イノセント・デイズ

著者 :
  • 新潮社
3.72
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本棚登録 : 1073
感想 : 181
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103361510

作品紹介・あらすじ

「整形シンデレラ」とよばれた確定死刑囚、田中幸乃。その女が犯した最大の罪は、何だ? 殺されたのは三人だった。幸乃の元恋人だった男の妻とまだ一歳の双子の姉妹。なぜあの夜、火は放たれたのか? たったひとり、最後まで味方であり続けようとする男。なぜ彼は、幸乃を信じることができるのか? すべてを知らされたときあなたは、真実を受け入れることができるだろうか? 衝撃指数極大値。圧倒的長編。

感想・レビュー・書評

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  • 恵まれない境遇で成長した田中幸乃は長じて放火殺人事件を起こし死刑判決を受け執行を待つ身だが、抗うでもなく寧ろ心待ちにしているように見受けられる。彼女は果たして如何なる真実を秘めているのか、如何なる過程を辿ってきたのか?
    幼い無垢な子供時代の絆が時を経て意外なかたちで絡み合う。読み手をぐいぐいのめり込ませて行き、いつかどこかで誰かの作品にあったような既視感もあったけど一気に読了しておりました♪

  • 切ない、やりきれない気持ちでいっぱいになりました。読んでいて辛くなるけど引き込まれてしまう早見さんの小説はスゴいなぁといつも思います。
    幸乃みたいな人が実はいるんじゃないか...と思ってしまいました。あってはならないことだけど。

  • ★3.5

    正義は一つじゃないかもしれないけど、真実は一つしかないはずです
    放火殺人で死刑を宣告された田中幸乃。彼女が抱え続けた、あまりにも哀しい真実――

    田中幸乃、30歳。
    元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪により、彼女は死刑を宣告された。
    凶行の背景に何があったのか。
    産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の
    追想から浮かび上がるマスコミ報道の虚妄、
    そしてあまりにも哀しい真実。
    幼なじみの弁護士は再審を求めて奔走するが、彼女は……。

    早見さんの作品を初めて読みました。
    結末はプロローグで予想できたものの、そこに至るまでの幸乃の人生。
    幼い頃から大人になるまで関わった人々。
    幼馴染・中学の親友・義理の姉・元恋人の友人…。
    彼女の人生の節目に関わった人々がそれぞれの章で、幸乃との思い出を
    思い出し幸乃の人となりが少しずつ少しずつ明らかになっていった。
    とても重い内容で読み応えがありました。

    あのまま山手でお父さんお母さんお姉ちゃんに囲まれて暮らせていたら、
    どうなったんだろう…。
    全く違った性格になって全く違った人生になったんだろうって
    思わずにはいられなかった。
    祖母が憎かった(*`Д´*)
    切なさ・悲しさ・怒り・圧倒的な孤独…色んな感情が湧きました。
    そして最後まで重かった。
    苦しさが止まらないです。
    読了後も暫く考え込んでしまった。
    暫くは頭から離れないんだろうなぁ。

    結末はプロローグで予想できたと書きましたが、
    読み進めるうちに、もしかしたらこちらの想像を超える
    大どんでん返しがあるのではと、期待してしまいました。

    余りにも辛い。
    幸乃を救ってあげたかった。
    彼女に生きる希望を持って欲しかった。

    ★4つと悩みましたが、読むタイミングが悪かった。
    最近幼児虐待・性的虐待・虐め…そんな話ばかり続けて読んでいて
    辟易としてしまってて…

  • 放火殺人で死刑判決を受けた幸乃。
    彼女が生きてきた壮絶な人生が彼女と関わった人々から語られる。

    あまりにも辛い。
    幸乃を救ってあげたかった。
    彼女に生きる希望を持って欲しかった。

    周囲の人間がほんの少し勇気を出して優しさを持って幸乃に接していたら違う人生を歩めたかもしれない。
    でも結局は本人の生きる意志の問題なんだろう。

    ハッピーエンドにして欲しかった。
    残念・・・

  • 人は完全に1人にはなれないんだよな……。
    幸乃と関わった人全ての思いと、幸乃が関わった人たちの記憶からも消えたいと思うほど「生まれてきてごめんなさい」と思う気持ちと結末を思うとやりきれないというか、幸乃と、翔と慎ちゃんとの思いのギャップを思うと胸が苦しくなる……。
    『とある死刑囚』の死という点ではいずれは風化され人々の記憶からは消え去っていくだろうけど、『田中幸乃』を知る人物にとっては。
    面白かったです。

  • プロローグからして悲しい結末を予感させる。どこかで引っくり返るんじゃないかと読みすすめていったが…
    幼少期、母の愛情もあったし温かい家庭があった。慎一からの手紙で生きる希望を持って欲しかった。読みながら祖母が居なければとか母が死ななければとか、理子の罪を被らなければとかタラレバを考えてしまう。でも、幸乃の死への決心?執着?が真っ直ぐすぎて読み終わったあと涙も出ないし、どういう感情で居れば良いのか?とモヤモヤ感が募った。

  • 主人公の壮絶な境遇に引き込まれて、鬱々とした。
    あまりにも作品の世界に引き込まれてしまって、衝動が止まらなくなりそうだった。

  • あまりにも切なくてやるせない。
    雪乃に感情移入してしまい、読み続けるのが辛くなる場面も。
    読み終わったあとの余韻がすごかった。

  • なんとなく『嫌われ松子の一生』を思い出した。
    ひとりの若い女性死刑囚の生涯。
    母を亡くしてから幸せに見放されてしまった幸乃。
    それでも一生懸命生きてたのに結局なにも報われない。
    現実の事件も本当の真実なんて明らかにされず冤罪になることも普通にあるんだろうか。
    「田中幸乃」という名前の人にはこの本を読まないでほしい…

  • 読み進むうちにどんどん辛くなる。
    30歳という若き女性が、こんなにも死を望まなくてはならない人生を思うと胸がつぶされそうになる。
    何処かに救いはないかと思ったが、それも彼女の生きようとする思いには繋がらなかった。
    何を裁いたのか、心に重く残る。

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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