スイミングスクール

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著者 : 高橋弘希
  • 新潮社 (2017年1月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103370734

スイミングスクールの感想・レビュー・書評

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  • 星3.5で。『スイミングスクール』と『短冊流し』の二編が収録されています。驚くほど何も起こらず淡々と過ぎていくその様子を緻密に繊細に描いていて、読んでいても疲れない。水みたいにすぅーと入ってくるので楽でした。個人的に注目している作家さん。

    橋本尚さんの『蝶のゆくえ』を読んだ時も衝撃的だったのですが、『スイミングスクール』も、これ本当に男性が書いたのか!(何度か表紙を見て高橋弘希と確認)って思うほど女性らしく、カレーを作ってから炊飯するとかケーキ作りとか、料理の段取り一つとっても、端から端まで描写が細やかでびっくり…。読んだ後「何もない。読者からしても淡々としている小説なんだけど、もしかして人生ってこういうことなのかな…」と思ったりしました。早苗10歳とひなたの10歳になったの場面が交差するところが印象的。けど10歳で「エックス」ってすごいね♪とも思った。

    『短冊流し』も同じく子供と暮らす大人目線で話が進みます。少し慌ただしい出来事が起こってしまうのですが、こちらは女性だと思っていたら父親が子供と暮らすという物語で、「仙台から妻が来る」という言葉を読んでも、育児しているのが夫なのだと理解するのに時間がかかりました。
    天道虫が身体に止まると幸運が訪れる…という言い伝えがるので、綾音ちゃんの容態もよくなるのかな……と、ふんわりと思ったりしました。

    『ビニール傘』じゃないけど、盛り上がりもなく盛り下がりもなく、ただ淡々と時が流れる物語っていいな、と最近思うのでした。次は『日曜日の人々』を読みたいです。

  • 2017.10.28 図書館

  • スイミングスクール、文章の書き方が、湊かなえを意識してるのかなと思うほど、似てた。
    どうつながるのか、わからないままからなんだか終わった。

  • 高橋弘希「スイミングスクール」読了。
    図書館の新着図書の棚で心惹かれたので借りてみました。
    うーん...ストーリー云々よりも主人公の娘の年齢設定9-10歳はミスじゃないかな。言動や出来事が幼すぎるのが気になって話に入れず。

  • 「スイミングスクール」の、雨が近づいた空気の匂いが立ち込めると、みるみるうちにこの物語と自分の記憶の混じる世界の中に吸い込まれていった。

    自分の物語ではないけど、自分が日常的に、無意識に感じ取っているものに気づかされる作品だった。

    何となく思い出さないようにしている、大したことじゃないはすなのになんか辛い。
    そんな罪悪感や憂いをずっと持て余している。

    高橋さんの文章は一本の糸のような感じがする。

    「短冊流し」は、娘が元気になることが家族の別れにつながるという、ちょっと異様な複雑さを感じた。

  • 表題作、日本語として違和感ある文章がちらほら。 併録の芥川賞候補作はそうでもないのに。編集の手の入れ様の違い?

  • あらすじを読んでみてすぐに気になった作品。
    不穏な空気感、意味ありげな情景描写、緊張感のある文体、そういうのすべて好みでした。
    ただ「スイミングスクール」と「短冊流し」の、どちらも上手く感想をまとめることが難しい。
    自分がこの小説を読んで何を感じたのかが自分でもよく分からない。ただ心は確かにざわついた。

    9歳の娘ひなたをスイミングスクールに通わせることにした早苗。
    自分もかつてスイミングスクールに通っていたな、と早苗は自身の幼少時を回想していく。
    母との確執、伯父との関係、赤ん坊のひなたにぶつけた言葉、録音したカセットテープ。
    どうにもならない過去があり、これからも続いてく日常がある。
    夏空に高く放り投げたひなたの乳歯は、どこか分からないけれど今もどこかに落ちている。

    もう一編の「短冊流し」は、妻と別居中の父親が主人公。
    上の子である5歳の綾音を引き取っての生活が軌道にのったと思ったが、突然の熱性けいれん。
    意識がもどらない綾音をなすすべもなく見守るしかない無力感が、切ないほどひしひしと伝わってきた。
    七夕の願い事が書かれた短冊を、流すということ。どんどん流されていく短冊を、ただ眺めていること。

  • スイミングスクールは子育て時代を思い出した。
    短冊流し、子供は目覚めないようにしてるんじゃない?

  • 「短冊流し」第155回芥川賞候補。

    高橋さんは若手作家の中で数少ない注目株の一人で、この人の作品は追い続けようと思っている。
    これまでの二作はいずれも時代設定がかなり前で、それが文体と相俟ってこの人独自の世界観を作っていたものの、だからこそこの人が現代を舞台にした作品が読みたいと思っていた。
    そしてこの本に収められている表題作と「短冊流し」は、いずれも現代に近い時代が舞台となっている。
    「文学とは何か」という問いに明確な答えを自分は持っていない。そしてこの作品集の作品たちは、どちらの作品も何か明確な主張があったり、劇的な展開があったり、高度な実験がされている訳ではない。しかしこれは文学だ、と強く感じた。
    おそらくその理由は、圧倒的な描写力だと思う。前二作でも発揮されていたが、この人の作品は「書かれていること」それ自体が強い力を持っている。
    正直、表題作は少し危うい橋を渡っていると感じた部分もあった。物語の引きになっているカセットテープの顛末や、その他の部分など、与えられた物語性が却って全体をチープにしかける場面もあった。
    芥川賞の候補になった「短冊流し」は、島田雅彦氏も評していたが短すぎるというか、物語の導入部だけ読まされたという感覚になった(おそらくそれこそが作者の意図なのだろうと思うが)。
    とまあ文句を言ったが、やはり若手では頭一つ抜けた実力の持ち主だと思う。現代を舞台にしたら瓦解するのではないかと思ったけれど、それに耐える筆力のある人だと分かった。
    この人は多分どこかで大化けするのではないか。それを楽しみに待とうと思う。

  • 標題作と芥川賞候補作「短冊流し」の2編。
    帯の「私と母の間には、何があったのかーー」という言葉に引かれ読んでみたものの、今一つしっくり来ないまま、いつの間にか読み終わっていた。「短冊流し」の方が主人公の心に寄り添えたような気がする。
    帯のカセットテープの謎って、謎なの?と思った。よくわからない…

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スイミングスクールの作品紹介

母と私の間には何があったのか――。注目の新鋭が親と子の繊細な関係を描く二篇。父の不在。愛犬の死。不妊の疑い。実家の片付け。神社の縁日。そして謎のカセットテープ。離婚した母とその娘との、繊細で緊張感ある関係を丁寧に描き出した表題作。死の淵にいる娘を為すすべもなく見守る父の苦悩を描く第155回芥川賞候補作「短冊流し」を併録。圧倒的描写力と研ぎ澄まされた想像力で紡ぎ出す新鋭の飛翔作二篇。

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