夜の木の下で

  • 257人登録
  • 3.60評価
    • (12)
    • (36)
    • (32)
    • (4)
    • (2)
  • 48レビュー
著者 : 湯本香樹実
  • 新潮社 (2014年11月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103367116

夜の木の下での感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 「緑の洞窟」「焼却炉」「私のサドル」「リターン・マッチ」「マジック・フルート」「夜の木の下で」の6編。
    これまでの湯本さんの作品、例えば「夏の庭」のように少年・少女を主人公に置くのではなく、多くは既に大人になった主人公が自分の子供から青春時代に感じた怒りや理不尽さ、未来への諦念などを思い起こす形で描かれています。
    そこに登場するのは純粋で繊細で儚い者たちです(対照として異常な母親が出てくるのも特徴かもしれません)。
    ですから筆致はやや暗く重い。そしてどこか哀しみが含まれてます。
    それにしても引き込まれていく文章です。静寂。小川洋子さんの硬質な静謐感とは少し違い、どこか柔らかさのある静寂感の中で語られる物語です。

  • 久々の湯本 香樹実さん。
    時を置いてゆっくりと語られる記憶だったり、
    自転車のサドルが突然話しかけてきたり、
    交通事故で意識不明の弟を思う姉の気持ちとその姉を“あいだのとこ”で見つめる弟だったり。

    なんて書くとファンタジー? OR オカルト? なんて言われそうだけど、
    いえいえ、普通の人たちの話なんですよ、と。

    それぞれ、ひっそりした語り口が優しくて気持ちがとても静かになったし、
    一度読んで、ちょっと間をおいて再読したら、
    なおさら、その面白さが沁みてきて、うん、よかった!
    いい出会いができて嬉しいです。(#^.^#)

  • 青春期のほろ苦さ、自分の気持ちを上手く言い表せないもどかしさやジレンマ…大人の誰もがかつて辿ってきた道が6本の短編のあちらこちらに、静かに淡々と描かれている。
    ふと胸が苦しくなり切なくなって泣けてくる。
    人はみな色んなものを亡くし、それを振り返り思いを馳せながら、それでも生きていく。

    湯本さんの描く物語にはよく大きな木が出てくる。
    青春真っ只中の彼らをそっと見守ってきた木。本人が大人になっても、木だけは何ら変わることなく同じ所にそっと佇んでくれている。
    どっしりとした大きな木があるだけでほっと安らぐみたい。
    あの頃の焦れったい自分を思い出させてくれる優しい短編集だった。

  • この本の装丁にぴったりの
    短編が詰まった一冊でした。

    大切な記憶の欠片を、
    どこか薄暗く濃密な場所から
    呼び戻してくるような。

  • 小説らしい小説だと思う。作者が丁寧に言葉を選んでいるのがわかる。
    そのため、濃密な、気配のある小説になった。

  • 「緑の洞窟」、「焼却炉」、「私のサドル」、「リターン・マッチ」、「マジック・フルート」、「夜の木の下で」
    登場人物もストーリーも無関係だけれどなんとなく共通のトーンを感じる6つの短編。
    思春期の心の痛みだとか、友達や家族への思い、取り戻すことのできない時間。せつなく辛い物語の中にも、どこか愛情が感じられたり可笑しみもあって‥人と関わること、生きることに希望を感じる読後感。

  • 「夏の庭」でおじいさんの死んでゆくのを観察したぼく、「春のオルガン」でオンボロバスに立て篭もるわたし…そんなこどもたちが成長したらこんなふうになるのだろうと思わずにはいられない短篇集。
    〜湯本さんおひさしぶりです!ずいぶんと時が経ってしまいましたがこの柔らかな過ぎ去った時へのレクイエムが心に響くのは木山やともみが私たちのなかに生き続けている証しなのでしょう〜
    どれもみな素晴らしいのだが敢えてのイチオシは過去の作品から持って来た「マジックフルート」、この思春期の少年が年上の女性に抱く淡く儚い恋心はどれだけ草臥れた男の胸にもときめきを思い出させてくれるだろう

  • 静かだなあ。すれ違いのお話たち。
    大きく心が動かされるほどの衝撃ではなく、静かにそこに横たわっているような、
    日常に潜む影を少し切り取ったような。

  • 筆者の本は初めて読んだ。男性・女性、いろいろな視点で描かれた6篇のストーリー。変なロマンチシズムがなく、さらっとして、優しい。
    感情についての「気づき」が多く、それをすくって書き上げる感性が豊か。
    通底するテーマは、過去の自分を振り返り、いまの自分のありようを素直に認ること。誰もがどこかで求めている「肯定」を与えてくれる。

  • 思い出の中で空想と現実が混じったような微妙な立ち位置のファンタジー。

全48件中 1 - 10件を表示

湯本香樹実の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

夜の木の下でを本棚に登録しているひと

夜の木の下でを本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

夜の木の下でを本棚に「読み終わった」で登録しているひと

夜の木の下でを本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする