生誕101年 「カミュ」に学ぶ本当の正義: 名作映画でたどるノーベル賞作家46年の生涯

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103359715

感想・レビュー・書評

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  • カミュの生涯を、当時の映画を時代背景理解のための手がかりにしつつ、その著作とともに辿っていくという、なかなか興味深い著作である。
    今まで、カミュの評伝らしい評伝は読んだことがなかったので一気読み。
    『転落』を読んでみたくなったし、「アルジェの戦い」も見たくなった。

  • 石光勝『生誕101年 「カミュ」に学ぶ本当の正義』新潮社、読了。カミュの探求を「正義」と捉え、その生涯と思索を、15本の「映画」で辿る異色のカミュ伝。仕掛けの多い構成ながら抜群に「読ませる」一冊だ。著者は若き日、カミュに傾倒したテレビマン。「テレビは現在の証人、映画は時代の証人」。

    「不条理の男、チョリソー」「チョリソーはソーセージでしょ。ムルソー」から始まる冒頭の「カミュなんて知らない」から「ジャッカルの日」までーー。自由と中庸に正義を探求した行動の人・カミュの本質を本書は判りやすく伝える。

    カミュは正義を思索と実践の往復関係のなかで探求した。絶対的価値を認めなかった態度は、サルトルとの論争の通り「手ぬるさ」がぬぐえない。しかし神を含めて「絶対」の定位が不可能な現在、修復的正義への探求の苦悩は現代の胸を打つ。

    「輝かしく偉大なる時代の証人である有名なトリオ、サルトルとボーヴォワールとカミュのうち、後世に残るのに最もふさわしいのは最後の者かもしれない」。ピエール・ド・ボワデッフル『カミュとその運命』。

    著者は終章でボワデッフルの言葉を引き「矛盾と懊悩のなかで、誰よりも真摯に、勇気をもって“近似”と“中庸”の“正義”を求め続けたカミュの、時代を超えた現在性を示唆する言葉です」と締めくくる。本書は今読まれるべき正義論。

著者プロフィール

一九三四年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。文化放送を経て、東京12チャンネル(現テレビ東京)に入社。常務取締役を務めた後、自ら設立に携わった系列の通販会社プロントの社長となる。著書に『テレビ番外地』、『テレビ局削減論』、『生誕101年 「カミュ」に学ぶ本当の正義』、共著に『通販』などがある。

「2019年 『われら軍人の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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