本屋さんのダイアナ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355311

作品紹介・あらすじ

私の呪いを解けるのは、私だけ――。すべての女子を肯定する、現代の『赤毛のアン』。「大穴(ダイアナ)」という名前、金色に染められたバサバサの髪。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人だけど、私たちは一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に――。自分を受け入れた時、初めて自分を好きになれる! 試練を越えて大人になる二人の少女。最強のダブルヒロイン小説。

感想・レビュー・書評

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  • 全ての女子に刺さるお話なのではないでしょうか?
    女同士の友情、そして母と娘の間の葛藤。

    小学生時代に出逢った主人公二人は、それぞれ自分の育った環境に息苦しさを感じていて、お互いを羨ましく感じているけれど、成長してゆく中で結局のところ、親に守られながら生きていることに気付く。「彼女(母)の生き方をなじる日々は楽だった」「母を見下して得意になってばかりいた」と。

    それぞれの母も自分の育てられ方に疑問を持っていて、逆の方法で育児をしている。子供のためを思って良かれと思ってしたことが、子どもには窮屈な思いをさせるだけだったりする。特に同性だとそういう関係になる可能性は高いのかもしれないと思った(父と息子もか?)

    自分の呪いを解けるのは自分だけ。
    自分に命令できるのは自分だけ。

    『赤毛のアン』のアンとダイアナ。「みんながみんなアンのように飛び立てるわけじゃない。」「脇役のダイアナこそが多くの女の子にとって等身大」「アンの良いところをダイアナは自然に引き出してあげた」
    進む道は違っても二人の友情は変わらない。これが本当の友情。

    全ての年代の女子の心に響く作品だと思います。

  • 400冊めになる本がこの本で良かった。
    表紙の可愛らしいさに読む前からワクワクするのは初めてかも。
    お話は本好きな女の子とその同級生の女の子のです。
    ふたりの家庭環境は異なり互いの環境を羨ましく思います。
    仲の良かった二人は些細な行き違いで疎遠になり、また再会を果たします。
    彼女達が自分自身の事や親に対しての思いが正直すぎて、読んでいる途中何度か刺さってしまいます。
    彼女達の成長する姿に誰もが自身と重ねてみたり、思い出す事があるのではないかと。
    読んでいて、読み終えてからも、応援したくなります。
    今誰かにおすすめするならこの本を紹介したいです。

    • Manideさん
      四季子さん、400冊すごいですね〜
      おめでとうございま〜す(^^)

      私は何冊だろうと振り返ったら、もう少しで350冊になりそうです。もう、...
      四季子さん、400冊すごいですね〜
      おめでとうございま〜す(^^)

      私は何冊だろうと振り返ったら、もう少しで350冊になりそうです。もう、きざんで、350冊で喜んじゃおうかな、という感じです。

      次は500冊ですね〜、忘れちゃいそうですよね。
      2023/11/20
    • 四季子さん
      500冊読み終えた時には何か今とは違う気持ちや生活になっていたりするのかななんて想像したりしています。(笑)

      350冊も凄いです!
      是非お...
      500冊読み終えた時には何か今とは違う気持ちや生活になっていたりするのかななんて想像したりしています。(笑)

      350冊も凄いです!
      是非お祝いにはまた良い本との出会いを。
      2023/11/20
    • Manideさん
      そうですよね、あと100冊というのも、なかなかスゴイですね。良い本に巡り会えるといいですね(^^)


      記念すべきタイミングに何を読むか、、...
      そうですよね、あと100冊というのも、なかなかスゴイですね。良い本に巡り会えるといいですね(^^)


      記念すべきタイミングに何を読むか、、、面白いですね。まったく考えてなかったです(笑)
      2023/11/20
  • あ、可愛いなと女の子が手に取ってくれるように、花でいっぱいのキラキラした装丁にしたのだと思う。

    物語はあまりにしんどかった。

    読み始めてしばらくは、女の子同士の透明な憧れが尊くて打ちのめされていた。
    それがいつからか風向きが変わっていて、気付いたらもう読み進めたくなくなるほどの場面にいた。

    中高生には読んでおいてほしい。
    ものすごく、ものすごく大事なことなのに、親や先生は教えてくれない。

    大人には、読んで子どもに手渡してほしい。
    アクセサリーをプレゼントするように。
    例えば高校の入学祝いに、例えば15歳の誕生日に。
    この本はきっとそのために装丁がキラキラしている。

