アールダーの方舟

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著者 : 周木律
  • 新潮社 (2014年12月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103369912

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アールダーの方舟の感想・レビュー・書評

  • 本作の探偵役・一石青年が宗教についての薀蓄を語り出した時、真っ先に思ったことがあります。

    何だろう、一石のこのキャラクタ…周囲と馴染まない寡黙?キャラのくせに、自分の専門分野語り出したらノンストップなこの感じ……なーんかデジャヴだなァ………と思ったら、疑問は呆気なく解けました。矢吹駆だーーー!!!

    笠井潔の生んだ、現象学を語り出したら止まらない男・矢吹駆。
    矢吹青年の語るフッサールやハイデガーにうっかり(笑)魅了され、危うく哲学を専攻しそうになるという黒歴史を持つ私は、彼を彷彿とさせる主人公像にはそらもーテンション上がらざるを得ません。

    しかも、矢吹青年の語る哲学薀蓄は意味くじピーマン(古)だったけど、本作の一石青年が語る薀蓄は宗教!!

    伊達に一般教養で宗教関係履修してないわよ!どっからでもかかってらっしゃい!と身構えつつ、意気揚々とページを繰りました。


    が。


    あれ…意外と、ウィ◯ペディアな内容に留まってるな……(汗)。

    というのが、当初の率直な感想でした。
    ユダヤ教・キリスト教・イスラム教が「神」と呼ぶ唯一神が同じ存在であることは既に既知のことだし、厳格なイスラムの教えに内包される女性への寛容性とか、教典の解釈の仕方とかも真新しい内容じゃないし。
    アララ…堂シリーズはかなりペダンチックだけど、これは意外とビギナー向けかしら、と思ってたら。ら。

    気付いたら、連続不審死が相次いでるにも関わらず、滔々と宗教について私見を述べる一石青年の語りに見入っていました。
    私でも知ってるような薀蓄から入って、少しずつ解釈を発展させていく語りが、すごく読み応えがあった。
    「イスラエルへのユダヤ人の帰還がキリスト再臨を望むキリスト教徒にとっても悲願」っていう件は初めて知ったなー。興味深い!

    最後の犯人指摘のタイミングで一石青年が語る「ノアの方舟」の正体も、薄々感づいてはいたけど、改めて彼が饒舌に語るシーンはスケール大きかったなー。

    ただ、上記の薀蓄部分が読み応えがある反面、いい年こいた大人達(本作の被害者ご一行)の言動が、あまりに幼稚な点が気になりました。一端の有職者が、こんな悪質な嫌がらせや言動とるかしら…。

    この辺は堂シリーズにも見られる傾向ですし、推理小説の登場人物には基本、現実的なキャラクタは求めてないんですが、ちょっと悪意の描写が過ぎているように感じました。


    【内容まとめ:Amazonの内容紹介より引用】

    「痛みの山」と呼ばれるアララト山で、ノアの方舟調査隊に降りかかる不可解な連続死―。宗教学・科学・建築学の叡智を駆使し、壮大なスケールで人類の謎に挑む歴史ミステリ!!完璧なる記憶力と瞬時の計算力を持ち、語学堪能にして端正なマスク。「神は妄想でしかない」と断言し、「人間とは何なのか」をストイックに追究する男が、アララト山頂で到達した人類の真実とは―。

  • 宗教×歴史×ミステリィ×探検の大集合
    なかなか面白い

  • 宗教を学びつつがちがちの本格ミステリが楽しめる。ロジックの組み立ては緻密で惚れ惚れしてしまった。探偵がわかりやすいため犯人の推測は容易で意外性はないものの、その推理だけでしっかりと読ませる力がある。Whyである動機の指摘にはぞくぞくした。登場人物もキャラが立っているしシリーズ化するかシリーズものなのだろうか?
    伏線も至るところに張り巡らされていて、心地よいやられたーという気持ちでいっぱい。この著者の作品は初めてだったが、他も是非読んでみたい。

  • ノアの方舟が漂着したとされるアララト山に登る8名のパーティーのうち、5名が死ぬ話だが、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地とも言われる場所にちなみ、博学の一石豊と森園アリスが繰り広げる濃厚な宗教論議が楽しめる.殺人犯の推理の場面は淡々と進むが、最後に一石がどんでん返しをする所が良かった.キリスト教の知識は多少あるが、イスラム教はさっぱりなので、謎解きで出てくるイスラム教の異端の教義が絡む所はやや難解だ.

