荒仏師 運慶

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103345329

感想・レビュー・書評

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  • あちこちで作品は目にするものの、よく知らなかった運慶という仏師の人生と、その生きた時代を描いていて、興味深かった。
    運慶といえば快慶。奈良の東大寺の門の両側の阿吽像を見ても、ニコイチというイメージだったのだが、実は出自に絡んだ経緯があり、確執があったのだと知って驚いた。「仏師」という職業の業が感じられた。
    ただ、文章が読み辛かった。この形容詞は何にかかっているのだろう?とか、この文章の主語は何なんだろう?とか、読んでいて引っかかる部分が多かった。

  • 平安から鎌倉に生き、多くの仏像を遺した伝説の仏師運慶。
    その幼少期から没するまで、人としての運慶と仏像に向き合う姿を活き活きと描く。
    抹香臭くなく、非常に生々しく興味深い。
    今後仏像に向き合う時には、今までと少し異なり、仏の姿の中に生きる仏師たちの姿を思い浮かべることができるような、面白い作品だった。

  • 空也の小説のときもあった、毒母に嫌われている息子という設定が物語上、まったく活かされていない。作家の性癖を発散させるかのようなあばずれ女もやたらとでてくるが、女らしい柔らかさがない。主人公が武者のように荒くれ魂なのに一人称が「わたし」なので違和感がある。作家の私小説みたいに読めるので気持ち悪い。
    快慶との兄弟弟子対決も中途半端。

  • 怒涛の時代を生きた仏師運慶を主人公に、彼を取り巻く人々との人間模様を軸に、慶派一族の活躍を描いた歴史小説。

  • 平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した、
    天才仏師・運慶の生涯を描いた歴史小説です。

    仏師と言えば、運慶…??、
    といぅくらぃメジャーな歴史上の人物である一方、
    現存する(確実?な)作品は、30体ほどで、
    その人物像にも、わからなぃ部分が多ぃ中で、
    クライアントとなる鎌倉幕府や朝廷の要人などと、
    運慶との交遊を軸とした構成とすることによって、
    運慶の人物像が、しっかりと描かれていて、
    とても、よぃ作品でした。面白かったです。

    お話は、
    運慶が、表舞台に登場した青年期から、となりますが…、
    作者の梓澤さんの既作品の中では、
    若き日の藤原秀衡と西行の交遊を描いた『光の王国』で、
    少年時代の運慶も登場していましたね…。

    本作品は、運慶のお話ではありますが…、
    平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての歴史小説、
    といぅ視点で読んでみても、面白ぃ作品でした。

  • ★2016年6月22日読了『荒仏師 運慶』梓澤要著 評価B~ B+

    平清盛から鎌倉幕府支配時代にかけて、南都奈良を根城に仏師として一時代を築いた運慶の一生を描く物語。

    いかにも物語にしづらいであろう仏師というネタを上手にアレンジして、貴族の平安時代から武士の鎌倉時代への大きな転換点を絡めながら作品としている。運慶自身のことを本当に書ききれているかどうかは、何とも判断できないが、少なくとも一人の天才仏師としての矜持、生き様は書けていると感じられた。

    東大寺南大門の阿吽の仁王像のくだりでの兄弟子快慶との軋轢と対決。静と動の対照的な作風のぶつかりあい。そして、そのずっと後の和解など、本当にそうだったのではないかと思わされてしまうほどのストーリーの作り込みは興味深い。
    この本を片手に本当に残っている仏像を見ていけるともっと面白かったかも知れない。

  • 生き生きした躍動感を持つ仏を彫る運慶。兄弟子快慶との対峙。6人の男の子たちもみな仏師となる。時代の流れの中で仏と向き合って生きる生涯。

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著者プロフィール

1953年静岡県生まれ。明治大学文学部卒業。1993年、『喜娘』で第18回歴史文学賞を受賞しデビュー。歴史に対する確かな目線と骨太のドラマを織り込んだ作風で着実な評価を得てきた。作品執筆の傍ら、2007年から東洋大学大学院で仏教学を学ぶ。2014年『捨ててこそ空也』で、第3回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。主な作品に『百枚の定家』ほか。

「2016年 『井伊直虎 女にこそあれ次郎法師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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