- Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103353126
作品紹介・あらすじ
やわらかな記憶の連なりは、呼び起こすたびにその色合いを変える。東北へのバイク旅行。美術準備室でのできごと。そしてジミヘンのギター。二〇〇一年の秋からいくつかの蛇行を経て二〇一一年の春までをつなぐ、頼りなくもかけがえのない、やわらかな記憶の連なり―― 。人と世界へのあたたかいまなざしと、緻密で大胆な語りが融合した、記憶と時間をめぐる傑作小説。第一五三回芥川賞候補作。
感想・レビュー・書評
-
何気なく過ぎ去っていく景色、どうということもない思い出、ある時抱いた気持ち。
そんな色んなものが重なり編まれ折り重なって自分がある。
辛かった事、嫌だった事も丸抱えして愛おしむような感覚。
滝口悠生色が一番強いんじゃないか。これが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もっと情を増量した保坂和志といった感じ。それに、一応ストーリーもある。
面白かったけれど、デビュー作の「楽器」には負ける。 -
死んでいない者、よりさらに何も目指さず、落とさず、震災も挟んでいるがテーマに絡まず、記憶も曖昧になっていく。
青春時代の思い出はクッキリとしていて、それなりに恥ずかしくて、そこから地続きの今があるんだけど、今の方がもやっとした感じ。むしろそのもやっとした感じを大事に確認してるかのような主人公の思考。
成し遂げる、とか歯を食いしばって汗をかくとか、そういった方法じゃなくて、自分がそこにいることを丸ごと肯定しているよう。
読了感も、やっぱりもやっとしてるのに、悪くない。
不思議な小説。 -
ジミヘンはわりと好きなので、タイトルに期待して読んだのがいけなかったのかもしれない。
この本に出合って、自分の苦手とする物語がなんなのかハッキリとした。
青春時代に1人旅をして、その土地で出会った人がいて。という物語が好きじゃない。自分探し的なものもk苦手だ。しかも、それを回想してるなんてもっとキツイ。
時系列の境目がぼんやりしている小説もあまり好きではない。
ということだ。なので、読み進めるのが苦痛で何度も寝てしまった。こればっかりは、好みの問題なので仕方ないとしか言いようがない。
-----------------
初めての恋。東北へのバイク旅行。そしてジミヘンのギター。愛おしい日々の記憶は、呼び起こすたびにその姿を変える。2001年の秋からいくつかの蛇行を経て2011年の春までの時間をつなぐ、頼りなくもかけがえのない、やわらかな記憶。人と世界へのあたたかいまなざしと、緻密で大胆な語りが融合した、記憶と時間をめぐる傑作小説。第153回芥川賞候補作。 -
パープルヘイズ食ってんのか?
ってな事で、滝口悠生の『ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス』
ええ、勿論タイトルで借りましたよ
それ以外に読んでみたいって理由は無いじゃろ!
あぁ、勿論BGMにはジミヘン聴きながら読んだよ
パーブルヘイズ食って無いのに、食った様な感覚に陥るでこの本(ヤク)は……
もうね、こういった本ってのは純文学ってジャンルになるんかな?
ラリって全く頭に入って来ん
房子の事しか残らん(笑)
じゃが房子はどうなった?
じゃが、Fire はええよね♪
わしも一番好きな曲じゃね
どうでもええけど、ジミヘンで一番好きなアルバムは『Jimi Plays Monterey』じゃね
2020年70冊目 -
良すぎ。100ページそこそこしかないのに、読んでいるうちに時間を認知するにあたっての速度がわからなくなる感覚があって、つまり今このくらい読んだからこのくらいの時間が経っているだろうという見当というか、読書をしていると慣れで解るのだが、その見当がつかなくなる。
作品内でも言及されているジミヘンの「フィードバックによる持続的なノイズが、ギターを揺すったり放り投げたり火を点けることによって変化する」演奏(演奏というのか?)を、小説にするとこうなるんだなというか、滝口悠生が小説にするとこういうテーマ性を帯びるんだなと思った。上記「 」内で書いたジミヘンの演奏(演奏というのか?)は時間、というか、あるひとまとまりの時の流れみたいなものに対してループさせたり変化を与えたりということなんじゃないんですかと楽器に対するすべての知識を持たないまま考えるが、(あるひとまとまりの)時の流れみたいなものにアプローチするにつけ、小説の中で「回想」とそこにまとわりつく(ふたしかな)焦点/ボケというように表現したのは、ゴイゴイスーとしか言えないし、やはりこのようにたらたら書いてみて思うのは「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」というタイトルがこの小説にバッチリバッチリだなということです。 -
変な話だけど面白い。いつも変だけどなんか人生ってこんな感じだよな。断片的に思い出す不確定な記憶と現在の混ざりあい。
-
途中まではフムフムと読んでいて結構面白かったんだけど段落7から話にのめり込めなくなった。ジミヘンもうまく活かされていないかな
-
いくつかのエピソードが語られる順番も、終わる唐突さも不思議な感じだが、主人公が思い出を想起しているのと同じように、読了後に思い返してしまう自分がいる。
-
過去と現在 行き来する思い 。過去は思いとともに消えていく。あるのは、今だけ
-
不思議な読後感。
-
どうせ答えを忘れてしまうからきかないって。
前半特によかった。
読めないし意味もわからない単語があったけど、ふりがなもしてくれてなかったので飛ばした。その単語がどれだったかも忘れてしまった。 -
そこに、存在し得るとは、いかに曖昧なことか。そうだったかも知れないし、そうでなかったかも知れない。生きることのありとあらゆる可能性を探りながら、いまここにいる自分を肯定してくれる作品。
-
???
