。一部の人は自ら野心的に獲得していっているのでしょう。

    きみだけの絶対
    ギンジの演劇のお話。
    何者では拓人に批判されていたが、ギンジが生み出したものはあったのか。そんな命題を抱え、甥視点で物語は進む。
    演劇や表現の主題ってその主題を必要としている人には現実的に届かないってのはあるあるやろなぁ。そして花奈には届いたようで、生活を変えるものにはなっていなかった。
    最後の意味の描写はなんやろか。それとも意味を知りたくさせることこそが表現する意味ってこと…?

    むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった
    このご時世にまさかの不倫話。
    何者でたぶんお父さんは浮気してないって瑞月さんは思ってたけど、しちゃってたんやね笑
    大切なことは、むしゃくしゃしてやったあと、そうかこんなものなのかと投げ捨てることでしょう。
    正しいレールを歩んで人の言いつけを正しく守ろうとしてきた人ほど後の挫折に対して処理方法が分からないってのは大変共感できたなぁ。人の正しさ重視やなくて自分が何をしたいのかに正直になる意味の正しさが本当は重要なのかも。

    何様
    当事者である感覚がない。そんな人事部配属で面接官をやることになった上に彼女の妊娠が発覚している男の話。
    さも当事者かのような振る舞い。しかしその裏には1秒だけでもこれをやりたい、こんなことを実現したい、やらなきゃと思った瞬間があったはず。それが誠実ってことじゃないか。
    すごく分かるなぁって思った。直感っていうのかな。今までの人生でもこの人と仲良くなりたいとかこれをやりたいって1秒だけでも思ったことを実行してはまることなんてほとんどやったはず。
    当事者であろうとしなくていい、そこに誠実さが潜んでいればそれでいい。
    そんな朝井さんにしては優しいメッセージを感じました笑

  • 人との距離に生じる違和感、感情の揺れの表現が繊細。話しながら食べているもの、目に入るものなどの五感との結びつけ。
    なんというか若いなぁ、と思って作者の年齢を見たらやっぱり20代だった。連絡手段がLINEである点、登場する名前に「萌絵もえ」「結唯ゆい」がある点なども今の時代らしい。一方35歳の女性が主人公の「むしゃくしゃして…」の心理描写には若干現実感が薄く感じるが、これも若さだろうか。
    読んだあとで他のレビューを見たら同じ著者の『何者』の続編(というほど密接ではないようだが)だったらしい。

  • 生きていくこと、それは、
    何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。
    光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる。
    今秋映画公開予定『何者』アナザーストーリー集。
    光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。
    理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。
    瑞月の両親には何があったのか。拓人を落とした面接官の今は。
    立場の違うそれぞれの人物が織り成す、就活の枠を超えた人生の現実。
    ------------------------------------------------

    読み終えてから、登場人物がみんな前作の「何者」に出てきた人たちだったんだと知る(笑)それほど「何者」も印象が薄かったので、今回のも・・・構成は面白いけど、という感じ。

    ただ、みんな思っていることと行なっていることが二重になっていて、誰かの話を聞きながら誰かをor何かを思ったりしていた。その気持ちはよくわかる。

  • 内容紹介(公式サイトより引用)
    生きていくこと、それは、
    何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。
    光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる。
    今秋映画公開予定『何者』アナザーストーリー集。

    光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。
    理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。
    瑞月の両親には何があったのか。拓人を落とした面接官の今は。
    立場の違うそれぞれの人物が織り成す、`就活'の枠を超えた人生の現実。
    直木賞受賞作『何者』から3年。いま、朝井リョウのまなざしの先に見えているものは――。

    収録作品(関連人物)
    『水曜日の南階段はきれい』(光太郎)
    『それでは二人組を作ってください』(理香、隆良)
    『逆算』(サワ先輩)
    『きみだけの絶対』(ギンジ)
    『むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった』(瑞月の父)
    『何様』(?!)
    ただの前日譚、後日談におさまらない、『何者』以後の発見と考察に満ちた読み応えのある最新作品集。

    朝井リョウさんにハマるきっかけになった「何者」のアナザーストーリー。
    本当は文庫まで待つつもりだったが、結局我慢できずに購入…
    でも全く後悔無し、購入して大正解の本だった(笑)

    普段はあまり短編は好きではないのだが、気に入った話が3つ。

    まずは「水曜日の南階段はきれい」。
    バンドマン、光太郎の話。
    青春ど真ん中、終始ニヤニヤしながら読んだ(笑)
    なんて甘酸っぱい話なんだろう。
    なにせ、最後の「おまけ」にヤラれる。
    光太郎にとっても、そして読者にとってもまさに「おまけ」に違いない。
    自分もこんな青春時代があればなぁ…
    ただ、そこは朝井リョウの作品。
    単純な青春ストーリーでは終わらせてくれない。
    光太郎の「夢に向かって頑張っている人間と思われたい」感覚、すごく分かるなぁと。
    自分は33歳になってしまったけれど、結局今の自分にも答は見えていない。
    光太郎と一緒に、もう少し探してみようかな…
    「何者」以降で2人はどうなったんだろうか、続きがとても気になる。

