BUTTER

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著者 : 柚木麻子
  • 新潮社 (2017年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355328

BUTTERの感想・レビュー・書評

  • 例の事件がモチーフになっているが、事件を追いながら主人公の生き方や考え方が変わっていく。
    最後の30ページくらいがなかなか読み進まなくて…というより、ゆっくりじっくり「まだ終わらないで…」と思いながら読んでいる自分がいた。

    それにしても個人的にタイムリーというか、どストライクな内容。
    なぜならバターが好きで、最近美味しいバタークリームケーキが食べたくて仕方がなかったから。
    ご飯にバターとお醤油は、おかずが何もない時のお昼ご飯の定番だし。
    バター不足は今も続いているが、マーガリンをたくさん使うならバターを少量でいい、って自分はカジマナか。

    時間があればエシレにまた行きたいし、佐渡バターも気になる。
    ウェストのバタークリームケーキ、ホールで買いたくなってしまった。(胸やけするだろうな~)

    …とこれはグルメ本じゃないけど、出てくるものすべてが気になった。

    記者という職業はよくわからないけど、犯人探しみたいなことするのか~?
    最近ネットのニュースでも、誤字脱字はよくあるし、何を言ってるのかわからないような適当に書かれたのも見かける。
    きちんと伝えて欲しいものだと思ってしまった。

  • 銀座ウエストのバターケーキを食べてみたい。その日までは、絶対に生きようと決めました。

  • バターの波はこってりと重たく、もがけばもがくほどに纏わりつき、早く読み終わりたいのに、絡みついてなかなか進めない。
    精神的にかなり追い詰められたのは久しぶりで、なかなかにしんどかった。
    そして、苦しんだ割に何も実が残らない。

  • バター、バター、バター、クミン、バター。
    事件を追う主人公が女性記者とはありがちと思いきや、女子高で王子様だったバックボーン、父とのトラウマ、正社員記者等の設定がめっちゃ効いてくる。
    取材がすすむとカジマナが憑依したような文章がカットイン。ねじれにねじれた異性観、つか同性感。主人公と一緒にカジマナに呑み込まれそう!
    とか思っていると、はじめてカジマナにマウントをとった主人公は、融通の利かないイヤな女そのもので。いつしかカジマナの反撃を期待している。
    後半になると、女友達を人柱に、エクスキューズが。<家事ほど、才能とエゴイズムと~(279頁)>、<どうして、異性から選らばれないと、関係が~(345頁)>。それが世論(読者?)への媚びのようにみえたとしても、<ロックだよね、掃除とか料理ってさ><そう、ロックロック!!権利への反発だよ>に、どえらく励まされてしまう。
    料理教室への潜入からクライマックスへ。セレブな食材描写にうっとり。同時に教室にいる(いた)女たちも、まな板にのせられ3枚おろしサ。女の賢さ、あさましさの断面みせられる。
    あの死刑囚を揶揄した者も、惹き付けられた者も、生業のネタにした者も、問題の行為そのものからはみ出る部分を、嗤ったり中傷したり捏造することの醜さを思いしれよっ!て風な攻撃的な受け止め方をした部分もあったが、ラストシーンの頭数に取材対象を含めないなどフェアな姿勢は読後よく。
    「バベッドの晩餐会」の対極にある物語りだったなぁ~てぼんやり思う。

  • あの事件がモチーフになっているのだけど、バター、バター、でちょっと胸焼けがした。何を書きたかったのだろう。事件そのものを書きたかったようには思えない、でも事件を忘れて読むことは不可能。実際の事件がなければ一つの作品として面白いとは思うのだけど、どうしても引っ張られてしまいまう。里佳も怜子も若干行動が不安定で「え?」と思わされる所もあり。怜子にいたっては意味不明。結局最後は七面鳥をシェアできる人が周りにいるという、そこに落ち着くのだろうか。シェアできて良かったねという意味ではなく。当分バターは見たくない。

  • 柚木さんの本のいいところの一つは、実在するお店が出てくるところ。本の世界を共有できる。とりあえず、身の程にあったお店を訪問してみたい。

  • とても読み応えのある一冊。
    タイムリーに死刑判決がくだったばかりの、木嶋佳苗事件を元にしたフィクションということでした。
    週刊誌記者の里佳が、事件の真相や背景、梶井真奈子いう女の生い立ちや闇に迫るべく、彼女にインタビューを重ねていく。
    実在する犯罪者を美化するような話って嫌悪感がものすごいのですが、この小説はなんだか切実に読んでしまいました。
    梶井真奈子というフィルターを通して我が身を省みるような気持ち。
    里佳と怜子もそうでした。彼女のほとばしる生命力と欲望に圧倒させられている。
    取材の福井旅行を終え、東京にもどってからがどんどん面白くなっていきます。
    事件の、里佳と怜子の、それぞれが抱え込んできたものの核心部分がバターのようにとけはじめているのが分かります。
    柚木麻子らしくないテーマだなと思ってましたが、全然そんなことなかった。女の持つ危うさや本心、生きにくさをとんでもなく鋭い眼差しで炙りだしている。