  • 可愛らしい装丁からは、想像のつかないお話でした。
    家庭環境や性格も好みもまるで違う2人がお互い読書好きということで親友になり成長していく姿がとてもステキでどんどん引き込まれて一気読みでした。
    改めて赤毛のアンシリーズを読み返したくなりました。日本文学にも興味が湧きました。

  • 青い鳥文庫のような児童文学好きにはたまらない一冊。
    私もとても大好きな一冊になりました。

    目立つ外見と名前のせいで、幼い頃から好奇の目にさらされてきたダイアナと、両親に大切に守られ、狭い世界の中で疑うことを知らずに生きてきた彩子。
    唯一の共通の趣味である読書を通じて親友になった2人。
    彼女たちは、それぞれ自由な世界に放たれた後、全く異なる人生を歩んでいくことになります。

    私は彩子の人生にとても強く共感しました。
    ダイアナのような生き方に憧れていても、なかなか1人で飛び出すことができない。
    彩子が大学へ入った後のエピソードは読んでいて辛かった。
    無理をして周りに馴染もうとしても、後に残るのは虚しさだけで、本当の友達などできないのですね。

    でも物語のラストは2人の未来に希望を持たせるもので、本当に良かったと思います。

    柚木麻子さん、、同じ学部なんですね!感激です。
    また母が『赤毛のアン』のファンで、ちょうど全シリーズ家にあるので、今度読んでみたいと思います。

  • 女の子二人の友情に、本が絡んで‥
    すごく面白かった!

    矢島ダイアナは、大穴と書いてダイアナと読むという自分の名前が大嫌い。
    キャバクラに勤める母ティアラ(本名・有香子)は世界一ラッキーな名前という意味で父と相談してつけたというのだが。
    その父はおらず、誰かも教えてもらえない。

    小学3年のときに神崎彩子と出会い、仲良くなります。
    真っ黒な髪の優等生の彩子は、前から本好きで有名なダイアナを知っていたという。
    母は優雅な料理教室をやっていて、家も服装もシック。
    上質なものを長く使う、本物がわかる女性になってほしいと彩子に言います。

    ダイアナは彩子の母親の知的で家庭的な様子や、家の落ち着いた雰囲気に憧れますが、彩子のほうは逆。
    キラキラしたものがいっぱいな可愛い家で、ジャンクフードの美味しさや、一緒にゲームをしてくれる金髪の母ティアラに憧れるのがおかしい。

    ダイアナとは、赤毛のアンの親友の名前だという彩子。
    それに、「秘密の森のダイアナ」という日本人作家の本も愛読書でした。
    可愛らしい友情に、思わぬことからひびが入ります。

    私立の中高一貫女子校・山の上女学園に彩子は進み、みんなの憧れの生徒となります。
    狭い世界で守られている自分の臆病さを気にしていました。
    共学の大学に進んだとき、イベントサークルに誘われ‥?
    親の躾けや育ちのよさでは守れない危機が‥!

    ダイアナのほうは、山の上女学園には進めない。
    いじめを跳ね除けながら孤独がちに成長しますが、幼馴染の武田君という味方はいました。
    高校卒業後は本屋の店員を目指します。
    ネットでの書き込みや本の紹介から、いつしか再び知らないうちに近づいていく二人。
    自分の父が誰なのか知りたいと思うダイアナの混乱は‥

    事件もあり、思わぬ距離も出来つつ、互いに自分にない良い面をちゃんと見て感じ取っている二人。
    他の登場人物も個性がハッキリしていて、それぞれ欠点はあるけど根は善良。
    面白おかしく描き出される軽快なテンポがいいですね。
    どうにも出来ないこともあるけれど、皆が互いに気にかけている様子に、心温まります。

  • 児童文学チックな読み心地もある、読後感が良い話でした。
    ないものねだりはしがちだけど、自分の行動次第で変わる部分は多いものだなと改めて感じました。

    また、ダイアナの母は考え方、子どもにあたらず押し付けすぎない接し方など、憧れるかはともかく、、すごく強く、尊敬できる人だと思います。

  • おもしろかった!
    柚木麻子さんはアッコちゃんシリーズが代表作だと思うけれど、
    私的にはこの本の方がよかったな
    女性というのは、( もしかしたら男性も?) いくつになっても、きっかけがあれば、ポーンとたちまち少女時代に戻れるんだなというのをこの本で実感した
    「赤毛のアン」や「若草物語を」読んで、想像の世界で遊んでいた少女時代が蘇ってきて、読み始めるや否や、ガシッと心を掴まれ虜になった

