BUTTER

著者 :
  • 新潮社
3.53
  • (213)
  • (580)
  • (572)
  • (134)
  • (30)
本棚登録 : 4991
感想 : 657
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355328

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2021/02/12読了
    #柚木麻子作品

    醜い女の周りで連続する男性の不審死。
    女は事件に関与しているのか。
    描かれる料理描写が食欲そそる。
    細かな男女の人間心理も共感できる。
    構成は料理7ミステリ3。
    なんかフワッと終わった。。

  • 最初から最後まで濃厚なバターの香りたっぷりな作品でした♪ 実在の連続男性不審死亡事件を下地にしたフィクションですがけっこうミステリー感覚も充分に盛られた 料理満載な楽しめる小説です。決して美人でも若くもないポッチャリのカジマナ梶井真奈子の事件を深掘りすべく、とある週刊誌の敏腕女性記者 里佳は拘置中の被告人に接触を図る。彼女の核心に迫るべく告げられるままに同一グルメ体験をするうちに徹底的に翻弄されていく里佳と親友の伶子! リアリティーに欠ける印象だけど読み物として十二分に味わい楽しめました。

  • 【あらすじ】
    男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    序盤、物語の流れに入っていくのにかなり苦労しましたが、中盤以降は一気読みでした。どちらかというと、女性向けの内容だと思います。
    物語全体を通じてテーマとなっているのが「欲望」というワードです。特に食欲・性欲というものにスポットライトが当てられています。
    現代社会において、人間は欲望に対し様々な制限が課されていると思います。特に「婚姻」という他の動物にはないルールと、社会性が生んだ「常識」という概念が、欲望と現実の間を歪ませているのではないでしょうか。
    私自身も、自分が本当にやりたいことは何なのか、それを考えるのがすごく難しいと考えており、仮に何かやりたいことを考えついても、それが自分が本当にやりたいことなのか、それとも周りが「こうあるべき」と要求している(であろう)ことに迎合しているだけなのか、わからなくなってしまうことがあります。
    自分の欲望に従順な人が生み出すパワーは、とても強く感じられます。なぜなら、婚姻や常識を正面からぶち抜く力があると、周りはそれができない自分の無力さを痛感するからです。でも、この物語を読んで、その強力なパワーは、裏を返せば独りよがりでとても悲しいものなのだとも思いました。何に憧れるかは人の自由ですが、極端な考えに憧れそうになったときは一歩立ち止まって「本当に大丈夫?」と自分自身に問いかけられるようになりたいと思います。

  • 表紙絵とタイトルと作者で、軽く読み始めたけど、重かった。長かった。
    バターを食べたい欲求、丁寧に料理したい欲求に埋め尽くされているけど、今ほんとに胃が痛い。偶然なのか必然なのか。。。

  • 「すごい大変だったなあ」というのが読後直ぐの感想
    何が?読むのが
    自分ではわりと読むのが早い方だと思っているんだけどかなり時間がかかりました
    前半は退屈なストーリー展開、中盤以降は目まぐるしく登場人物たちの関係性がかわる

    あ、うまい表現思い付いた
    バターをふんだんに使いすぎたような物語だった
    (うまいか?)

    いや違う、バターを吸って重くなった(©にゃんちびさん)ような物語でした

    あと、気のせいかしらんけど紙質がバターのようだった

    • にゃんちびさん
      ひまわりめろんさん

      使って下さったー!!笑

      いやぁ、悪いですよ、お礼に焼肉奢ってくれるなんて〜!
      いつにします?笑

      ありがとうございま...
      ひまわりめろんさん

      使って下さったー!!笑

      いやぁ、悪いですよ、お礼に焼肉奢ってくれるなんて〜!
      いつにします?笑

      ありがとうございます!!光栄です!!
      たらこバターパスタ食べたいですよね、これ読んだら。
      紙質がバターのようだったと。ほんと…なんでしょうね、持ち上げたらポタポタ滴るような。
      2022/03/17
    • ひまわりめろんさん
      にゃんちびさん
      こんばんは

