悟浄出立

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著者 : 万城目学
  • 新潮社 (2014年7月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103360117

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悟浄出立の感想・レビュー・書評

  • 一度は聞いたことのある中国文学。その脇役に着目し書かれたサイドストーリー。
    私は四面楚歌(以前『項羽と劉邦』を読みました)の物語が好きで、虞美人の視点から描かれた話が切なく一番良かった。後、印象に残ったのは最後の司馬遷と娘の話。
    この物語は脇役を中心とした想像の物語だが、こうやって現代風に書かれていると中国文学というのは本当に面白い。学生時代は漢文が苦手だったが…若い頃分からない世界でも、大人になって面白くなる物は多いな。
    万城目さんの普段の素っ頓狂なお話は大好きだが、こういった文章も書かれるのだなぁと感動した。

    ちなみに最初の『西遊記』の沙悟浄を主役にした話は完全に岸部シローと西田敏行に変換(沙悟浄の言葉は関西弁に(笑))されていたし、次の『三国志』は頭の中で人形劇三国志の人形が演じていた(笑)

  • 「西遊記」の沙悟浄、「三国志」の趙雲、「史記」の虞姫、司馬遷の娘など、脇役たちに光をあてた短編集。

    西遊記というと、やはり孫悟空が頭に浮かんでくる。次は猪八戒か三蔵法師か。悟空と言い争う八戒にそれを諌めるお師匠様の図。
    さて、沙悟浄はどのように絡んでいたのか?

    ドラマも、人形劇も見たはずだが、今一つ思い出せない。なにか、極力浮世には関わらないでいようとするというか、第三者的な立場を保つというか、消極的なイメージだけが残っている。

    それが、万城目さんが書くとそうはならないのですよ。
    まったく人間臭いというか、自らの小ささ、これというもののなさを自覚していながら、何につけても周りのものと自分を比較し、序列をつけようとしてしまう。
    相対的な自分の立ち位置がやたらと気になる沙悟浄。
    あっけらかんとして自由奔放な悟空にも、自分の欲をコントロールできずおバカっぽいけれど実は優秀であったらしい八戒にも敗北感を感じ、みじめな気持ちとも折り合いがつけられない。三蔵法師に対しても自分など必要としていないのではないかと、疑念を抱きながら旅を続けている。

    本当に、悟浄はこんなふうに考えながら、もやもやした気持ちを抱えて、ひたすら、歩いていたのかもしれないなあ。自分の中に存在するネガティブな感情に気づいてしまい、人はどうなのだろう、このような苦しみを感じることはないのかと、いてもたってもいられなくなる。
    それでも八戒から旅を続ける理由を聞くうちに、自分の中に思わぬ変化が訪れ、ようやく自らの意志によって第一歩を踏み出した。

    うつむいていたときにはまったく気づかなかった風景。顔をあげたとき、すぐ隣に自分を認め、見守ってくれる仲間がいた。それぞれに得意・不得意があり、そのよさを集めて力を合わせ、何かを成し遂げようとする。
    そのためには、反応を心配して何もしないのではなく、勇気を出し、他に対して行動を起こさねばならない。一歩踏み出してしまえば、たいていのことは、取り越し苦労であったと後から気づけるだろうし、二歩目も続くというもの。

    万城目さん、とてもよかったです・・・。

    その他の話も、なかなかいい。
    元の話を十分理解していたなら、もっと興味深く読むことができたとは思います。
    もちろん、知らなくても十分楽しめますよ。

    ただ、虞姫については、高校生のときの漢文の授業で習ったときの印象を大きく覆すものだった。
    彼女はもっとはかなげで、哀しく美しい人だと記憶に残っていたが、本書ではなかなか気の強いところがあり、言われたとおりに振る舞うだけの健気な女性ではない。
    この時代に、こういう女性がいたとしたら、『烈女』とか言われるのかも。
    何だか気になって、「史記」と「項羽と劉邦」借りてみました。
    どのような書かれ方をしているのでしょう。気になります。

  • 中国の古代に題材をとり、超有名な物語を目立たない部分から照らし出す短編集。
    万城目さんとしては異色の作風で、しみじみとした味わい。
    目の付け所が面白いです。

