- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103336624
作品紹介・あらすじ
あいつさえいなければ――怪物によってすべてを狂わされた七人の男の、壮絶な人生絵巻! 天下を取れたはずの男、今川義元。三好家最後の当主、三好義継、名うての伊賀流上忍、百地丹波。魔王の孫、織田秀信――。信長のせいで、歴史の主役にはなれなかった男たちの人生は、こんなにも、熱く激しいものだった! これからの歴史小説界を担う著者が放つ、愛すべき敗者たちの戦国列伝。もう、負け犬なんてよばせない!
感想・レビュー・書評
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信長が倒した領主たちを主人公にした短編集。
その負けざまといってもそれぞれに
死生観、美学、人柄がもろに描かれていて面白い。
容姿の描写は少ないが
そういった言動から人となりや風貌が
生々しいくらいに想像ができ
グッと引き込まれて読み切った。
死に至るにしても、皆心穏やかな状態で
ある意味ハッピーエンドであり読後感も良い。
戦国時代という、評価軸が戦しかない
今とは全く違う価値観に生きる人たちは
とても奇異で、嫌悪すら感じることもあったが
余計なものがない分清々しく、美しくも見えた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良くも悪くも時代の主役であった織田信長に蹴散らさた敗将達を描く短編集。
今川義元、越前朝倉家に仕える国衆である真柄直隆、近江の名門六角承禎、河内の三好義継、織田家宿老佐久間信盛の嫡男佐久間信栄、伊賀の上忍百地丹波、織田信長の孫である三法師こと織田秀信。
サクッと読めてどれも面白いです。 -
信長嫌いのタイトルから興味を持って読むも内容は信長の破竹の勢いでの戦いに敗れて行った武将達(今川義元、真柄直隆、六角承禎、三好義継、佐久間信栄、百地丹波、織田秀信)の戦いを描き視点の違った信長が垣間見え面白く読めた。
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今川義元、真柄直隆、六角承禎、三好義継、佐久間信栄、百地丹波、織田秀信。
信長の陰で、歴史の主役になれなかった男たちを描く。
踊らされたり、転がされたり、振り回されたり。
どの主人公もどこか抜けたところがあり、敗者になるのもやむなし、という感じ。
哀愁ただようのに、本人は一生懸命。
愛すべき男たちで、その奮闘ぶりには、とぼけた味がありました。 -
「信長嫌い」というタイトルですが、個人的感情ではなくて、織田信長がいなければ違った人生を歩んでいただろう、という点から見ての「嫌い」というタイトルです。
あくまで一方的な言い方。家康の饗応をボロクソにいわれた光秀、というような信長本人との絡みはありませんし。そういう点では、タイトルそのままを期待すると拍子抜けします。佐々木信栄が近いぐらいでしょうか。
短編七話。
主人公ではないけど、やはり足利義輝の死にざまが傾奇すぎていて、とても好きだ。 -
信長がいたために、大きく人生を動かされた武将たちの7話の短編集。基本は信長に負けて、とか、利用されて、とかなわけだけど、どことなくやられちゃったほうは、くすっとさせられる緩さがあり(文体からしてそうだ)、気軽に読むことができる。第4話の三好義継と第6話の百地丹波の話が、短編らしくていい。
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織田信長のことは徳川家康に聞いて理解していたはずが、その足元を掘り返されたことに死の間際に気づく今川義元、一度も戦で手柄をあげてない真柄直隆が、家中では主戦派として疎まれ、息子には投げ飛ばされた末、姉川の戦いで見せた奮闘。名家というプライドだけを胸に、突っ込んでいくが、その度に負け、逃げる逃げる逃げる六角承禎。流されるままに生きたことで、将軍弑虐、大仏炎上、三好家を崩壊させた暗愚の君主の汚名を着ることになった三好義継。戦場に立つとお腹が痛くなり、茶の湯に初めて没頭できる道を見つけたが父の追放に連座し、どこかほっとする佐久間信栄、百地丹波。最後は、織田秀信。己自身が何者かはともかく、己の体内を流れる血と風貌には天下人をもひれ伏させる力があることに、秀信は、自分の中に流れる信長の血を厭いつつも、最後は膝を屈して生きながらえるよりも誇り高く生きようと思い極める、結局はそれすら果たされず、高野山に流されるが、最後の三十数名まで戦ったことは胸に抱えつつ。