    本が大好きで、本としか向き合えなかった孤独な少女ダイアナ(大穴)、金色に染められたパサパサの髪の痩せっぽちの女の子が彩子と出会ったことにより、憧れていた世界を知り、輝き始める
    聡明な両親の愛情をいっぱいに受けて育っていた彩子もまた、ダイアナを知ることにより、全く未知の世界を知り、輝き始める

    しかし、よくあるふとした誤解から二人の関係は途絶え、全く別の道を歩むことになるが・・・
    二人の人生の支えになってくれるのは、二人が大好きな本「 秘密の森のダイアナ」
    折につけて、その中のフレーズに自分を投影させながら、大人になっていく

    そして、15年後・・・

    周囲の押しつけや思い込みに縛られて、知らず知らずのうちに自分で呪いをかけている自分に気づき、自分の手で呪いを解き、本当の自分の生き方を見つけていく二人のダブルヒロイン物語

    ダイアナが上品で落ち着いた彩子の両親や家庭に憧れる様子や彩子がビーズやシールで彩られたダイアナのアパートの部屋に憧れる様子が生き生きと描かれていて、おもしろかった

    ダイアナ、彩子それぞれの親の子育てぶりは、正反対でありながら、お互いの環境の違いを認めあっているのも好ましかった
    大学生になってからの彩子の変わりようは、あまりにドロドロしていて、同じ本の中身とも思えなかったが、ちゃんと落ち着くところに収まったかな

    15歳でダイアナを産んだヤンキーのシングルマザーティアラの見た目のキャピキャピさとは裏腹の地に着いた自由で柔軟な考え方に感動し、ティアラのファンになってしまった

    子供の頃や青年期に読んだ本がたくさん登場するのも嬉しいし、
    図書館や彩子の家の壁一面の本棚、ダイアナが念願の書店員になった書店隣隣堂など至る所に本・本・本が出てくるのも本好きにはたまらない






  • いかにも女性が惹かれるような作品ですね。これ 決して女性差別発言ではありません(笑) 境遇の全く相反する二人の小学生女児がお互いに相手の特性を憧れる設定は、まさしく赤毛のアンを想起させてくれます♪ しかも母子家庭育ちのダイアナ(大穴)と裕福な家庭育ちの彩子が紆余曲折を経て、やっぱり変わらない友情を維持していたことが確認できる終盤の展開が待っていました。中盤では おやおや と思う運びだけれど終わりの展開で挽回してくれましたね。
    たくさんの所謂 少女小説タイトルが出てくるけれど辛うじて映像化されたものくらいしか内容を知らないのは、やっぱり私も差別世代で辞意を表明すべきしょうかねぇ?(笑)

  • 現代の日本を舞台にした赤毛のアンだった。

    大穴(ダイアナ)と彩子。
    ダイアナは、彩子のようなシックな家に住んで「ほんもの」を愛す母親のいる女の子に憧れていた。ダイアナなんてイタイ名前は当然嫌いだった。水商売の母親も嫌い。
    彩子は、ダイアナのようなドールハウスみたいなキラキラした家で、キラキラしたものに囲まれて住む女の子に憧れていた。彩子なんて古臭い名前は嫌いだったし、「ほんもの」という、地味なデザインの服や小物は魅力的に思えなかった。
    お互い、自らの家庭環境を嫌い、相手を心の底から羨んでいた。

    どちらの気持ちもわかるなぁと思いながら読んだ。
    ダイアナは、名前や家庭環境にめげず、本屋で働きたいと真っ直ぐに進む。
    彩子は、順調に女子校や名門大学に進学するが、両親にしっかり守られてきたことが仇となって、道を逸れ始める。

    ダイアナの母のティアラは、実はしっかりとした家庭で育ち、薄っぺらいと思われてきた彼女にもいろいろ考えがあって、芯を貫いて生きてきた。
    実は誰よりも、どの母よりもダイアナを、本当の意味で娘を大切に育ててきた。

    呪いは自分でしか解くことができない。未来は自分自身で切り拓かなくてはいけない。

    小さい頃仲の良かったダイアナと彩子は、成長するにつれて距離ができる。
    だけど、それぞれで自らの呪いに立ち向かう。
    どちらの人生も、そして2人の関係にも、希望が見える終わり方だった。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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