-
経験したこと、事実はあってもその記憶、時間は確実に見えて実は曖昧なもの。確かなのは自分の身体、痛みだけなのだろうなと思う。
-
ジミヘンの新しい本が出たのかな、何が書いてあるんだろうって本屋でパラパラめくったら、なんか青年が東北をバイクで旅してる話で、なんでジミヘン?と思って読み進めてそのまま完読。
時間と記憶について、現在30越えた主人公の他愛ない人生を、いろんな時期の視点を思い出しながら時間が流れながら記憶がうつろうというちょっと不思議な小説。
時間や記憶について思うことある最近だからこそ、こんな風に小説によってまた改めて考えさせられておもしろいなと思った。
なんか青くさい感じもあるけど、それも含めて嫌いじゃない -
記憶を述べることとは,過去の経験を,現時点で原初的に経験されることだというのは,大森さんの本で読んだばかり。この作品も,そんな過去の出来事を思いのままに吐き出したような作品で,ストーリーはあってないようなものです。結局,思い出なんてものはその時々によって変わるもので,ぼんやりしたものもあれば,はっきりしたものもあり,それも真実かどうかわからない。
昔の出来事を思い出したくなるような,そんな一冊。 -
気になっていたものの手を伸ばせずにいたところを芥川賞受賞と同時に読了。受賞作よりこちらの方が好きだった。ふわふわとつかみどころのないような不思議な文章で、時間の感覚が綺麗にほぐされていき、むき出しの感覚があらわになるような印象を受ける。最後まで読み切った時の爽やかな読後感が印象的だった。
-
なんか不思議な話。
だけど、一気に読んじゃった。
読みやすかったのかな。
結局何が言いたかったんだろう。
こういう話が賞にむいているのかしら。
生きてるって事なのかしら。 -
高校時代に影響された美術教師の房子の思い出を原付で旅しながらふりかえる。
秋の東北は野宿できないとかとくに感想もない。
エレキギターを壊しまくってるやついるけど、なんなのかな。気分悪いしやめてほしい。
ジミヘンが好きな人なら理解できるのかな? -
芥川賞受賞ということで手に取ってみた。受賞作ではなく前作を選んだのはタイトルに魅かれてのこと。ロック塗れの青春を送った者として、何等かの、嘗ては所有していたのにいつの間にか失ってしまった熱い息吹とやらを取り戻せるのではないかと期待してのこと。ところがそういう小説ではなかった。それどころか若き日の青春の思い出、あの頃のえも言われぬ溢れる感情さえも、記憶というものはぼやけ入り交じり変形し薄まるものだと、あわあわとさっぱり認めてしまう結果に。肩透かしを食らわされながらも清々しさが残るのは、たぶん文章がいい。
しかしジミヘンはぜんぜん清々しくなんかないのでタイトルに騙された感。一平くん、がんがん火を燃やしていましたけどね! -
この小説は基本的に主人公の回想なのだが、過去の様々な場面が時間軸に関係なく思い出され、そこに主人公のあらゆる思考が絡まっていく。今自分が読んでいるのはどこなのか、今どこで何をしているのか、主人公が今いるのはどこなのか、あっという間に分からなくなってしまう。すごく実験的で、かなり人を選ぶ小説だなという気がした。
私はそれなりに面白がって読んではいたが、読み終えた今でも、なんだかよく分からないままである。なんだかよく分からないけど、過去を振り返るというときに、この本を読んだ体験を思い出すかもしれないと思った。 -
高校から大学時代あたりを曖昧に思い出していく。
何が面白いのかよく解らないが、つまらないわけではなく、面白いのであった。
ドキドキ、ワクワクするような話ではない。
昔を思い出してあの時こうだったよなぁと思うのである。
それは後悔でも、過去の栄光を懐かしむでもない。
一人称で書かれており、主人公と同化しつつゆくのである。 -
曖昧な過去は、自分の記憶で歪められ、時間軸も前後し、退屈な日常を蝕む。更に、空想も入り…認知の不確かさが、面白かった。若い頃の記憶、その情熱のどうしようもない感じを、良く表していた。ゆらゆらとたゆたう…文体。
-
どことなく太宰治に似たところがあるように思いました。一人称の長い独白、若さ特有の心情、深い部分への疑問。そういうところが太宰を思い出させました。
人間の記憶の曖昧さについて、他者との関わりというものについて、思いというものについて、五感というものについて。
小説の時代は現代であっても主題は時代を問わないもので、けれども書き方は斬新さがあって、新しい小説だと思います。
まだ若い作家さん(1982年生まれ)なのに本当にすごいと思います。
要らないなぁと思う部分も多々あったけれど、それでもとても良い作品だと思いました。他の作品も読んでみたいと思いました。 -
初めてジミ・ヘンドリックスを聴いた時の何とも言えない感覚を思い出しながら読んだ
ピークは6章までだった
後半は訳がわからなかった -
読み進めながらする脱線がここち良い本。
→http://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12080524341.html -
タイトルに惹かれて読んでみたが大失敗。全く付いていけませんでした。第153回芥川賞受賞候補だったとのこと。何が評価されてるのかさっぱり分かりません。
-
第153回芥川賞受賞候補。
過去と現在を行ったり来たりの小説で、要するに自分の苦手なタイプの作品だった。芥川賞の選考会ではどうやらそれなりの位置まで行ったようだけど、自分にはさっぱりわかりません。個々のエピソードがもっと魅力的ならわかるけど、よっぱらったおっちゃんに絡まれる件なんかはひたすら読むのが苦痛でした。