    「悟浄出立」
    このなかでは一番ファンタジックかな。
    「西遊記」の沙悟浄が主人公で、確かに目立たない役‥
    猪八戒の過去のエピソードのほうが強烈かも。
    孫悟空が先を調べている間に、残った面々はまんまと妖怪の罠にはまったりして。
    前に出ることを決意した沙悟浄の、ささやかな一歩。

    「趙雲西航」
    超雲、確かにいたけど‥
    「三国志」が好きだった割には印象に残っていないですね。
    故郷を思う超雲と、その憂いを見抜く諸葛孔明。やはり孔明は頭がいいのだった。

    「虞姫寂静」
    国を傾けた一因とされる美女、虞姫。
    実は虞美人は亡くなっていて、よく似た後宮の使い女が突然召しだされて側に上がっていたという話。
    十分大事にされてはいたが‥?

    「法家孤憤」
    必死で科挙を乗り越え、役人になった男。
    秦王の暗殺を企てた荊軻という男と、名前の読みが同じで、かって試験会場で話をしたことがあった。
    運命の分かれ道に思いを馳せる‥
    臨場感のある展開。

    「父司馬遷」
    歴史家の司馬遷は李陵を弁護したために、罪に落とされた。
    何も知らなかった幼い娘の視点で、じわじわと事情が解き明かされます。
    本を売らずに宮刑を選んだ司馬遷は身内にも義絶され、自らを恥じていたが、娘の思いがけない励ましで立ち直ろうとする。
    兄弟と違って教育も受けないで来た娘の一途さとたくましさが印象的。

    2009年から2014年にかけて書かれた作品だそう。
    そうだよね、一気に書けないよね‥
    こちらは原典を読み直したくなるけれど、これ全部は一気に読み返せないし、関連するのはごく一部だと思うと‥
    ちょっともどかしくて、苦しくなりますね(笑)

  • 悟浄出立
    趙雲西航
    虞姫寂静
    法家孤憤
    父司馬遷

    西遊記の悟浄と八戒
    三国志の趙雲
    四面楚歌の項羽と虞美人
    始皇帝暗殺を目論む荊軻と法家季斯
    司馬遷と娘

    風太郎ではコメディ?シリアス?と戸惑ってしまったけれど、今回は全編を通してシリアスー。
    教科書、漢文の試験、人形劇、小説、ドラマと彼方此方でみる彼の人々をちょっと違う視点から描く。
    ドラマに共感したこともあったはずだけれど、改めて高名な彼らにも悲しみ、怒り、迷いという感情があったことを実感。
    八戒の迷い、趙雲の故郷への想い、虞美人のせつなさ、荊軻、季斯の想い、司馬遷の苦悩。
    男性方の歳を経て感じる哀愁が色濃い。
    それに対して女性の激しく強いこと。
    虞美人と榮は凜としてかっこよかったなあ。

  • マキメ版西遊記なのか?と思っていたら、中国故事&古典ベースの短編集なのね。

    驚きをもって展開しつつも徐々にひたひたと浸食され、
    最後には、もの哀しく切ない波がとめどなく押し寄せるという。
    なんていうか、万城目学やるなって感じ。
    涙なしには読めない。
    読んでいる時より読んだ後にじわじわ来ます。

    悟浄出立 → 西遊記の沙悟浄
    趙雲西航 → 三国志の趙雲。劉備と諸葛亮が蜀を建国する頃
    虞姫寂静 → 四面楚歌の虞美人。項羽と劉邦、最後の戦い。
    法家孤憤 → 秦の始皇帝(になる前)暗殺事件の刺客と同名のケイカ。
    父司馬遷 → 李陵事件の司馬遷と娘の栄。

    目線を変えるだけで、英雄譚や冒険譚がこんな味わいの話になるなんて。
    中国古典×万城目学、思いの外最強だな。
    もっと読みたい。

  • 中国の古典の脇役たちにスポットライトを当てた短篇集。5篇の短篇は、いずれもこれまでの万城目作品のイメージとは一味ちがった作品でした。
    ユーモアやファンタジーの要素が削られ、その分静かで緊張感のあるストーリーになっています。

