かぜまち美術館の謎便り

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 373
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103368311

作品紹介・あらすじ

夭折したはずの画家から届いた絵葉書――。寂れゆく町に赴任した学芸員パパと娘が、絵画に込められた過去の謎を解く美術ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 香瀬町に越してきたかえでとパパ。ママは頭の中でよく会話しているんだけれど・・?
    香瀬町の保育園に勤務するカヲリ。父サブローと二人暮らし。母が亡くなり、兄のヒカリも不慮の事故で亡くなる。そんなヒカリから届いた謎の手紙。ヒカリが生きている内に出したもの?ヒカリを追ってたどり着いた結果があれやこれやと結びつく。

    最後はなんだかほろ苦い終わり方。カヲリにとって、これでよかったのかな。

  • 香瀬町で生まれ育ち、町の保育園で働きながら父と2人で暮らすカホリ。
    そんな彼女の家の隣に、町の外から父と娘が越してきました。
    町の美術館の館長として赴任してきた佐久間と、彼の5歳の娘・かえで。
    ふんわりとした独特の雰囲気をまとった親子が、18年前に香瀬町で起こった不可解な出来事の謎をほどいていきます。

    今回は絵画の解体がテーマです。
    18年前に謎の死を遂げたカホリの兄は、有名な絵画を下敷きに香瀬町の風景や人々を描いていました。
    兄の絵と芸術家の絵、両方の作品の解体は、やがて隠された過去の真実にたどり着きます。

    すべての謎が解けたとき、明るみに出た真実の不愉快さにお腹のあたりがもやもや。
    でも、切ない気持ちを清い風がさらっていくようなエピローグがすてきで、明るい気持ちで読了しました。
    また、さまざまな芸術家の作品の解体により、作品を観る角度が変わるおもしろさも本作の魅力です。
    特にシャガールの解体が新鮮でした。

    著者が描くちびっこが、とてもかわいらしいです。
    今後の成長が楽しみな女の子だな~。

  • 2015年2月23日読了。
    第一話だけ読むと「ん?」と肩すかしを食らう感じだけれども、一冊全体としての完成度が良かった。
    森晶麿先生はおそらく、モテる文系男子だったんだろうな、と著書を読み続けていくうちに思うようになったり・・・(笑)

  • かぜまちの18年前の事件を、カリスマ学芸員の佐久間と保育士のカホリがひも解く美術ミステリ。絵画への様々な解釈を用いて、人々の中にある心の中の氷を溶かしていく。その様子は、かぜまちの自然豊かで長閑な雰囲気とが重なって、心温まります。それは氷が解けたところに心地よい風がそよそよと流れていく様です。次々と起こる出来事に18年前の真相へ近づいていく。田舎の閉鎖的な部分はあるのだろうけれど、私もかぜまちに住みたくなりました。
    この作家さんの作品には恋愛要素も多く、今回も胸キュンになりながら読みましたが、エピローグを読み、やはりそうなのかとちょっとがっくりしました。もしや佐久間は面倒な男なんじゃ....と思いました(笑)

  • 面白かったです。絵画に対する知識が何もない私でも絵から読み解くことの楽しさを発見することができました。最後はそーきたかー!と思わず本に向かって叫んじゃいました。

  • 図書館でたまたま手に取った。
    初めて読む作家さん。
    後半になるにつれ、おもしろかった。

    ゆったりと時間が流れる中で、1話1話プチトラブルを謎解き、解決していくのかと思いきや、殺人事件の解決まで。
    きな臭くなってきたころから、それでそれで?と読む手が止まらなくなった。

    少しずつ登場人物が増えていくので、読みやすく。
    田舎特有の閉塞感や、悠久さが感じられた。

    絵画についての解釈もとても興味深かった。
    こういう視点で絵画鑑賞できたらもっともっと美術館が楽しいだろうな。参考文献の本などを読んでみてもおもしろいかも。

    かえでちゃんがとてもかわいい。
    自由な発想、子供の目線、いいね。
    視点が変われば、世界が変わる。

    エピローグにはがっかり。
    そっかー。カオリは知ってたかー。
    淡い恋心を、私が抱いていた!

    ピカソ/母の肖像、パイプを持つ少年
    シャガール/私と村
    ミレー/種をまく人
    ゴッホ/種をまく人
    マティス/ダンス
    セザンヌ/大水浴図、リンゴの籠のある静物
    ゴーギャン/我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか

  • 母に勧められた本。
    ミステリーだけど、どこか幻想的なストーリー。
    1〜5話まで一つずつ謎が解き明かされるけど、憶測の域を出ないような感じでモヤモヤ…。6話(最終話)で全ての謎が一気に繋がって、スッキリ。
    ゴッホやシャガールなどの絵画が謎解きの鍵になっているので、絵画の知識があればもっと楽しめたかも。
    ただ、エピローグだけはちょっと裏切られた感じ。知らなかったのは読者だけで、当人同士は最初から知ってたようだから、ストーリー上決して裏切りではないけど。6話のラストでほわっとした気持ちにショックを与えられたような気持ちになりました。

  • 軽くて
    飄々としていて
    まあ押さえるところはあって
    面白かったです

  • 図書館でふと手にとった一冊。
    絵に詳しくないので、あんまり楽しめなかったな。
    読むのにすごく時間がかかってしまった。

    カホリ先生と佐久間さんが良い雰囲気だなぁって思ってたら、まさかの奥さん登場!
    てっきり亡くなってると思ったのに…。


    ***
    18年前に死んだはずの画家から届いた絵葉書が封印された町の過去を解き明かす―イクメンでカリスマ学芸員のパパと保育園児のかえでちゃん。寂れゆく町に引っ越してきた、オアシスのような父娘コンビが、ピカソ、マティス、ゴーギャン、シャガールらの名画解釈をもとに、夭折の天才画家が絵に込めた想いを読み解き、その最期の真相に迫る!

  • 美術を巻き込んだ新しいミステリー。
    どんどん先が気になり読み進めてしまった。他の本も読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

1979年、静岡県浜松市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。ライターとして漫画脚本などを手掛けながら小説の執筆活動を続け、『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞(早川書房刊)。同作は続刊も刊行され、「黒猫シリーズ」として人気を博している。ほか、『名無しの蝶は、まだ酔わない』(角川書店)の「花酔いロジックシリーズ」、『ホテル・モーリス』(講談社)、『偽恋愛小説家』(朝日新聞出版)、『かぜまち美術館の謎便り』(新潮社)などがある。

「2021年 『使徒の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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