花子とアンへの道: 本が好き、仕事が好き、ひとが好き

制作 : 村岡 恵理 
  • 新潮社
3.50
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本棚登録 : 111
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355113

感想・レビュー・書評

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  • 「アンのゆりかご」は読んだことがあるのですが、村岡花子さんの生涯についてはこの本の方が写真が多くて、シンプルで分かりやすいかなと思います。

    あまり同じ本を繰り返し読むタイプではないのですが、「赤毛のアン」は例外的に何度も何度も繰り返し読んだ本です。読むたび新鮮な発見があります。人を思いやる気持ちにあふれていて、その「思い」の美しさにいつも涙してしまいます。この本にも抜粋がありましたが、抜粋を読むだけで泣けてしまうという、まあ要するに好きすぎて骨抜きになっている状態。

    で、村岡花子さんについては、朝ドラの影響で彼女自身についての本を本屋で見かけることが非常に多くなりましたが、正直に言って「過大評価されている」と苦々しく思っていました。
    子供ころずっと、「赤毛のアンの物語は素晴らしいが、訳が嫌いだ」と思っていたので。
    彼女の選ぶ言葉の語感があんまり好きではなかったです。
    たとえば「腹心の友」。もっと素敵な訳語があったのではないか、腹とか付いちゃって全然ときめかない、もしアンが日本語を話していたらこんなオッサンぽい響きの言葉を選んだはずがない、アンは乙女ちっくな美しいものが好きなんだから!等々と、子供のくせに、翻訳の苦労とかまったく知らずに生意気に思ってました。
    マシューが亡くなったシーンの大幅カットも、私には翻訳家の出過ぎた暴挙に思えるし、「命がけで続けたアンの翻訳」という謳い文句も、嘘ではないけれど事実の誇張に思えました。
    そもそもが、アンの本だって本人が発掘したわけでもない。
    強いて言うなら、無理をして彼女をお嬢様学校に入れた父親の功績だろう、と思ってました。彼女ほど素晴らしい環境を整えてもらえなかった兄弟たちはどんな風に思っていたのか心配になるくらい運に恵まれた超ラッキーな人だ、と。

    でも、この本の最後の最後に載せられている村岡恵理さんの文章を読んで、少し考えが変わりました。さすが家族だな、と思うのは、変にほめちぎったりせず、事実を淡々と述べていて、それでいて彼女の素晴らしさを教えてくれている。子供の頃の私には彼女の訳には少々異論があったけれど、でも、海外の言葉を日本語に移し替えること、つまり翻訳というものを真摯に懸命に追求していた人だったんだなぁというのは理解できました。
    ちなみにドラマは見ていません。見たかったな。

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