荒仏師 運慶

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103345329

感想・レビュー・書評

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  • あの運慶の生涯が、運慶自身の言葉と視点で語られる。本当に彼が生きた世界がそこに見えるようなリアリティだ。ライバル快慶との激突、邂逅が面白い。私が出会ったことのある仏像の背景に迫るようで、ゾクゾクしながら読んだ。今年9月末から東京国立博物館で始まる「運慶展」の前にこの作品に触れたことで、さらに楽しみが深まった。

  • H30/12/16

  • 仏像に最近興味があるので、ワクワクしながら読みました。
    ただ、元々どのお寺にどんな仏像があるのかわかっていなかったので、この時運慶がどんな仏像を彫ったのかイメージしにくかったです。
    もっと仏像に詳しかったら、もっと楽しめたと思いました。

  • 2018.2 まずまず。

  • 東京国立博物館で運慶展が開催中。
    見に行く前にと思い読んでみることに。

    小説としては特筆するものはないが、運慶の生きていた時代感や大きな時間の流れは感じられた。

    平安から鎌倉の武家社会になっていくまさにその最中に仏を造る事の意味を深く考えていたことがよく伝わる。

  • 運慶展が始まる前なのでちょうど良いタイミングかと。慶派の隆盛と、その背景となる平家の末期から承久の乱までの時代を、運慶が一人称で時系列に語るのでものすごくわかりやすい!運慶ってちょうど歴史の転換点に生きてて、物証(仏像のこと)も残しているし、この時代を語る証人に相応しい人物だということに全然気づかなかったのでとても面白い。筋肉隆々タイプの仏像が運慶らしくてそうじゃないのを見ると運慶っぽくないと思いがちなんだけど、運慶にも当然、年齢、発注者、時代背景によって作る仏像は違いがあり、一団の仏師たちの実力や個性も違う。あれだけの大作を作るには基本は発注者がいるので、その意向は当然、世間の思いや社会情勢が反映され、さらに宗教的なものなので、仏像は実は当時の社会が具現化されたものなんではないかと思った。私たちは、仏像を通して当時の社会を見ている。と褒めまくってなぜ平均点なのか。本としては、あまり心を揺さぶられなかったからです。

  • 快慶などへのライバル心,親子間の想いと仏像に託する信念など色々な気持ちが混じり合って運慶の仏像がある.鎌倉幕府へと変わりゆく時代の中で,揺るぎなく縋れる仏に魂を込める姿が印象的だ.

  • あちこちで作品は目にするものの、よく知らなかった運慶という仏師の人生と、その生きた時代を描いていて、興味深かった。
    運慶といえば快慶。奈良の東大寺の門の両側の阿吽像を見ても、ニコイチというイメージだったのだが、実は出自に絡んだ経緯があり、確執があったのだと知って驚いた。「仏師」という職業の業が感じられた。
    ただ、文章が読み辛かった。この形容詞は何にかかっているのだろう?とか、この文章の主語は何なんだろう?とか、読んでいて引っかかる部分が多かった。

  • 平安から鎌倉に生き、多くの仏像を遺した伝説の仏師運慶。
    その幼少期から没するまで、人としての運慶と仏像に向き合う姿を活き活きと描く。
    抹香臭くなく、非常に生々しく興味深い。
    今後仏像に向き合う時には、今までと少し異なり、仏の姿の中に生きる仏師たちの姿を思い浮かべることができるような、面白い作品だった。

  • 空也の小説のときもあった、毒母に嫌われている息子という設定が物語上、まったく活かされていない。作家の性癖を発散させるかのようなあばずれ女もやたらとでてくるが、女らしい柔らかさがない。主人公が武者のように荒くれ魂なのに一人称が「わたし」なので違和感がある。作家の私小説みたいに読めるので気持ち悪い。
    快慶との兄弟弟子対決も中途半端。

著者プロフィール

1953年静岡県生まれ。明治大学文学部卒業。1993年、『喜娘』で第18回歴史文学賞を受賞しデビュー。歴史に対する確かな目線と骨太のドラマを織り込んだ作風で着実な評価を得てきた。作品執筆の傍ら、2007年から東洋大学大学院で仏教学を学ぶ。2014年『捨ててこそ空也』で、第3回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。主な作品に『百枚の定家』ほか。

「2016年 『井伊直虎 女にこそあれ次郎法師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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