    原典では脇役である者たちが周囲の人々との関わりの中で"自分"を見出していく姿に、奮い立つような気持ちになりました。
    特に項羽の寵姫・虞美人の目から四面楚歌の場面を描いた「虞姫寂静」は涙をこらえつつ一息に読了。
    彼女を突き動かした女の意地に、魅せられました。

  • 色々な所で中国史には馴染んでいるので(ネトゲとか)、どの話も興味深く読めました。荊軻の秦王暗殺事件は有名なのに彼の物語はあまり知らない。目立たない沙悟浄、美人の代名詞、虞姫。司馬遷の娘。各々の物語が生き生きと描かれ、万城目ワールドは控えめでしたが、歴史を一緒に旅をしている気分♪歴史と重要な脇役である全員の生き様の積重ねなんだと思える一冊。「自分が行きたい方向に足を出しさえすればいいんだよ!好きな道を行けよ、悟浄。少し遠回りしたって、また戻ればいいんだ。もっとも出来ることなら最短の道をお願いしたいけどね。」

  • ずっとやりたかったこと。どこかでそう仰っているのを目にした。またしてもやられたって感じです。とっぴんぱらりから少し変わってきたような感覚があったけれど、意図的になんでしょうね。こういう姿勢は作家として必要だと思うしかっこいいし、それでいて大コケしないところがさすがだと思う。中国の古典に興味が沸きました。虞美人のお話が面白かった。

  • 虞姫寂静がとても良かった。考えてみれば、あの豪傑の項羽が四面楚歌の中、本当に「虞や虞や汝を如何せん」と歌ったとするなら、世界史に残る究極のラブストーリーじゃないかしら。万城目の解釈は、それに輪をかけて切なくって、項羽と劉邦のスピンアウト物語としては出色の出来。

  • 表題作「悟浄出立」のインパクトがあまりに強くて、その後の4篇がかすんでしまった。

    西遊記、三國志、史記など中国の古典から、物語られる中心人物ではなくその影響を強く受ける人物に焦点を当てた5篇となっている。

    その中でも表題作の「悟浄出立」は、中島敦の「悟浄出世」「悟浄歎異」からなる「わが西遊記」を経由しているため、更に奥行きが増しているように感じる。たぶん中島のこの作品から着想してその他の4篇も書かれたのだろうと推測する。

    悟浄出立に描かれた八戒の心情やそれを聞く悟浄の思いはずっしりとした重さを持って伝わってくる。

  • 俺はもう誰かの脇役ではない。中国古典に登場する脇役達、戦隊物で例えるならグリーンの立ち位置にいる人物、西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲、漢を興した劉邦のライバル項羽の寵姫であり虞美人の語源ともなった虞姫、始皇帝暗殺に失敗した荊軻と同じ名を持つ京科、史記を編纂した司馬遷の娘が主人公となっている。有名人の陰に隠れ目立たない人、多くの人はそうであろう。その人達がちょっとしたきっかけでポジティブになれる、万城目さんがそう言っているようです。

  • 西遊記以外はいろいろちょっと小耳に挟んだことのある話や人物像にまつわるもので、なかなか興味深いのだけれど、実際自分で読むことはないだろうと思われる中国の有名な史実や人たちにこんな形で触れられるなんて。
    いつもの万城目ワールドとは違うけれど、これもまたよし。そしてとても素敵だ。愛がある。そう、この人のは書くものは愛に溢れているね、いつも。
    でもいつもの調子のものもまた読みたいな。

  • 「俺はもう、誰かの脇役ではないのだ。」(帯より)
    中国古典の脇役たちを主役に据え、彼らが主体性を獲得するまでの道のりを描く。
    「虞姫寂静」が星5つ、「父司馬遷」が星4つ。目当ての「悟浄出立」はむしろ八戒が主役で、星3つ。

    歴史的知識がなくても楽しめる筋立てで、現代小説と同じ感覚で読めた。
    文章も平易・明快。主人公が問題に直面しても、最終的に主人公自身が答えを説明してくれるか、前もって答えが書いてある。

    「虞姫寂静」は、項羽の寵姫・虞美人の物語。
    絶望的な状況の中で、自らの存在意義を取り戻そうとする虞美人の覚悟。彼女が取り戻そうとしたのは、項羽の愛情というよりも、虞美人としての矜持だろう。激昂を覚悟に変え、現実を踏み越えていく彼女の姿に、涙が止まらなかった。
    史実には、虞美人に関する記述はほとんどなく、正妻かどうかすらわからない。それを逆手に取ったストーリーに拍手!