    次に「それでは二人組を作ってください」。
    自分を賢く見せようとする気持ち、人に弱みを見せられない弱さ。
    そしてそれが壁になり、結果として人を遠ざけるてしまう感じ、痛い程分かる。
    こういうことに、そしてこういう自分に気付かせられてしまうから、朝井リョウさんの作品は困るなぁとつくづく思う。
    自分を変えることはなかなか出来ないけれど、同じ感覚・考えを持っている人がいると思えること。
    それが、少し気持ちをラクにしてくれることもあるような気がする。
    きっとコレを書ける作者も、同じ感覚を持っているに違いない(笑)
    ちょっと「何者」の理香のイメージとは少し違ったかもしれない。

    そして最後に「何様」。
    「100%誠実でなければいけない」という強迫観念的な思想、ものすごく共感できた。
    自分も、そう思ってしまい身動きがとれなくなるタイプだ。
    「間違ってはいけない」、「正しいことを言わないといけない」という感覚。
    それが結果的に自分を制限してしまっている気がする。
    君島さんの言葉に少し気が楽になったかな。
    それにしても君島さん、なんか憎めない。
    なんか好きになっちゃうなぁ、ズルいなぁ…

    <印象に残った言葉>
    ・神谷くんも同じ気がする。(P28、夕子)

    ・俺は、夢がぎゅうぎゅうづめになっている教室の中で、とにかく一番大きな音を出さなければ、と、必死だった。自分には夢があるって思いたかった。夢に向かって精いっぱい頑張っている人間だって、誰かに思ってもらいたかった。あの人ならミュージシャンになれるかもしれない、そう誰かに思ってもらうことによって、自分のやわらかい、覚悟のない夢を固めていきたかった。夕子さんは違った、ぎゅうぎゅうづめの教室の中で、擦り減ってしまわないよ... 続きを読む

  • 逆算
    こうなるに至ったきっかけを探してしまう性格?習性?生まれ日から十月十日前を逆算して仕込まれた日を探し出してしまう。
    それは高校生につきあった彼氏に、行為を拒否られた腹いせに投げつけられた言葉。11月4日生まれの十月十日前は12月24日。
    これをキッカケに流れていく人も含めてこの先にそのような行為にぶつかる人のことや、さかのぼったことを想像してしまう。

    でもわかる、この感じ。自分もそうだから。だれも脳の中で考えていることを、わざわざ口には出さないけれど、似たようなこと考えている事態にであうととても嬉しいって感じがする。

    何様
    就活生と社会人一年目、たった一年の差にもかかわらず、立場が違うだけで、さも最初からそうだったかのようにふるまうことが誠実なのか?

    克弘は、そこしか受からなくて入社した会社で人事部に配属され、いきなり採用チームに配置された。実際に面接や選考をするわけではないが、先輩達も営業から移ってきたばかりの人が多い。それが何様?なんだろう。しかし誰だって最初からその立場の人はいない。なってから真剣に向き合ってそうなっていくんだろう。それは母親や父親だって同じだ。こんな自分でよいのかな~と考えている自分に選考がつとまるのだろうか?その考えで詰められているほうが不誠実かもしれない。

    そのなかで、一瞬だけでも真剣に向き合わなきゃいけない、と思う瞬間がある、その一秒間がこれまで面接官ではなかった彼の一歩になる。誠実の一歩目も誠実の中にいれてあげようよ、というセリフが印象深い

  • 「何者」を読んでずいぶん経っていたが、インパクトのある作品だったので、思い出しながら楽しめた。
    光太郎の高校時代「水曜日の南階段はきれい」が好き。出版社にこだわって就活していた理由がわかって一番スッキリ。
    理香の意外な一面がわかった「それでは二人組を作ってください」も納得。
    「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」は朝井リョウさんらしい作品で長年抑えこんでいた感情が溢れる感じがいい!
    「何様」は就職して、今度は面接する側になったことに悩む克弘の葛藤が描かれているが、立場が変わって葛藤することは生きている間に何度か経験することで、共感できる部分もあった。

  • 映画は最近見たばっかりなんだけど、何者読んだのは結構前だったし登場人物の名前覚えるの苦手なんで、どの短編が誰の話なのか全然つながらなかったから関連作としては全然つながらなかった…。それでも割とどれも味わい深かったけど。

  • ”「だから、私と一緒に、住んでくれないかな」
    結局私は、自分よりバカだと思う人しか、一緒にいられない。”
    ーー朝井リョウ『何様』新潮社, 2016年収録、『それでは二人組を作ってください』より引用。
    映画『何者』の原作小説のスピンオフ短編集。
    主人公6人や彼らを取り巻く人々のサイドストーリー。
    *
    意識高い系女子・理香と、空想クリエイター系男子・隆良が同棲を始める経緯を描いた『それでは二人組を作ってください』。
    見ていて痛い、ヒリヒリするほどの自意識を抱えた2人と、そんな彼らを徹底的に突き放して俯瞰する、冷徹な作者の眼。
    読んでいて肝が冷える思いがしました。
    斜に構えた、ゆとり世代、という言葉が似合いそうな短編集。他の作品も、『何者』を知らなくても楽しめます。興味のある方はぜひ。

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何様の作品紹介

生きていくことは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる――今秋映画化される『何者』アナザーストーリー六篇を収録。光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。理香と隆良の出会いは? 瑞月の父に何があったのか。拓人を落とした面接官の今は……。「就活」の枠を超えた人生の現実。直木賞受賞から3年、発見と考察に満ちた、最新作品集。書下ろし作品も収録。

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