      おかげざでなんかレビューに深みが増した気がしますw

      焼肉まであと7ポインツです
      頑張ってください!
      にゃんちびさん
      こんばんは

      おかげざでなんかレビューに深みが増した気がしますw

      焼肉まであと7ポインツです
      頑張ってください!
      2022/03/17
  • 連続不審死事件の容疑者”梶井真奈子”を取材する女性記者”里佳”が主人公。梶井と関わり、翻弄されていく姿が描かれている。実際に起きた事件をヒントに作り上げられたフィクション。

    複数のテーマが絡み合っていて、感想を書くのが難しい。とにかく食べ物が美味しそうで、文章に引き込まれました。食感や香りまで丁寧に書かれていて、思わず喉がごくり。

    里佳は取材を通して、それまで避けてきた自分の問題と向き合い結論を出していきます。
    自分と向き合える強さや、自分の弱い部分を親しい人にさらけ出せる強さ。この強さが有るか無いかが、里佳と、梶井や被害者達との違いなのかな。という感想を持ちました。

  • 雑誌記者って職業は大変だ。
    取材対象の半生を調べ、自分がその人になってしまう勢い。
    主人公だけじゃなく、親友も半端ない。
    だけど里佳は殺人こそしないけど、梶井を超えた気がする。

    タイトル通り、とっても濃い内容だった。
    私は本当に美味しいバターを食べた事はあるのだろうか・・・

  • タイトルのBUTTERそのままに
    こってりと胸焼けしそうなストーリーがどこまでも続き、
    このまま読んでも読んでも終わらないのではないかと思えてくるほど濃厚な物語でした。
    なぜこんなにも読んでいて胸につかえるのか・・・
    自分の価値すら自分で決められないことにもがく主人公の姿は身に覚えがあるものばかり。
    「~でなければならない」ことばかりがどんどん増えて窮屈になっていく世の中で
    まわりの価値基準に合わせて生きていたら
    自分の「適量」さえも見失ってしまうだろう。

    小説のモデルとなった木嶋佳苗が逮捕された時
    私たちが心穏やかでいられなかったのは
    彼女が犯したとされる犯罪そのものよりも
    自分の容姿や生活を他人の尺度ではかることなく
    自分はそれだけの価値のある美しい女だと揺るぎない自信を見せつけられたからだったのではないか。

    心の中に投げ込まれた小石の波紋が
    読み終わった後いつまでも広がり続けています。

  • 良質なバターを食べたくなる本だった!!
    いや、本当は、そういう本ではないんだけど、
    とにかく、カロリーの高い食べ物を欲する本だったよー。

    たくさんの男性が言い寄っては死亡する。
    その核にいる女性が「カジマナ」。
    キレイでもない、痩せてもない、この女性が
    男性を虜にしていた。
    そのカジマナに対してインタビューをするのが、
    主人公の里佳。

    里佳は痩せ気味の体重なのに、カジマナが勧めるメニューを
    食べて食べて、食べまくり、結果太る。
    この本を読んでると、ヨダレが出まくった。

    ウエストのバタークリームケーキや
    ジョエル・ロブションとか、エシレバターとか…。
    本当にヨダレもん。
    食べ物の表現は美味しいのに、話が長すぎて、
    疲れたので、☆3にさせていただきますー。
    エシレバター絶対食べたいー!!!!

    そうそう、この本の前に読んだ、真梨幸子さんの
    5人のジュンコと設定が似てた!!
    参考文献が一緒だし、すごい偶然だったー!!

  • 装丁が気になる本を読むときは内容を全く知らないまま読むことにしている。一方で本の中に登場する本は予め内容がわかって面白そうだから読む、、というのの対極にある読み方だ。これは前者のパターン。

    木嶋桂苗さん。複数の男性から億の金を得て、その後男性らは死亡。メディアや私たちがこの事件に大騒ぎをしたのは事件を起こした木嶋被告が普通のオバサンだったから。この事件で木嶋被告は2017年に終身刑、そして現在も執行されていないようですね。

    ひとつ前に読んだのが女に生まれてモヤる本だったので、なおさら女性というジェンダーをこれでもかと押し付けてくる感覚に醒めた目でしか見られなかった。こんな人が近くにいたら、本当に本当に近づきたくない。頭おかしい人が言う本人にとっての正論を押し付けられる恐怖。中に出てくる人たちも「◯◯はこうでなくては」というのに縛られ過ぎてて。もっと自由でありたいよ。
    そんな閉塞感がずっとある本。悪くない。

著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×