  • 登場人物が、なんとなく聞いたことがある人なので、今までのイメージに肉付けされるような印象。
    万城目さんらしくなく?真面目な話だったけど、山月記の中島敦のようなイメージでこういう書き方好きかもしれない。読後は切ない気持ちになった。

  • 中国古典に登場する脇役達を主人公にした短編集です。最近中国の歴史ドラマをTVでよく見るようになったので、抵抗なく話にすっと入り込めました。一番心に残ったのは虞姫のお話です。有名人の陰に隠れて目立たない、歴史の大舞台の裏でひっそりと主人公を支えてきた、そんな人たちに今回は万城目さんがスポットライトを当てた作品でした。いつもの奇想天外な万城目ワールドとは全然違うけど、これはまたこれで私は好感を持って読めた内容でした。

  • 万城目さんの作品なので、パロっているのかと思いきや、かなり骨太な作品。
    苦境の中に何を見出し、どう拾うのか。

  • おもしろかった!
    題名からして西遊記ものかと思ったんだが、
    中国の、あ、聞いたことあるぞ、という人達を扱った短編集。
    悟浄は一番最初の物語。
    八戒の話はおもしろかったー。
    一番心に残ったのは虞さんだなあ。
    いわゆる有名な四面楚歌の場面ですねー。
    項羽の最初の妻の話は本当なのかしら??
    めっちゃせつないお話でした。

    万城目さんはこーゆー歴史ものもいけるんですねー。
    いやあ、おもしろいなあ。
    是非また書いてほしいなあ。

  •  2009年から2014年という長い期間で書かれている。2006年にデビューした作者の、物語の書き方がどんなふうに変わったのかが見えてくるようだった。

    ・悟浄出立
     『西遊記』の沙悟浄が主人公。アクションが少なく(妖怪が言葉でのみの登場だったり)、話し言葉メインなのが少し寂しかった。脇に立つ者が自ら選んだ道を行くことの自由さに心打たれるラストシーンは、明るく前向きで、読後感を爽やかなものにしてくれている。

    ・趙雲西航
     『三国志』の趙雲が主人公。張飛を思うたびに胸に湧く黒い感情の正体を追求する。『三国志』を知っていればもっと楽しめたはず。故郷と隔てられる哀切が胸にしみる。

    ・虞姫寂静
     項羽の愛人、虞美人の物語。素性の不明な人物であることから着想されたように思われる。自分の存在意義をめぐる人間的な感情と、色鮮やかでありながらももの悲しい伝説とが溶け合っている。

    ・法家孤憤
     秦王の暗殺を目論んだ荊軻と、名前の読みが同じであり、そのために荊軻とちょっとした関わりがある秦国官吏の物語。正義の揺れる様が国内に広まっていく中、それでも信念を貫こうとする男の、静かながらも熱い憤りが感じられる。それはまた、ほんの少しの事情で歴史が変わることの奇妙さ、面白さにも通じているのかも。

    ・父司馬遷
     『史記』の作者司馬遷の娘が主人公であり、宮刑に処された司馬遷の堕落と、再び歴史書編纂に向けて再起する様を描いている。『法家孤憤』の荊軻が出し物として登場していたりと、古代中国を舞台とした短編集であるこの一冊の締めくくりにふさわしい内容だ(その意味では『悟浄出立』だけが浮いてしまっているが)。

  • 想像していたお話とは、全く違いましたが、それなりにおもしろかったです。もっと、歴史に詳しければもっとおもしろく読めたのにと思いました。

  • 中国古代史のサブストーリ的な短編集。どれも本編時代は壮大だが、(たとえば、西遊記や三国志等)その、あまり重要ではない一シーンを丁寧に掘り下げて書いている感じ。もともと中国古代史の本も結構よんでいたので、特に面白く感じた。
    食いしん坊で役立たずな八戒の意外な過去だったり、趙雲の胸に積もる鬱積が遠く離れた故郷にあったり(やっぱり諸葛亮はすごい洞察力をもっていたり)、司馬遼太郎の短編集を読んでいるような気分になりました。
    万城目さん、大分作風が変わったように思います。このテイストのものを是非今後も出してもらいたい。

