BUTTER

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著者 : 柚木麻子
  • 新潮社 (2017年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103355328

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BUTTERの感想・レビュー・書評

  • ここにオンナの一生の全てがある。
    母と娘の、父と娘の、女と女の、そして男と女の、愛と憎。
    子どもの、思春期の、適齢期の、女としての価値とその揺らぎ。
    シングルマザーの、働く女の、子を欲する女の、悩みと迷いと決意。
    その全てを濃厚なバターでくるみ、これでもかこれでもかと突きつけて来る。
    あの、木嶋佳苗の事件があった時、私は何を思ったか。なぜ多くのオトコがあの決して若くも美しくもないひとりの女に溺れ、そして死んでいったのか、と首をかしげたはず。なぜだ?と。
    なぜこんな女に、と。そこに彼女を、そして男たちを見下す視線はなかったか。
    この物語を読んでいる間ずっと、肌を突かず離れずの距離でなでる生温かい手を感じていた。気持ちよくはなく、かといって鳥肌が立つほどでもない、そのざわざわとした得体の知れない居心地の悪さは自分が木嶋がモデルの梶井真奈子にからめとられていく恐怖だったのかもしれない。
    普段、自分のためだけに食事を作る事なんてほどんどない。外に出かける予定のない休日には化粧もせずだらしない時間を過ごしている。
    私も「自分のために」何かをすることを放棄している女のひとりだった。もしもどこかで彼女と出会っていたら、間違いなくその圧倒的肉感的楽観的自己肯定感にひれ伏し、嫌悪しつつも飲み込まれていっただろう。もしかすると彼女から見放されることに恐怖し、ひたすら動かされる駒になっていたかもしれない。そしていつか彼女に興味を示されなくなったとき、この命を落としていたかもしれない。どこかでとどまらなければ、飲み込まれるなと自分を引き止める声を聞きつつ読んだ。おいしそうな料理の数々に恍惚となる、けれどその裏側に人間の恐ろしく弱い業が口を開けて待っている。
    クチから始まりクチで終わる。自分を現実につなぎとめるために今日も私は料理を作り、そして食べる。

  • 雑誌記者って職業は大変だ。
    取材対象の半生を調べ、自分がその人になってしまう勢い。
    主人公だけじゃなく、親友も半端ない。
    だけど里佳は殺人こそしないけど、梶井を超えた気がする。

    タイトル通り、とっても濃い内容だった。
    私は本当に美味しいバターを食べた事はあるのだろうか・・・

  • 濃密、という言葉がぴったりの作品だと思います。
    460ページなので長編としては標準的なページ数だと思いますが、読み終えるのにそれなりに日にちを要しました。
    面白くなかったとかいうわけでは全然なくて、どんどん読み進めるタイプの作品ではなかったからです。
    とにかく主人公を含め、カジマナに翻弄される人たちの心情の揺らぎがリアルで、かつ重い。
    本書は個人と世間体といわれるものとの距離感の取り方もテーマの一つになっていますが、自身の常識、価値観と照らし合わせて読むとより心に響くと思います。
    柚木さんって読者の気持ちをぐらつかせるのがうまいですね。
    個人的には物語中盤、主人公の友人の女性が単身である行動を起こすところが読んでいて一番スリリングで面白かったです。
    ただ、それ以降はやや平板というか、心情の変化という意味では予想を超えるものではなかったかな。
    物語の展開自体はカジマナの復讐があったりしてそれなりに起伏に富んではいるものの、できればもうひと驚きさせて欲しかったと思いました。
    それでもこのテーマを描ききった柚木さんの勇気に敬意を表して、星5つとさせていただきました。

    それと、本書は装丁も素晴らしいですね。表紙の紙質もこれしかない!っていう手触りでGOODです。

  • うわー、木嶋佳苗ときたか~~!!!
    「カジマナ」と呼ばれる被告を女性記者が取材し、彼女に翻弄されていく様はオソロシイ。ハンニバル・レクターか!?w

    そして、木嶋佳苗は支援者を通して、今もブログを更新中とのこと。支援者って・・・( ̄▽ ̄;)
    そういえばこの人、獄中結婚してたな~。あいかわらず、モテモテっすねw

    それにしても、出てくる食べ物の美味しそうなこと!
    ただ、七面鳥あたりになってくると、だんだんめんどくさくなってくるけどwwwww

    まぁ、なんちゅうか、満腹です。ハイ、お腹一杯で胸焼けしてますwww

  • 全体的に気持ち悪い。読みにくく退屈で何度も中断、漫画に逃避しまくりました。何人もの男性を騙し死に追いやった木嶋佳苗の事件をモデルに描かれた今作。木嶋佳苗どころかゴシップ記事に全く興味がないので、こういう事件や人物に人々が虜になり影響される理由が分かりません。ましてやマスコミという他人の人生を踏み荒らすような仕事をしている主人公が毒婦カジマナに翻弄され不幸に陥れられても、同情もできないし共感もできませんでした。最後まで好きになれない作品でした。

