闇彦

  • 59人登録
  • 2.76評価
    • (0)
    • (4)
    • (12)
    • (8)
    • (1)
  • 16レビュー
著者 : 阿刀田高
  • 新潮社 (2010年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103343271

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

闇彦の感想・レビュー・書評

  • 日本ペンクラブの会長でもある阿刀田高氏の小説『闇彦』を読了。主人公は双子で生まれたのだが生後すぐに弟が亡くなった事から幼少の頃から自分以外の存在がどこからか自分を見守っているような感覚をもって感じる『闇彦』の存在。幼少の頃から大人のいまにいたる『闇彦』を巡る彼の経験が自伝的に語られるユニークな小説だ。ショートショートの名手の本だからもちろんショートショート的な小説かと思い買ったが、あにはからんやギリシア神話や日本書紀への深い造詣も伺える非常にしっかりとした骨組みの小説だった。この小説も読み返すたびに新たな魅力が感じられるだろう隠し味を沢山持っている気がする。

  • なかなかよかった。
    なんていうか他の作者よりもセンスってものを感じる。
    この作者、ピアノ弾いたらいい感じの音出しそう。なんかそんな感じがした。

  • 自伝みたいな小説?
    自分の知っている地名が出てきて、自分なりにつながってしまった。

  • 「闇彦が教えてくんる」
    人が亡くなる度に、誰かの口から聞く「闇彦」という言葉。
    「闇彦」とは何なのか?
    分からないまま少年は大人になり、作家となる。
    そして思わぬ所で、思わぬ人から「闇彦」とは何かを知らされる。

    この本の表紙と「闇彦」という不気味なタイトルに惹かれました。
    モダンで素敵な表紙~。
    これは小説ですが、もしかしたら自伝的な意味合いもあるのかも・・・。
    主人公が作家になったあたりからそう思いました。
    それだったらこれは阿刀田高さんのお話の原点だ!そう思ったら、この本の内容紹介にそのまんま書かれていて「おぉ~」と思いました。
    確かに、これは原点のお話です。
    阿刀田高さんの本を読まれた事のある方なら一読の価値ありだと思います。

    「闇彦」の意味を知って、なるほど!と思いました。
    あ~、そういう事だから、あのシチュエーションで耳にしたのか・・・と。
    阿刀田高さんは確かに「闇彦」の血を引いた方だと思います。

  • 1935年生まれ。結核で2年遅れで早稲田を卒業し、国会図書館に勤めた。
    あの赤坂離宮に通っていたのか。

    新潟生れとか。その辺の伝承。早世した双子の弟。
    回顧みたいな、随筆みたいな、それでもちょっと深そうに見せて、手慣れたものだ。

    最初からストーリーを書くことに困難はなかったらしい。するすると書いたらしい。
    そして推理作家協会賞、直木賞を受けて、紫綬褒章、旭日中授章授章。現在日本ペンクラブ会長。

    こういう人もいるんだなと思う。

  • 生きること、悼むことを語ることに集約し
    物語とはなにかを掘り下げた作品。

    主人公が人生の要所要所で出会う闇彦。

    日本神話で語られざる神を設け
    それを軸に物語とは何かと
    問いかけてくる小説でした。

    出会う女性たち
    語られる神話
    それぞれに印象深く
    あっという間に読めてしまったのに
    心に奇妙な引っ掛かりを残す
    阿刀田先生作品の味でした。

  •  『闇彦』というタイトルから、私は何かしら、神話の暗部だとか秘事だとかに沈潜していくような、追い落とされるような、そんなおどろおどろしい物語を想像していたのだけれど、実際に読んでみると、文体も展開も意外なくらいにあっさりしていて、水の上をたゆたうような印象のなかで読み終えることが出来た。