  • ノアの方舟を捜すため、痛みの山と呼ばれるアララト山へ。

    神の存在証明と宗教観。
    一石さんの薀蓄講義すごかった。
    ごめん流したけど。

    何を信じるか、どう信じるか、いつまで信じられるか?

    「人間とは、何なのか」を命題に掲げる一石さん、その人の謎をわたしは解いてみたい。

  • 図書館にて借りる。宗教とは何ぞや、と考えさせられる。

  • 吹雪のアララト山アタック中、ノアの方舟調査隊が何者かの手によって次々と命を落としてゆく歴史ミステリ。建築と宗教、歴史講義から方舟伝説と信仰の正体に迫る内容は、良くも悪くも新本格意識な「堂」シリーズとは段違いの面白さです。文化的な価値観の相違を背景にした“why”の部分が特に秀逸で、偽装工作の裏に秘された真の目的には思わず打ち震えるほどの衝撃を受けました。昨年の『災厄』に続き、周木律というミステリ作家に対する認識を大きく改める必要があるかもしれません。

  • 方舟をめぐるミステリー。
    実際に方舟があったものとして
    アララテ山に調査の登山をする。
    方舟の調査をすることに
    まずびっくりで惹かれた。
    宗教の話が今タイムリーで
    色々考えてしまった。
    鋭い洞察力で語りまくる
    ちょっと冷めた男性と
    賢い聞き役の女の子と
    いう組み合わせ、
    多いね。
    でもおかげで
    噛み砕いた説明がきけて
    助かるんだけど。

  • 「神の存在は悪だ」一石はそう断言する。


    キリスト教、イスラム教、ユダヤ教。
    予言者アブラハムの三宗教の違いから起きる誤解と対立、それがトリックに仕込まれている。

    ノアの方舟の探索チームがアララト山の山頂付近で方舟らしき人工物を発見し、その欠片を持ち帰った。
    しかし、天候が急変し雪で一向は下山を阻まれる。

    そして殺人が始まる。

    濃霧での稜線からの滑落死、
    食べものに混ぜられたものがきっかけでアレルギー中毒死した隊長、
    外から開けられないテントの中に残された死体、
    礼拝後に死んだムスリム、
    祈るように体を投げ出し死んでいたシェルパ。

    まるで神の怒りに触れたかのように、次々に死んでいく隊員たち。
    アララトの神が下山を阻んでいるのか。


    館シリーズの周木律が、徹底的な無神論を話の中心に、ノアの方舟の真実まで書き上げる。

    推理小説というより、宗教学入門のような話だった。
    それはそれでわかりやすかったのだ。

  • 神様仏様、と口にした時に自分が信じてるのはどちらなんだろう。日本人には古事記に出て来る神様の他にモノ・動物まで含む八百万の神と境界線があやふやだ。そんな自分にとって唯一無二の神・教義を信仰し、争い続ける人々は理解の向こう側にいる。

    ノアの方舟かも知れない影の存在を調査する旅に集まったメンバー。アールダーに登る彼等に次々と起きる禍事。事件か事故か?

    一石の語る言葉を逃さないように。全てはそこにあるのだから。

  • まいったまいった。
    こんなに面白いとは思いませんでした、すみません、ほんとすみません。
    宗教なんでもまぜまぜ信仰八百万の神様お願いします、的な毎日を送っている私としてこの主題はちょっと読み込みにくいかと、思っていた自分を叱りたい。
    ノアの箱舟。聖書でも映画でもおなじみのこの「伝説」の証拠を巡ってのミステリ。
    いやぁ、なんというか、もう最初から最後まで気を抜けないままとにかくはまり込みました。
    壮大で緻密で、エレガントでインテリジェンスに満ちている、なのに、サスペンスフル。はぁ、なんとも贅沢な時間を過ごさせてもらいました。
    今なら私、聖書についてあれこれ語れますよ。一石さんからの受け売りですけどね。

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アールダーの方舟の作品紹介

聖なる山の調査隊を襲う謎の連続死。これは神の怒りか、奇跡の完全犯罪か。「痛みの山」と呼ばれるトルコのアララト山で、ノアの方舟の遺物を探す調査隊に次々と不可解な死が降りかかる。その謎に挑むのは、「一度記憶したことを決して忘れることができない」放浪の天才学者、一石豊という男。メフィスト賞受賞で注目の新鋭が、宗教学・科学・建築学の叡智を駆使して、壮大なスケールで人類の謎に挑む、超弩級の歴史ミステリー。

アールダーの方舟はこんな本です

アールダーの方舟のKindle版

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