  • バターの波はこってりと重たく、もがけばもがくほどに纏わりつき、早く読み終わりたいのに、絡みついてなかなか進めない。
    精神的にかなり追い詰められたのは久しぶりで、なかなかにしんどかった。
    そして、苦しんだ割に何も実が残らない。

  • とても読み応えのある一冊。
    タイムリーに死刑判決がくだったばかりの、木嶋佳苗事件を元にしたフィクションということでした。
    週刊誌記者の里佳が、事件の真相や背景、梶井真奈子いう女の生い立ちや闇に迫るべく、彼女にインタビューを重ねていく。
    実在する犯罪者を美化するような話って嫌悪感がものすごいのですが、この小説はなんだか切実に読んでしまいました。
    梶井真奈子というフィルターを通して我が身を省みるような気持ち。
    里佳と怜子もそうでした。彼女のほとばしる生命力と欲望に圧倒させられている。
    取材の福井旅行を終え、東京にもどってからがどんどん面白くなっていきます。
    事件の、里佳と怜子の、それぞれが抱え込んできたものの核心部分がバターのようにとけはじめているのが分かります。
    柚木麻子らしくないテーマだなと思ってましたが、全然そんなことなかった。女の持つ危うさや本心、生きにくさをとんでもなく鋭い眼差しで炙りだしている。

    そしてこの小説の半分は占めているのではないかと思うほどの、料理と食事シーンの描写は垂涎ものです。
    思わずため息をついてしまうほどおいしそうで香りたっている。さすが!

  • 平成の連続不審死の容疑者として、逮捕された木嶋佳苗をモデルにして描かれた作品と言うことで、気になって読んだ1冊。
    奇しくも、この作品を読み始める2日前に死刑確定判決が出たばかり。
    しかし、読んでみると、彼女が殺人に至った心理より、彼女がこだわっていた料理などの話がメインで、最初の100ページ近くまでは、ずっとバターの話。タイトルになっているくらいなので、こだわりがあるのは、理解出来るけど、正直、そこで脱落しそうになってしまった…
    週刊誌の記者・里佳はカジマナこと梶井真奈子の独占インタビューを取るために、彼女に接触する機会を狙っていたが、ずっと受け入れてもらえない日々を送っていた。そんな時、料理上手な友人のアドバイスで、手紙に「料理のレシピを教えて欲しい」と書いたことから、二人の交流が始まる。しかし、交流が深まるごとに、梶井に陶酔していく里佳。そこからラストまでは、どんなふうに展開していくのか、読めなくなり、結局最後まで読了。予想してたラストではなかったけど、最初に比べたら、かなり不快感はなくなった読後だった。

  • 相手にこうするべきだと役割を押し付けて、それが果たされないことに腹を立てたり、その役割が果たされなかった結果の惨状を報復のように身を滅ぼしてまで相手に見せつけたいと思うほど相手に依存しないこと、自立して生きていくことが幸せに生きていけることの近道なのではないかと思った。そしてその「依存」の原因はただの個人の依存という言葉だけでは済まされない、社会からのこうするべきだ、という圧力によってできているのだと思った。 Tsukasa

  • 長かった…。多すぎる食事の描写に飽き飽きしてしまった。途中はごちゃごちゃしてたけど、最後は大団円で良かった。

  • 蕎麦に柚子の皮を入れるとグッと美味しくなりますねw。柚木麻子さんの「BUTTER」、2017.4発行です。この本はバターのCM本です(^-^) 読後、きっと食べたくなります。炊きたてのご飯にバターと醤油、たらこパスタにバターと紫蘇、ガーリックバターライス、塩バターラーメンバターまし、サッポロ一番塩ラーメンバターのせ (^-^)

  • 文字通り消化不良。
    直木賞候補ということで楽しみに読んだのだけど……。
    登場人物に誰一人として共感できず、モデルとなった事件にも関心がないせいか、バターの濃厚さだけがやたらと記憶に残る一冊となってしまった。ごめんなさい。

  • 美容室の週刊誌の新刊紹介で知り
    キジマカナエモデルってのが気になり購入したにゃ

    そこそこ面白く読んだんにゃけども
    終盤 数ページを残して本を閉じたにゃ

    ①読者の勝手にゃ
    逸脱感を突っ走らせて終わって欲しかったにゃ

    やっぱ
    好みって十人十色にゃ

  • 犯罪がどうとかではなく、女性の抱えるものがいろいろ描かれていて心に刺さるものがたくさんありました。
    食べ物の描写に美味しそ〜と思いながら、登場人物たちの思考を汲み取るのが難しくてずっと考えながら読んだ気がします。
    あらすじを読んで想像したほどドロドロしてなくて、事件の決着とは関係なく、なんだか前向きになれる作品でした。