     日本の神話とまるで無関係なわけではない。秘事、謎といったような日本神話であまり深く語られてこなかった部分に、「海彦」「山彦」らにとっては三人目の兄弟であったかもしれない「闇彦」なるものの存在が見え隠れしており、その「闇彦」が、主人公の「私(弓彦)」の人生にも、時おり顔をのぞかせる。そして、その「闇彦」に関わる者たちは何故か皆、類まれなるストーリーテラーであり、人は、人類は、なにゆえかように物語を求めてしまうのかというテーマのもとに書かれているのが本作品である。

     私(弓彦)が、自分と闇彦との関わりを意識し始めたのは、物心がついて直ぐの頃からであった。双子の弟・吉彦が三歳で病死してからというもの、お守り役のお婆あが語る言葉の端々に、闇彦という名前が出てくるようになったからである。弟の吉彦は死者ではあるが私とともに同じように成長しているらしく、お婆あは「吉(よ)っちゃん、吉っちゃん」と呼びながら、死んだ弟のことを語る。時に「庭に来ている」と云い、「大きくなって、七五三でセーラー服を着ている」と云う。そして、それらのことは闇彦が教えてくれるのだ、とも。私は、眼には見えない闇彦なるものの存在があって、それは死者に関わる何かなのであろうと漠然と考えるようになる。

     小学六年生の時には、舟宮稲子(ふねみやいねこ)という物語の上手な女子と出会う。彼女は普段は目立たないのに、色々なお話を級友たちに話して聞かせるときだけは、皆を惹きつけてやまない不思議な魅力を発するのである。頭の中に入っている物語は数限りなく、そして人の死ぬ話が多くを占めていたようだった。そんな稲子は、学芸会で舞台に立ち、物語をするという大役を果たしてしばらくした後、不意に病死してしまう。葬儀は新潟県の海辺の村で執り行われた。私はクラスを代表して彼女の葬儀に出席し、馴染みのないしきたりに少々面食らいながらも、そこでまた闇彦の存在を感じるのである。薄闇の中で一本の蝋燭を手から手へと受け渡しながら、蝋燭を持っている者が故人について、短く静かに思い出を語る。浜辺で死者を納めた棺を筏(いかだ)に乗せ、火を点けて沖に流す。不思議な弔い方の背後で聴こえるのは、「向こうに島がある。稲子は闇彦の血だすけに」という年寄りの声だった。

     闇彦とは何なのだろう―――?
    闇彦に関わるとされる人たちは、何故、お話が上手いのだろう―――?
    なにより、人はどうして、お話を聞くことを求め、物語を読むことを好み、語られることに我知らず惹かれていくのだろう―――…?
    そんなことを考えるともなしに考えながら、主人公の私(弓彦)は新潟を離れて東京住まいとなり、自らも小説家となる。自分自身も死んだ弟や同級生を通じて闇彦と繋がっているせいなのか、ごく自然にストーリーテラーになったのだ。

     同級生の舟宮稲子を弔って以降も、人生の其処ここで闇彦は私の前にふと立ち現れる。そして、闇彦の正体らしきものが垣間見えるきっかけとなったのは、西村夕海子(にしむらゆみこ)と舟宮糸子(ふねみやいとこ)との出会いであった。

     西村夕海子は劇団の女優であり、ギリシア人の血が八分の一だけ入った美しい女性。役者としての熱心さからか、自分の体内に流れるギリシアの血がそうさせるのか、或いはその両方か、夕海子は、演劇にも多大な影響を与え続けるギリシア神話に特別の関心を寄せているようである。一方、舟宮糸子は新潟生れで、血のつな... 続きを読む

  • ギリシャ神話のゼウス、ポセイドン、ハデスと日本神話の海彦、山彦、そして一般にはほとんど語られない闇彦との共通点を軸に、筆者が小説を書く意義のようなことが語られている。一見とりとめのないエピソードと神話との間には何の繋がりもないように思え、どうオチをつけるのかと思っていたが、きれいにまとめてある。闇彦とは何か?という不思議なものに対する興味もあって一気に読めた。

