本屋さんのダイアナ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355311

感想・レビュー・書評

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  • 世界一ラッキーな女の子になれるようにと名付けられた名前が「大穴(ダイアナ)」。父親は彼女が生まれてすぐ出て行き、母親はキャバクラ勤めの派手な女。おまけにダイアナに自分の事を「ティアラ」なんて呼ばせている。
    それとは対照的に、優しい父親と母親に大事に育てられたお嬢様育ちの彩子。
    自分にはないものにお互い強く惹かれあい、唯一無二の親友になる。
    ふたりの小学校3年生から22歳くらいまでの成長が描かれています。

    自分につけられたDQNネームに強い引け目を感じて、人とのコミュニケーションがうまくいかないダイアナ。ぐれる要素満載な家庭環境にも関わらず、強く生きている姿がキラキラしていてとても引き込まれました。

    また、彼女の母親のティアラもいい加減な様で実は現実をしっかり生きている人。周りには隠しているけれど実は育ちも良く、しっかりした教育も受けてすごく頭もいい。
    私の中では土屋アンナさんがティアラのイメージに近く、ずっと頭の中に浮かんでいました。何かのTVで観たのですが、彼女も高校の頃はとても優秀な生徒だったそうです。

    彩子は何不自由ない生活で有名私立学校に進学して知的で聡明な、皆が憧れる存在に。型にはめられた人生に悩みながらも強くなろうと懸命に生きていました。
    そんな彩子が意を決して進路を選んだ大学先で、人生を変える大変な事件がおきる。
    彼氏ができた途端に印象が変わる女性っていますよね。いい意味で変わるのはいいけど、彩子の場合は典型的な男で駄目になっていくパターンに。
    世間知らずと言ってしまえばそれまでなんですが、素敵な女性なのにと、とても胸が痛くなりました。

    正反対のふたり。だけど思うところは同じ。強くなりたいと頑張って成長していく姿をみて、とても元気がもらえました。
    ラストも、ふたりの未来に光が射した感じでとても良い読後感でした。

  • ダイアナと彩子の互いが自分の生い立ちや
    考え方などの呪いを解き放つ話。

    「大穴」と書いて「ダイアナ」と読む、
    母子家庭のダイアナちゃん。
    何不自由なく両親からの愛情を注がれてきた
    優等生な彩子ちゃん。
    環境も考え方も違う2人だけど、読書が共通の趣味。

    些細なことで、2人は絶交してしまうが、それでも、
    互いに意識しながら生活をしていく。
    なんとなく、その気持ちが伝わってきたよー。
    どんな子でも、あるんじゃないかなー。
    「あの子の、こういう所が羨ましい」とか、
    「わたしだって、あぁなりたかった」とか。

    子供から大人へと成長していく中で、
    考え方も変化していくところに、私も変わりたい!!って
    思っちゃったよ。
    今からでも間に合うかなー笑

    赤毛のアンを以前読もうと思って断念しちゃったけど、
    今度こそ、読んでみようかなーって思えたよ!!

    • shintak5555さん
      面白そうですね。
      それより赤毛のアンを読んでいないことにビックリ!笑
      面白そうですね。
      それより赤毛のアンを読んでいないことにビックリ!笑
      2021/06/23
    • ほくほくあーちゃんさん
      面白かったですよー!!

      赤毛のアンは挑戦しないと!!
      子供の頃は漫画ばかりでしたので…。
      面白かったですよー!!

