カエルの楽園

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著者 : 百田尚樹
  • 新潮社 (2016年2月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103364122

カエルの楽園の感想・レビュー・書評

  • 途中まではなかなか面白く読めた。スチームボート、かっこいい。ただ、終盤がなんとも救いがなく、もっと物語としてふくらまして完成度をあげてもらいたくなる。

  • 百田版イソップ寓話。現代日本が抱える問題を憂い警鐘を鳴らす作品。 カエルを擬人化しての物語の展開は読みやすく分かりやすい反面、その意図する内容は辛辣でいやでも登場動物は現実の 国家や人物との対比を考慮しながら読み進めることになる。カエル同士の争いでも生々しいのだから、人間はいわんや。 国民一人一人が政治を注視し、声なき声でも発する意義と義務を持ち続けることで、物語の結末とは また違う新たな道があることを切に願います。世の中を見つめ自分の考えをしっかり持つ切っ掛けになって欲しい本です。

  • ファンタジーらしいテイストで描かれるカエルの冒険譚。
    とは言い切れない問題作です。
    読んでいて初めからずっと気持ち悪さが拭えないままラストを迎え、非常に後味の悪い物語でした。
    まったく救いが見えないと感じました。

    基本ストーリー自体は難しくなく、一気読みができると思います。

    一番中立で冷静に見えるソクラテス。
    彼と共に行動をしてきたロベルトが次第に三戒の影響を受ける
    までは良いのですが、
    外の世界の厳しさを身をもって知っていたはずの彼ですら
    三戒を信じるあまり入れ込みすぎ、懐疑的なソクラテスを敵視するところが
    とても怖かったです。

    三戒はそれ自体は悪いものではないと思います。
    理想として相手を信じる、争わない、と掲げる分には良いでしょう。
    でもそれだけでは身を守ることができません。
    万が一のときにどうするのか、そうならない為にどうするのか。
    理想を掲げることで思考停止してしまうなら意味がないのです。

    そしてまた、敗者が勝者に戦後に一方的に押し付けられたものである
    という点も考えるべきです。
    勝者が「相手がもう自分に歯向かってこないように」と
    無理なことを押し付ける内容を突貫工事で作って突きつけたものを、
    「受け入れて自分たちのものだとしたのだからナパージュのもの」
    と言い切るには、よくよく内容や世界情勢を見極めて
    内容を吟味する必要があります。

    ルールは飽く迄ルールであり、そのルールができた背景が変われば
    現在の状況に見合った内容に改訂していくのが当たり前です。
    盲目に兎に角変えてはいけないのだと信じるのでは、
    もはや宗教であり戒律です。

    押し付けたスチームボートが、自分が考えたものと文言が変わっても
    別に気にしていないような、そんな代物なのです。
    そして、スチームボートが飛ばなくなった地域から
    ウシガエルが侵攻しているという事実にも目を伏せてしまい
    まやかしの論理で自分たちをだましていきます。

    特に気持ち悪いのが、
    もしウシガエルがナパージュへ侵入してきたら
    もし話し合いに応じてくれなかったらどうするのか
    などという当然の疑問に対して、
    三戒教のカエルたちは「そんなことはありえない」と根拠もなく否定し
    相手の意見を否定するばかりで代替案を出しもしないというところ。

    更に平和を愛すると口では言い、
    敵であるウシガエルは話し合えば必ずわかってくれると言いながらも
    自分たちと意見が違うツチガエルを全否定し、
    処刑や残虐な罰を与えるなどまったく矛盾しています。

    その理由として、ナパージュのカエルは元々残虐であるという
    こちらも根拠の無い作り話を繰り返し、
    先祖が悪であれば子孫も当たり前のように悪であると主張します。
    自分自身もツチガエルであるはずにも拘らず。

    ラストはあまりに酷い反面、本人が納得しているのなら仕方ないのかなとも思いました。
    でも自分はローラの立場にはなりたくありません。


    ソクラテスはなぜ、国を捨てて辛い旅をしたのでしょうか。
    国を守ることを考えることは、できなかったのでしょうか。
    血気盛んな若者たちが、危険な旅に出るほどの勇気もあったなら
    1対1の戦いは無理でもなんとか敵から国を守ることはできなかったのかと
    ふと考えてしまいました。

    最後の『この物語はフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。』には苦笑いしてしまいました。

    とてもわかりやすい内容だと思います。

    でも、この中に出てくるデイブレイクやフラワーズのような人にとっては
    この物語は決めつけであり、”実際はこんなことにはならない”もので
    折角のわかりやすい物語ではあっても伝わらないのかな... 続きを読む

  • 他のカエルや小動物などアマガエルの敵は多い。安住の地へ旅立つソクラテスだがついてきた仲間たちも襲われロベルトと二匹だけとなる。ナパージュという一見楽園のような地で、その戒律や偉いとされているカエルの発言に疑問も持ちながら過ごすうち楽園に絶滅の危機が押し寄せる。正義感のあるカエルは出る杭として処刑される。

