塔と重力

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著者 : 上田岳弘
  • 新潮社 (2017年7月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103367345

塔と重力の感想・レビュー・書評

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  • 併録の3編が互いに関連している、というだけでなく、
    三島賞以降の過去作を彷彿させる箇所もいくつかあった。
    その意味するところは、「私とは何者なのか」「私は何処にいるのか」という命題に対する、新しいアプローチなのではないか、と思う。

    「私とは何者なのか」という問いは純文学の往年のテーマであり、寧ろ存在意義であり、強弁すれば全ての小説のテーマはそこに行きついてしまうのかもしれない。
    私は私以外に存在せず、私が認識するから世界が存在するのであり、私自身が私の存在を否定することはできない、私を存在せしむるのは他ならぬ私自身である、つまり「我思う、故に我在り」こそが、永らくその命題への唯一の回答だった。
    しかし、『私の恋人』以降の小説で、著者はその回答に異議を申し立て続けている。その仮説の一つが「小窓」という概念だろう。
    人工知能、クローン、インターネット、それらによって他人の自意識を覗くことが可能になり、また自分の自意識をフェイク的に作り出すことも可能になった。
    言うなれば自意識をアウトソーシングすることが可能になった状況で、もはや「私以外、私じゃないの」は過去のこと、私が私以外に存在しないという事実は、すでに崩れつつあるようだ。

  • 村上春樹を意識した、ネオSF。
    日本の純文学でいま一番面白い作家。

  • 標題作含む3編から成る。
    自分は、その内標題作しか読めなかった。
    理由としては、著者の有する世界観に没入する準備ができていなかったからだ。

    標題作は、ベンチャー企業に勤める主人公・田辺の視点で進むが、間に大学時代の友人・水上が執筆した小説らしき文章が差し挟まれる構成。

    田辺は20年前、高校生の時に阪神淡路大震災を経験し、生き埋めになった経験がトラウマとして残っている。
    また、仲が良かった(「もしかしたら初体験の相手となった」と期待していた)美希子を失ったことも記憶から消えることはない。

    水上は、田辺に美希子を「再会」させようと様々な女性を引き合わせる。

    こんな解説だと、恋愛もののようだがそうはならないところが面白かった。
    しかし、様々な世界に引き回されているようで疲れたのも事実だ。

  • この三編を表すのはなかなか難しい。
    極めて観念的な作品。
    想像がどこまでも突き抜けていく。
    なんとなく、その世界に慣れて来た頃に終わる。

  • 初読み作家さん。震災で生き埋めになった過去がある主人公の話。淡々としている。『重力のない世界』はわりと好みだったが『双塔』はまるで頭に入らなかった。『塔と重力』と他2作は関連があるのかタイトルが被ってるだけなのか?

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