甘いお菓子は食べません

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103353515

感想・レビュー・書評

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  • 2015/12/23

    40女の甘くない短編集。結婚、セックスレス、リストラ等々息が詰まりそうなところをユーモアある「べしみ」で締めてくれて助かった。
    「恋愛も買春も何もできない四十女ってほんと困りますよお」(べしみ/240P)
    これから私も中年になるんだな..

  • べしみはR18文学賞受賞時に読んでいました。わたしはこの著者のデビュー作となる一冊をずっと楽しみにしてました。
    そして出来上がったこの本、本当すごい。筆力あるなーと。
    衝撃は断然窪美澄さんのがらあるんだけど、田中さんの描くものは怖い。アラフィフ、アラフォーの女たちの必死にもがいてる様が怖い。わたしはアラサーだけどまだ女子であろうとしてしまいます。けれどこの中には甘いお菓子を食べようとしない、女子から女になった、や、なろうとてる女たちがいて、なんか怖い。どの話も読んだことありそうなのに新鮮で、なかでもやはりべしみは斬新。R18色も全然強くないので読みやすいです。面白かった。

  • 結婚について語ることはすべて、自分の結婚であれ他人の結婚であれ、「わたし」を語ることだ。語らないことのなかにさえ「わたし」が語られている。

    離婚と失恋は全くべつものだった。夫を失うとは、自分のつくりあげた世界の一部をごっそり奪い取られることであり、自分をやわらかく支えてくれる過去と未来を、あたたかく見守ってくれる恋人と家族を、いっぺんに失い、裸でひとり放り出されることだった。

    残欠

    自分のことばーっかり考えてると、大抵行き詰まるから。自分を見つめないこと。そんなヒマがあったら、他人を見つめたほうがいいよ。

  • 初読

    あ、何かの書評に載ってたな…と図書館で手に取り、
    「結婚について私たちが語ること、語らないこと」
    を読み始めたら、おー!これはなかなか…!

    3人の女性がお喋りをしながら視点がめまぐるしく入れ替わる、
    けれど会話のリズムと一緒で混乱もしない、
    テンポが完全に「私たち」と一緒なのだ。

    この短編集に出てくる女性たちは、
    階層も置かれてる立場もそれぞれだ。
    いわゆる非モテの女性も、元アルコール中毒の女性も
    性器に男性の顔がくっついてしまった女性もいる(笑)

    自分と似たようなひと、全然違うひと。
    共通点はもう若くない女性というだけ。
    なのに、何かうっすら感じる連帯感というか
    「あー、なんかわかる気がする」というアレ。
    私とは違う、という事が立場の対立になってしまう事は、
    現実に往々にしてある。
    けれど、あー、わかるわかる!という、あの感じだけで
    私たちはふっと気が晴れて、まぁしゃあないかぁと
    自分の人生に戻れたりする、あれ。

    「残欠」
    が特に印象的だった。

  • 40代の女性達の悲哀にあふれる短編集。

    前のストーリーで脇役だった人が、次のストーリーで主役になるという、最近多い私好みの1冊でした。

    それぞれの主人公が、現状に満足していない悩みを持つ人たち。
    同世代としては、どこかに共通点を見つけることがありましたが、あまり共感は出来なかったです。

    母にならなくてもいい、が良かった。
    女性上司に反発していたようだった部下が、実は彼女を認めていたという下り、私も香穂と一緒に、晴れやかな気持ちになりました。

  • ある程度分別もつき、一見はなにごともないかのようにいながら、いろいろな欲と闘いながら生きてくリアルが存分にて描かれている。
    べしみ、が受賞作とのことだけど、ほかの作品も壮絶。とくに残月の凄まじさは圧巻。
    こどもとおとなの中間のこども、老いていく親、夫、彼氏、友人……人間関係も仕事も友だちも、ある程度重ねてきたなかで、人と比較せず幸せに生きることはほんとうに難しいと感じた。
    もちろん、悩みつつ自分と手を取り合って生きていくしかないし、出来る限り楽しく生きるのがよいと思った。

  • 普段読まないタイプの小説だったけど、不思議と読めた。描かれているものの本質は若くても年を取っても変わらないってことなのかな。

  • 20代~30代女性が結婚について、ああでもないこうでもないと語るお話から始まる連作短編集。
    主に結婚適齢期をとうに過ぎた女性達の本音と建前が赤裸々に描かれた作品になっています。
    女性の内面に迫る作品は、後味が悪く直視できないどす黒いものが描かれる事が多いですが
    この作品からは、そこまで嫌な感じは受けませんでした。とはいえ簡単には打ち明けられない
    ディープな部分が描かれてはいるのですが、不思議と読了感は悪くなかったです。
    最後の作品『べしみ』だけは異色。読み始めてギョっとして…読了後は案外すんなり。

  • 帯のそうそうたる作家の押しに、買ってみた本書。
    なんと、力強い作家に出会ったな、と思う。
    短編が進むにつれ、どんどん印象の強い、なんともどろっとするような、すごく真をつかれたような、女性として、この感情、なくない。と、ある、と言い切れないなにかまっすぐ向き合えない気持ちとともに、共感する。

    とても良い、作家が誕生したな、痛い、擦り切れる気持ちになる、リアルな、女性の日々が、本当にリアルに、今まで読んだことのないリアルさで、表されている。

    後半に向かうにつれ、切実と、女のリアルを、描いているように思え、苦しくも、なにか安堵感を時に感じる、不思議な、リアルな、作品でした。

    2017.05.02小浜島

  • これはなかなかイイと思いましたよ、自分は…!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    30代から40代くらいの?中年差し掛かり、あるいは真っ只中にいる女性たちが主人公の群像劇とでも言えばいいんでしょうか…? 一つの短編に出てきた別の登場人物が、次の短編の主人公だったり…まあ、色々な人物の視点から楽しめる作りになっていますねぇ…!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    最近は小説と言えばミステリのような、娯楽に傾いたものばかり読んでいたので、こういった内面掘り下げる系の小説はある意味新鮮でもありました…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、作者の登場人物たちの内面の掘り下げ方には舌を巻きましたけれども、個人的な好みを言ったら…多少、アレですかね…いやまあ、読みながら登場人物の内面に影響されるのか、だんだん苦しくなってくるんですねぇ…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    けれどもまあ、デビュー作としてはかなり上出来というか、帯にもありましたけれども、まさしく傑作の部類に入るんじゃないかと…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    最近は独身のまま中年期に入る女性らも増えているようですし、そういった女性たちをターゲットに当作品のような小説がたくさん書かれるのかもしれないですねぇ…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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