  • 真夏に読むにはちょっとキツイ。カロリー高そうなバターをたっぷり使ったレシピが次から次へと紹介され、読んでるだけで、多分3キロは太る。
    読み終わってどっと疲れる小説、

  • 上質なバターを使った料理の数々、拘置所にいる図太い被告人女性、被告人を取材する雑誌女性記者のがっぷり三つ巴。
    なぜか胸焼けがするほどお腹一杯と読み終わった後に感じた。
    被告人と記者の違いが最後の七面鳥に表れているのだろう。

  • ドロドロが少し足りない気がする。

  • 木嶋佳苗をモチーフにしたと思われる、婚活サイトで知り合った中年以降の男性を次々と殺した罪に問われている女性と、そのインタビューを取ろうと接近して影響を受けていろんなところにぶつかり、傷だらけになりながらも新たな自分を見つけて歩いていく女性編集者の話。

    あ、こう書いてみると悪くなかったみたいに見える。
    だけど柚木麻子さんの中で最も読むのがしんどくて時間がかかった。終盤になってもなかなか終わりが来なくていつ読み終わるんだろって。

    うーん、今までの作品よりぐっと社会派で、直木賞候補にも上がってたし、期待に胸を膨らませて読んだけど、どうしてそうなるの?そう思うの?そうするの?の連続、要するに共感できないからかな。
    とにかく私にはダメだった。。

    木嶋佳苗本人が書いた「礼賛」の方がずっと面白かったという皮肉。ま、ラストはダメだったけど。

    やっと読み終わって自分にご苦労さま。

  • 読んでると腹が減って仕方ない。
    エシレのバター食べたい。
    最後が尻窄みになった印象。

  • どうしてもお気に入りの作家の小説は評価が甘くなる。この本は内容が重く密度が濃い。そうタイトルそのままなのだ。
    図書館の返却期限があるので駆け足で読んだが、読み終わったときに読み始めたのが遠い昔のように感じた。その間、私も主人公と同じように密林を迷い続けたような気持になった。終盤になりようやく陽の差し込む出口にたどり着け、体の力がふっと抜けた。また5年後あたりに今度こそ1か月かけてじっくりゆっくりと、舌でじわじわ溶けるのを感じながら読んでみたい。そのときこそ、本を閉じて思いっきり号泣してみたいと思った。とりあえずエシレバターを買いに行かなきゃ、だ。

  • 今までの柚木さんの作品とは全く違って、どちらかといえばこれまでの方が読みやすかったのですが 個人的に興味がある話題だったので評価を高めにしました。

    柚木さんはほんとに食べ物の表現が絶妙で読んでいると、オナカがなります 笑

  • 先が気になって一気読み。
    面白かった。
    今まで読んだ数作と共通して私にとっては結末が甘過ぎるのだけど、自分のフェミニズムを表明し続ける柚木さんの姿勢はとても好き。
    しかし…あからさまにモデルにされている木嶋佳苗が激怒しているということなのだけど、まあ怒るだろうねぇ…。
    全文読んだんだろうか…?
    憎まれるよりも憐れまれる方が頭に来るかも知れないなぁ…。

  • 『BUTTER』柚木麻子

    一時耳目を集めた木嶋佳苗事件を題材にして
    犯人と目されるカジマナこと梶井真奈子の単独インタビュー記事を目論む敏腕週刊誌記者が主人公。
    スリムな彼女がカジマナと拘置所で会話を交わすうちに食の魅力に取りつかれ、体形も変わっていく。つまり太っていくのだが、それとともに周囲の彼女を見る目や評価にも変化が生じていき、中学時代からの親友怜子との関係も揺らぎ始める。
    前半部分は非常に息苦しく読みづらかった。
    小説の展開に緊張感があり、求められる女性性とかジェンダー論とか連想が広がり、なかなか先に進めなかった。
    娘と父親との関係や女子校での王子様的役割など、類型的で聞き飽きた部分も多い。
    怜子の両親の夫婦関係には失笑。怜子の人間性を無理やり作り出そうとしている感。、
    しかし、後半に入り、篠井のマンションで北村らと奇妙な合宿生活を始めたあたりから俄然ページのスピードが増してきた。
    ジェンダーからドラマの世界に移り、らくーな展開になったのだ。
    後味も悪くない代わりに作品としては軽くなった。
    なあんだ、と思いつつ、里佳が不幸のドツボに入らなくてよかった(感情移入していたのだろう、いつの間にか)と矛盾した読後感。

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BUTTERの作品紹介

木嶋佳苗事件から8年。獄中から溶け出す女の欲望が、すべてを搦め捕っていく――。男たちから次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された女、梶井真奈子。世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。濃厚なコクと鮮烈な舌触りで著者の新境地を開く、圧倒的長編小説。

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