    そしてこの小説の半分は占めているのではないかと思うほどの、料理と食事シーンの描写は垂涎ものです。
    思わずため息をついてしまうほどおいしそうで香りたっている。さすが!

  • 平成の連続不審死の容疑者として、逮捕された木嶋佳苗をモデルにして描かれた作品と言うことで、気になって読んだ1冊。
    奇しくも、この作品を読み始める2日前に死刑確定判決が出たばかり。
    しかし、読んでみると、彼女が殺人に至った心理より、彼女がこだわっていた料理などの話がメインで、最初の100ページ近くまでは、ずっとバターの話。タイトルになっているくらいなので、こだわりがあるのは、理解出来るけど、正直、そこで脱落しそうになってしまった…
    週刊誌の記者・里佳はカジマナこと梶井真奈子の独占インタビューを取るために、彼女に接触する機会を狙っていたが、ずっと受け入れてもらえない日々を送っていた。そんな時、料理上手な友人のアドバイスで、手紙に「料理のレシピを教えて欲しい」と書いたことから、二人の交流が始まる。しかし、交流が深まるごとに、梶井に陶酔していく里佳。そこからラストまでは、どんなふうに展開していくのか、読めなくなり、結局最後まで読了。予想してたラストではなかったけど、最初に比べたら、かなり不快感はなくなった読後だった。

  • 現実の殺人事件をモチーフに、その被告にインタビューしようとする週刊誌編集者と、被告の息の詰まる攻防・・・・。
    とちゅうまでとても嫌な感じ、ああ、柚木麻子さんだなぁと密度の濃いどろりとした空気に、ページをめくる手が止まりそうになった。
    おもしろくないんじゃない
    ただ、そっちの方向を見つめすぎると、現実を放り出したくなるような気持になるから。
    (「ナイルバーチの女子会」がそんな感じ)

    が、途中から、がらっと、主体が変わり、それと同時に視点がくるりとひるがえり、物語がスピード感を増す。
    さらに、闇を抜け、結末は、意外にもからりと風通しのいい居心地のいい部屋だった。
    読み心地は、抜群にいい。

    タイトルの通りたくさんバターを使った料理がでてきます。おいしそうだけど、おいしそうじゃない。まちがいなく体に悪いとわかっている、けど、そんなものも時には無性に食べたくなる・・・わたしにとっては柚木麻子さんの小説そのものですね。

    ああ、しかし、なんて、女が生きづらい世の中なのか・・・。
    ためいきがでる。

  • 木嶋佳苗が、モデルだというお話。
    彼女の料理上手で、筆跡がとても綺麗なことに驚きと感心があったので、興味を持って読み始めた。
    結局、梶井真奈子が好きなのは、自分自身だけであって、そのためには誰を傷つけるのもいとわなかった。
    BUTTERという題名だけあって、料理の描写が細かく、カトルカールに関しては、すぐにでも作りたくなったほど。

  • ジャケ買い。
    帯を読んで、きっと女性特有のドロドロした物語に違いないと思ったが、
    予想に反して、勇気付けられる物語だった。

    成長していく主人公の応援につい力が入ってしまい、1日かけて一気読み。

    孤独な人は、誰かと一緒にご飯を食べるのに飢えているのかもしれない。
    主人公と獄中にいるカジマナの意見、どちらも納得したり共感したりする箇所がいくつかあり、複雑な気持ちになる。
    特にカジマナの行動力と、何もしない人に対する苛立ちには共感した。
    主人公には基本的にずっと共感しっぱなし。父親との関係性を除いては。

    全体的に、予想に反して、この本のメッセージは前向きだった。
    自分を信じて、考えることや生きることを放棄しないで、自分で考えてふてぶてしく生きていくのは楽しいよ、と言ってもらえたような。

    そして、作者の表現語彙や心理学的考察に唸った。
    開高健、平松洋子など、食の描写が上手い作家を信頼する向きが私にはあるけれど、柚木麻子氏も信頼できる作家リストに加わった。