  • 月並みな言葉で言ってしまうと、万城目学の新境地!?
    という物語である。
    本書の舞台は京都でも奈良でも大阪でもなく、当然のことながらホルモーも鹿男もトヨトミのお姫様も出てこない。
    これまでの著者の作風がどちらかというと現実と想像の世界が奇妙に折り重なった舞台で、奇想天外、奇妙なキャラクターが織りなす喜劇的要素が強かったのに対して、本書の舞台は中国の古典である。

    しかも、中国古典の主人公の物語では無く、脇役として登場しているキャラクターが主役を張った今風に言うとスピンオフ作品ということになる。

    本書に綴られた物語は以下の五編。

    ・悟浄出立
    ・趙雲西行
    ・虞姫寂静
    ・法家孤憤
    ・父司馬遷

    西遊記の悟空ではなく、第三者的に傍観者の沙悟浄。
    三国志の桃園の誓いを結んだ劉備、関羽、張飛に次ぐ立ち位置の趙雲。
    項羽と劉邦の両雄ではなく、項羽最後の四面楚歌の場面における虞美人。
    法による中華統一を図る秦王暗殺を謀った荊軻と同音名を持つ京科。
    後に『史記』の作者として歴史に名を残す前の、宮刑を命じられた父司馬遷の娘、榮。

    どれもこれもが静かにしかしふつふつと熱情が滲み出てきそうなところで物語がいったん幕を引く感じだ。
    短編ということがあるからかもしれないが、このあるシーンを切り取った1枚の写真が語りかけてくるような物語というモノが、レイモンド・カーヴァーの短編を読んでいるときのような気分になった。

    けして名を知られるような主人公ではない人々にも、それぞれが自分の物語の主人公であるべく生きている姿が、静かで悲しくはあれど清々しい。

  • ドタバタのなが〜い話をよく書いているイメージがあったけれど、これはもっとストレートな短編歴史小説。1編目よりも2編目、2編目よりも3編目、と読み進めれば進めるほど軽さが抜けて行く感じ。従来の万城目ファンには不満が残る作品かもしれないけれど、僕はこっちの方が断然好み。このままどんどん本格派の方向にシフトしていってほしい。

  • 装丁が素敵です。
    短編集。わたしは「悟浄出立」と「虞姫寂静」が特に好きでしたが、どれも本編を知っていたらより楽しめそう。楽しむというか、味わえそう。これまでの長編に比べたらとても静かな落ち着いた雰囲気です。面白かったです。

  • 中国史や漢文は学校の授業で習った程度なので、少々入り込みづらい所もあった。もう少し詳しくなれば楽しめただろうと思う。その中で良かった話は、西遊記の話、父司馬遷の話である。西遊記の話は(ドラマは見たかどうか定かでないですが)すらすらと読めてしまった。脳内に中国の広大な風景が浮かび、旅の世界に入った気分になった。西遊記を別の角度から見れ、この作品を読んだおかげで身近になったと思う。父司馬遷の話は読後、しんみりとした気分。悲しげな余韻を残す終わり方なので、いつもの作風と違って新鮮味があり、良かった。

  • 短篇集。西遊記の沙悟浄や、項羽と劉邦の虞姫や、司馬遷の娘など、中心から少し外れた人物を主人公に、喪失感や郷愁が静かに語られる。
    史実から大幅には外れていないためか、「ほるもー」などこれまでの小説のように想像力が飛躍していくような内容ではないがやはり文章がべらぼうにうまいのがよく分かる内容。

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俺はもう、誰かの脇役ではない。深化したマキメワールド、開幕! 砂漠の中、悟浄は隊列の一番後ろを歩いていた。どうして俺はいつも、他の奴らの活躍を横目で見ているだけなんだ? でもある出来事をきっかけに、彼の心がほんの少し動き始める――。西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲、司馬遷に見向きもされないその娘。中国の古典に現れる脇役たちに焦点を当て、人生の見方まで変えてしまう連作集。

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