  • 短編集ではない(・ω・)ノ

  • 主人公弓彦の語りからすんなりと物語の中へ入っていけたのだが、途中から弓彦が1人で覚醒しちゃって、彼の隣に寄り添いながら歩んでいた自分が話の中で置いてけぼりを食らってしまった。

    後半からのまさかの神話が絡む展開になり、思わず残りページ数を確認する。
    唐突さはよいとしても急展開を纏めきる長さがあと少し足りずに、弓彦劇場の幕は閉じられた。
    緞帳の下から「え、これで終わりですか?」とのぞきこみたくなる気分だ。

  • 地元弥彦山などが舞台だったので読んでみた、ただそれだけ。

  • 頑張って纏めようとしているが,とりとめなくなっている~自分の中に闇彦を感じるのは,病弱で誕生間もなく死んでしまった吉彦という弟がいたせいかも知れないが,弟に付ききりで子守に雇われたねえやの祖母から話を聞かされて,その中に闇彦という単語が出てくるのを覚えているからだ。新潟の阿賀野川近くの小学校でも地味なのに話をさせると実に巧く人を引きつける同級生がいた。突然死んでしまうのだが,葬儀は舟に乗せて岸から離れて火を付け火葬にするというものだった。身寄りがいるのかいないのか。高校では読書に拍車が掛かり,受験に失敗した後,結核となり1年半の療養で短編を読み漁り,入りやすい文学部の仏文科に入ってから文学とは何かに疑問を抱き始めたが,女子同級生から面白ければ良いのではないかと言われ,小説家になることを勧められ,バレンタインに貰ったカードにYamihikoというアルファベットを見て,驚く。彼女の書いたuの上の部分が接近していてaに見えただけの話だが,ギリシア神話のハデス,日本神話のツクヨミノミコト,山彦と海彦の件に登場するホオリこそが闇彦ではないか,闇の世界を統べる者は死者を思い起こさせ,人々の心に訴えるのだ~なんだか,自分の体験を書いているような・フィクションを紡ぎ出しているのか,小説家の身近な暮らしは作家でしかないので,体験であろうかという先入観を抱いてしまう。作家の苦悩的な作品を最近よく読むので,ちょっと飽きている。受賞作家でもペンクラブ会長でも悩みが深いのか,新しい物語を紡ぎ出す力が尽きているのだろうか。世の中に出て,他の人の生活を取材して話を作って欲しいなあ

  • 幼いころから「私」の眼前に見え隠れする不可思議な存在“闇彦”。それはどこから来て、何を伝えようとしているのか。むかし聞かされたお婆あの言葉、死んだ同級生の少女、海沿いのひなびた温泉宿、ギリシャの血をひく美貌の女優…。人生の要所要所に現れる“闇彦”に導かれるように、「私」は神話と物語の源流に遡っていく。短編の名手が初めて明かす物語の原点、創作の現場。特別書下ろし長編。

  • 久しぶりに読んだ阿刀田高でした。

  • 読みやすい小説だけど、内容はよく解らない。結局何を言いたかったのか?

  • 神話と伝承に絡む「死」の物語。
    微妙に肩すかしの感もあったが、語られるエピソードのひとつひとつに不思議な余韻が残る。
    人はなぜストーリーを好むのか。物語を餓鬼のように欲しがる私は、遠く闇彦を恋う。

全16件中 1 - 16件を表示

闇彦を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

闇彦の作品紹介

幼いころから「私」の眼前に見え隠れする不可思議な存在"闇彦"。それはどこから来て、何を伝えようとしているのか。むかし聞かされたお婆あの言葉、死んだ同級生の少女、海沿いのひなびた温泉宿、ギリシャの血をひく美貌の女優…。人生の要所要所に現れる"闇彦"に導かれるように、「私」は神話と物語の源流に遡っていく。短編の名手が初めて明かす物語の原点、創作の現場。特別書下ろし長編。

闇彦はこんな本です

ツイートする