    風刺的で皮肉である。信じるものは救われるというが信じているものもそうでないものも結局殺されてしまう。

    最後に残ったのは結局その宗派の核的なカエルだけ。カエルが食べられたり仲間に腕をもがれたり残酷なシーンもあり、タイトルとのギャップが大きい。

  • 読後感は、決して心地好いものではなく、作者の主張する考え方に、賛成できない点も多いが、色々、考えさせられる、深い内容の本。
    何が正しいのか?答えは出ないかもしれないけど、問続けなければならない重要なテーマ。

  • 皮肉たっぷりで面白かった!!!!
    百田さんはあまり偏りがないように書いたと思うけど、百田さんと思想が似てるから面白かった笑
    考える機会になった~~~~

  • 寓話という手法を用いて日本国が置かれた現状を隠喩的かつ客観的に分析した小説である。百田氏がカエルをモチーフにしたのは「茹で蛙」ということなのだろう。ほぼ直接的な記述なのでむしろ実名のほうがマイルドだったかもしれない。ディフォルメされながらもエッセンスが濃縮されているためかなり刺激的な内容である。カエルがカエルを食べるのはトラウマレベルだ。

    百田氏が昨今過激な極論者に傾きつつあったり、憲法九条と非核三原則がごったになったりと、そのまま鵜呑みにするのは危険、特に平淡で簡素ながら抑揚に富んだ文体なので若年層が感化されないかと心配だが、ソクラテスのように冷静に割り引いて読む必要はある。

    その前提で、日本国民とその外郭を非常に巧みに捉えられているにも関わらず、本作品がほぼメディアに取り上げられないのは百田氏の主張に一理あるともいえる。

    「三戒」は自己を律するには有効であっても他者が三戒に従うかは全くの別問題である。カエル国のような元老院ではなく、日本国の国会でも現実に即した分析のもと決断をしてほしいものだ。

  • 安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、豊かで平和な国「ナパージュ」に辿り着く。
    そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守って暮らしていた。だがある日、平穏な国を揺るがす大事件が起こる――。
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    読み始めは、カエルの旅のおとぎ話みたいな感じで、このまま続いたらめちゃくちゃつまらないと思っていたけど、ふと途中からこれは私たちの世界のことなんじゃないか… 新興宗教、プロパガンダ、矛盾を通す政治家などと思いだしたらどんどん面白くなってしまった。読む人によって何に例えるかは違うと思うけれど、深い内容だった。おとぎ話って本来そういうものでもあると聞くけど、終始カエルの話だったのに深いと思わせてくれるのはさすがだと思った。

  • 現代日本の風刺小説。
    物事の本質を理解するには、様々な意見を知る必要があり、それをもとに自分自身の意見を持つべき。自分を持たないまま、影響力のある者、大きな声を出す者に流されるのが一番よろしくない。
    ただし、各種意見を参考にするために客観的事実を知るにはどうしたら良いのか?現状誰かの主観を通した物事しか分からない。自分で現場に行き、目で見て感じることができれば…(それをやろうとしないのだけど)。
    長いものに巻かれている現状、自分達で考えようとしていない現状に危機感を覚えた。

  • 百田尚樹の憲法9条について朝日新聞論法をかえるの国に置き換え日本と隣国と朝日新聞論の現状の問題をストーリーにした本。

    「海賊とよばれた男」「永遠の0」などヒット作が多い作者の為期待したが・・
    「憲法9条さえ守っていれば日本は平和である。例え滅んでも平和である。」と行動して、 憲法9条を守れば、結果的にこうなると、日本人が信念とする憲法9条のもとでの平和主義を皮肉った小説。

  • 百田さん好きだったんですが、この作品はいただけません。

  • 少し扇情的な部分もあるが、全体的に落ち着いたトーンで描かれていた。賛否はあると思うが、いろいろ考えさせられる作品。

  • 別にこの小説を読まなくとも『正論』『HANADA』等の保守系雑誌を読めばいいのだ。登場人物の名前を変えた本文がそこにある。それで十分だ。いわゆる「普通の日本人」の思考を知りたい人は図書館で借りてみるといいだろう。これは詰まるところ、動物寓話の体を取ったアジビラに過ぎない。「現実」は作者と想定された読者の見たもの、見たいものだけを抜き出された切り貼りであり「現実(とそうとする認識」に苦しめられる人々は存在すら無視されている。「楽園」なのは当然だ。「地獄」と思う人はいないことになるのだから。