      赤毛のアンは挑戦しないと!!
      子供の頃は漫画ばかりでしたので…。
      2021/06/24
  • 二十代の頃に読みたかった。

  • 大学入る前に読みたかった
    けどいまからでも遅くない、これからの自分に影響を与えそうな本第1位かもしれません
    10数年の女の子の成長の物語で内容がずっしりしているので読み終わった後、自分まで成長した気分になる

  • ーわたしを動かせるのは、わたしだけ。

    キャバ嬢の母親につけられた名前はダイアナ。それも、大穴と書いてダイアナ。この名前のせいで、まともに友達もできず、浮いた存在だった。そんな中、新しいクラスで「赤毛のアンの親友はダイアナだよね、素敵な名前」と声をかけてくれた女の子がいた。そこから親友となった彩子とダイアナ。彩子の家は小綺麗なたたずまいの本がたくさんある家で、ダイアナにとっては憧れてたまらない環境だった。そして、彩子にとっては自由に生きるダイアナ親子が憧れてたまらない存在だった。
    些細なことがきっかけで絶交してしまう2人。ふたたび会話をするのは10年後となってしまう。
    たくさんの名作とともに話が進み、新しい道を切り開く友情に溢れたお話。


    正直この作品、侮っていました。
    少女2人の友情の話かと思って、ほんわかするのかなぁとか勝手に想像していましたが、こんなに勇気づけられるお話だったとは。

    自分の事に自信が持てなくて、自分の選択が正しいと信じたくて、自分自身に嘘をついてしまうことって大小あると思いますが、その嘘がいかに苦しいものであるか、とても心にしみました。
    「自分に命令できるのは自分だけ」と自分自身を鼓舞している場面を読んで、本当にその通りだ、、、こんな生き方かっこよすぎる、、、と惚れ惚れしてしまいました。

    名前に関するエピソードは世の中にも様々ありますが、両親がどんな気持ちで付けてくれたのか想像したら、それだけで幸せな気持ちになります。
    名前って一生モノです。体の次にもらったプレゼントなのだと思っています。「わたし」が他者から認識されるのって名前ですもんね、、、。
    いい本です。いろんな人に読んでもらいたいです。

  • 面白かったです
    読書って素敵だなって
    もっと小学生からたくさん本読んでおけば良かったと思いました
    たくさん本読みたくなる小説です

  • アンとダイアナ、陳腐な友情物語じゃなくて、
    嫉妬や妬み、汚いとされている感情が、素晴らしいものであるんだよって言いたくなる。

    驕らず誰に媚びず正直に、なーんて、
    こんな友達がいなきゃ無理な世の中だっつーの!

  • 余計な説明はいらない。柚木麻子を知らなくとも、読後に著者の他作品を読みたくなるに違いない。

  • アセロラさんが薦めてくださいました。
    とっても面白くて一気に読んでしまいました。
    アセロラさん、ありがとうございました。

    二人の女の子が小学校三年生で友達になり、
    仲良くなったり疎遠になったり
    再会したりの15年間を描いています。

    自分の同じころを思い出しながら
    いろんな気持ちになりながら読みました。

    私も子供のころ、本が大好きで、
    図書館も本屋さんも好き、
    短大の時には本屋さんでバイトしていました。
    でもまた、ティアラさんのように、まったく読まない時期もありました。

    最後にこんなことが書かれています。

    「優れた少女小説は大人になって読み返しても、
    やっぱり面白いのだ。
    はっとり先生が言ったことは正しい。
    あの頃は共感できなかった心情が手にとるようにわかったり、
    気にも留めなかった脇役が俄然魅力を持って輝き出すこともある。
    新しい発見を得ることができるのと同時に、
    自らの成長に気づかされるのだ。
    幼い頃はぐくまれた友情もまた、
    栞を挟んだところを開けば本を閉じた時の記憶が蘇るように、
    いくつになっても取り戻せるのではないだろうか。
    何度でも読み返せる。
    何度でもやり直せる。
    何度でも出会える。
    再会と出発に世界中で一番ふさわしい場所だから
    ダイアナは本屋さんが大好きなのだ。」

  • 本が大好きなダイアナと彩子。その2人の小学生から大学生にかけての成長を描いた物語。生々しい場面や腑に落ちない場面もあったけれど、好きな雰囲気。高校生くらいに読みたかったな。(その頃にはこの作品はなかったけれども)十代の女子ならではの悩みや心情の移り変わり。私もそう思ったことあるなあ、と共感するところもありました。2人には、家族ぐるみでこれからの人生を楽しく過ごして欲しいと思いました。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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