戦火のシンフォニー: レニングラード封鎖345日目の真実

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103354512

作品紹介・あらすじ

極限状況下、それでも演奏をやめなかったオーケストラの、魂の物語! 一九四二年、ナチスドイツに完全包囲され、すべてのライフラインを断たれた古都レニングラード―砲弾の雨、強奪、凍死、餓死、人肉食……。想像を絶する地獄絵図の中で、ショスタコーヴィチの交響曲第七番を演奏する人たちがいた! なぜそこまでして? 何のために? 平和を愛するすべての人に贈る、驚愕と感動の記録!

感想・レビュー・書評

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  • 1941年、ソビエトに侵攻したナチスドイツが行った「レニングラード900日封鎖」。
    冬、街は凍てつき、食糧は絶たれ、迫撃砲が撃ち込まれ、メトロノームは死の時を刻む。市民を待ち受けるのは凍死、餓死、もしくは爆死。白い地獄と化したレニングラードに、ショスタコーヴィチが大空襲の最中、死と隣り合わせで作曲した≪交響曲第7番≫が響き渡る――。

    戦火と極限状態の中を生き延びたレニングラードの音楽家たちは、いったいどのようにしてこの大作の初演に漕ぎ着けたのか。
    ヴァイオリニストでもある著者が、ロシア語を一から学び、綿密な現地取材と資料収集を重ねて描いたノンフィクション。まさに執念と迫力の一冊。

  • ☆兵士7万人、市民42万人が死亡と公表(砲爆撃、凍死、餓死)
    ☆しかし、推定では、死亡者130-150万人。
    ☆ショスタコーヴィチの交響曲第7番

  • 勉強になりました。

  • 戦争はイカン!結局は庶民が辛い目に遭う!!勝っても負けても後が大変!!!戦場になった場所は凄く悲惨!!!!音楽が確かに救いにはなるが!!!!!平和な時に聴く方が絶対に良い・

  • キエフでのあの「死の試合」の日、レニングラードでは«しかし、ミューズは黙らなかった» ショスタコーヴィチのレニングラード交響曲レニングラード初演をした人々についてのノンフィクション『戦火のシンフォニー』読了。
    この本においては、長いこと公然の秘密だったレニングラード封鎖中の人肉売買について、ラジオシンフォニー楽団員の日記からの生々しい証言がある。彼女の同じアパートの人が行っていた!親しい幼馴染だったのではないか、トーリンカと呼んでいることからして。ブログにも感想を書いた。http://kirakocma.blogspot.jp/2014/09/89.html

  • 第二次大戦でドイツ軍のレニングラード封鎖の中、エリアスベルクの指揮でラジオ・シンフォニーがショスタコーヴィチの交響曲第7番を演奏するまでの、様々な苦労話が満載されている.戦時下での政府のやり口はどこも一緒だなと感じる事柄が多々あったが、それにしてもレニングラード市民がラジオから流れるクラシック音楽に夢中になっていたのは、驚くべきことだと思う.我が国はどうだったのか? でも、表向きの話は戦後のソ連がかなり捏造している由.体質は今でも同じだと痛感した.

  • 1942年8月9日レニングラード・フィルラモニー大ホールにおける幻の名演。これは凄いドキュメンタリーだ。

    1941年9月~1944年1月のレニングラード包囲戦は、これまで戦史や政治史の文脈の中で様々な資料を読んできたが、本書はそれらとは全く異なる戦いの姿を見せてくれた。

    戦闘や市民生活が肉体の生死を賭した戦いであるならば、ショスタコーヴィチの交響曲第7番“レニングラード”を封鎖された状況下で演奏した音楽家たちは精神の生死を賭した壮絶な死闘を戦い抜いたと言えるだろう。

    本書を読んだ後には必ずレニングラードを聴きたくなる。そして聴けば、一つひとつの音がこれまでとは違い様々な意味合いを持って響いてくる。

    この出来事を調べ上げた著者の熱意に敬意を表する。また、72年前のレニングラードでの初演に関わった方々、残念ながら関わる前に亡くなった音楽家の方々に敬意を表する。

  • 「窮地の市民が求めた音楽」評者:鶴我裕子(元N響バイオリン奏者)北海道新聞
    http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/new/2.html

    新潮社のPR
    http://www.shinchosha.co.jp/books/html/335451.html

  • 第二次大戦下、独ソ戦における900日に及ぶ「レニングラード包囲戦」において、100万人以上と言われる戦死者を出しながら、いかにしてショスタコービッチの交響曲《第七番“レニングラード”》が初演されたかを追うノンフィクション。
    補給路を断たれて飢餓と寒さに苦しむ中、生き残ったラジオ・シンフォニーのメンバーによって現地レニングラードで演奏された”幻の名演”。
    これが翻訳ではなく、日本人の手によって書かれたオリジナルのノンフィクションであることに驚く。

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著者プロフィール

■著者について
ひの まどか
音楽作家。東京生まれ。東京藝術大学器楽科(ヴァイオリン専攻)卒業。東京ゾリステンほかでヴァイオリニストとして活躍。東京藝術大学、故小泉文夫教授の下で民族音楽を研究。その後、作曲家の伝記や小説、音楽解説などの執筆活動に入る。現地取材がモットーで、「作曲家の物語シリーズ」(リブリオ出版・児童福祉文化賞を2度受賞)は全20巻中、19巻を手がけた。主な著書に『星の国のアリア』(講談社)、『総統のストラディヴァリ』(マガジンハウス)、『戦火のシンフォニー』(新潮社・第25回新日鐵住金音楽賞特別賞)。原案・監修に「学研 音楽まんがシリーズ」などがある。

「2020年 『音楽家の伝記 はじめに読む1冊 チャイコフスキー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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