    現代の日本を風刺したというなら、もう少し多角的な見方ができないものか。この小説で風刺されているのは「作者と彼に共感できる人の見ている日本」であって「作者とは違う視点を持たざるを得ない人の見ている日本」では決してない。例えばLGBT、在日外国人、原発事故の被災者、障碍者、貧困層、女性……それらの人々にどう今の日本が見えているのか、作者が対話を試みているとは到底思えない。それどころか、それらの人が存在することすら作者の目には入っていないか、入っても極めて歪な像になることが伺える。わずかに登場する、それらマイノリティたちは一様に愚かで狡猾な存在として描写される。まるでヘイトスピーチ草稿のように。三戒(憲法九条)擁護を訴える面々が悉く愚かしく卑怯に描かれる作中で唯一、清々しい真面目キャラは陸海空自衛隊の擬獣化であるハンニバル三兄弟だ。彼らは実に誠実な善人だ。他の蛙たちから離れた場所でひたすら鍛錬に励み、批判的な風潮にもめげず、ウシガエルがやってくれば武力行使も辞さず戦う。自衛隊に夢を抱くのは結構だが、その一万分の一程度でも、仮にも国民的ベストセラー作家なら、マイノリティの置かれた状況への真摯な考察を持っていただきたいものだ。

  •  映画『永遠の0』『海賊とよばれた男』の原作者が、これからの世代に問う寓話です。寓話とは、教訓または風刺を含めたたとえ話。動物などを擬人化したものが多い、というけれど、はたして、この本の「アマガエル」「ウシガエル」「ナパージュ」「デイブレイク」「ハンニバル兄弟」「三戒」は何を意味しているのか。トランプ大統領に代わって、日本の将来を考えさせてくれる1冊です。
    (カウンター担当/五重の塔)

  • 悲しくなったけどいかに本質よりも周りの声や都合のいい解釈に振り回されてるか実感する。

  • ツチガエル達が声を揃えて戒律を守ろうとする姿が、不気味で滑稽に見えるけれど…
    これを日本社会として考えて、この戒律を憲法9条と考えたら、また考えは変わってきますね。
    私はこの中でいうと、オタマジャクシのいるメスガエルなのかな。
    この問題に正解はないよなぁ。
    みんなが平和についてもう1度考えることが大切なのかな。
    この作家さんのお話は読んだことがないし、この方の発言等は勉強不足で何もしらないので何とも言えませんが…。
    まぁ、あくまでもカエルのお話としてだけ捉えたら面白いですね

  • 政治は宗教化してはならない

  • 比喩があまりにも直裁的なため、比喩にもなっていないが、百田尚樹の朝日新聞に対する憎しみが感じられる。しかし昨今では日本人はもちろん外国人も朝日新聞等が捏造した自虐史観的な考えが間違いだと気づいてきているし、スチームボート(米国)を追い出すこともないだろう。ただ沖縄だけが、ウシガエルやエンエンのカエルの策謀に乗りかかっているのだけが心配だ。

  • ・ことの本質を突き詰めず、波風を立てずに過ごす
     ことの無意味さを感じる
    ・登場者を様々な現実のものからたとえて、現在の
     危うさと自分たちの立ち位置を教えてくれている 
     ところは興味深い。
    これをもとに、自分の頭で考え、私たちはどう取り
    組むべきか。

  • 風刺小説。作者の作品には娯楽性を期待してたのでつまらなくて途中で閉じた。

  • 「また百田さんが何かやらかしてる」みたいな評判を聞いていた本。登場人物それぞれが示すものが一覧になったネタバレサイトを片手にフンフンと読み終えた。今の日本が抱える危機を警鐘しようというのは分かるし、「中国とは今どんな関係なんだっけ」とか「あの人が朝日新聞嫌ってるのってこういうことか」とか改めて認識する機会は設けられたんだけど、百田さんの「オレが代弁してやる」感がどうしても鼻についてしまって何とも…。それが平和ボケなんだと言われたらそれまでなんだけど。永遠のゼロみたいな話がまた読みたい。

  • 読破後にいろいろと考えさせられる一冊。

    いまの日本と憲法9条を風刺しているのだろう。

    人にはそれぞれの考え・正義を持つが
    「正義は勝つ」という言葉がいかに綺麗事か思い知らされる。深い。

    文章は読みやすかった。ハッピーエンドだと思って読んでるともやもやするかも?

  • 現代日本をカエルの社会にした風刺小説。

    もっと寓話的な物語を想像していましたが、かなりストレートなメッセージ性のある小説でした。
    ナパージュやわしはすぐわかりましたが、三戒は三原則ではなく九条の方ですね。
    この物語とは真逆の風刺漫画を昔読んだような記憶があり、それでは平和ボケした能天気の国民たちが侵略者たちを受け入れて侵略者たちが能天気になっていって平和が続くような感じなものだった気がします。
    いずれにしても、海外の国々との付き合い方を問うているという点では評価できますし、作者の考え方を鵜吞みにしないように注意して読む必要があると思います。
    ただ、戦争の是非や人種間の付合い方を深く考えさせるには、先に読んだ中脇さんの「世界の果てのこどもたち」の方が文学的には優れていると思います。

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