    タイミング的に、主人公ほどではないけれど、部分的に似たようなことで悩んでいた時期だったので、正直、救われた。多面的に自分を見れたし、肯定してもらった感がある。

    やっぱり作家には、やさしい、ほっとけない視線がベースにある。

  • 木嶋佳苗のノンフィクションと呼ばれているものがお粗末な内容のものばかりな中、小説というフィクションで女性視点で挑んだ作品。構成が粗く不満な点も多々あるが、著者が必死に取り組んだ意欲を買いたい。力作。
    木嶋佳苗はモンスターだと確信しているので、いろんな解釈があって当然だと思う。
    男性視点での作品も読んでみたいものです。

  • 食事の描写が多くてどれもこってりしていて、
    読んでいくだけで胃もたれしそうな、
    そして太ったような気になった。

    欲望のままに食事し太ったカジマナと
    カジマナの食生活に夢中になり
    みるみる体型が変わっていく主人公、
    その周りを取り巻く人々。
    女性って見た目一つでこんなに周りの評価が変わってしまうなんて本当に怖い世界だなと感じた。

    また主人公と親友伶子との関係、
    主人公と恋人誠との関係、
    カジマナと関わっていくことで浮き彫りになる
    人間関係のいびつさが読み応えあった。

  • なんだか読み終えた後、自分が太ったような気になる。

    木嶋佳苗事件をベースにして書かれた作品。
    男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。通称カジマナ。
    世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌の記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうちに自分自身や周りの人間たちに変化が訪れ・・・・。

    30代で身長が166くらい、学生の頃からボーイッシュ、料理はしない(食べ物に興味なし)・・・・私のことか。似てる。太る前の体重・・・・近い。

    刑務所にカジマナに会いに行って「マーガリンは許さない。ちゃんとしたバターを食べなさい」と言われた里佳。指示されて食べた「炊き立てご飯にバター乗っけて醤油垂らす」が、たくさん出てきた料理の中で一番美味しそうだった。

    本当に三人を殺したのか、ということよりもカジマナの過去や家族、食への執着・こだわり。里佳の周囲の人間関係や両親との確執。この辺にスポットが当てられていた。

    世間は女性の容姿に厳しいなぁ。

  • メディア予約
    木嶋佳苗事件をモチーフにした話。美味しそうな描写だけど、こってりしすぎて、胸焼け気味。料理が魅力的なので、話の本筋が、記憶に残っていない…

  • ここにオンナの一生の全てがある。
    母と娘の、父と娘の、女と女の、そして男と女の、愛と憎。
    子どもの、思春期の、適齢期の、女としての価値とその揺らぎ。
    シングルマザーの、働く女の、子を欲する女の、悩みと迷いと決意。
    その全てを濃厚なバターでくるみ、これでもかこれでもかと突きつけて来る。
    あの、木嶋佳苗の事件があった時、私は何を思ったか。なぜ多くのオトコがあの決して若くも美しくもないひとりの女に溺れ、そして死んでいったのか、と首をかしげたはず。なぜだ?と。
    なぜこんな女に、と。そこに彼女を、そして男たちを見下す視線はなかったか。
    この物語を読んでいる間ずっと、肌を突かず離れずの距離でなでる生温かい手を感じていた。気持ちよくはなく、かといって鳥肌が立つほどでもない、そのざわざわとした得体の知れない居心地の悪さは自分が木嶋がモデルの梶井真奈子にからめとられていく恐怖だったのかもしれない。
    普段、自分のためだけに食事を作る事なんてほどんどない。外に出かける予定のない休日には化粧もせずだらしない時間を過ごしている。
    私も「自分のために」何かをすることを放棄している女のひとりだった。もしもどこかで彼女と出会っていたら、間違いなくその圧倒的肉感的楽観的自己肯定感にひれ伏し、嫌悪しつつも飲み込まれていっただろう。もしかすると彼女から見放されることに恐怖し、ひたすら動かされる駒になっていたかもしれない。そしていつか彼女に興味を示されなくなったとき、この命を落としていたかもしれない。どこかでとどまらなければ、飲み込まれるなと自分を引き止める声を聞きつつ読んだ。おいしそうな料理の数々に恍惚となる、けれどその裏側に人間の恐ろしく弱い業が口を開けて待っている。
    クチから始まりクチで終わる。自分を現実につなぎとめるために今日も私は料理を作り、そして食べる。

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BUTTERの作品紹介

木嶋佳苗事件から8年。獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていく――。男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

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